初心者のための登山とキャンプ入門

子供と大雪山「旭岳」登山 -砂礫の急登に敗退-

旭岳 大雪山

前回、「お山には行きたくない」と宣言した7歳(小1)と4歳の子供と一緒に北海道の最高峰である大雪山系・旭岳(2291m)へチャレンジしてみました。とは言ってもロープウェイの駅が既に標高1610m。山頂までの高低差691m、距離2700m、コースタイムは登り2時間半。無理せず、山頂まで行けたらラッキーくらいの気持ちで、でも装備は万全で臨みました。しかし意外にも早く断念する結果となり、多くのことを学んだ登山となりました。

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旭岳登山の行程

7月2日(日)、冬期スケジュールを見てロープウェイは9時が始発であると勘違いして、9時に合わせて家を出た。ロープウェイ乗り場についた頃には曇り空だった。駐車場はこの季節、1回1000円。

旭岳ロープウェイ駅

ロープウェイは夏期は15分間隔で来る。機内に流れる紹介ビデオの映像からは、北アルプスの室堂によく似ている山の雰囲気が感じられた。10分間であっという間に到着。下を見下ろすと、背中に白い点々がついた鹿が見えました。

旭岳ロープウェイ

ロープウェイ到着駅(姿見駅)は標高1610m、五合目。こちらの駅については後述しています。

10時、曇り空の中歩きはじめました。7月2日の今日はまだ道のわきに残雪があり、道もぬかるんでいます。

旭岳ロープウェイ 姿見駅

ちなみに、下の写真は比較のために載せていますが、約1ヶ月後の8月7日に行ったときのものです。似たような場所から撮影したものですが、残雪もなく、さらに晴れていたのでだいぶ様子がちがいます。高山植物もまだ多く、しゃくなげは終わってチングルマもほぼ綿毛になっていましたが、こまくさなどは咲いていました。晴れていると噴気口からのガスもこんなにハッキリしてさらに見ごたえがあります。

8月初旬 姿見駅 旭岳

ここは、中央アルプスで言うなら「千畳敷」、立山で言うなら「室堂」のように、ここだけ景色を楽しみに来て周遊できるようになっていますが、どうもこの部分の特別な名前は無いらしい。”旭岳”とか”姿見の池周辺”などと呼んでいるようです。

1周1時間、1.7kmのコースで、外国人の観光客もたくさんいらっしゃいます。

周遊コースを歩くこと約25分で姿見の池展望台。ここには鐘があり、カラスがエサを狙っています。この時期はカラスの繁殖期で、とても凶暴らしい。下に見えるのはまだ雪を被っている姿見の池で、雪に埋まっていると単なる雪田にみえますね。その奥に見えるのが噴気孔。かなり近づくことが出来ます。
子供たちはすでに休憩ばかりして、そのたびにお菓子を食べています。

姿見の池展望台

ちなみにこちらも比較のために載せていますが、約1ヶ月後の8月7日に似たような場所から撮影したものです。雪がすっかり融けて、その名の通り姿を写すかのようなきれいな池です。晴れているとこんなに様子がちがうのですね。

姿見の池 8月初旬 旭岳

旭岳の石室。緊急時以外は宿泊禁止。2Fから出入り出来るようになっているようです。水場はなし。

旭岳石室

その代わりにトイレブースがあります。汚物袋回収場所は山の上にはありません。登山での携帯トイレについてはこちらのページでレビューしています。

旭岳石室 トイレブース

姿見の池展望台を過ぎると、道は周遊道路から外れて登山道になります。10:40。

このあたりはまだ傾斜も緩やかで、くずれない土の部分に足を乗せることができるので歩きやすいです。

旭岳登山道

登山道の左手の谷からはいくつもの噴気孔からシューっという音を立てて煙が出ています。硫黄の匂いがしますが、「けむりに包まれてゴホゴホ」というほどではありません。でも子供たちは初めて嗅ぐ匂いに「おならくさい、おならくさい」と文句タラタラです。

歩いたり座ったりの繰り返し。こんなに雄大で水蒸気が吹き出す様子を見ても、子供たち興奮せず。最近宇宙や地球の成り立ちに興味があるサクチャンに、地球の中の熱で吹き出しているんだよと伝えても、「地球のなかはくさい」と、不満を言うばかり。

旭岳 地獄谷

11:25、六合目、1820mを通過。この時すでに、スナックしか入っていないカエデちゃんのリュックはキタオくんの手に。

旭岳 六合目

11:50撮影。この頃になると「土と岩・石」というよりも火山の砂礫という感じで、乾いてズルズルと滑る斜面になってきます。富士山によく似ています。

「じゃりじゃり滑る~」と4歳のカエデちゃんの不満もさらに多くなってきました。

旭岳 六合目 

12:10七合目、1930m通過。

斜面はやや緩やかになったり急になったり。斜面が急な砂礫地帯は、たしかに歩きにくい。

旭岳 七合目

ここから登ること少し、おそらく2000mあたりで「もうイヤだ~帰りたい~」とカエデちゃんが泣くので戻ることにしました。すれ違う登山者のみなさんは「がんばってるねぇ」って優しく声を掛けてくれるけれども、泣いている子供をムリに登らせるのもナンセンスと思われ、他の登山者の目も少し気になったのも事実で、そもそも、これ以上登っても景色も何もないと思われました。

