初心者のための登山とキャンプ入門

北海道での雪かきのはなし#1
-どこまでやればいいの?編-

旭川 道路わきの雪

旭川といえば、なにげに豪雪地帯。 寒いということはうすうす知っていましたが、さらに雪も多いとは。
そして、家を探すときから懸念していた「雪かき」。こっちの人は「雪はね」ともいいますが、暮らしてみてどうだったのか。3回の冬を体験して知ったことを、お伝えします。

道民は雪かき初心者にとてもやさしい

一番に印象深く、おどろいたことは、「北国初めてです」っていうと、すごい、道民のみなさんが心配してくれること。

あえて自分から「内地の人です」ってアピールするわけではない。おしゃべりする機会があって、なにか質問したり感想を言ったりすると、「あれ、旭川の人じゃないの?」「はい、去年引っ越してきました」「え、じゃあ雪国初めて?」「そうなんですよ~」という流れになる。それが冬だと、「えらい大変なところに来ちゃったね~、大変でしょう、大丈夫?」と、すごく気遣って(同情して)くれる。

正直私としては、そんなに大変かな?満員電車乗るほうが大変だよ?と思うのだけど、本気で同情してくれている様子。そして屋根に乗って雪庇を落としたりカーポートに上って雪下ろししようもんなら、すごく驚かれて「若いのに働き者」「なれないことして頑張っている」というような感じで、褒められる

雪かきは、難しくは、ない

雪かきは難しいことは何もない。だって、普通におじいちゃんおばあちゃんがやっていることだから。体力が無くてもできるかどうか?はい、できます!だって、みんなやっているし。しかし、「めんどうか?」と聞かれたら、はい、ほぼ100%の道民がそう答えるのではと思う。

そして「大変と感じるかどうか」は、家のロケーション(いらない雪を捨てる場所があるなど)、状態(カーポートがあるなど)、自分の時間的余裕(毎朝決まった時間に出勤など)・・・によるのだと思う。

緊張して迎えた1年目

家探しについて書いたページにもあるように、すでに旭川在住の不動産屋さんの営業マンはこういった。「雪かきは、溜めちゃうと大変なんですよ。毎日15分やれば、大して大変じゃない」と。

「そういうものなの?」と、住んでからできた道民の友達に聞いた。
「毎日やったって15分で終わるかあ?2時間かかるときもあるよ!」というように、皆一様に、「確実に大変」「うんざり」という回答だった。これに関してだけは「運動にもなって、良いよね」とか、ポジティブに捉える意見は皆無だった。雪かきへの不満は言っても言い足りない、というふうだ。

秋も近づき、内地の親戚にそんな道民友達との会話を伝えたら、良いアドバイスをくれた。
「玄関に、長靴と手袋と長いジャンバーコートを一式、全員分、用意しておくんだよ。そして、冬は15分全員で早く起きて、まだ目が開くか開かないかくらいの状態でバッと着てとりあえず外に出る。子供も大人も全員で雪かきする。それを何も考えず日課でやる!」と。親戚は漁をしていて夜明けとかに出ていくこともあるから、そこからの知恵だろうと思う。

それ良いね、そういうふうに何も考えず、イヤとも思わず日課にする、そうすればやってけそうだね、そんなふうに話して冬を待った。

雪が降るまで

秋になると「雪虫」なるものが飛んで「これはあと1週間で初雪来るね」とか言うと、いよいよか、と身構えた。

その頃から「どさんこワイド」というニュース番組を見る習慣があったらあったら良かったのだけど、道民の生活にとってどさんこワイドがいかに重要であるかをしっかり分かったのは、3年目の冬だった。 どさんこワイドは札幌のニュースが多いけれど、全道の気温だけでなく、「何センチ降るか」「雪かきが必要そうか、どうか」などまで言及してくれていた。

初めての雪を迎えるに当たりどさんこワイドから情報収集をしていなかった私の情報源は近所の友だちだった。「初雪早いね」「根雪になるかね」「ブラックアイスバーンなってたね」そんな話を聞くたびに、それがどういうことなのか、興味津々だった。
「根雪(ねゆき)」になると、春までアスファルトは見えないという。そんなことがあるのか…。そして雪が降るたび「このまま根雪になるんだろうか?」「このまま冬に突入な感じなの?」と、日々雪への疑問についやした。

