赤ちゃんと子供と立山・雷鳥沢へ ① 計画と宿・準備編
雷鳥沢というのは、立山の室堂からスタスタと早足なら約1時間歩いたところにあるテント場。道は全て整備されているけど、私たちにとってはちょっとランクアップした山だ。まず家から日帰りが出来ない。名古屋からは高速道路を使って3時間40分。これまで東京から立山に入っていたことと比べるとものすごく近いけど、最近のハイキングなんかを考えると、ちょっと遠めだ。車を降りてからさらに1時間ほどバスなどに乗らないといけない。でも、とりあえず行くと決めた。北アルプスを縦走をしてきた後輩と、あとOB・OGが集まるというイベントがあるのだ。よし、今年のおぼんはこれできまり。
計画 ~テント泊ができるだろうか~
雷鳥沢のテント場はとても眺めがいい。たぶん星空もすごい。近くには樹林が無くて拓け、周りには雪解け水が流れてそのそばには雪が残る。ちょっと歩けば広い尾根に登ってあたりが見渡せるし、稜線上を見上げればアリより小さい、ゴマのサイズでひとが歩いているのが見える。室堂バスターミナルから1時間程度なのに非日常感も十分、高度感もあってお気に入りのテンバだ。
ここのテンバに泊れたら最高だ!
でも子供たちはテントや寝袋に泊れるのだろうか。
赤ちゃんのでっちゃん(下の女の子)は0歳9カ月、サクチャン(上の女の子)は3歳3カ月。まず、サクチャンは大丈夫だろう。夜寝たらグッスリだし、ぐずるときは眠い時だけ。それでもだいたい、望みをかなえてあげれば落着く。だいたい、ダッコしてくれとか牛乳をくれとか、アイスをくれとか。人がいたら結構がまんするから、大丈夫だろう。
一方でっちゃんは夜中に3回くらい起きるけど母乳を上げればすぐに騒がずに寝るから、まぁ周りのテントに迷惑をかけることもなさそうだ。あとでっちゃんの強みは、なんでも食べる事。離乳食のビンのやつを、どんな味でもためらわず食べる。あと最近ではストローをマスターした。食事と水分が摂れれば安心だ。でっちゃんも環境が変わると泣きわめく、とかそういうことは無い。眠い時に怪獣のように泣き、あとはチャイルドシートにくくりつけたときに頭の毛穴全体から汗が水滴になって出るくらいに泣きわめく。でもベルトを外してダッコしたとたん、ニコニコする。要望がはっきり分かる分、扱いやすい。
たぶん一泊くらい、大丈夫だろう。
仮にでっちゃんが寝つけなかったとしよう。一晩くらい、おんぶして外を散歩しながら夜を明かしたりしてもいいだろう。仮に雨が降ったら、テントに閉じこもってムシムシしながら「アチー」とぐちりながら過ごす、それも一泊だけなら耐えられるだろう。今年のおぼんは長く休みを取ることが出来ず、一大イベントはこの雷鳥沢行きだけになりそうだ。暑い名古屋で無意味に暑さをしのぐより、ちょっとくらい刺激的で苦労があったほうが記憶に残るに違いない。
「なぜそんな大変なことするの?」 そう聞かれたら、なんて答えよう。でももし疲れることを避けるのが賢明なやり方なら、炎天下の海に料金を払ってやる潮干狩りも非難されるべきだろうか。
結局この答えがでないうちに、同じ0歳児をもつ大学同期の仲間を誘おうという別の考えが浮かんできた。彼女はエルゴで子供をおんぶする。だんなさんが来れないので彼女の荷物は、私が持つ。そうなったらテントじゃないちゃんとした旅館での宿泊が必要だ。そんな事で彼女が参加検討中のあいだ、お盆期間の残り少ない宿の予約を急ぎ、自然にテント泊案は自然消滅した。 はたしてテント泊が出来るのはいつだろうか。
宿選び
室堂にはホテルがあり、雷鳥沢との間にはいくつも山荘がある。山小屋に泊れるのは何歳からだろうか。私はあまり山小屋に泊ったことがないが、かつて1カ月ほど、八ヶ岳の麦草ヒュッテでバイトをしていたことがある。正式にはバイトではない、居候だ。麦草ヒュッテには個室があって、そういう所なら子供が泊っても大丈夫だろう。一方、お盆の涸沢ヒュッテなどでは1畳に3人が寝る、と聞いたことがある。仰向けには寝れないから、横向きに寝るとかいう、うわさ。本当かどうかはわからないが。
