登山者のイラスト

登山の服装

バックパックを買ったりテントを買ったり登山では買うものが沢山ありますが、特に重要なのが登山に適した服を買うことです。真夏でも山は寒く、服の素材選びを1つ間違っただけでも最悪死につながる事もあるのです。ですので日帰りの簡単なハイキングコースを歩く場合でも充分すぎるくらいの準備をしておいても間違いではありません。安全に楽しく登山をするためにも、季節や天候、場所、目的に適したウェアをしっかりと選ぶようにしましょう。

1. はじめての登山は普段着を活用しよう

登山用品店に行くとたくさんの登山用ウェアが販売されています。軽いもの、汗が乾きやすいもの、ストレッチ素材の動きやすいもの、頑丈なもの・・・。登山で快適に、安全に過ごせるよう工夫されたウェアがたくさん販売されています。それらを用意して万全の体制で登山に臨むのは素晴らしいことですが、沢山の登山用品を揃えなおかつ下から上までウェアを揃えるのはとても難しいことです。ですので最初の登山では普段着を活用しましょう。体が動きやすく乾きやすいポリエステルなどの素材の服を探してみてください。ジャージ生地のものは最適です。

自宅にある服を利用して足りない物だけを買い揃えれば、出費も随分おさえることができますし、実際に登山をしてみて「これが必要だ」と感じたら購入するのが間違いのない方法だと思います。なぜなら登山が初めての方は経験もないので、どのようなウェアが自分の登山に適しているのか、と言うのを判断するのはとても難しい事だと思うのです。
またこれはウェアだけでなくギアを選ぶ際にも言える事なのですが、初心者の方は高価で高機能な商品を買ってしまう傾向にあります。ですので経験と知識を蓄えながら、また熟練の登山者やアウトドアショップの店員にアドバイスをもらったりしながら、本当に必要な物だけど徐々に増やして行く、と言うのがお金も多く使わない賢い方法だと思います。それまでは人に借りたり、あるもので済ましながら登山を続けるのがおすすめです。

2. 登山の服装は重ね着が基本

レイヤリングのイメージ

服を着たり脱いだりを繰り返しながら登山をする

登山は暑かったり寒かったりの繰り返しです。登っている時はTシャツ一枚でも暑いのですが、稜線にでるとダウンジャケットが欲しくなるほど寒くなる時もあります。そしてあわてて着こんで歩くとすぐ暑くなり、また脱いで、休憩したら寒いのでまた着て・・・と、服の着脱を繰り返しながら登山をするのです。面倒くさいなあ、と思われるかもしれませんがこれが正解です。面倒くさがって寒いのをがまんしてしまうと、体が冷やされ体力を消耗し、体調が悪くなって動けなくなることもあります。体がかたくなると動きにキレがなくなり、怪我もしやすくなってしまうのです。ですので少しでも寒いな、と思ったらすぐに上着を羽織るようにしましょう。休憩する際でも、バックパックを下ろしたらすぐ羽織るくらいがちょうど良いのです。そのため上着はいつでも取り出しやすいような場所にしまっておくと良いでしょう。この動作を習慣付けるのも大事な事ですね。

レイヤード(重ね着)を考える

このように脱ぎ着を繰り返す登山では、ベースレイヤー(アンダーウェア、下着)、ミッドレイヤー(中間着)、アウターレイヤー(アウターウェア)の3つのレイヤーに分け、トータルに服装を考える必要があります。少し寒い時は一枚着て、もうちょっと寒くなったらもう一枚。その時その時のシチュエーションにあわせて服を脱ぎ着し、体温をベストな状態に調節する必要があります。着ている服はTシャツで防寒着はダウンジャケットのみ。この様な状況だと体温調節が難しくなります。

上では3つのレイヤーと書きましたが、常に3枚の服で考えるわけではありません。寒ければ中間着を足すべきですし、また歩行中に寒ければTシャツを2枚着てももちろんかまいません。3つのレイヤーと言うのはあくまで基本の考え方で、そこからその場の状況や個人差によって、必要と思われるものを足していけば良いのです。

防寒用と予備用にシャツをもう一枚

話はちょっとずれますが、山小屋やテント泊の登山をする人の中には、着替えをする人、着替えをしない人がいます。一泊程度なら着替えなくてもさほど気になりませんが、シャツが雨でずぶぬれになる事も考えられますので、替えのシャツを一枚持っていると安心です。長袖のシャツが一枚あると防寒着にもなるので、予備用のシャツとしてバックパックに忍ばせておくことおすすめします。

3. レイヤード(重ね着)

ベースレイヤー(肌着、アンダーウェア)