ちょっと先を行っていたキタオくんとサクチャンが降りてきて、「あと3分の1だってさ」と誰かに教えてもらった事を伝えてきましたが、4年間カエデちゃんを育ててきた私の観察に依ると、カエデちゃんはバテたとかそういうことよりも「坂道を登ることに飽きた、やめたい」というふうであり、目的やなにかモチベーションをアップしてくれるものがあれば体力的には行けただろうと思われます。

しかし下り始めるとすぐに、目の前は濃いガスに包まれた。12:25。天気がもっているうちに下ってしまおう。

大雪山 旭岳

地獄谷がある右手からは、真っ白で何も見えないガスの中からときおりシューっと、まるで飛行機が通り過ぎたような噴気音が聞こえてきた。

案の定、下り始めたカエデちゃんはめっちゃ元気だった。近くにある岩によじ登って遊んでいた。

大雪山 旭岳

姿見の池展望台から、反対側の周遊コースを経由してロープウェイの駅”姿見駅”に着いたのは14:10。たくさんの休憩を入れて約4時間の行動時間でした。

しかし売店でコーヒーとおはぎを買ってくつろいだ瞬間、ものすごい雨が降ってきました。登山靴、ザックカバー、レインウェアなど装備は十分に持っていたものの、この冷たい雨の中、あの砂礫の道を子供の手を引いて下って来ていたかも知れないと考えたら、あぁ良かったなと思った。登山では突然の雨なんて当たり前のことなんだけれども、雨に降られるような日にはこれまで子連れ登山をしてこなかったのでちょっとあせった。あと、久しぶりでトレッキングポールを忘れてきてしまったが、もしあったら下りは良かったかもしれないと思いました。

まとめると、ロープウェイ駅(姿見駅)1610mを10:15発、2000m付近を12:10で折り返し、14:10にロープウェイ駅に戻ってきました。行動時間4時間、標高差400mの登山でした。

敗退の原因など

今回の敗退の原因を推測してみたいと思います。

子供にペースを調節させるのは困難

4歳のカエデちゃんは、「ハート型の石」と言っては、赤ちゃんの頭くらいあるサイズの石を両手で持ち上げたり、片手で持てるものを持ち歩いたり、という動きを盛んにしていました。まるで散歩と同じふうに立ったりしゃがんだり岩に乗っかって歩いたりジャンプしたり…あらゆる体力を消耗する動きをしていました。

「カエデちゃん、わざわざ岩には乗らないで、土の上を歩いてごらん」、「ママの靴の跡を踏んでごらん」、「そっちのゴロゴロしたほうじゃなくて、こっちの石のない土の道を歩いてごらん」、「亀さんのようにゆっくりこうやって歩いてごらん」。
こんなふうに、うるさくならないように気をつけながら声掛けをしたけど、カエデちゃんはあくまで最後まで、自分の歩きたいように歩きました。というか、意味がわからなかったと思われます。「子供は体力があるから、もしかして、こんな動きをしながらでも登れるものなんだろうか」途中そんな考えも頭をかすめたのですが、やはり疲れるものは疲れるようです。

とにかくこの歳の子供には、「歩き方を教える」、「体力を温存しながら歩く」ということは難しいようでした。

崩れやすい急斜面は難しい

登山道のある尾根は火山のレキが積もる尾根で、植物が付いていないから踏み跡はそこらじゅうにあったし、そのため表面は安定もしていませんでした。石車が積み上がって、ザラザラと崩れて、大人でも普段登山をしていない人には歩きづらかったと思われます。

それが急傾斜となれば、足の短い子供にはなおさらだろうと思われ、火山の山は難しいという学びを得ました。

視界が無かったこと

時間を理解しない子供にとって、「あと○分」というのはよく理解できません。景色が何も見えていなかったから、この上り坂がどこまで続くのか、その終わりを知ることも出来ず、それではイヤになっても仕方ないだろうと思われました。もし視界が利いていれば、「あのてっぺんまで行くよ」と教えることが出来ます。まぁ、見えたら見えたで「遠い」とかなんだとか、ブツブツ文句を言ったかもしれないけど、とにかくガスった暗い雰囲気の中でテンションが下がってしまったことは確かだろうと思わます。

7歳と4歳の違い

実は、登山が何であるか、そのしんどさも理解している7歳のサクチャンがどちらかと言うと今回の登山を積極的にイヤがった、というかぶーたれたけども、実際はとても元気で、特に下りは楽しんでいました。元気があり余って、登ったり降りたり走ったりを繰り返していました。これまでの登山の経験があるからなのかどうなのか分からないけど、下りにくい道もとても早くタッタカタッタカとバランス良く、全く転びません。一方4歳のカエデちゃんは、登りも下りもとてもよく転びました。転びながら歩く、というふうに。7歳と4歳とではこんなにも違うものかとおどろいたのでした。