イヤイヤ、とにもかくにも、個室でないとダメだ。ネット予約ページを見ると室堂のホテルは当然満室。他の山荘も、お盆という混む時期に赤ちゃん連れなんて問い合わせたらキレられる気がしたのでやめた。山の上に泊りたいけど、仕方ない。くやしいけど、山麓におりるか。
すると、立山黒部アルペンルート上に、立山高原ホテルというのがあって、個室がまだ空いていた。しかし高い。1人2万円弱。HPの写真を見ると、御来光も素晴らしくガスに包まれた様子も山の上そのもの。食事もステキっぽい。うーん、迷う。一方、立山駅周辺の宿もちらほら残っていた。1人12,000円弱。
悩んだ挙句、立山駅周辺の宿に決めた。どうせ翌日室堂で素晴らしい景色を眺められるんだし、2人の子連れというあわただしさではステキな食事も楽しめるわけがない、それよりも家庭的で気がねない小さな宿のほうがいい、という結論だ。そういうことで、1日目に名古屋から立山駅まで車で移動してペンションに泊り、2日目の早朝から室堂へいき、最終のバスで立山駅に戻って来るまでその日のうちに帰る、というプランに決まった。
あと参考までに書いておきたい。
立山駅山麓の宿は数少ないが、そのなかでも幼児の受け入れはお断りしているところもあるので予約の際には気をつけたい。あと雷鳥荘方面から戻ってきた親子が「しょうがないじゃない、小さい子は泊まれないって言うんだから」と話していたのを耳にした。その子供は小学生の中学年だったと思う。やはり山荘では年齢制限があるんだろうか。未確認情報で恐縮だが、子連れでこのあたりでの宿泊をと考えている人は事前に確認が必要そうだ。
もちもの、子供グッズ
今回はキタオくんがドイターのキッドコンフォートⅡにでっちゃん(赤ちゃん)を背負い、その下の荷物入れに後輩への差し入れを入れる。私は最近購入したドイターのフューチュラ28に4人分のカッパや防寒着や食料を背負う。この分担で日帰りする場合、結果的にこのザックは小さすぎた。残念だ。もう少し大きなザックを買うべきであったか。なんとか荷物は入ったものの、私とキタオくんの防寒着は薄いシャツにせざるを得なかった。しかもヘッドランプとか非常用のものは何一つ入れられていない。
持っていったもの、あってよかったもの
- レインウェア3人分(赤ちゃんは背負子用ザックカバー)
- ウィンドブレーカー子供2人分
- 防寒着用ロングTシャツ子供2人分
- 防寒着用シャツ大人2人分
- 着替え子供2人分
- バッテン型簡易抱っこひも
- お菓子たくさん(昼食を買い忘れた 立山駅にはコンビニは無し)
- 酔い止め用 グミ
- ペットボトル6本。子供はフタにストロー付き(室堂で美味しい水が汲めるのでカラのペットボトルを持っていくべきだった)
- 帽子
- 銀マット(石の上に敷くので、厚みのあるテント内用マット)
- カメラ、オムツ、離乳食とスプーンと赤ちゃんせんべい、ビニールたくさん、タオル、絆創膏、授乳ケープなど
酔ったサクチャンは寒いと言ってすぐにロンTとウィンドブレーカーを着たし、背負子に乗りっぱなしでやがて寝てしまうでっちゃんにもすぐにロンTを着せた。山の上は日差しが強く暑いが、風が吹くと肌寒かったりするので着るものによる体温調節は、よくした。レインウェア上下は最後の砦的な防寒着だ。
だっこヒモは、ふだんはエルゴを使うんだけど予備的に持っていくにはあまりにもかさばるので、今回は初めてフェリシモのを持って行ってみた。結果、ケーブルカーの中と雷鳥沢でウロウロする時にすごく役に立った。9キロを超すでっちゃんでも入るし、常に両手を離しているわけにはいかないけど腕だけで持つのに比べると、腕の疲れが全然ちがう。私のは帆布で出来ており重いけども、手作りも出来るらしいから、丈夫で軽くてエアスルーな生地で作ってみたらいいかもと思った。モンベルあたりで作って欲しいくらいだ。
ストロー付きペットボトルは大活躍。「フタ開けて」 と言われないからウレシイ。でっちゃんのはピジョンのペットボトルストローで、よだれが逆流しないつくりになっている。吸う時の空気の圧力を調節できるので少ない力で吸えたりする。山では気圧の影響でペットボトル内の空気が膨らんで中身が飛び出ていたけど、しっかりフタの中におさまってこぼれていなかった。脱水がとにかく心配だったので念のためイオン飲料のペットボトルにしたが、グイグイ飲んでいたし減っているのが良くわかったので、安心できた。
