初心者のための登山とキャンプ入門

北海道での雪かきのはなし#2
-道具、除雪と排雪編-

旭川 道路わきの雪だまり

旭川といえば、なにげに豪雪地帯。家を探すときから懸念していた「雪かき」。実際に暮らしてみてどうだったのか。3回の冬を体験して知ったことをお伝えします。
このページでは雪かきの道具、雪かきのルールや除雪と排雪などについて書いています。

雪かきに使う道具

雪かきにつかうスコップの種類は、はやはり充実している。棒部分と先部分が外れて、先が取り替えられるようになっているものも多い。
やはり何年も使っていると割れてしまうんだろうか。基本、軽さ重視のプラスチックが多い。が、剣先と呼ばれる先の尖った金属のスコップは、固くなった雪を割ったりするのに必須だ。

ママさんダンプなんかは、団地の下の共同駐車場に行くと、誰の所有物かわからないくらい、乱雑に落ちている印象。安いもので3000円とか、ちょっと大きめで6000円とか、結構高いのになあ~と思ったりする。

雪かきに使うスコップ数種類

スコップに限らず、屋根から垂れた雪庇(はみ出た雪)を落とす棒、屋根に乗っかった雪を滑らせて下ろす道具、など便利グッズもいっぱい発売されているが、どれもそんなに安くない。

カンタン氷割り ニューらく楽ハンドボー ヤリ型
カンタン氷割り ニューらく楽ハンドボー ヤリ型 (除雪用品)

レギュラーメンバーとしては、スコップ、運ぶためのダンプ、雪を割るためのツルハシ、屋根に上るハシゴあたりだろうか。

融雪槽 という設備

自分の敷地内に「融雪槽」という設備を作っている人もいる。まったく雪をなげる(捨てる)場所がないお宅や運ぶ手間を省きたいご家庭、などだ。

マンホールみたいに駐車場とかの地面に穴が開いていて、フタを開けてそこに雪を入れる。穴の中には水が流れていて雪が溶ける。設置するのに値段もかかるし、「設置したのに、水が枯れた」などという話も聞いたことがある。

雪かきに悩んでいる道民の友達は、「うらやましい」と言っている。

融雪槽
http://www.sumitec-asahikawa.co.jp/system/

近所のある通りは小中学生の通学路になっているので、通りに面した家々の方々が歩道の雪かきをしてくれ、大きな山ができる。
こういう通りの交差点の4隅にできる雪山はひときわ大きくて、車で信号待ちをするにも、ちょっと引っ込んだところで待機しておかないと右折車や左折車が入ってこられない状態になる。

しかしとある交差点では、この雪山がいつも3つしか無い。この山が一つ無いだけで、ここの信号はとても渡りやすい。この角のお宅は友人のお父さん宅で、地域で活躍もされている方だ。
たぶん家に面する2辺の歩道の雪を、ご自宅の融雪槽に持ち込んで処理してくれているんではないだろうか。もしくはご自身か業者に頼んで有料で持っていってもらっているか。こんなふうに地域のことも考えて融雪槽を備えている人もいるのかも知れない。

除雪機 という武器

ホンダ除雪機
除雪機 家庭用 ホンダ HSS655c-JE1

こちらも「うらやましい」と思われる設備の一つ。

でも高いし、メンテナンスもいるし、操縦もそこまでかんたんでもないし、保管の場所も取るし、ガソリン代も必要だし、小型だけれどなかなかの大掛かりな設備だなって感じる。
どんな仕組みになっているのかわからないけど、見た感じ、雪を巻き込んでぶわ~っと撒き散らしているように見える。聞くと雪は「移動」しているだけで、減ってはいない、という。未だなぞの機械。

しかし先日、この除雪機で子どもたちの通学路になる歩道の上に除雪機を走らせてくださっている人を見かけた。
「多くの人が歩けば道ができるのでは?」と思うかも知れないけど、実はぜんぜん違う。子どもたちが歩道の上を歩いてできた道はボッコンボッコンで、歩きづらいのだ。
だから子どもたちは平らな「車道」に出て歩いてしまい、時として危ない。しかし除雪機を通した後の地面は平らで歩きやすいので、子どもたちは自然と歩道を歩くことになる。こんなふうに地域のために使ってくれる人もいる。

捨てる場所が一番の問題

私の家周辺は住宅街のはしっこでスペースも有り、どちらかというと雪ハネに悩まされない環境だと思う。
でも引っ越しする前にネットで読んだ情報では、雪をすてる「場所」でのご近所トラブルがあるんだという。すてる場所が無いことが、一番の問題なのだと。

旭川 雪捨て場の問題

公園も、勝手に雪を捨ててはいけない。勝手に捨てたせいで遊具が壊れたりするっていうお知らせが、シーズン前に毎回、回覧されてくる。その公園を雪捨て場として利用したい町内会は、予め役所に届け出て許可を得る。そしてその町内会で責任持って使う、っていうイメージだと思う。

雪が溶けた後はゴミも多いし。売地の空き家なんかもあるけど「雪をすてないでください」ってかいてあったりする。いざ土地が売れたとき、雪山処理ができていたら処理が大変だ。
ちなみに公園の場合は「雪推し場」と呼ぶらしい。

スロープづくりの技術

そこで大活躍する技術が、スロープづくり。これは、パウダースノーの旭川では本当に難しい。まだ私にはできない。でも、みんな上手に作る。

旭川 雪でスロープづくりの技術

このスロープの出来を決めるのは、角度と表面の滑らかさ。程良い角度だと、ママさんダンプを押しても辛くない角度で息を切らさずに登れる。表面がツルツルだと、ママさんダンプの底面と雪面の摩擦も少なく、押す力もほとんどいらない。

スロープを予め計画して上手に作れば、庭の奥まったスペースも無駄にせずに雪をなげることができる。一旦このスロープができれば、もはや投げ放題、とは言い過ぎか。

川になぜ捨てないの?

