初心者のための登山とキャンプ入門

登山の料理「準備と片付けテクニック」

登山の料理 食器掃除のイラスト

登山で料理をつくる上で普段のやり方と大きく変わるのは、事前準備と後片付けだと思います。
一泊二日程度の登山なら何も知らなくても問題ないのですが、連泊となってくるとちょっとしたテクニックがあるかないかで快適な登山ができるかどうかが決まってきます。

ここではその準備や後片付けで使ういくつかのテクニックや工夫を紹介しています。

ゴミを減らす工夫の数々

山ではゴミは捨てられないので、一切のゴミを持ち帰ることになります。となると、事前にどれだけゴミを減らしていけるのかが重要になってきます。

外箱を捨て作り方はメモする

登山料理 外箱から出したレトルト

外箱は全て捨てます。詳しく書いてあれば作り方の部分だけ切り取ってセロテープで貼り付けてもいいですし、そんなに難しくなければ写真のように袋本体に油性ペンで書き写してもよいでしょう。

気をつけたいのは、調理は自分以外の誰かが担当することもある前提でわかりやすくしておいたほうが良いということです。
たまに、内袋に何も書いていない製品もありますので、必ず油性ペンで書くようにします。

パッケージの角を丸くする

パウチ食品やハムでも、ほとんどのものは角が尖っています。それをそのまま持って行くとビニールが破れ、新たなビニールゴミというゴミを出してしまいます。ハサミを使って、角を丸く切っておくだけでだいぶ違ってきます。

切りすぎて穴が開いてしまうことがたまにあるので、気をつけます。

お菓子の外袋は捨てひとつにまとめる

登山の行動食をジップロックにまとめる
ナッツやドライフルーツ、黒糖などをジップロックにまとめる

お菓子の外袋は一度開けてしまうとただのゴミになってしまう上に、かなりかさばります。
個装されているものは出してジップロックなどの袋に入れておけば透明で中身が見えやすいので残量の管理もしやすくなります。

ただし外袋を開けると中身が崩れやすいものはそのままにするなど適宜判断をします。

空気を抜く

これはかなりの裏技なのでそんなにおすすめしませんが、食糧のカサを減らすためにやっていた方法です。

例えば粉末のゼリーの素などは密封された袋の中にかなりの空気が入っています。
そこで、上の方に針で小さな穴を開けて空気を抜いた後、セロテープを貼って閉じます。

これは液体じゃない場合、中の物が本来潰れても良いもののの場合に使えます。ただし使わずに家に持ち帰った場合は念のため早めに使用すると良いと思います。

料理の事前準備

一回分ごとに分ける

食糧のゴミを省いたら、あとは使いやすいようにまとめます。何回も食事がある場合は、1回毎にまとめておくと便利です。レジ袋などに入れて表に「○日目 夜」などと油性ペンで書いておき、空気を抜いて小さくして縛ります。

肉の準備

肉のトレーなどももちろん捨てます。
生肉を現地で切ると菌が残ってしまうので、肉はすべて調理するサイズに切ってから、一回の料理分ごとにビニール袋に入れ、空気を抜きます。経験上、平たいよりもボール状にしたほうが溶けにくい気がします。

出発直前まで冷凍庫に入れておきますが、たまにこれを忘れて出発してしまうことがあります。フセンなどに「冷凍庫、肉」などと書いて、携帯電話など必ず朝手に取るものに貼っておくと良いでしょう。

保冷剤は溶けた後、単なる荷物になるので持って行きません。いずれ飲むペットボトルのお茶などを一つ冷凍しておいてそれを保冷剤代わりにします。

ペットボトルと冷凍された肉はザックの中で結露し周辺の物を濡らしますので、登山中に使う予定のタオルなどにくるんでその上でもう一度ビニール袋に入れると良いでしょう。

解けるように結ぼう

ビニール袋を解ける様に結ぶ手順1
圧縮して空気を抜いたらねじります
ビニール袋を解ける様に結ぶ手順2
一回ねじって輪を作ります
ビニール袋を解ける様に結ぶ手順3
残りのヒモ部分を通してきゅっとします

基本的にビニール袋は解けるように結びましょう。たとえお米の袋であっても、解けないように固く結んでしまうと開封するときに破らなければならず、即座にゴミになってしまいます。
しかし解けるように結んでおけば、その後はビニール袋として使えます。

登山中は何かとビニール袋が便利なのでとっておくようにすると良いでしょう。

荷物調整にも便利

パーティで何泊も登山をするとなると食糧の量も多くなります。一回分づつに分けておくと、登り始める前にメンバーに分担して持ってもらうことができます。

また、途中で疲れてしまったメンバーが居た場合、荷物をみんなで分担して軽くしてあげることは登山においてよくある行為ですが、その時にも私物ではなくて共有の食糧などを引き取って上げて別の人が持ったりすれば私物がごっちゃにならなくて便利です。

