初心者のための登山とキャンプ入門

高尾山でデート登山!?

一丁平の展望台からの眺望

僕はSNSで、しょうもない名でしょうもない内容の、そして全く活動していない登山のコミュニティを持っているのだけれど、数日前、そのコミュニティを見た女性から僕にメッセージが来た。

「かっこいいな~!と思ってメッセージをしました。」との事。

嬉しいけれどすごく恥ずかしい(と言うか、あのコミュニティを見てメッセージをくれるなんて、すごく変わった人だ)。
あんな恥ずかしいコミュニティは潰しておくべきだったか、と思いながらも彼女とのメッセージのやり取りはとんとん拍子で進み、そしてめでたく登山を一緒にすることとなった。

これはデートだろうか。いや、ただのペア登山か。いやいや、男子と女子がお出かけをすると言う行為は、あるいはデートと言っても良いかもしれない。
僕とてらぴー(彼女のあだ名)とのモチベーションの差はかなりの差があるだろうけど、でも良いんだ。女子とデートをするなんて2,3年振りじゃないか。全力で楽しもう。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

てらぴーと待ち合わせ

朝9時に東京駅でてらぴーと待ち合わせ。

彼女は静岡県は裾野から、こんな東京くんだりまで新幹線で来てくれる。てらぴーには本当に申し訳ないと思ったけれど、日帰りで丹沢を登るには僕の家からだと少し無理があったし、デートとなるとやっぱりホームが安心。高尾山ならそこそこ詳しいのでエスコートも出来るし、茶屋もトイレもあるので初心者の女の子でも安心して登山ができることだろう。って事で無理を言って今回は高尾山にしてもらった。

ドキドキの待ち合わせだったけれど、僕らは無事に会うことができた。喉が干物みたいにカラカラだった。「まずはお茶でもしましょうよ」とか、「山頂用に美味しいスイーツでも買って行きましょう」なんてシャレたセリフをいくつか用意していたけれど、そんなものはもちろん口からでることはなかった。「それじゃあ行きましょうか」と言うだけでせいいっぱいだった。

山デートなら高尾山

東京駅からは中央特快高尾行きに乗る。
東京駅は始発駅なので座る事ができた。僕らは仲良く隣同士に座り、地図を広げて今日登るコースについて話し合った。

そう、例えば今回の登山がデートとするならば、高尾山は非常にそれに適している。デート登山に向いた山と言えよう。まあそんな事はした事がないんだけども。
と言うのもまずはコースが多い事。表参道で薬王院を見て歩く「1号路」、沢沿いを歩く「6号路」、尾根歩きの「稲荷山コース」、と山頂に続くコースが3つもある。それぞれ趣が違うので好みに合わせてコースを選ぶ事もできるし、体力に不安があるならケーブルカーやリフトを使っても良い。

しかし上記3コースだけではなく、高尾山の山頂へ行くにはそれ以外の方法もある。バス停「蛇滝口」からは行ノ沢沿いを登るコースもあるし、「日影」からは日影沢沿いに登る「日影沢林道」や「いろはの森コース」なんてのもある。高尾山の山頂までは直接行けないが、城山を経由すれば大垂水峠や相模湖方面からも高尾山に登る事ができる。色々な方面から登れるのが高尾山の魅力と言えるかもしれない。

なので「日曜日で人が多いから静かなところから登りたい」ってなったら、高尾山口駅からの主要3コースを避け、城山方面から高尾山の山頂へ、ってことも出来るのです。

デートにはトイレも重要

一丁平のトイレ。
一丁平のきれいなトイレ。

それとトイレの存在も忘れてはいけない。デートをするにはまずトイレの確保を。ということで高尾山にはトイレがたくさんある。たくさん、と言っても他の山に比べてと言うこと。ざっとここで高尾山に存在するトイレを紹介すると