アイスブレーカー / テックT ライト
icebreaker LSテックTライト L 1 ブラック

保温性に優れたメリノウールのアンダーウェア

綿は必ず避ける。速乾性のものを。

肌着、アンダーウェアとも言いますが、選ぶ際にまず考える事は素材です。汗冷えをしないよう乾きやすい化繊素材のもの、また春秋の寒い時期にはウール素材のアンダーウェアもおすすめです。アンダーウェアには様々な厚さがあり、薄いものは夏山用に、暑いものは春秋の登山用に使い分けたり、またアンダーウェアを重ね着する事もあります。形状はクルーネックやハイネックのハーフジップタイプが多く、クルーネックは重ね着しても首周りが楽ですし、ハーフジップのタイプはジッパーを開け閉めすることで温度調節が簡単に行え、着脱も容易です。アンダーウェアの素材にはウールや化繊、それとウールと化繊をあわせたハイブリッド素材、防臭効果を持つものなどがあります。ぴたりとフィットするアンダーウェアの場合は素材の肌触りの好みがありますので、店頭で試着してから購入するのが無難です。

アンダーウェアの紹介ページヘ

ミッドレイヤー(中間着・防寒着)

モンベル / EXライトダウンジャケット
モンベル EXライトダウンジャケット メンズ

900フィルパワーの超高品質ダウンを使用した世界最軽量のダウンジャケット。

保温力、吸汗拡散性に優れた素材を

中間着にはフリースかインナーダウンが定番です。フリースはアウターにもインナーにも用途が広く、軽く、保温力も吸汗拡散性にも優れている登山の服装に最適な素材です。特に薄手のフリースは様々な季節で行動着兼インナーとしても使用できるのでおすすめです。ダウンジャケットも風に強いのでインナー、アウター、と幅広く利用することができます。また最大の特徴は軽量でコンパクトに収納できること。メインの防寒着として使用せず、サブとしてザックに忍ばせておけば予想外の寒さの時でも対応できます。それ以外の中間着は定番のチェックのシャツがあります。化繊の薄手のものやウールの厚手のものがあり、気軽に扱え微妙な温度調節にも有効です。

いずれの中間着も、その上からレインウェアやアウターを羽織る事を考えると薄手のものが適しています。厚すぎる中間着は行動着としても使用しにくくなりますので、薄手の服を組み合わせて防寒をするのがおすすめです。また真夏日でも山は寒くなりますので、必ず防寒着を用意しましょう。

インナーダウンの紹介ページヘ

アウターレイヤー(防風・防水、レインウェア、ウインドブレーカー)

モンベルのストームクルーザージャケット
モンベル ストームクルーザー ジャケット メンズ

日本のレインウェアを代表するモンベルのストームクルーザージャケット。アウターとしても使える汎用性の高いモデル。

アウターはレインウェアで代用も

アウターレイヤーにはレインウェアを代用してしまうのが簡単です。レインウェアは風にも強く、またレインウェアをアウターとして代用すればもう一枚余計にジャケットを持っていく必要がなくなります。しかしレインウェアは高価なものが多く、木に引っ掛けたり岩に擦ったりなどのダメージはなるべくなら避けたいもの。またレインウェアを行動着として使用するには少し暑すぎます。そんな場合には薄手のウインドブレーカーなどを用意するのがおすすめです。高価なものでなければアウターとしてハードに使用することもできますし、着たいときにいつでもさっと取り出して着れるような扱いやすさがあります。

アウターウェア(ハードシェル)の紹介ページヘ

パンツ

ミレー / セーニュストレッチジップオフパンツ
モンベル(mont‐bell) コンパーチブル 3 / 4 パンツMen’s

ひざ下が取り外せるジップオフパンツ。リラックスフィットで履き心地も良い。

パンツも化繊素材がベスト

パンツの素材も肌着同様、乾きやすい化繊素材を使用したものを選びましょう。伸縮性があれば良いのですが、なくても足があげやすく、岩や木で擦っても簡単には破れないようなある程度丈夫なものが適しています。スポーツやトレーニング用などの速乾性と伸縮性のあるパンツも動きやすいのでおすすめです。半パンツ、ハーフパンツは軽快で動きやすのいですが、足の保護を考えると長パンツが最適です。テント場や山小屋でリラックスをしたい人は別で持って行くと良いかも知れません。ジップオフパンツと呼ばれる膝下から下がジッパーで取り外せる様になっているモデルもあります。寒い季節はポリエステルやウールの混紡のパンツを。またその下にアンダータイツを履いて防寒しましょう。

4. 登山で使われる服の素材の説明

登山の服装全てに共通して求められる機能は、軽くて動きやすく、速乾性に優れ、丈夫、と言うことです。少しでも楽に登山ができるよう軽く、軽快に動けるよう動きやすく、汗をかいても乾きやすく、ハードな使用にも耐えるウェアが望ましいです。 素材選びを失敗してしまうと事故に繋がる可能性も高くなりますので、特に自宅の服を利用する人はしっかりと素材表示を確認しましょう。また暑さ寒さの感じ方には個人差があります。汗かきの人やそうでない人もいます。登山の服装は自分自身の体質も考慮に入れ、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

