初心者のための登山とキャンプ入門

メルボルンのジャパレス(ジャパニーズレストラン)で働き始める

日記を書かずに一週間が経ってしまった。というか書けなかった。今週の月曜日から、ジャパニーズレストランでのアルバイトが始まったのだ。
とりあえず、めちゃめちゃ大変である。

仕事初日。朝10時30から仕事のスタート。僕の役割はディッシュウォッシャー、皿洗いである。現在メインで働いているジェレミーというフランス人から、仕事の内容を教わった。

まずは米たきだ。事前に水洗いしておいた10キロの米を大きな釜に入れて炊く。それが朝一番の仕事。その後掃除をする。掃除はトイレ、トイレが終わるとフロアの床のモップがけである。結構キャパが大きいレストランなので、モップがけはなかなかの運動である。そしてそれが終わると、キッチンのディッシュウォッシャーエリアにはえらい数の洗い物が溜まっている。と言うのも、調理場が食事の準備のために使う道具、ボウルや寸胴やおたまや、そんな感じのものが大量に溜まってしまうのだ。
ちなみにこのレストランでは、寿司バー、ラーメンバー、調理場、と3箇所食事を作るところがあり、それらから洗い物が大量にやってくる。それ以外にもお酒や飲み物を作るバーもある。もちろん洗うのは僕一人だ。

11時30頃になると昼飯。皆で適当な席に座ってまかないを食べる。僕が働いた4日間の統計からみると、昼のまかないは麺が多い。きしめんをごく薄くしたような麺であまり美味しくないが、それでもありがたい。スープはその日その日で違うが、だいたい味噌味のものがおおい。昼飯を瞬間的に食べタバコを吸い、そして12時になると店のオープンである。

店がオープンしてからはしばらく落ち着く。コーヒーはタダで飲めるのでバーのマシーンでロングブラックのエスプレッソを作り飲み、洗い物を片付ける。しかしこの間に米をもう一つ炊くことを忘れてはいけない。10キロの米なんて瞬間的になくなってしまうのだ。しかしこうである、混んでいないのに炊きすぎて作りすぎてもあれである。なので様子を見つつ、シェフに米を炊く必要があるかどうか聞く。というか、毎回確実に2回は炊いている。3回炊く時もある。レンジでチンした米で間に合わす事もある。そしてここから忙しい時間が始まる。

キッチン内、僕の後ろでは韓国語が飛び交っている。懐かしいなあなんてことも思ったりするが、僕はそれどころではない。ガンガン皿が溜まっていくので消化していかなくてはならないのだ。ちょっと目を離すと置き場がないくらいに皿が溜まってしまうのだ。僕が思うには、器の種類が多すぎる。ラーメンのどんぶり、カツ丼や親子丼のどんぶりは良いとしよう。しかし鰻のお櫃?とか、おせち料理みたいな小部屋がいっぱいある器とか、醤油の小鉢、寿司用のおしゃれな陶器など、種類が多いのでまとめにくい。皆が洗い物を置くスペースは非常に狭いので、形が違う器を扱うのは大変なのだ。

僕の仕事の流れはこうである。食器が貯まる。スプーンなどのカトラリーは浸け置き用のボックスへ投げる、割り箸などの余分なゴミはとってゴミ箱に捨てる。次に高圧洗浄機、ホースみたいなやつで、自分でボタンを押して操作する。それで食器の汚れを吹き飛ばす。それが終わったらとなりのシンクに食器をつけて汚れを落とす。その後その食器を洗浄機の中に入れて洗う、終わったら取り出してその隣のスペースに並べて乾かす、そんな感じである。なので食器をあらいつつ、洗浄機を可動させ、たまには食器をしまってみたり、とにかく止まることなく動きっぱなしで、そしてダッシュだ。本当に忙しい。今ままで色々な仕事を経験してきたが、かつてないくらいの忙しさである。後ろでは韓国語で色々な事を言い合っている。なかなか不思議な空間ではある。

