初心者のための登山とキャンプ入門

赤ちゃんと子供と登山。初のトレッキングシューズ③ -神坂小屋と萬岳荘-

富士見台の山頂で集合写真

3歳2ヶ月になる子どもに初めて登山用トレッキングシューズを履かせ、0歳6ヶ月になる赤ちゃんを初めてキッドコンフォートⅡ(背負子)に乗せて登山をしてみました。空腹の中歩いた先には突然の大展望。風が吹く中早々に休憩を切り上げて下山を開始。キレイな避難小屋に夢をふくらませ、下山口で出会った山小屋で知ったこの山の深い歴史に満足の登山となりました。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

いいところみつけた!神坂小屋。

この登山道上は敷き詰められたように割れた小石がたくさん転がっていた。だから下るのに注意が必要だったけど足首まで固められているサクちゃんは手をつないでなかなか上手に下った。3ヶ月前に行った四国の劔山の時に比べると雲泥の差だ。登りは手をつながなくても大丈夫なんだけど、やっぱり下りは手をつながないと難しいらしい。まぁでも、上等上等!今日は吐いて汚してしまったため車に予備でおいてあった半ズボンを履いているから転ぶのには特に注意しないと。草で切れることもあるし日焼けや冷えもあるから、子供は絶対に長ズボンがいいよね。

お腹は空いていたけど、登る途中で通過した避難小屋が気になったのでチェックした見た。神坂小屋という名前だ。たぶん汚いんだろうと思って中を見たら、ピカピカでびっくり。

左が避難小屋で右奥がトイレ。

富士見台の神坂小屋

これが避難小屋内部。

神坂小屋の中の様子

これはトイレ。なんと水洗だ。

富士見台神坂小屋、水洗トイレ

私は驚いた。こんな、車でヒョイっと行ってまじめに歩けば40分のところにこんなにキレイな避難小屋があるなんて!関東でこんなところがあっただろうか、いや、絶対ない。こんなに展望が開けて、きっと星もめちゃくちゃキレイにちがいない。私はものすごい穴場を見つけた気がして、これはだれにも教えたくない、そんな気分だった。今度ぜったい来よう。しょっちゅう来よう。そう心に誓った。

富士見台、山頂付近の熊笹の斜面

萬岳荘で紅茶を注文する

鞍部まで下ると、左手に整った道が現れた。これだ、みんなはこっちから登ってきたんだ。道は広く整えられて水が通過するようなところはコンクリートで固められ、脇には水路もあった。段差も作られており、なるほど、これならどどんな人でも来られる。サクちゃんはタッタカ走って下っていた。

萬岳荘付近の歩きやすい登山道

すると、あっという間に小屋についた。 14:50。
本日の登山終了。行動時間3時間、休憩40分、歩行時間は2時間20分。とは言ってもダラダラ歩いて写真撮って落ちている石を拾ったり捨てたりという歩行時間だ。本来のコースタイムは1時間もない。

小屋は、名前を萬岳荘(ばんがくそう)という。売店があったのでとりあえず温かい飲み物を注文し菓子パンなんかを食べる。ところで、コーヒーや紅茶を注文する時、それがどういうクオリティなのか、どうやったらわかるんだろう。値段も一つの目安にはなるかもしれない。例えば、カップにポットからお湯が注がれて、その上にティーパックがポトンと入れられ、ソーサーにスティック砂糖とフレッシュミルクが乗っかって出てくるパターン。まぁいいでしょう。車が入れる山なら400円くらいか。もっといいのは紅茶用の縦長のプッシュするポットもしくはティーポットで来るパターン。お代わりできるしね、なんとなくティーパックよりはうれしい。コーヒーはどうだろう。インスタントコーヒーを溶かすパターン。これはあるだろうか。ドリップコーヒーの個装を一つ開けて、入れてくれるパターン。ドリップコーヒーの内容にもよるけど、これならまぁうれしい。まとめてコーヒーメーカーで作ったコーヒーを保温しておいて入れてくれるパターン。人が多い山小屋ならありそうだけど、いれたてかどうかで当たり外れが大きそうだ。コーヒー豆を都度挽くことはほとんどなさそうだけど、粉を一杯測ってドリップで入れてくれたら花マルだ。

私は初め温かいコーヒーが飲みたいと思った。どういう淹れ方をするのか気になったけど、それを伝えるのは難しいと思われた。でも聞いてみた。

「あのーコーヒーはどういう・・・」
「あったかいのも、甘いのもあるよ」

おばさんは確かそんなふうに答えた。視線の先にはブレンディのスティックのカフェオレ的なものが見えた。もしかしてそれは従業員の人が飲む分かも知れなかった。しかしドリップするグッズとかそういうものは積極的に見当たらなかった。私は一抹の不安を感じ躊躇した。壁側には喫茶店大好きな文化圏名古屋から近いからか、ややこだわり目のカップ&ソーサーが並んでいた。その中にたて型のティーポットを見つけた私は確信した。
”ここでは、紅茶だ”
奥から従業員のおじさんがやってきて、「どれどれ、教えてもらおうかねぇ」という感じでおばさんの指導のもと紅茶が準備された。私は外の木のテラスで待った。予想通りポットに入った紅茶と陶器のカップ&ソーサーが運ばれてきた。紅茶は普通においしかった。