コットン素材の服

コットンの服は乾いている時に着用すると快適な素材ですが、その断熱性は濡れると失われてしまいます。またコットン水分を多く吸収しますが、基本的に乾くのに時間がかかるという性質があります。その性質からコットン素材のウェアを登山で着るのは大変危険で、コットンのウェアを着たことで低体温症にかかってしまったと言う事例が過去に沢山あります。ですがコットンは暑い日にはよく風を通し、そして体を冷やしてくれます。また体を紫外線から守る性能にも優れています。ですのでコットン素材の服は夏の暑い日、標高の高くない場所でのアクティビティで着用するのには適しているかもしれません。そしてそんな暑い日には服から蒸発した水分が体を冷やしてくれます。

ウール素材の服

コットンと比べると、ウールは遥かに水分の吸収力が少ない素材です。ウールは濡れると少しの水分を保持し、乾かすために少ない熱を必要とするという性質があります。ですのでウールが濡れた時はコットンの様に機能が著しく低下することはありません。この様にウールは保温のためのすきまを保つので、断熱着として機能しているのです。この性質のため、ウールは登山用靴下の素材としても適しています。
ウールの欠点はやや重いこと。そしてかさ張ること。また肌着として使用するとチクチクする点があげられますが、メリノウールなどは柔らかくて着心地が良く、肌着として大変人気があります。多くの人が登山では化繊の肌着を着用しますが、化繊のものよりも吸収性があるため、ウールのウェアを好む人も多くいます。またウールはストーブの熱にさらされた時にも溶けない、という性質もあります。

ポリエステルとポリプロピレン素材の服

ポリエステルとポリプロピレン素材は、汗を逃すのに優れているので肌着の素材として優れています。ポリプロピレンの肌着は少しチクチクするので着心地が気になったり、また数回着用すると匂いが吸着してしまう、というデメリットがあります。一方ポリエステルは肌着として着心地が良く匂いが吸着する事も少ないので、最近ではポリエステル素材のウェアがほとんどです。またこれらの素材は肌着としてだけではなく、断熱ウェアとしても適しているので、フリースジャケット等にも使用されています。

ナイロン素材の服

ナイロンは世界中で最も多用されている素材の1つで、アウトドアウェアではアウターに使用されています。優れた防風性だったり、なめらかで柔らかかったりとナイロンの特性は幅広く変化しますが、実際にナイロンはその強さと耐久性で知られています。そんな多岐にわたって使用されるナイロンですが、加工されていないと水分を多く吸収してしまい、乾くのがかなり遅いという欠点があります。

ダウンウェア

高品質のグースダウンを使用したダウンウェアは最も暖かく、最も軽く、そして最もコンパクトに圧縮することができます。ダウンウェアの品質はフィルパワーで表記されますが、高品質のものは700から850フィルパワーと言われています。ちなみにフィルパワーとはウンの復元力を数値で表したものになります。
ダウンはその軽さと暖かさから冬のジャケット用の素材として人気が高く、そしてまた多くの寝袋に使用されています。しかしそんなダウンも、濡れてしまうとその高い断熱力を失い、また乾きにくいと言う特性もあります。ですのでダウンウェアやダウンを使用した寝袋は、使用する際必ず濡れない様に気をつけなければなりません。

5. 私の夏山・春秋山の服装

夏の登山の服装

夏の行動着はポリエステル100%のTシャツがメインで、標高が高い山に行く場合は日焼けや肌寒さを考え、薄いロングのチェックのシャツ(ポリエステル)を持って行きます。休憩中はレインウェアを羽織り、標高が高い山で寒いときはインナーダウンを中に着こんでしまいます。何かのアクシデントでずぶぬれになってしまっても大丈夫なように、替えのTシャツも一枚用意しておきます。もちろんこのパターンではない時もありますが、ほとんどの場合この重ね着のパターンでうまく行っています。

下は、ストレッチ性のある長パンツを気に入って履いています。虫刺されや日焼けを気にしなくていいし、ほぼオールシーズンにわたりキャンプでも登山でも使えるのが便利です。また、長く歩く時などはワコールのタイツ(CW-X)の上に短パンを履いています。このタイツを履いていると下りの時に心強いですし、「タイツに短パン」というのは最近のはやりでもあります。タイツを履いてしまえば直接短パンが腰に当たらないので、ヒヤっと不快に思うことが少ないです。ですので短パンの素材にそれほど神経質にならないで好きな色やデザインで選べてしまうところも気に入っています。

春秋の登山の服装

春秋の服装もほとんど変わりませんが、行動着のメインがロングの化繊のシャツになり、それとは別にウィンドブレーカーを持っていきます。レインウェアをずっと着て行動するのは痛みが早くもったいないですし登りでは暑くなりすぎたりします。それと、夏と同様にロングのポリエステルのシャツかフリースジャケットを持っていきます。インナーダウンは常に防寒着用として持っていきますが寒い時期になればさらに“予備用”としての存在に変化させています。万が一、さらに寒くなった時に困らないようにです。あとは小物を必ず持っていくこと。暖かい帽子手袋、ネックウォーマー。足が寒ければ速乾性の保温タイツをパンツの下に履きます。日の出を待つ時などさらに冷えそうな時はレインウェアの下を履いて寒さをしのぎます。

このように登山の季節や条件によって持って行く服を増やしたり素材を変えたり、レイヤードのパターンを変えて登山の服装を組み立てています。