ランチででた食器の掃除は大体3時くらいには落ち着く。それが終わると米の準備である。事前に米を洗っておいて冷蔵庫に保存しておくのだ。そしてそれも終わると16時。休憩時間だ。しかし1時間30分の休憩時間はやることがない。レストラン内の席に座っている事はできるので、そこでぼーっとして終える。

17時30に仕事を再開。まずは夜飯のまかないを食べる。これが最高だ。カツカレーの時は嬉しかったが、日本人の料理長が作る飯が最高にうまい。味付けが絶妙なのだ。スープにしてもほのかに生姜の風味がしたり、ふんわりと卵の味がしたり、甘みがしたり、日本人の作る料理なのだ。他のシェフではこうはいかない。

ちなみに、シェフの構成を説明すると、ヘッドシェフと呼ばれる料理長が日本人。彼は寿司バーと呼ばれるメインのカウンターに立ち、寿司や刺身を作っている。彼がいない時は韓国人が代わりにやる。その後ろにラーメンバーというのがあり、そこではラーメン、うどん、そばなどを作る。メインのシェフはマレーシア人。バーカウンターの人間が中国人である。そして裏方のキッチン、ここでは麺類と寿司以外の物を作るが、シェフは二人いて二人とも韓国人だ。そうそう、ウェイターウェイトレスは韓国人と中国人だ。白人は2名。一人はフランス人で、もう一人はわからない。

そんなこんなで僕の知る限り日本人は僕と店長のみだ。しかも僕と彼との職場には距離があるので、一日で話す量は少ない。キッチン内では、カトゥドン!とかテリヤーキ!とかオヤコドォン!とか日本語がいっぱい聞こえてくるが、もちろんどれも日本人の発音ではない。

夜のまかないを食べ終わると、また食器が山の様に溜まっている。別にね、食器だけなら問題がないのだが、それ以外の物を洗うのが大変なのだ。ラーメン用の油がびっしりとついた巨大は寸胴鍋、巨大なまな板、巨大な釜、巨大なボウル。重いし置く場所がないし、汚れが落ちないし、それはもう大変なのだ。それらを洗いつつも食器を洗わなくてはならないのでとても忙しい。そして高圧洗浄機を使うからお湯が跳ね返る。顔とかもうびしょびしょになるし服は濡れるし、床はすべるし本当にてんやわんやである。

途中でつかの間の静寂などもあるが、20時を過ぎた頃にこの仕事のピークを迎える。今までの食器洗いの仕事に加えて、閉めの作業をしなければならない。床のゴミ掃除とモップがけ、ゴミ出しである。こんなんをやりつつ皿を洗う。もうこの時間帯にはだいたい頭がおかしくなっている。
そして21時、この時間になると各調理場も閉め始める。そうすると大量の調理道具が僕の洗い場へとやってくる。そして客も帰り始めて大量の皿も帰ってくる。こうなってくるともう僕の意識はなく、手だけが勝手に動いている状態だ。そして22時から22時30の間に仕事が終わる。ボロボロである。そんな感じだ。

仕事が終わると、重たい足を何とか動かして、夜の静かなバークストリートを帰る。

最近メルボルンは雨が多い。しかしここは雨も似合う街だ。雨上がりは街灯が反射して、空気が済んで特に美しい。メルボルンの街の美しさの要素は5つあると思っている。路面電車のトラムの線路、街路樹、空、道の広さ、街灯の心地良い明るさ。こんなボロボロの体でも街が美しいと感じる。メルボルンはそんな素敵な街である。

最後に、今週は月、火、水を朝10時30から夜22時まで、木は朝10時30から17時まで働いた。来週は週2日と半日だけである。1時間9ドル。技術もなく、英語も話せない。そんな人が海外で生活するのは本当に大変だ、と身にしみてわかった一週間であった。勉強になった。(5/13 end)