旭川は川の街なんだから、たくさんある川に雪を流して溶かしたら良いのでは?と思ったが、そういうもんでもないらしい。「川に雪を捨てないでください」と書いてある。

理由は、川が汚れるから、と私は聞いた。「北海道」のHPには「河川をふさぎ、河川の水があふれる恐れがあります」と書いてある。石狩川のような広い河川敷を持つ川でもあれだけの量を業者や個人が持ち込んで捨てたら、川の流れをせき止めたりしてしまうんだろうか。

でも一番は、生態系の保護なのかもしれない。というのも、雪はゴミだらけだし、融雪剤などの薬も混じっている。それ以前に石狩川や忠別川にはサケの産卵床もたくさんあるのに、埋もれてしまう。というふうに、きっと自然に対して悪影響がいっぱいあるだろう。

(根拠は、河川法29条1項、河川法施行令16条の4 に、罰則は、河川法施行令58条 に書いてあるらしい)

「雪捨て場(雪堆積場)」という存在

そこで、大量の雪をどこに捨てるのかと言えば、市で定められている「雪捨て場」である。

大雪が降った後の街では、雪をてんこ盛りに積んだトラックが、行ったり着たりしている。個人にも開放されているようだが、殆どは業者さんの車だろう。
すごい雪山になっていて、驚くと思う。そしてそれは5月くらいまで融けないで残っており、ブルドーザーでかき回して期日までに消滅させるようになっている、と聞いた。

旭川の雪捨て場

この写真は4月20日のものだが、まだ雪は大量に残っている。2月頃には真っ白だった雪捨て場の雪山も、この頃には薄汚い。何か黒い粉末を巻いて融かそうとしているのか自然の汚れなのかは不明だ。

ただ、こういった雪山の中をミニカーみたいなサイズで走りまわるダンプカーは、とても見ていて興味深い。

除雪と排雪

旭川 雪の除雪

除雪と排雪は違う。

うちの周辺で見たパターンでは、雪をダンプ的な重機で押して、端っこに積み上げて道路を平らにしてくれる作業が除雪。これは、雪が一定量降るとやってきてくれ、夜中とかにやってくれている。
これも、まるで巨大なロボットのようにかっこよく、真夜中に煌々とライトを照らし、真っ白な雪の上を真っ赤な除雪車が勢いよく動き回るさまは、とても見ごたえがある。私などはついついカメラを向けてしまう。

排雪は、家の周辺ではここ3年間、2月の頭頃の1日だけ、来ている。
まずは除雪のときと同じような重機で、このときはなるべく地面の固まった雪を壊す感じで掘り起こしてくれる。

旭川 雪の排雪

そして端に寄せた雪の山を吸い上げる別の機械がやってきて、荷台を空にしたトラックに飛ばす。トラックは雪が山盛りになると、どんどん運び去る。荷台を空にしたトラックは道路を埋め尽くすほど渋滞してスタンバっていたので、この作業も圧巻だった。

旭川 雪の排雪2

そして排雪が終わった後の道路は広く、うっすらアスファルトのグレーが見えるほどに雪が剥がされ、壁はこんなにも高くなった。 この壁の向こうは公園だし、境にフェンスもあるからこのように雪の壁を残しているのだろう。街なかだとそうは行かないし、道路の重要度によって排雪の入る回数も異なっているようだ。

除雪に関するその他いろんなルール

なんセンチ雪が降ったら除雪車が出動する、とか、この業者がこの地域を担当する、とか、破損などあったらどこにクレーム言う、とか、お年寄りなど助けが必要な世帯に対する支援とか・・・これでもか、というくらいいろいろと細かく決まっていることには驚かされる。
さすが雪国。ざっくりいうと、市の税収1500億のうち、25億を雪の処理に使うくらい、旭川にとっての「雪」の存在感は大きい。

といっても、もろもろのことは旭川市のHPにも書いてあるし、毎年冬の前に、わかりやすい案内が広報を通じて全戸配布されるので安心。

広報「あさひばし」2019年11月号より
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/700/723/724/d068030_d/fil/page3-6.pdf

旭川市民の合言葉?「寒さは良いが、雪はいらない」

私の周囲の旭川市民が良く口にする言葉だ。「寒さは良いけど、雪はいらない」。
私などは、ちょっと雪がかわいそうに感じ、「でも…」と言いたくなるが、多くの人がそう言い切る。

2020年は記録的な雪不足で、札幌でもスキーの国際大会が中止になったり、日本中でも多くのスキー場がクローズのままで1月が過ぎた。
「スキー場大変だね」「スキー授業できない小学校もあるんだってね」と同情しながらも、「いや、それでももうこのまま雪ふらんで終わってほしい」と切実にしゃべっていた。

つい先日、自然と融合した家を建てる建築家と喋る機会があった。旭川には自然があっていいですよね、とお互い話した流れで、「雪かきも心が和みますよね」的な発言をしたら「いやいや、雪だけはかんべん」と大否定されて、驚いたことがあった。そんなにみんな、雪がイヤなのか。

確かに「北海道」と一口に言っても、雪が多いところと、全然無くて寒いだけのところがあるのだ。南側(太平洋側)の苫小牧に昨年末行ったときも、まったく無かった。旭川はやはり、かなり雪が多いところなのだ。

一方で「雪の多さ、それこそを旭川のアイデンティティにしてこうや!」という声もたまに見かける。

別ページでは、私がなぜ雪かきを苦痛と思わないのか、の考察も含めて、ポジティブな意見について書いてみたい。