帽子は、今回サクチャンはつばの大きい麦わら帽子をリサイクルショップで300円で買ってもって行った。きちんとずっと被っていたせいか、日焼け止めも塗らなかったのに顔に日焼けもほとんどしなかった。それに「まぶしい!」といって機嫌が悪くなることも無かった。普段日焼けを気にしているわけでもないけど、今回でっちゃんの顔が赤く焼けてしまったのを見ると、帽子を被っていてくれてよかったと思う。
銀マットは室堂へのバスでサクチャンが酔ってしまい、室堂展望台で敷いて寝転がって休んだりと役に立った。でっちゃんがハイハイしたり急に立ち上がって転んだりする時期なのである程度厚みがある方がいいかもしれない。
あればよかったもの
- 赤ちゃん用靴下
- 赤ちゃん用手袋
- 子供用日焼け止め
- 赤ちゃん用レインウェアのズボン
- さくちゃん用穴あき手袋
- 折りたたみ傘
- 酔い止めの薬
- 尾西のフリーズドライ赤飯
- フリーズドライおもち
背負子に乗るでっちゃんの防寒グッズがおろそかになってしまった。まず靴下を車に忘れてきてしまったが、これは防寒だけでなく日焼け・虫さされ・草キレ防止に常に必要だ。背負っているとだいたい寝てしまうが、その間にすごく体が冷える。途中で背負子用カバーを付けて防寒を試みたが、帰り室堂に着くころにはでっちゃんの四肢は氷のように冷たく、バスとケーブルカーに乗って立山に着くころまで温かくならなかった。同じく、手袋もかさばる物でもないので持っていけばよかった。
あと、でっちゃんの顔面に日焼け止めを塗ってから、キッドコンフォートⅡに載せるべきであった。これには頭上に日除けが付いているので安心しきっていたが、正面から寝ている間に顔にたくさん陽を浴びていたようだ。おかげで下山後は真っ赤にむくみ気味になってしまっていた。
赤ちゃん用のレインウェアだが、ザックのカバーを超えて雨が入ってくるような時は歩かないつもりだが、かといって今回仮に雷鳥沢で夕立が降ったとしたら、大変なことになるところだった。戻って100円ショップに行ったらズボンだけで売っていたので、今後はそれを持って行こうと思う。小さい子用のカッパはリサイクルショップなんかでもたくさん売っているがズボンはなかなか無いので、探している人はダイソーを見てみると良いかもです(使い捨てにはなるけど)。
あとは小さい手袋を持っていけばよかったと今回も思った。けっこう岩や木に手突くことや転ぶことが多いので、今度ダイソーに行ってみてみようと思う。指先をハサミで切って上げたらいいのではないかと思っている。
折りたたみカサは、でっちゃんが雷鳥沢の炎天下でハイハイしている時などに軽いのを一つ常備しておけばよかったと思った。
酔い止め薬は3歳から飲めるようなので、次回グネグネ山道のドライブがあるときは試してみようと思う。今回は小袋にいろんな味の入った5連のグミを持って行ったけど、やはり室堂についてから 「お腹が痛い、寒い」 といい、しばらく完全に無口になった。酔い止めプラス、グミか大好きなハイチュウなどがあると良いかもと思った。
あと、お昼ご飯用にフリーズドライ赤飯を持っていればよかったとおもった。室堂駅ではお昼ごはんにしたいようなものはあまりゲットできなかった。私は買いに行っていないが、キタオくんが昼食用にと選んで買ったものは、350円の少なくてパサパサした炊き込みご飯としょうゆあじの餅だった。特にサクちゃんは好き嫌いが激しいが赤飯だけは食べるので、予備用に持っておいたらもう少しまともな食事をさせてあげれたかなあと思った。「おせきごふぁん」が大好きなのだ。 あとどんな時でも食べるかと聞くと「食べる」と答えるきなこもちのフリーズドライも、結構な確率で子供が大好きなものだと思う。高価なのでそうそう食べないけど、軽いし、今後は予備食(または非常食)として常にザックに忍ばせておいたらいいかもと思った。