  • 京王線高尾山口駅
  • 山麓駅(リフト乗り場)
  • 高尾山駅(ケーブルカーの終着駅)
  • 薬王院
  • 高尾山の山頂

とまあこんな感じで各所にトイレが設置されている。これは高尾山口駅から1号路を使って登山をした場合で、それ以外にも稲荷山コースの「稲荷山展望台」にもトイレがあるし、高尾山の先の「もみじ台」「一丁平」「城山」にもトイレがあるし、さらにその先の「景信山」にも「陣馬山」にもトイレがある。とにかくトイレが多いので高尾山は登山初心者に、そして女性に優しい山なのだ。
そうそう、高尾山の山頂のトイレは仮設トイレだが、現在お洒落なトイレを建設中なので近々利用できそうだ。

話が逸れてしまった。
そんなこんなで僕らは、日影バス停から城山へ登るバリエーションルートを選んだ。そして城山の山頂から高尾山へ、と言うコースだ。
ちなみにこのバリエーションルート、昭文社の「山と高原地図」には点線で表されているコース。バリエーションの定義がわからないけれど、わかりづらい、迷いやすい、と言う事なのだろうと思う。そう言うわけでバリエーションルートを利用する登山者は少なく、基本的に登山道も通常のものに比べワイルド。
この日影バス停からのバリエーションルートは、踏み跡もしっかりとしているので迷う事はないと思うけど、それでもちゃんとした地図とコンパスを持っている登山者、そしてある程度登山の経験がある人にはおすすめ。

またまた話が逸れてしまったが、人が少ないコース、面白いコースを登りたいと言う希望がてらぴーにはあったので、そう言う訳で、僕らはバリエーションルートを選んだ。もちろん僕も人がいなくて面白いコースが大好き。

日影沢からのバリエーションルート

高尾駅北口から小仏行きのバスに乗る。「日影」で下車。料金は220円くらい。日影のバス停から沢沿いにしばらく進むと登山道の入り口があり、沢にかかる小さな橋を越えると右手に駐車場がある。この道をしばらく道なりに進むと「いろはの森コース」と「日影沢林道」に別れる。しかし僕らの登るバリエーションルートは5分ほど歩いて右に折れ沢を越える。電柱5と6の間から、飛び石伝いに日影沢を越える。そこがバリエーションルートの登山口だ。

登山開始。いや、デート登山開始。

日影沢 バリエーションルートの登山口
バリエーションルートの入り口の様子。飛び石伝いに日影沢を渡る。

さて飛び石。前回よりも沢の水量が多くて少しびびる。女子の前で初っ端からドボンはさすがに避けたい。ここでドボンをしてしまったらてらぴーはどう思うだろうか。まあ良いか、水に落ちたら今後はかわいいキャラで行こう、なんて思いながら、プルプルしながら飛び石をなんとかクリアした。僕が渡り終えると、てらぴーはぴょんぴょんと軽々飛び石をクリアしていた。

登山靴のね、足首がね、ガッチガチだからね、岩場が難しいんだよね、って言い訳をしたかったけど見苦しいのでやめておいた。まあ気をとりなおして登山を再開。

日影沢のバリエーションルートの様子

このバリエーションルート、尾根に取り付くまでぐるっとまわらされる。その間の登山道は道幅も狭くて植物も近くて野趣に溢れている。僕はこの感じがすごい好きなんだけど、てらぴーも喜んでいてくれて嬉しい。登山の好みがあうというのは本当に嬉しいことだ。映画や音楽の好みがあうってのと感覚は近いと思う。

そして尾根に取り付くと登山道は急勾配になる。多くの山がそうであるように、やはり登り始めが急勾配なのだ。非常に。
そんな急勾配を、先頭を行くてらぴーの足元を見ながら僕は登っていたが、てらぴーの足運びは見事だった。大き過ぎない歩幅で丁寧に登っていた。そのままマネしたくなるような、安心感のある登り方だった。

