初心者のための登山とキャンプ入門

赤ちゃんと子供と登山。初のトレッキングシューズ② -富士見台登頂-

富士見台 キッドコンフォートにのるでっちゃん

3歳2ヶ月になる子どもに初めて登山用トレッキングシューズを履かせ、0歳6ヶ月になる赤ちゃんを初めてキッドコンフォートⅡ(背負子)に乗せて登山をしてみました。計画の一切をキタオくんに任せ登山口に辿り着いたわけですが、気がついたら食料もなし。とりあえず歩き始めたところいきなり目の前にあらわれた大展望に驚いたのでした。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

食料を買い忘れた

もうお昼ごはんの時間だ。朝ごはんもろくに食べずに出てきたのでお腹が空いた。

あれ?昼食はどうするの?気がつけば何も食料を持っていないし、着いたところは完全に山の中。幸いサクちゃん用に塩むすびが1つと、カエデちゃん用に離乳食があった。あとはラムネとかのおやつの残りが少し。

いやー・・・。これはいったい誰のせいなのだ。完全にキタオくんのせいな気がする。計画をちゃんとチェックしなかった私のせいだろうか。いや、キタオくんのせいでしょ。それなのにキタオくんは大切な食料であるおやつをボリボリ食べている。こらー食べるなー!授乳しなきゃいけない私だって我慢してるのに。「これは子どもたちのだ」と取り上げる。しかしキタオくんには、これからカエデちゃんを背負って歩いた後に運転するという重要な役割がある。間違って事故を起こしたら当人だけでは済まされない。食べ物を与えるべきかどうか迷うところではあったが、仕方がない。空腹で乗り切ってくれ。だってサクちゃんなんか完全に胃の中カラなんだから。

トレッキングシューズ

とりあえず今回試したい一つ、サクちゃんのトレッキングシューズを装着する。AKUのもので、サイズはヨーロッパで30アメリカで12と書いてある。ゴアテックスで内側が柔らかくとても履きやすそうだ。しっかり足首の上まであるのは良い。足首と滑りづらい靴底、とりあえず子ども用だったらその2点は大事かなぁと思う。

さくちゃんのトレッキングシューズ

お古で頂いた時に家で一度試し履きしてサイズは確認していたけど実際に履いてみるのは初めてだ。うん!バッチリだ。絶妙な締め具合でサクちゃんの肉厚な足に靴下と靴をセットする。まるでICIスポーツの店員の様に履かせながら、自分が足の傷みには用心深いタイプであることを思い、感謝した。私は足が痛いのはホントいやだ。痛い靴は履かない。「誰だってそうでしょう」と思うかもしれないが、たとえば身近な例で言うと、キタオくんはそうではない。「どんな靴でもいけちゃう」タイプなのだ。いつも履いているビジネスシューズは2000円~5000円。それを一度も磨かずに履きつぶすのが好きだ。たいていカカトの一方がすり減って、中に石が入ってコロコロと音がして、全体的には踏んづけられたふうにもなっていたりしている。そこまでボロボロになるまで履いた自分は物を大切にするエライ人だ、と思っているから始末が悪い。だから高い靴は選ばない。普段の運動靴でも靴ひもがユルユルでも靴下が靴の中にグチャグチャに入っていても靴下がノビノビで足の裏にシワがよっていても大丈夫らしい。だいたいどんな靴を履いても大丈夫なんだ。

いつも考えてしまう。靴のブランドや形にうるさいパターンと、なんでもいいっていうパターン。いったいどっちがいいんだろう。これは一事が万事で、靴だけでなく何にでも当てはまるることだから、つい、いろんなシーンで自然と考えてしまうのだ。うるさいけど気がつくし自分もきちんとやるという性質と、うるさくないけど気が付かないしできないという性質。最悪なのはうるさいし気がつくけど自分でやらないパターン。むずかしいねぇ。まぁ、答えが出たところでどうにもできないから遅いんだけど。

ともかく私は、たとえば初めて富士山に登る人がいたとしたら、その人にちょうどいい靴を見つけて、歩き方を見て痛くないように気を遣ったり、万が一靴ずれが出来そうだったら早めに対処したりというお世話をしてあげられるだろうと思う。そうやってこれまで後輩や一緒に山に行く人の足を気にかけてきたことになんとなく感謝した。サクちゃんはその後3回くらいこの登山靴で山に行ったけど一度も靴がどうのとかいった事はない。靴が合ってるからなら良いけど、ひょっとしてキタオくん派だったりして。パンツの前と後ろが反対なのもまったく気にならないみたいだし。

登り -突然あらわれた大展望-

神坂峠から富士見台山頂までは1.8km、コースタイムで40分らしい。どこまで歩けるだろうか。サクちゃんは私が新しく購入したレキのトレッキングポールを自分が使うんだと言いはり、奪っていった。なんとなく持ってきたハンチングをかぶったサクチャンはとってもサマになった。

11:50。わかりやすい道標があり、入った先は森のなかだった。右手に少し高い山をトラバースしているみたいな感じで歩いて行く。展望もなく人気もないが道はよく踏まれている。

