初心者のための登山とキャンプ入門

初めての登山② ~登山の計画~

登山の計画を立てる人イラスト

登りたい山が決まったら、今度は「山と高原地図」などの登山地図を使用して本格的に登山の計画をします。登山のコースから始まり、食事、アクセス方法を考え、最終的には登山計画書を作成します。

石井スポーツ 登山学校

登山の計画を立てる

登山の計画はゆとりのあるものにすることが大切です。日が暮れるぎりぎりに疲れきって下山をするよりも、余力を残して早めの時間に下山しましょう。帰りは温泉に入ったり美味しいご飯を食べたり、ゆったりとし楽しい意計画を立てることが、初めての登山を成功させる秘訣です。

登山地図を買う 「山と高原地図」

山と高原地図 奥多摩 2016

登山地図の定番「山と高原地図」。日本全国のエリアから選べます。

ガイドブックから登りたい山を見つけたら、次はより詳しい情報を持った「登山地図」を入手しましょう。ガイドブックの地図でも充分では?と思われるかも知れませんがそんな事はありません。ガイドブックの地図は、地図の範囲が基本的に狭いので登山にはおすすめできないのです。

例えばガイドブックの地図を使い、もし道を間違いその地図のエリアとは違う場所に行ってしまうと、自分の現在地を探すことが困難になります。そしてその先に避難できる山小屋があるかどうか、町に下りる道があるかどうか、それすらもわかりません。またガイドブックの簡単な地図の場合、いくつかの登山道を省いているかもしれません。間違えて地図上に無い道を曲がってしまうことも考えられます。

登山地図(山と高原地図にはガイドブックに乗っている地図をより広く詳細にし、そしてより多くの情報が詰め込まれています。この地図一枚の中に登山に必要な情報が全て詰められている、と言っても嘘ではありません。より安全な計画を立てるためにもぜひ登山地図を購入しましょう。

登山地図(山と高原地図)の内容

  1. 標高
  2. コースタイム(おおよその歩行時間)
  3. 山小屋の位置と名称
  4. テント場の位置
  5. 水場の位置
  6. 登山道、山、登山道上のポイントの名称
  7. 危険箇所やコースの特徴
  8. 山小屋の電話番号や営業時間
  9. 交通機関の電話番号

などなど、地図だけではなく多彩な情報が詰められているのが登山地図です。もちろんガイドブックの地図に比べ地図のエリアも広く鮮明に描かれ、また標高ごとに山が色分けされているので、より詳しく自分の居場所や山の様子を知ることができます。また山と高原地図には小冊子がついています。その小冊子には山のガイドから気象情報や動植物、様々な登山コースガイドなどが用意されているので大変参考になります。

登山地図の内容の説明

標高

標高は登山地図上で、「等高線」と言うものであらわされています。うねうねとした細かい線を等高線と言いますが、5万分の1の縮尺図の場合だと、線と線の間隔は標高20メートルぶん。つまり等高線から等高線に行く間に標高20メートル登ったり降りたりしていることになります。また2万5千分の1の縮尺図の場合には、等高線の間隔は10メートルになります。

文章で説明するとなんだか難しそうな気もしますが、実際に地図を見てしまえばとても簡単なことがわかると思います。 この等高線を調べれば出発地からゴールまでの標高差を知ることができ、そして標高差がわかるようになれば自分の体力にあったコースを選ぶことができるのです。しかし等高線でいちいち標高を調べなくても、地図にはポイントポイントで標高も載っています。そして標高ごとに地図が色分けもされているので、パっと見ただけで山の全体像を掴むことができます。

コースタイム

コースタイムとは、あるポイントからポイントまでのおおよその歩行時間の事を言い、地図上の登山道の上や下に書かれています。
しかしこのコースタイムは一体誰を参考としたのでしょうか?このコースタイムをどの程度信じて良いのかわからないと思いますが、山と高原地図にはコースタイムの基準が記載されているので参考にしてみましょう。

コースタイムの基準
  1. 40歳~50歳の登山経験者
  2. 2~5名のパーティー
  3. 山小屋利用を前提とした装備
  4. 夏山の晴天時

以上が山と高原地図のコースタイムの基準になります。しかし1に書いてある通り、コースタイムは登山経験者の歩行時間を参考にしています。ですので初めて登山をする方は記載されているコースタイムから、約1.5倍余分に時間がかかると考えて計画を立てた方が良いでしょう。AからBまでのコースタイムが2時間と書かれているのなら、3時間かかると考える方が安全です。歩くスピードの遅さ、休憩時間、トラブルがあった時の事を考えると、初めての登山の場合には充分時間に余裕のある計画を立てることが大事です。