いいねえ、なんて思いながら登っていたけども、僕は相変わらず自分の足が心配だった。かかとの痛みだ。ここ1ヶ月くらいで3、4回は登山をしているが、毎回かかとの痛みに悩まされていた。靴擦れ、と言うよりはカカトが突っ張りすぎて痛くなる。インソールを変えたり靴紐の結び方を変えたりソックスを変えたり、雑念を振り払ってみたり、試行錯誤をしながら登山を続けていたのだが、結局どれも最後にはかかとが痛くなった。そして万策尽きた僕は先日ゴローに行きカカトを広げて(正しい表現かわからないが)もらったのだ。ついでに甲の部分もハンマーで叩いて薄くしてもらった。

日影沢バリエーションルートの様子2

そう言うわけで僕はこの急勾配に緊張していたのだが、結果を言うと前より遥かに良い。多少つっぱって危ないな、と言う感じはするものの、このバリエーションルートの急勾配を終えてもカカトが痛くなる事はなかった。前回は20分も登れば汗だくになるくらいカカトが痛かったが、今回はそれがなかった。ゴローで調節してもらった成果が充分にでた。素晴らしい。

まあそんなこんなで、どんなこんなかわからないけれど、我々は城山の山頂に到着した。もめごとも怪我も無く、にこやかに。楽しげに。

城山でランチ、そして高尾山へ

バリエーションルートでは2人くらいにしか会わなかったけれど、やっぱり城山の山頂は多くの人で賑わっていた。ハイキンググループのじいさんばあさん、富士登山に向けて登山靴を慣らしに来たと思われる若者たち、とりあえず来ちゃったスニーカーの人、など高尾山の山頂と同じくらいの人が城山にはいた。高尾山と少し違うのは、やっぱり城山は年齢層が高く、そして登山の服装をした人が多い。高尾山の山頂は私服の人がほとんどなのだ。

僕らは早速ランチの準備に取り掛かった。デートなら食事は手作りだろう。野菜を切ったり肉を焼いたりすれば盛り上がる事うけあい、と言っても今回はご飯を炊いてマーボー春雨を作るだけなんだけど。
なんで簡単なマーボー春雨かっていうと、それは女子の前で失敗したくなかったから。なので誰でも簡単に、そして比較的美味しいマーボー春雨を選んだ。しかしご飯だけは失敗してはならない。
そうそう、城山でストーブを使うには城山茶屋を利用する必要がある。なので僕らはなめこ汁を注文する事にした。

ちなみに僕が必死にこだわったご飯、炊き加減は良かったもののデキは60点。風は強くなかったけど外気温が低かったのが原因であろう。てらぴーに自信作の美味しいご飯を食べさせてあげたかったが残念。一方マーボー春雨は美味しかったけれど、まあこれは誰でも美味しく作る事ができる。

納得はいっていないものの、ご飯となめこ汁とマーボー春雨、山ではなかなかの贅沢ランチとなったと思う。次回は美味しい100点のご飯をてらぴーに食べさせてあげよう。

城山でランチご飯となめこ汁とマーボー春雨

食事の途中、空が真っ白になり雨が降りだした。そして気温もぐんと下がり、僕らはジャケットやカッパを着込んだ。
こんな時のために余分に防寒着を持って来ていのだが、てらぴーの装備は万全だった。残念、でも素晴らしいこと。

ランチが終わって城山を発ったのは15時頃だったろうか。楽しい時間は過ぎるのが早い。僕らは高尾山に向けぼちぼちと歩き始めた。

先程までの雨がなかったかの様に空は晴れ、そして空気も澄んで暖くなった。辺りがキラキラ光って緑も本気でその色を見せてくれた。そんなのが応援してくれたおかげで僕らはどんどん仲良くなった。一緒に歌を歌って歩いたりした。

城山から高尾山への登山道
高尾山山頂付近

本当に新緑がきれい。ふわふわとした気分で一丁平を過ぎ、もみじ台を過ぎ、そして高尾山の山頂へと到着した。城山を発ってから1時間だ。

高尾山の山頂は16時だと言うのにまだまだたくさんの人がいた。僕らはアイスを食べくつろいだ。茶屋が店じまいの様で、ガラガラとシャッターを降ろす音が聞こえた。太陽は西に傾き影が長くなった。そろそろ下山の時間だ。

