初心者のための登山とキャンプ入門

旭岳ビジターセンターのスノーシュー講習 #2 いざ雪山へ

旭岳ビジターセンターのスノーシュー講習の様子

ホテルベアモンテの横から、スノーシューを履いてクロスカントリーのコースを少し歩いた。

ここでは、スノーシューの使い方、1つの足で片方の足を踏まないように、とかそういった基本的なことを確認しました。
あとは種類。プラスチック素材と布素材とあって重さがかなり違うのと、得意不得意なんかの違いのおはなし。

ウォームアップがてら少し歩くと、休憩がてら、次は衣類の話しが。

ここで私がなるほど、と思ったことが2つ。

1つ目は、上着の話。速乾性とか保温性は大事だけど、ヒートテックみたいに「発熱」は必要ないと思う、、という話。
ヒートテックとかは町中で運動しない状態で温かい、っていうために作られているので、雪山で着てしまうと熱くなりすぎて「汗冷え」に困ることがあると。
なるほど。

ニトリル手袋をはく

もう一点は、さっきから気になっていた講師の方の手袋。

「テムレス」っていう作業用手袋が雪山に便利、っていう話はけっこう有名だけど、なんと講師の方は、このテムレスの下に手術の時にするようなゴム手袋をはめていた。

ニトリル手袋を雪山で

実はさっきから気になっていた。手荒れでもしているのかなと。

「ニトリル手袋」という名前があるらしい。これを素手にはめると「汗ですごく蒸れるんじゃないか」と思うところだけど、実はある程度まで蒸れたらそれ以上蒸れないらしい。
なおかつグローブの保温部分のワタに湿気や汗が吸い込まれて汚れたり湿ったりしてくれるのを防いでくれるんです、と。

その後も講師の方は何かを取り出したりコンパスを操作するたびに「テムレス」を脱いでいたけれど、ニトリル手袋は一度も脱がずに作業していた。一方、私は何度も素手になった。

寒くなかったので大丈夫だったけど、寒い日だと素手は厳しい。
もしニトリル手袋&裏起毛ゴム手で冬山がぜんぶ行けるなら、こんな良いことは無い、、、。

ということで、この写真は家に帰ったあとだけど…早速アマゾンで買ってみた。

ニトリル手袋、100枚で1000円くらいのものが多い。

ニトリル手袋
ニトリスト・フィット 100枚入

テムレスは持っていなかったので、似たような裏起毛のゴム手を履いて、1時間程度雪かきしてみた。

ニトリル手袋にゴム手袋

たしかに、グリップが効いて力を入れる作業もしやすい。しかも、スマホの操作ができる!

・・・ただ、しばらくして指先が冷たく感じた。上に履いた手袋の厚さのせい?
そのうち体温も上がってきて気にならなくなったけれど。とにかく次回の雪山にこのセットを持っていくときは、同時にふだんのパターンも持っていこう。

現地での地形図とコンパス練習はこんなふう

次は、さっきで習った地図とコンパスの使い方を現地でやってみた。

1回目。現在地から「沼」の漢字の口の地点を目的にしてみると。

旭岳ビジターセンターのスノーシュー講習で使った地図

みんなでコンパスを使って、「あっちですね」と指を指して確認。

実際の指差した方向は巨木が立ちはだかる森の中でまったくゴールも見えないので、室内よりもちょっとなるほど感がある。

その先にGPSの電波のなんちゃらの塔があるっていうことで、ぜひとも森の中を探検してその塔にだれが一番早くたどり着くか!とかやりたい、と思ったが、今日の講習は初心者向けということで行かないらしく、次の話題に。

ただこのときのなるほどポイントは、コンパスを頼りに方角の検討をつける時、自分の体の前に漠然とコンパスを持つのだと、ブレると。
なので、胸にピタっと当てて体の向きを定めて歩くと。