萬岳荘(ばんがくそう)の紹介

長野県阿智村が経営する山小屋だ。ウッディな作りで、冬は冬季避難小屋として開放されている。

富士見台の萬岳荘

予約制で、予約がある時は管理人さんが来て対応する。素泊まりのみで自炊室がある。料金は大人一人3000円と安い。

富士見台 萬岳荘の料金表

なんと布団の料金も入っている。部屋は数部屋あり、相部屋で一部屋の定員15名だ。

萬岳荘の部屋の様子

自炊室があり、それとは別に食事の部屋がある。

萬岳荘の食事部屋

大きなテラスがあり、泊まらない人ものんびりできる。

富士見台 萬岳荘のテラス

私はここもさらに気に入った。というのも、標高が1600m近くあるのでとても涼しいのだ。時折ガスが目の前を横切って、高度感もある。さらに小屋の前にはニホンカモシカが来たり、良質な湧水もある。

常連のおじさんと富士見台の歴史

テラスでは常連のお客さんがいて、お話を聞いた。小柄な、技術者ふう、いや技術者だけど管理職でもあるといった落ち着いたおじさんだ。

距離にして私達とそう変わらないとこに住んでいるが、ここへはしょっちゅう来るのだという。単なる、”避暑”のために。そして顔なじみの管理人さんや新しいお客さんとおしゃべりして過ごす。ご家族がいるがおじさん一人で来るという。1泊2日、3000円という贅沢。夕飯は持ってきたレトルトカレーなんかを温めてちゃっちゃと食べる。なんとすばらしい過ごし方!現に、今まさにささやかな酒盛りが初められようとしていた。乾き物を持ち寄って、お昼からビールをちびちびと飲む。食事を作る必要が無いからだろうか、管理人さんもあくせくしている雰囲気はない。泊まりのお客さんも2人だし。
おじさんは基本は山歩きをする人だが、一切歩かずにただこうやって山で過ごすこともある。その発想におどろきと感動を覚えたのでした。豪華な別荘が無くてもこうやって大自然のなかで心豊かにすごせるんだなぁ。

他のお客さんもヒマと見えて、ハイハイするカエデちゃんを積極的にダッコしたりと可愛がってくれた。背負子を降りたカエデちゃんは喜んでウッドテラスを這いずりまわった。木がささくれて危ないところは多少あったものの、ノビノビと動けて嬉しそうだった。さくちゃんなんかは技術者のおじさんにプリンまでごちそうになっていた。私は話を聞くに連れここが大変すばらしい所に思え、気がつけば1時間半も経っていた。

ただ少し残念に感じたのは、ここらが一帯笹原なのは前に牧場があったからだ、ということだった。何か特別な地理的な理由でもあるのかと思ったけど、そういうことか。人為的にこうなったと知り、スキー場を作るために企業が森林伐採して拓けた、というようなネガティブな印象を受けた。はじめは。しかしこんな高山でなぜ、と不思議に思いつつネットでいろいろ調べてみるとそんな印象はすぐに消えた。

牛や馬を放した富士見台と当時の人々の写真からは、これまた趣きのある写真がたくさんあり「富士見台に歴史あり」と思わせた。遠い昔から人々がこの山に親しんできたことがわかる。なんといっても萬岳荘が初めに出来たのは昭和8年であり、昭和初期では飯田や伊那の小学生はこの山に集団登山していたそうである。そしてナントナント、昭和25年ごろには途中の郵便局(現・阿智郵便局)で鳩を受け取り、富士見台の山頂から鳩の足に手紙を巻きつけて飛ばすというイベントが流行って、楽しく行われていたというのだ。なんて平和な画。その後鳩はそれぞれの家に手紙を届けてくれるはずはなく、郵便局に戻り、郵便局員が電文を打ったということだ。私達は整った道路とピカピカの神坂小屋や萬岳荘をいきなり見たのだけど、こうやって昔から登られてまたそうやってずっと登ってきた人もいるんだなぁ。そういうのをHPで公開してくれている人が居てまたこの山の良さを知り親しみが沸いたのでした。

そんなわけで、トレッキングシューズも上々、いいところも発見ということで大満足なミニハイクでした。今後もここらへんの設備が維持されるよう、阿智村の野菜は積極的に買っていこうと決意しました。