実際は10月後半から雪が降り、降っては融け、降っては溶融けを7-8回くらい繰り返してから、いつの間にかやがて融けなくなった。

雪かきの第一印象とその後

実際、なにも大変と感じなかった。拍子抜けしたくらいだ。みんながよくよく言い聞かせておいてくれたかも知れない。毎朝15分全員で早く起きて、雪かきする必要もまるでなかった。
まだ道路がまるで無くなるような、ドアが開かなくなるような、ひどいドカ雪を経験していないかも知れない。

はじめに書いたように、根本的には、上にも書いたように家のロケーションや状態、時間的余裕などのいろんな要因によるのだろうけど、3回目の冬を迎えたけど、いまだに雪かきがイヤだとは思ったことが無い。

むしろ「人間の生活」にとって、すごく貴重な時間を提供しているのではないか、とも感じているし、高齢者の健康維持や隣近所というコミュニティとの関わり、という面でも役立っている気がしている。
たとえば、どこでもドアがあれば、オフィスワークで疲れた人を10分間、雪かきさせてあげたい。そうしたらスッと心の健康を少し取り戻すような。なんか、そういう効果があるような気がしてならない。このことはまた別の機会に書きたい。

すごく混乱した1年目

ただ、わからなかったことはいっぱいある。

本当にわからなかったことは、「どこまでやればいいのか?」っていうこと。
となりのおじいちゃんは、家の前の道路に雪がまったくなくなる(平らになって、踏んでも凹まない、運ぶ雪はない)くらいまで、雪かきをやる。たまにうちの前の車道までやってくれる。すっごくきれいにやる。なので見かけると、私も申し訳ないので、出ていって慌ててやる。

「ほっといちゃだめなんだろうか」、「仮にほっといたら、どうなっちゃうんだろうか」と思いつつ、みんなの様子をさぐりさぐり、過ごした。

除雪命、のおじいちゃんの存在

めっちゃ除雪をする人は、となりのおじいちゃんだけじゃなかった。住宅街を歩いていれば、チラホラみる。なんであんなにやるんだろう。でもある時、友だちが発した一言に納得した。
「除雪おじさんっているよね~」「冬だけ、見かけるよね~」「そこまでやる?ってくらいやるよね~」「除雪命ってかんじだよね」…

なんだ~。やっぱりみんな、不思議に思っていたんじゃん。でもきっとそういうもんだと思って見慣れていたから、会話に出なかっただけかな。
そう。たぶん、ものすごくきれいにやる人は、半分「趣味化」しているんだと思う。と分かったところで、納得できた。「あの人は、やりたいからやってるんだ」と。

どこまでやればいいの?~公共スペース~

実は、3回目の冬を迎えた今でも、「どこまで雪かきをするべきなのか」はよくわからない。ただ言えることは、「広範囲がんばると、我が家だけでなく、通行人や来訪客が助かる」ということ。だから、時間のあるシルバーの方々は頑張ってくれているのかもしれない。

例えば、我が家の目の前の道は、歩道も入れれば、車が3台位は同時に並んで走れるくらいの道路幅があると思う。雪が降って真っ白になると、車道のアスファルトも歩道のタイルの模様も隠れて段差もなくなって白一色になるから、とても広く感じる。

しかし、だんだん除雪車が除雪してくれる雪が片側に積まれ、1台しか通れないくらいの狭さになってしまう。そんなとき宅配便の車が来ると、道を塞いでしまう。もし仮に、除雪車が通るスペース以外に雪かきをして場所を作っておけば、宅配便の車はきっとそこに留めるだろう。その方がみんな、助かると思う。
だからといって、一本道になっちゃうくらい雪が溜まっていても、だれに文句を言われることもない。(完全に私の肌感覚だが、旭川の人はあまりギャーギャー騒ぎ立てない気がする)