これって細かいけど、ベテランならではの経験に基づいたコツだなと。
写真では分かりづらいですが、こうやって体につけてコンパスを見る。

コンパスは体につけて使う

次に講師の方は地形図のいち部を等高線ごとにダンボールで段差をつけたものを見せて、等高線などかんたんな地形図の読み方を説明した。

旭岳ビジターセンターのスノーシュー講習で使った立体地形図

しかもその切り取った範囲は予め配布されていた地形図にも四角く印がされていた。

尾根に登ってみる

そのなかで細長く貼り出ている高さ10mの尾根を乗り越えてまた下がるっていうところを、歩いて確認してみましょう、と。
なんて準備万端なんだ。

緩やかな上り坂を歩いたけれど、10m前後あるのかどうかぜんぜんピンとこなかった。
でもこうやって、地形図を見て、予測して、歩いて見るっていう繰り返しが、感覚をつかむのだと思った。

でもこれは、雪山でできるぜいたくな体験だなあ。もちろん夏山でも出来るけれど、夏山はどうしても登山道を外れては歩けない。
でも雪山は自由なのでこういう地図遊びが楽しい。いつも雪山に行くときは目的地に付くことを優先してしまっていたけれど、目的地に辿り着かない地図遊びって、良いなあ。

凹地を探す、ビジターセンターまで帰る

傾斜を確認したあとは、地図上にある凹地を探しに行きましょう!ということで、今度はクロスカントリーコース(つまり地図上の登山道ルート)を外れて、ズボズボと雪に入っていった。

20mくらいしか下がっていないのであからさまなへっこみではないけれど、ちょっとした広場っぽいところにたどり着いた。
なるほど、こういうかんじか~と。

今回はずっと先頭を講師の方がやっているので、「自分で見つけたい!」という気持ちが高まるな。
早くもっと雪降れ~したら、家の近くの山でもいくらでもこういう遊びができるのに。

最後に、もう一度実践。

また地形図を使って目的地をビジターセンターにして、コンパスを合わせる。山を超えて目指しで帰ると。

矢印の差す方をみると、石がゴロゴロ積み重なった壁になっている。 これを右に避けたり左に避けたりして、そのとき避けた分を覚えておいて戻ったりしながら、矢印の方向に進んでいく。

ココからゴールまでずっと講師の方が先頭で行ってくれたのだが、私はどんなふうに道を取るのか、3番めに並んでずっと眺めていた。
そんで講師の方が作った道のすぐ横の踏まれていない道で良さそうな道を歩いていた。

しかし不思議なもので、真っ白な雪の上に誰かが一つ道を付けると、なんかそこだけが正解の道に思えてくるものだなと。

講師の方がつけた道を外れて笹にハマって動けなくなって迷惑を掛けてもいけないんで、ほどほどに遊びながらついていった。

このエリアは温泉が出ているので、地熱で下のほうの雪が溶けているところもけっこうあって、ズボっと埋まるらしい。
また、数日前に降った雪が融けて「ルーズな層がある」と。

また、積雪も70センチくらいなので笹やその穴をカバーするほど安定もしていないそうで、講師の方は丁寧に道を選んでいく。

スノーシューは傾斜のあるところを降りるのが苦手なので、そういうときは後ろ向きに降りると良い、ということも教えてもらいつつ。

スノーシューをはいた斜面の下り方

しかし。雪と針葉樹林、似合うな~。ぶらぶら歩いているだけでたのしい。

ここには北海道を代表する3大針葉樹林、アカエゾマツ、エゾマツ、トド松などが生えている。溶岩の上に生えたから、倒木の根っこが真っ平らだったりする。

旭川、雪山と針葉樹の景色

クロテンの足跡も教えてもらった。

スノーシューと言ったらアニマルトラッキング。「これは○○の足跡ですね」って言われても「へ~」ってなるから、アニマルトラッキングを目的にスノーシューに行く人は、予めネットで「このヘンではこういう動物の足跡が見られる」、「この足跡は、△△の足跡です」っていうのを予習していったほうが絶対良いと思った。

スノーシューといったらかんたんに出来てしまうけど、こうやって教えてもらいながら歩くことも良いなあと思った。

私はスノーシューは何度かしたことがあるけど、今回のように講習を受けたのは初めて。

今回は「地図とコンパスの使い方」というようにテーマがあって、たぶん講師は雪山をガッツリやる方だと思う。
聞いたわけではないけれど、服装や装備を見てそう思った。「雪を楽しみましょうね」っていうよりも「基礎をしっかり学びましょう」っていう感じで、大変良い内容だったと思った。

みなさんが講習を申し込むことがあったら、「何を目的にしているのか」を確認して申し込むと良いかもです。