山小屋の位置と名称

山小屋とは山にある簡易宿泊・休憩施設の事を言います。地図上に家の記号があるのが山小屋です。山小屋の詳しい説明は他のページでします。

テント場の位置

テント場とはテントを設営することが出来る場所のことです。ほとんどの場合山小屋の近くにあり、地図上では▲のような記号であらわされています。

水場の位置

水場とは給水できる場所のことを言います。山と高原地図には「水」と書いた水滴の記号であらわされています。地図を見ながら自分でコースを考える場合には、途中で水が無くなって困らない様しっかりと水場を確認しておかなければなりません。
また山小屋には「水」のマークが無い場合も多いのですが、多くの場合山小屋で販売している水を購入することができます。山と高原地図には山小屋の給水施設の情報もありますし、不安な場合にはインターネットなどで事前に確認すると良いでしょう。

登山道、山、登山道上のポイントの名称

これは説明する必要もないと思いますが、地図上には山の名前、尾根や稜線の名前、登山道の名前、また特徴的な場所の名前などが記載されています。

危険箇所やコースの特徴

事故が多い場所や注意をしなければならない場所には「危」の印、迷いやすい登山道には「迷」などの印があります。また「クサリ」や「岩クズの道」、「滑りやすい」など、登山道上の特徴も記載されています。

山小屋の電話番号や営業時間・交通機関の電話番号

山と高原地図には宿泊施設の電話番号や営業時間、また電車やバス、駅などの電話番号も記載されています。登山前に一度どのような施設があるか確認しておくと良いでしょう。

以上長々と登山地図の説明をしてしましましたが、登山地図にたくさんの情報が記載されているのがわかってもらえたと思います。登山の計画にも、登山中の地図としても必ず役立ちますので、まず一度購入してみると良いでしょう。

登山のコースを考える

登りたい山が決まり地図を購入したら、次は登山口から山頂までのコースを考えてみましょう。初めての登山ではガイドブックのおすすめのコースなどを歩くことになると思いますが、登山に慣れ自分なりのコースを考えれるようになると、いっそう登山は楽しさを増します。

登山コースを選ぶ

目的の山の山頂へと向かう登山道は1本でしょうか?2本でしょうか?それとも沢山あるでしょうか。途中で枝分かれしている場合もあるかも知れません。登山道が一本なら難しく考える必要はありませんが、複数の登山道がある場合はどの登山道を通るか決めなければなりません。ここでは登山道を選ぶ際の注意点をあげてみようと思います。

登山コースを選ぶ際の注意点

  • 登山口から山頂までの標高差がありすぎないか
  • コースタイムが長すぎないか(長くても往復歩行時間5時間以内)
  • その登山道に危険箇所がないか
  • 水はちゃんと確保できるか

などです。
初めての登山の場合や体力に自信がない人は標高差が少なく、コースタイムが短い登山道を。また危険箇所や水場の有無を確認するのも大事なことです。山頂への登山道が複数ある場合にはこれらの注意点を踏まえながらコースを選ぶようにしましょう。また往路と復路を別のコースにしたいと言う人もいるかもしれませんが、まず最初の登山では安全のため往路と復路は同じコースにした方が良いでしょう。

エスケープルート

エスケープルートとは、怪我やバテてしまったときに、行程をショートカットして途中から下山できるルートのことです。エスケープルートがある登山コースを選べば、万が一の時でも安心です。

行程時間を算出する

コースが決まったらコースタイムを足して全体の行動時間を作ります。初めての登山の場合には山と高原地図のコースタイムに1.5倍ほどかけ、それに1時間に10分ほどの休憩と、昼食の1時間、山頂でのんびりする時間など足しておおよその合計時間を算出しておきます。登山コースにいくつも案がある場合はそれぞれのコースの行動時間を作り、その中でもなるべく簡単そうなコースや登山者が多いコース、アクセスをしやすいコースを選ぶと良いと思います。

また初めての登山ではどのようなコースかわからず大変不安だと思います。そんな時はインターネットで目的の山やコースを検索してみましょう。沢山の方が写真付きの日記などを書いているので、とても参考になると思います。

アクセス方法を決める

登山コースが決まったら、次はその登山口までどのように行くかを考えましょう。登山口まで行く手段がないとせっかく良いコースが決まってもたどり着けなければ変更しなければなりません。登山口のアクセス方法には車、バス、タクシーなどがあり、登山口と下山口が異なるコースの場合には、運転代行を利用する方法もあります。

