初心者のための登山とキャンプ入門

ボルダリングの自宅トレーニング「シミュレーター」編

メトリウスのシミュレーター3D

シミュレーターとは

メトリウスのシミュレーター3D
メトリウス シミュレーター3D

シミュレーターとはクライミングギアメーカーのメトリウスが販売しているクライミング、ボルダリング用のトレーニングボードです。このシミュレーターを使ったトレーニングにより、クライミングやボルダリング最もで必要とされる指の支持力を効果的に向上させることができます。
メトリウスのトレーニングボードにはシミュレーター以外にも、「スリムジム」、「プロジェクトボード」、「ウッドグリップ」、「ロックリングス(吊り下げ型)」などがありますが、このシミュレーターが一番ホールドの種類が多く、トレーニング内容もバラエティに富んでいます。

シミュレーターのバージョン

以前は「シミュレーターCNC」と言う商品名でしたが、最近は「シミュレーター3D」にモデルチェンジをしました。形もサイズも大きく変わり、シミュレーター3Dは外側にカーブを描くデザインになっています。人間工学に基づき、トレーニング中の故障が最小限に抑えられるデザインになっています。
シミュレーターをネットで購入する際には販売しているモデルの確認が必要です。

シミュレーターの設置について

シミュレーターでトレーニングをするためには、シミュレーターを自宅に設置しなければなりません。設置に適した場所は自宅の戸口で、シミュレーターにぶら下がり下半身を自由に動かせるだけのスペースがあるので、設置場所としては最適です。
なおシミュレーターはネジを使って設置するのですが、直接壁には設置せずに間に一枚板を挟みます。しかし石膏ボードやしっくいの壁、羽目板等は充分な強度がないので設置する際には注意が必要です。

自宅に設置できない

シミュレーターを自宅に設置できない人は、同社の「ロックリングス」がおすすめです。ロックリングスは小さく携帯に便利で、木などに吊り下げて使用します。
体を自由に動かせるので関節への負担も少なく、トレーニング中の故障を防止すると言った特徴もあります。
それでもシミュレーターでトレーニングをしたい、と言う人には「ぶら下がり健康機」を使ってシミュレーターを取り付ける方法もあるようです。ブログでもいくつか紹介されているので参考にしてみると良いと思います。

シミュレーターの素材とサイズ

シミュレーターの素材はジムのホールドと同じ様な感じで、より滑らかで指に優しいと言った印象です。滑りやすいのでチョークをつけながらのトレーニングになります。
サイズは約、横71cm、たて22cm(シミュレーター3D)で、重量は測っていないので何とも言えませんが、取り付けの際に苦労をしてしまうほどの重さがあります。

シミュレーター3Dのホールドについて

ホールドの数はざっと見た感じ30以上あります。ジャグ(ガバ)とラウンドスローパー、フラットスローパー、あとは深さと幅が異なるポケットとエッジです。左右対称に配置されており、中心にもホールドがあるので様々なバリエーションのトレーニングができます。

実際どのホールドを持てるのか、と言う事が気になります。
ボルダリング歴が浅く指に自信の無い人は、トレーニング初日はジャグと深いエッジと3本ポケット程度しか持てないのではないかと思います。とにかく浅いホールドが持ちづらいので、初めは深いホールドしか持てないのではないかと思います。
ですが一週間もトレーニングを続ければ、ラウンドスローパー、エッジのミディアム、2本指のポケットと徐々に持てるホールドが増えていくでしょう。極浅いポケットを持てるようになるには時間がかかると思いますが、トレーニングを続ける限り持てるホールドは増え続けます。

しかし、シミュレーターのトレーニングでは腕や指にかなりの負荷がかかるので、無理をすると故障に繋がってしまいます。ですので初めは無理をせず、片足をイスの上に乗せ、負荷を軽くしたトレーニングをした方が良いと思います。

シミュレーターを使ったトレーニングについて

ホールドの持ち方

メトリウスのマニュアルでは、ホールドの持ち方をクリンプ(カチ)ではなくオープンハンド(タンデュ)を推奨しています。カチ持ちは指を痛めやすく、またオープンハンドを鍛えることで、同時にカチ持ちも鍛えられるからです。私はシミュレーターでカチ持ちのトレーニングはしませんが、もしするのであれば少ない時間でなるべく指の負荷を軽くしたトレーニングをした方が良さそうです。

トレーニングの頻度

筋トレに関する色々なサイトを調べると、トレーニングとトレーニングの間には2日~3日あけるとか、そうではない、とか色々と書かれています。と言うことで良くわからないので、私は週6日シミュレーターでトレーニングをし、1日はレストデーとしています。ジムに行く日はトレーニングをしません。
しかし、どうしても調子が悪かったり疲れやすい日がでてくるので、その時はスパッとレストデーにしてしまうか、トレーニングメニューを軽いものに変更しています。