1号路のバリエーションで冒険

下山は1号路を使って金毘羅台まで行き、それから高尾山線と言うマイナーな登山道を使うことにした。この高尾山線は、高尾山口駅と高尾駅の間の中途半端なところへ降りてしまうが、人も少なくややワイルドな登山道で気に入っている。

1号路をてくてくと下る。薬王院を過ぎ女坂を過ぎる。
すると、どういう理由だったか忘れてしまったが、僕らは登山道の脇の道を歩く事にした。”脇の道”と言う言い方はすこし変だけど、1号路は車が通れる様に舗装されている道で、山の稜線の少し下を通っている。なので1号路の横にはわずかな山の稜線部分が残されている。そこを僕らは歩く事にしたのだ。

八十八大師像
なんとなく八十八大師像

という事で僕らはわずかながらのバリエーションルートを楽しんだ。

この道はしばらく人が通っていないようだったが(当たり前だけど)、踏み跡はわずかながらあった。それを頼りに枯葉をガサガサと踏みながら、木の枝をかいくぐりながら僕らは進んだ。日が沈みかけて辺りは暗かったし、始めてのしかも踏み跡がほとんど無いような場所だからドキドキして楽しい。小冒険と言った感じ。二人で木の小枝を持ちながら、足に引っかかる蔓をかわして、ヒイラギのトゲトゲに驚いて、蜘蛛の巣を蹴散らして。先頭の人を「隊長」と呼び、道無き道を進んだ。少年に戻ったようで楽しい。

そう言えば、先日石老山を一緒に登ったオノピー(37)が「勇者だ!」という発言をしていてすごく面白かったが、今回は「隊長」である。
最近僕の周りには子供心を持った人が増えてきた。もちろん僕もその一人だけれど、これから彼らとどんな登山をするのだろうか、と考えるとすごくわくわくする。ワイルドで冒険心に溢れた登山が期待できそうだ。良い登山仲間ができたな。本当に嬉しい。

そんな楽しいバリエーションルートもあっという間にボウボウで通行不能になり、そして僕らは金毘羅台へと到着。金毘羅台で軽く休憩し、そして高尾山線(山と高原地図には高尾山線と書いているが正式な登山道の名は不明)で下山した。下界に着いたのは19時くらいだっただろうか。本当に良く遊んだ1日だ。

高尾山線の様子
高尾山線の様子。お花がいっぱいだった。

下山後 てらぴーと

中央線に揺られ東京駅へと戻ると、僕らはシャレた居酒屋で食事をした。美味しい魚料理や山菜を食べながら楽しくお話をし、もっと仲良くなった。マブダチになった。そら豆を使って変なキャラクターを作って遊んだり、てらぴー得意の「下品なツル」を作ってくれた。最後まで少年の様に過ごせた1日だった。てらぴーと一緒にいるとそんな風になれるみたいだ。

てらぴーは終電の時間まで僕と遊んでくれた。終電って言っても、東海道新幹線の終電時間。新幹線の終電まで僕と遊んでくれたのだ。てらぴーは朝早く新幹線で東京までわざわざ来てくれて、そして最終の新幹線で帰る。お金も時間もかかって申し訳なく思うけれど、こんなに嬉しい事はない。ここまでしてもらえるのが本当に嬉しいし、こんなにたくさん僕と遊んでくれることが嬉しい。そして今日を楽しんでくれたみたいなので、その事も嬉しい。

てらぴーと別れた後も、僕は家に帰り眠りに就くまで幸せな気分でぽかぽかとしていた。
そして珍しくぐっすりと眠ることができた。

てらぴーと出会えて良かった。また一緒に登ろう。冒険しよう。
今日は本当にありがとう。

そら豆で作ったキャラクター
怒られそうだけどそら豆で作りました。しらすを食べてます。
下品なツル
てらぴーが作ってくれた下品なツル。

そう。事実を伝えずに日記を進めていたけれど、やっぱり最後には書かなければならないと思う。日記のオチとして。

てらぴーはご結婚されていました。
ちゃんちゃん。