富士見台の登山道の様子

歩いてすぐにサクちゃんは「これいらない」「これもいらない」と帽子とトレッキングポールを押し付けて去っていった。子供だからまぁ許すけど、それでも山ではちょっと腹立たしい。そしてなんの展望もない道を、サクチャンのトレッキングシューズを気にしつつ、買ったポールを試しつつ歩く。荷物が軽いからためか、ゆっくり歩いているせいか、トレッキングポールの意味が分からない。でもまぁサクチャンは、両脇が笹で覆われてその中にできている小道を歩くことはとても楽しそうだった。きっとトトロのメイの気分でいたと思う。

と、突然、木々の奥に一面笹の斜面が見えた。

すごく驚いた。こういう山だと思っていなかったから。笹の斜面に、立ち枯れの木がポツリポツリとある。

富士見台山頂付近

「おー!もしかして良いところなんじゃない?」そう期待しながらしばらく歩くと、写真のような一面笹で覆われた広々とした尾根が現れた。そして木がなくなって青い空が広がっている。おー!!いきなり別世界にやってきたようで楽しくなった。まるでアルプスみたいじゃないか。

と同時に、すごく不思議なことにたくさんの人が尾根上にいる。はて。確かに駐車場に車が数台あったけど、なんかそういう人数でもなさそうだ。そしてみんな、観光地のような格好をしている。たしかにここまで30分足らず、ハイヒールでも来れないことはない。でもなんかそんな苦労して歩いてきたようにも見えない。まるでエレベーターでこの真下を通る恵那山トンネルから突如上がってきたかのような、そんな雰囲気なのだ。

富士見台 笹の尾根道

風が吹くと水田の稲のように笹の尾根に波が走り、とても感動的だった。そんな中、狐につままれた感じで歩いて行く。いったい”富士見台”とはどこなのだ。あの広い鞍部のことだろうか。そしてこの沢山の人はどこからやってきたのだろうか。そしてみんな広い尾根上の登山道を一様に上を目指して進んでいる。あの奥にゴール的な何かがあるんだろうか。

道にはコバイケイソウ的な花も出てきた。そしてロープが張られ、ピンクのユリが顔を出した。”ササユリ”だ。しかし調べたら高山植物ではないらしいが、野生とは思えないキレイな色だ。

富士見台 ササユリ

このあたりからサクチャンがぐずり出した。お腹が減っているようだ。残ったお菓子の中にあった”クッピーラムネ”を10歩あるいては立ち止まって一粒食べ、また歩いては一粒食べて歩いた。「ラムネチャージ!」が面白くなってきたらしく次第に調子も出て来た。ちいさな一袋のクッピーラムネだが一粒づつ食べると意外にもたくさんのつぶが入っていて、それはだいぶ長いこと続いた。丸くて緩やかで広い尾根からはもうすぐゴールっぽいものがある雰囲気がしてきた。

さくちゃん

富士見台登頂 

そして13:30、富士見台の頂上についた。名前がなんか電車の駅とか町中の住所にありそうだから全然期待していなかったんだけど、道標もあってちゃんとした頂上っぽい。 1739mだ。写真を撮りながら、立ち止まりながらだったけど出発からは既に1時間40分も経っていた。急いでブルーシートを引いて、防寒着を着させた。風がけっこうある。といっても念のため持ってきておいたサクチャンのウィンドブレーカーしか無い。カエデちゃんには背負子に付属されていたレインカバーを巻き付ける。 私はこの場所に興味を持ち、いったいここはどこなのだと、重いガイドブックを開いた。

でっちゃん

なるほど!ここは中央アルプスの主脈の一部で、最も南にある恵那山の近くなのだ。そしてこの人々はどこから来たのかと言えば、私達が来た岐阜側と反対側の長野県側にあるヘブンスそのはらという高原の施設から来たのだ。ここにはロープウェイやリフトや遊歩道があり、冬にはスキー場になるという。そこからピストンバスが出て神坂峠の近くにある山小屋まで来て、そしてこのあたりを散策しているようだ。
私達はインターを降りてから普通の町を経て水田と林道を抜けてここに来たので全然知らなかったが、山の反対側はこんなに賑わっていたのだ。

なるほどー。

富士見台の山頂でおむすびを食べるさくちゃn

とりあえず大急ぎでサクちゃんにオニギリをあげる。コンビニでトイレを借りたお礼にと買ったオニギリだったけど、買っておいてよかった。そしてカエデちゃんにもビンの離乳食をあげた。装備不足だけど今回思いついて持ってきたブルーシートはとても役に立った。ハイハイをするカエデちゃん用にと思ったんだけど。やはり山では100均とかの薄いレジャーシートだと危なすぎる。

富士見台の山頂で昼食

食べるものも無いし風もあるのでさっさと撤収しよう。ちょうど山頂にいた頃には薄い雲が出て展望もイマイチぼんやりとしていた。目の前に見えるはずの恵那山も雲の中で見えない。大忙しの山頂だったけど、それでも服を着させてゴハンを食べさせて靴を履かせて写真を撮ったら、とっくに40分が経っていた。
さらにお腹がへった。そしてこの人達が来たルートはどこだろう。その先にはきっと売店があるはずだ。その道はどれなのだ。