10分間ワークアウト

シミュレーターのマニュアルでは1分を1単位として10単位行う、10分間ワークアウトが紹介されています。この1分間に1つまたは2つのトレーニングをし、残り時間はレストの時間にあてます。
10分間ワークアウトの一例が紹介されていますが、初めはかなりきついかも知れません。なので初めは持つホールドを変更したり、回数や秒数を減らし、トレーニング内容をもっと軽いものに変更した方が良いかもしれません。
また先ほども書いた様に片足をイスに乗せてた付加の軽いトレーニングをするのも良いと思います。マニュアルにに載っているのはあくまで一例のため参考としてとらえ、自分にあったメニューを考える必要があります。

トレーニングの内容

トレーニングは単純にホールドを持ってぶら下がるだけでなく、肘を曲げてキープするものや、足を上げてキープするもの、片腕に重点的に付加をかけたものなどバリエーションにとんだ内容になっています。このように様々な姿勢でホールドを持つことにより、バランスよく筋肉を鍛えることができます。
ちなみに私が筋肉痛になる場所は、腹筋、前腕筋、上腕三頭筋、 広背筋です。

正確なトレーニングのために

正確なトレーニングを行うために、私はシミュレーターの付近にタイマーとトレーニングメニューを書いた紙を張っています。また秒数も的確に数えたいので、パソコンのメトロノームソフトをダウンロードし、テンポを60にしてその音をききながらトレーニングをしています。

シミュレーターの取り付け方法

必要なもの

シミュレーターを取り付ける板

厚さ19mm以上、縦26cm×横92cm 以上が推奨ですが、この数字はシミュレーターCNCのサイズで、シミュレーター3Dの場合はもうちょっと小さくなると思います。

ネジ

シミュレーターを板に取り付けるためのネジは付属しているので、板を壁に取り付けるためのネジが必要です。さら木ネジで大丈夫です。サイズには指定がないのでわかりませんが、私は4.5×50mmのネジを購入しました。使用本数は20本です。

電動ドライバードリル

メトリウスのシミュレーター3D
リョービ(RYOBI)電動ドライバドリルキットFDD-1010KT

板や壁に穴をあけたり、ネジを締めるために使用します。人力での設置は相当きびしいと思われますので、電動のドライバードリルなどを用意した方が良いでしょう。私が購入したのはリョービの「電動ドライバドリルキット」です。恐らくこの類ではかなり値段が安いほうで、ドリルビットとドライバビットが初めから付属しているので他に買い足すものはありません。軽いし、シミュレーターを取り付ける作業に充分なパワーを持っているのでおすすめです。

その他

定規、メジャー鉛筆など。また正しく水平に設置するためには水準器があると良いらしいのですが、私は使っていません。

取り付け手順

取り付けの方法はメトリウスのサイトで動画で紹介しています。私はかなりいいかげんな取り付け方をしましたが、参考までに取り付け手順を書いておきます。

① 梁を探して目印をつける

シミュレーターを取り付ける場所が決まったら、その壁の中にある梁を探します。
指でコンコンと壁をたたくと音が変わる場所があるので、恐らくそこには梁があると思われます。この梁のあるところにネジを挿しこむことになるので、念入りに調べ、その位置にマーキングまたは梁の間隔を調べておきます。

② 板を購入する

板の横のサイズは通常、戸口のサイズと同じものを買えば充分だと思います。板を戸口と同じ横幅にあわせれば見た目もきれいです。しかし梁の位置にネジを挿すわけですから、そのことも考慮して板のサイズを考えなければなりません。
強度を増したいのなら板のサイズを大きいものにしても良いと思います。また背の高い人がシミュレーターを利用する場合は、少し縦に長い板を購入しても良いかもしれません。シミュレーターの取り付け位置を高く設定できるからです。(マニュアルには背伸びして一番上のホールドが掴めればよい、と書いてあります。)
厚さは19mm以上が推奨ですが、私の行ったホームセンターでは木の厚さがほぼ18mmで統一されていたので、18mmのものを購入しました。今のところ問題はありませんが、これからどうなるかわかりませんので推奨はできません。

③ 板にマーキングする

梁の位置と同じ間隔で板にマーキングをします。ネジは何本使用したらよいかわからなかったのですが、とりあえず1本の梁に対し4箇所ネジを挿すことに決めたので、計20箇所マーキングをしました。上下の間隔は等間隔で、上下左右にに1cmほどのアキを設けました。(右側は木があまってしまっています。)