逆に、ちょっとした通行の多い通りに面している家の人々なんかは、早朝からせっせと雪かきをしている。

そういう方の多くは、歩道の部分の雪も、どけてくれている人が多い。雪をどけてくれていると、雪があってもふつうにスタスタ歩けて、歩きやすい。
雪をどけていないと、フカフカの雪の中をソロリソロリと歩くことになり、時間がかかる。靴の中に雪が入るし、靴が濡れてしまう。ズボンの裾も濡れてしまう。

さらに時間が経ってボコボコに固まったなった雪の上は、歩きづらい。足首がグネリンとなり、両手でペンギンのようにバランスを取って歩かないと転びそうになる。

旭川 通りの雪の山

そんな理由からか、学生の通学路になっている道に面した家の方々は本当に一生懸命やってくださっている。
雪が降ると、そういう通りにはあっという間に歩道と車道の間だあたりにポコポコと雪の山ができて、車は1方通行でゆずりあう状態になる。

自分の敷地内に降った雪は外に出してはいけないけど、こうやって積まれるのは歩道の雪を集めたものなんだろう。死角だらけになって視界が悪くて運転しづらいけど、そこは「ゆっくり走ればいい」っていうかんじになる。

どこまでやればいいの?~玄関前~

自分の家に関係する部分に関して言えば、最低限、ドアから外に歩いて出る部分と駐車場部分の雪かきが必要だ、と理解している。
玄関までの道は、ぶっちゃけ細くてもいいと思う。ただ、全くやらないと、上に書いたのと同じで歩くたびに靴に雪が入るから、スコップの幅一筋くらいはやっておいたほうがいいんだろう。でないと郵便物を届けに来た人とか、訪ねてきた人がかわいそうだ。

「そんなに雪があるならみんなブーツやら長靴を履いているんだろう」と思うところだけど、実はそうではないのが驚くところ。サラリーマンなんか、普通の黒いビジネスシューズか、ちょっとくるぶし上くらいまである靴を履いているだけだし、学生さんなんて普通の靴履いている人もいる。

基本的に車社会だから、駅前に努めに行く近所の人がヒールっぽいの履いている人も見たこともあるくらい。

旭川 玄関前の雪かき

3年目の我が家の玄関の現在はこの「最低ライン」の雪かき状態になってしまった。出口が完全にスロープになっている。まもなく転ぶ人が出てしまうかも知れないと気になってはいる。

半数以上の人の玄関は、タイルが見えるか見えないかっていうくらい、キレイに雪かきしてある気がする。

どこまでやればいいの?~駐車場~

自分ちの駐車場なら人に迷惑を掛けないからいいのだけど、やはりボコボコのまま放置してそれが固くなってきて激しい凹凸ができると、当然ながら、駐車したり、車の乗り降りのときにめんどくさい。

まず、足首がグネリンと捻挫しそうになる。しかもボッコボコに固くなった上で雪がサラっと積もると、ボコボコが隠されて、転ぶリスクが増えて危ない。
そして放置したあげく変な傾斜ができたりワダチにスッポリはまっちゃったりすると、タイヤがウィーンって空回りしたりして出られなくなる可能性もある。
そうすると、最悪のケースで一旦だれかの別の車に引っ張って救出してもらわないと出られなかったりする。

もっと困るパターンで、車で引っ張るような十分なスペースが前面にない場合には、スコップで掘ったりタイヤの下に毛布を敷いたりして、車を出さないといけない。そんなところが近所の住民に見つかった場合、助けてもらう流れになって迷惑をかけることになる。
実は私もそういう人を助けるのを手伝った経験があるので、自分ちの駐車場はしっかりやるようにしている。

車がスタックしたときの話は、くわしく「北海道の雪道運転で大変だったこと」のページで書いています。

あと、勝手口から倉庫までとかもどかしておかないと、倉庫にダンボールを置きに行くときとか、扉に雪が挟まって扉が閉まらなくなり、めんどくさい。 極寒の下でドアの間に挟まった雪を取り除かないといけない羽目になったりする。

だから移動する部分には、フサフサした雪はない方がいい。サンに雪が挟まってドアがガッチリ閉じないときもめんどくさい。

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