車の場合

車で登山口に行く予定の場合は、事前に駐車場台数の確認をすると良いでしょう。駐車場が一杯になると路肩に車を停めることができる駐車場もありますので、インターネットなどで検索して駐車場の状況などを調べておくと良いでしょう。また駐車場に車を停められない事も考えられるので、その場合の予備の駐車場や、そこからのアクセス方法などを考えておくと安心です。

バスの場合

近くの駅から登山口まで「登山バス」が運行していることもあります。山と高原地図にも情報が掲載されています。バスを利用する際の注意点は休日ダイヤや季節のダイヤです。登山客が少ない時期はバスの本数が少ない場合もありますので、しっかりと確認しておきましょう。そして一番注意したいのが帰りのバスの時間。帰りは最終時刻がかなり早い場合もあります。バスの発車時刻にあわせて急いで下山をすると危険ですので、ぎりぎりのようだったらタクシーを利用した方が安全です。

タクシーの場合

車もなく、登山口行きのバスがない時にはタクシーを利用するのもいいでしょう。事前に登山地図に掲載されているタクシー会社の情報やインターネットの情報を利用し、乗車場所から登山口までの料金と送迎方法を確認しておくと良いでしょう。またタクシーの乗車人数が多ければ登山バスよりも安く済む場合があります。

食事の計画をする

登山コースやアクセス方法が決まったら、早めに食事の計画も立てておきましょう。
山の食事とゴミの片付け・まとめ方 のページにも書いていますが、登山の食事には、コンビニごはんを食べる、レトルトやドライフーズを作って食べる、自炊をする、山小屋の食事をする、などのパターンがあります。

登山中の食事のパターン

コンビニごはんを食べる

やっぱり一番簡単なのがコンビニでおにぎりやパンを買って食べること。事前に購入する場所を決めておきましょう。

レトルト食品やドライフーズを食べる

山中で食べる暖かいごはんは最高に美味しいです。お湯をわかすために、コッヘル、ストーブ、燃料などの登山用品が必要になります。
登山の料理道具と食事道具 で詳しく説明しています。

自炊をする

人数が多い登山ではみんなでワイワイつくる食事も楽しいです。基本的に必要な登山用品は上記の3つですが、それ以外にも食材を持っていかなければならないのと、雨の日や風の強い日に屋外で調理するのはなかなか大変です。

山小屋で食事をする

宿泊者以外の人にも食事を提供している山小屋もあります。山小屋で食事をとれば荷物を減らすことができるのでおすすめです。食事を提供している山小屋かどうか、事前に確認しておきましょう。

お腹が減る前にご飯を食べる

多くの人は頂上でごはんを食べる計画にするかも知れませんが、お腹がすきすぎる前に食事をとるのが基本です。お腹がすいているのに無理して頂上に行くよりも、空腹を感じたらご飯を食べるようにしましょう。無理して頂上に行っても体調が悪くなり、せっかくのご飯が食べられなくなることもあります。

登山計画書をつくる

登山計画書とは、登山者が万が一事故にあってしまった場合、第三者が確実にパーティの足どりを追えるよう、登山コースやメンバーなどが記入された計画書のことです。この計画書を登山前に、各メンバーの緊急連絡先(遭難時に連絡する相手)、所轄の県警担当部署に提出します。登山口に提出所が設けられている場合には、県警へ郵送する代わりに登山口で提出します。またもう一通用意して登山に持参します。

もし、登山計画書をつくらず山にでかけて遭難してしまった場合、目的の山がわかっていても警察の救助隊がどこを捜索したらよいのかわかりません。1つの山に登るのにも沢山のコースがあるため、全部のルートを捜索するのは不可能に近いことなのです。
登山計画書を提出することで、遭難時の捜索の有力な手がかりになります。ぜひ実行して万が一の場合に備えて下さい。

登山計画書の記入項目

  • 山域、山名
  • 登山期日
  • 登山形態(日帰り、小屋泊、テント泊など)
  • メンバー全員の個人情報
  • メンバーの担当(リーダーなど)
  • メンバー全員の緊急連絡先
  • 日別の行動予定
  • 緊急時の避難コース
  • 装備の内容
  • 食料の量(行動食、予備食も)
  • 携帯電話の番号

登山計画書の提出先

  • 各メンバーの緊急連絡先(遭難時に連絡する相手)
  • 所轄の県警担当部署、または登山口の提出場所

また県によっては、登山計画書を郵送以外に、メールやインターネット、ファックスでも受け付けています。