④ 板、壁にドリルで穴をあける

マーキングした箇所にドリルで穴をあけます。リョービのドリルキットで言うと、二番目に太いドリルビットを使います。
板に穴をあけ終わったらそれを取り付け予定の位置、戸口に設置する場合には鴨居の上に乗せ、強引ですが、マーキングのためそのまま空いた穴越しに壁に少しだけ穴をあけます。
そしてそのマーキングした穴のところにドリルで穴をあけます。穴をあけている時に手ごたえがあれば、それはちゃんと梁に穴をあけられていいると言うことです。失敗するとスカスカです。(私は梁探しに失敗し、梁2本分穴あけを失敗しました。)

⑤ 板のシミュレーターの取り付け位置を決める

シミュレーターのセンターの2箇所の穴を決定し穴をあけます。その後板のみを壁に取り付けます。
(私の場合ここがかなり強引なのですが、私はシミュレーターを壁に一度セットしてから、その他のシミュレーター取り付け用穴の位置を決めています。)

⑥ 板にシミュレーターをセットし、ネジを締める箇所にマーキングをする

先ほど2箇所あけたネジ穴にシミュレーターを取り付けます。ネジ2本だけでも落ちることはないので安心です。
次にシミュレーターを取り付ける角度を微調整し決定します(仮にネジを締めている段階ではかなり遊びがあります)。
専門的な道具がないと水平は出せないので、定規などを使ってがんばって水平の位置を見つけます。位置が決定したら、シミュレターのネジ穴に細いペンやとんがったものでマーキングします。

⑦ 板に穴をあけシミュレーターを固定する

一旦シミュレーターを取り外し、マーキングした箇所に穴をあけます。全てに穴があいたらシミュレーターをセットしてネジを締めます。この時最後まで電動ドリルで締めてしまうとシミュレーターが壊れる恐れがあるので、最後は手動のドライバーでフィニッシュします。
シミュレーターは数本ネジを締め切るまでは上下に動きますので、取り付け角度を微調整しながらフィニッシュします。

⑧ 最後に

かなり面倒な方法で私はシミュレ-ターを取り付けていると思いますが、鴨居が曲がっていたり柱が曲がって正しい水平が出せないと思ったのでこの方法になりました。またシミュレーターの取り付け位置も色々と試していたので、最終的にまわりくどい方法をとってしまいました。
この方法は手間がかかるので、やっぱり板にシミュレーター用の穴をあけてから壁にとりつけた方が正解だと思います。

私がシミュレーターを買った理由

私はジムに通い続けて思ったことは、やっぱり指の力だなあ、と言うことでした。垂壁の難易度の高いムーブがいくらできても、傾斜壁では簡単に引き剥がされてしまうのです。もちろんしばらく傾斜壁に挑戦することによってクリアできる課題もいくつかあったのですが、とにかく指がもたないので一日に本数をこなすことができませんでした。

クライミングやボルダリング関係の本には、「足が重要」と書いてありますし、色々なサイトにも「足で登る」と書いてあります。確かに足はかなり重要です。バランスをとったり上に登るために使うのは足です。傾斜壁では足が使えないとすぐに力尽きてしまいます。

ですが、何が原因で引きが剥がされるのかと考えた結果、結局は手の力、持久力、回復力が自分には足りないと言うことでした。手の力が無いから壁から引き剥がされる。持久力がないから数手で落ちる。常に痛いところや疲れるところは手。足がどれだけ素晴らしい動きをしていたとしても、足で全体重を支えることはできません。
手を鍛えないとこの先には進めないだろうな、と思ったのです。

効率良く手を鍛えるためにはクライミングジムに通いつめるのが最善かもしれません。壁にひたすら張り付いていれば自然と手も鍛えられていくでしょう。しかしその場合、週に何回ジムに通わなければならないのか、と考えると、最低でも週に4回は行きたいところです。間に一日ずつ入れながら、と言うのが一番の理想です。

ですが、やっぱりそこまで時間とお金を使うことはできませんし、数多くジムに通うと日に日にモチベーションも下がります。指の力が足りない為にできない課題が多いからです。だからと言っても、ジムに行く回数を減らしてしまうと、トレーニングとしての効率も悪くなるだろうと思いました。

考えるに、指が強くなるには長い時間が必要です。がむしゃらにジムに通い続けても、急激に指はできないと思います。日々の積み重ねにより、徐々に徐々に強くなっていくと思います。

ですので中途半端に週2回くらいジムに通っているよりは、毎日着実にトレーニングを積み重ねた方が効率が良いような気がしました。ジムで何度も壁から引き剥がされて苦悩するのもトレーニングかと思いますが、まずはアスリートのように、基本的な力を身につけるためのトレーニングが必要だと思ったのです。

またジム(実践)と自宅トレーニングを交互に行うことにより、リズムが生まれてきます。ジムで気づいた問題点をトレーニング内容に加え、トレーニングで鍛えたものをジムにぶつける。リズムが生まれて、実践、トレーニング両方のモチベーションがあがります。