服装・装備について

今回から、「一人、ザック一つ」にしました。そしてそれぞれが1~2Lの水、レインウェア、フリースを持つこととしました。なので7歳のサクちゃんのためにモンベルで新しくザックを買ったのですが、私が買いたかったものとサクチャンが買いたかったものが異なり、結局「リュック」的なものを買いました。

しかし歩き出す前にカエデちゃんのリュックの中にあった水とレインウェアは北尾くんのザックに入れ、カエデちゃんは軽いポテトチップスのようなものだけを背負いましたが、途中からは全てをキタオくんが持ちました。大人は28Lと30Lのザックをそれぞれ背負いましたが、今回はサクチャンが自分の荷物を一部背負ったおかげでだいぶラクになりました。行動食や着替えやヘッドランプなどは大人が背負うというふうにしました。

7月の大雪山のウェアは、夏の北アルプス3000mと同じです。だからもちろん、防寒着も必要。今回は綿のロンTと綿の伸縮性のあるズボンを履かせました。晴れること無く涼しかったのでちょうど良かったけど、ズボンはともかくとして、汗を書いても冷えない速乾性で、かつかゆくないTシャツを買ってあげたいと思いました。

装備で言えば、あとは、熊ベルをあたらしく用意しました。

モンベル 熊ベル
モンベル(mont‐bell) トレッキングベル サイレント

これは、モンベルショップで売っていた中では一番音が大きく、響くもので、なおかつ移動中など鳴らないようにロックが出来るもの。

旭岳ロープウェイ駅 周辺あれこれ

ロープウェイは大人往復2900円、子供1450円、未就学児無料。6月以降の夏期でも日にちによって始発と終発の時間が異なるので上記リンクでご確認を。運行間隔は夏期は15分間隔で、この日は天気も悪いのでスッと乗れました。

ロープウェイを降りるとすぐに、「3分レクチャー」というものをやってくれます。大変にありがたいことです。

姿見駅
姿見駅 3分レクチャー

本日の、コース状況について。雪の状態やビューポイント、注意事項や天気などの情報が。

姿見駅 3分レクチャー

現在見られる高山植物、動物たちなども確認できます。

姿見駅 3分レクチャー

登山届も出せますが、用意していない人は名簿に記載することも出来ます。

姿見駅 登山届

長靴を300円でレンタルすることが出来ます。実際この日も道はぬかるんでいる箇所があり、雪解けの水が道の上を流れているところもあったので多くの人がレンタルをしていました。履いていた靴は自己責任で置いておく事が出来ます。

旭岳 姿見駅の装備レンタル

このロープウェイ駅が最後のトイレとなり、この先にはトイレは無いので携帯トイレを使用して下さいとの案内があります。持っていない場合はここにある売店で購入することが出来ます。

なお、北海道の山の中のトイレ、トイレブースの有無や回収ボックスについては「山のトイレを考える会」のご尽力により情報がまとめられいます。

姿見駅 携帯トイレ

ロープウェイ駅(姿見駅)を出てすぐ右に行くと売店とテーブルが有り、一息付くことが出来ます。おみやげも売っていますが、ロープウェイを降りた駅(山麓の駅)にはさらに大きな売店があり、さまざまな北海道土産を購入することができます。ここの姿見駅売店ではおはぎとホットコーヒーのセット400円を頂きましたが、美味しかったです。

姿見駅 売店

ロープウェイ駅(山麓の駅)を出ると、近くにビジターセンターがあります。こちらでは旭岳の自然に関する展示などを無料で見れるだけでなく、畳の臥床スペースがあり、座布団も有るので空いていればゴロリンと休むことも出来ます。

旭岳 ビジターセンター

また、このロープウェイ乗り場は、登山口としてだけではなく「旭岳温泉」として有名で、いくつかの宿泊施設もあります。ビジターセンターでは日帰り入浴が出来る温泉施設のリストも配布していました。なお、温泉施設のロビーではおいしい水が持ち帰れるところもあるのでカラの容器をもって温泉へ行きましょう。

旭岳温泉 日帰り入浴施設一覧

なお、ロープウェイの乗り場には夏期は普通車500円の有料駐車場がありますが、そのすぐ手前(ビジターセンター向かい)には無料の公営駐車場もあります。7月に行った時には気づきませんでしたが、8/7(月)の朝7時に行った時は8割埋方埋まっているといった感じでしたが、停めることが出来ました。通りすがりなのでチェックしてみると良いかと思います。
また、9月の紅葉のシーズンの連休中などは、無料でも有料であっても駐車場に入るまでが大渋滞とのことなのでご注意下さい。

旭岳 無料 駐車場