食器や鍋の後片付けの方法

基本的に山で食器や鍋は洗いませんし、余った汁や残飯を捨てるところもありません。
どうするのかというと、ぬぐってキレイにし、どうしても食べられなければ持ち帰るしかありません。

登山料理 棒ラーメン

作るとき、配るとき

作るときは作り過ぎないように気をつける必要があります。
特に汁です。塩分取り過ぎはノドも乾くので、粉末スープなどで調整できるなら少し少なめ、薄めに作るのもよいでしょう。

そして配るときも重要です。
必ずお代わりのリクエストが来るような人気料理だったら良いのですが、ごちそうさまをした後に鍋底に冷たくなった煮物の汁だけが残っていた場合、いまさらそれだけ飲むのは気乗りしない、という空気になってしまうともう厄介です。ティッシュに含ませて持ち帰るしかありません。

そうならないように、各自の食器に配る段階でなるべく鍋をカラにすよるよう、特に汁を残さないように気をつけましょう。

食器をキレイにする方法

登山料理 片付け

クッカーも食器も、サラっとしたものだったら、そのままティッシュで拭き取ります。その時はトイレットペーパーよりもポケットティッシュのほうが水に解けづらくて良いです。

また、トイレットペーパーだと際限なく使ってしまう人もいるので、たとえば1食器1枚程度を配ってキレイに拭うと良いと思います。

カレー風味コンソメスープのススメ

カレーのようにドロドロしたものだと、ティッシュが何枚あっても拭いきれません。 そんな時は、カレーをよそい終わった空のクッカーに固形コンソメと水を入れます。アクセントに黒コショウを入れても美味しいです。
火にかけながらお玉やクッカーの壁についたルウをお湯に溶かしこむように掃除します。

温まったら各自のカレーを食べた食器に配り、スプーンを使って自分の食器のルウを落としながらそれを飲み干します。
温かいうちに飲めればとても美味しくいただけ、その後はティッシュ1枚で食器がキレイになります。

そのままにする、もあり

米を炊いた後のクッカーはキレイにしようと思ってもならないことがあります。 その時は、次の朝ごはんのうどんなどをそのクッカーで作ってまとめてキレイにする、という手もあります。
米は取りづらいですが、あまり味に影響しないので意外と気になりません。

お湯で仕上げ

さらにキレイにしたい人が良くやる方法は、お湯で再度すすぐことです。食器にお湯大さじ1~2杯くらいを入れ、食器の中で回して食器とスプーンなどを洗います。そしてそれを一気に飲み干します。

または直接コーヒーなどを飲みつつキレイにする、という方法もあります。

ゴミの処理の仕方

登山でてたゴミをセロテープでまとめる
セロテープを使いゴミを小さくする方法

事前の準備でいくらゴミを減らしても、食品が入っていたパウチ、野菜の皮、ティッシュ、空き缶、行動食の包み紙などはどうしても出てしまいます。

これも、持っていてイヤじゃないものにするためには工夫が必要です。

空気を入れない、がポイント

一番いけないのは、大きなレジ袋などに何もかもポイポイと入れていくことです。穴が開いたら汁っぽいものからは汁が垂れ、ザックの中は臭くなってしまいます。

テントに泊まっていると食事の後はたいていヒマになります。その空き時間に 丁寧にゴミを処理することがポイントです。

ゴミを小さくするポイント

  1. コンビニのレジ袋のように大きな袋ではなく、柿の種の小袋のような小さく丈夫な袋を選ぶ。
  2. 角からゴミをグイグイと、ギュウギュウに詰め込んでいく。
  3. 食器を拭いたティッシュゴミが水っぽければ、日中の行動中に使ったティッシュゴミなどをここに合わせて水が垂れないようにする。
  4. 全部入れたらセロテープでぐるぐる巻きにし、固いカタマリにする。
  5. 何回も食事があるなら、予めジップロックなどをゴミ袋として用意しこのカタマリを入れていく。

こうすることでゴミ袋の中に空気も入らず、またカサもかなり小さくすることができます。すると不思議なことにほとんど臭いません。

ただ、空き缶だけはやはり面倒です。
例えばイワシの煮物などをそのままビニールに入れると汁っぽいし臭いので、やはり中にギュウギュウとティッシュゴミなどを詰め込んでその上から不要なビニール袋とセロテープでグルグルまきにします。
そして家に戻ってから、それを解体しなければいけないという手間があります。

なので、なるべくいろんな缶詰商品がパウチになってくれるといいなあと思っています。