初心者のための登山とキャンプ入門

9月の富士山登山

具合が悪くなる人

初心者を連れての富士登山

2008年9月、会社の友人を富士登山に連れて行くことになりました。マイカー規制と混雑を避けたので9月になりました。

マイカー規制とは、夏場一定の時期に登山口付近が混雑して駐車ができなくなるため、ある場所からシャトルバスに乗り換えて登山口までいくというものです。
マイカー規制については下記リンク先で詳しく書いています。

トイレの問題

今回は普段山に登らない友人を連れていくのにすっかりトイレのことを忘れていた。9月の山小屋が閉まった後ではトイレすら開いていないのである。

普段の山では、動いているせいか、ふつうの生活よりもトイレに行く回数が極端に少ないし、いざとなったら木の陰に隠れてすませられるし、以前の富士登山でもトイレには行かなかった。
しかし富士山5合目登山口より上には木がなく人が多いうえに見晴らしが大変よく隠れることはむずかしい。

友人はガッツのある女子だが、さすがに10時間以上トイレをガマンしてくれというのはかわいそうなので万が一の秘策を考えていった。
用意したものは小さめの折りたたみ傘とテントのフライシート。ない人はツエルトと呼ばれる簡易テントや、あとは自転車カバーなんかどうだろうか。使用方法は、折りたたみ傘をさしてしゃがんだ上にシートをかぶせて他の人が足でスソを踏むなり石をおくなりして下から吹き上げる風でめくれないようにするだけだ。

アライテント スーパーライト・ツェルト1
アライテント スーパーライト・ツェルト1

処理は、たとえトイレットペーパーであっても持って帰ろう。水に溶けるというが景観の問題だ。本来は出したものも持って帰るべきという声もあるが、私は友人に埋めてくるよう言ってしまったが。高山ではバクテリアも少ないため腐って土になる、ということは考えない方がいいのだ。だからみかんの皮も捨ててはいけない。すべての持ち込んだゴミは持ち帰るのがルールだ。

ちなみに私は下山までトイレに行きたくはならなかったが、基本富士山は山小屋が開いているときにいくのがベストだろう。

富士宮ルート

富士登山の地図 富士宮ルート
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今回は普段山に行かない友人と行くので、歩く距離の短い富士宮ルートにした。

このルートは出だしから富士山の大きな斜面をみながら、天気が良ければゴールの頂上の建物を見ながら登れるので結構好きだ。それに「人生で一度くらいは富士山に登りたい」という人が大半なので、それなら是非とも「頂上まで登った!」って言ってほしいじゃないですか。
それに富士宮口は、5合目までのスカイラインも無料だし、天気が良ければ海も見えるらしい。

富士宮ルートについては下記リンク先で詳しく解説しています。

装備と持ち物

9月というとかなり涼しい。頂上に至っては寒い。冷えるとテンションが低くなるだけでなく運動機能も鈍るから要注意だ。友人にはジャージのような化繊のズボンとスポーツ用などの化繊のTシャツ、ウィンドブレーカー的なもの、厚めの靴下2枚と運動靴、防寒着の持参を指定した。

私の方で用意したのは、人数分のヘッドランプ、上下に分かれるカッパ、軍手、それから共同装備で、具合が悪くなったとき体を風から防ぐ用にテントのフライシート、下に敷くロールマット、それから折りたたみのストックを1本用意した。
あと足首やひざを痛めた時のテーピングやファーストエイドはあった方がいい。本当は靴はトレッキング用が良いのだが、さすがにそれは貸せる分だけもっていない。

ズボンやTシャツはやはり濡れても冷たくない化繊がいいだろう。最近のルームウェアなんかは腰履きが多く、小さなTシャツだとおなかに冷えた空気があたる。友人はそれをはいてきておなかをこわしたようだ。
また、底がぺったんこの運動靴を履いてきてさかんに「アキレス腱とふくらはぎがいたい」と言っていた。トレッキングシューズは下りでもとにかくダンゼン楽なのはもちろん、かかとに程よい段差があるから登りでも違いが出るのだ。

荷物に余裕があれば小さな鍋とコンロ、水と粉スープやココアなどを持っていくと体が冷えた時にあたたまれてうれしい。小屋がやっていないとなるとなおさらだ。

行程

2008年9月12日(金)夜10時に都心を出て13日(土)に登るという計画にした。高速道路を下りて富士山スカイラインに入る前に下山までのすべての食料を買っておく。車なら水を多めに積んでから出かけると安心だ。

5合目駐車場は夜景や日の出を見に来た人でうるさいので、少し下の駐車場でテントを張って仮眠を取る。高鉢駐車場には30台くらいのスペースがありトイレもあるが、そこではない別の広場があったのでそこにテントを張った。トイレはなかった。

早朝5時くらいに起きて5合目へ向かう。まだ暗い。途中数台の車にしか会わなかったが登山口に着くと車であふれかえっていた。駐車場の看板があった。上の方は輪になっているのでぎりぎりまで空きスペースを見つけて進める。

新五合目駐車場案内

裾野左手には山並が。なんの山だろう。

五合目からの眺望

駐車場には仮眠を取って朝を待つ人が。テントもあった。

仮眠をとる人

日の出を待つ人でにぎわう。

日の出

逆光でうまく撮れなかったが朝焼けはきれいだ。

日の出

登山口には案内図と目安の時間が書いてある。標高2305mの吉田口五合目との差は95m。

表口看板
案内図

登山口入ってすぐのところ。この付近のトイレのみオープンしていた。チップを払って、ぜひ入ろう。

9月の富士山の様子

道は火山灰や溶岩のかたまり。視界が効いていればロープが付いているので迷うことはない。9月、山は秋なのでオンタデなどの植物が紅葉している。富士山の上部にまだ木は生えていない。富士山は新しい火山なのだ。

9月の富士山の様子

6合目の山小屋「雲海荘」はオープンしていた。お土産も売っている。

山小屋の看板

道は、ブルドーザーで平らにされた部分もある。やはり9月は登山客も少ない。

頂上への道

やはり8合目で具合が悪くなった。

風の当たらない場所でビニール(テントのフライ)をかぶり暖かい飲み物を飲んでしばし睡眠をとる。8合目は具合が悪くなるかどうかの境目の人が多い気がする。
友人はこの後回復したが、本当の高山病になった場合は下山する以外に解決する方法はない。睡眠をとると脳の酸素が不足し、高山病が悪化する場合もある。

具合が悪くなる人

頂上付近。空と山の堺にあるのが頂上の建物だ。山の天気は変わりやすいとはその通りでこのころには曇り空に。

富士山への道

鳥居を過ぎて小屋を見送ると噴火口が。この巨大さは見ごたえがある。町からは穴までは見えないしね。向こうには今はドームのなくなった富士山測候所が。
本当はあの辺が「剣ヶ峯」といって本当の本当の頂上だけど、意外に遠かったりする。友人には穴を見たら頂上ってことだけ伝えよう。

頂上と観測所

山頂では風が強かったのですぐにカッパを着る。体が冷える前に着るのが鉄則だ。風をよける店も当然閉まっている。頭まですっぽりかぶってしっかり軍手をすれば風とガスが出ても安心感がちがう。その後ふたたびテントのフライをみんなで頭からすっぽりかぶって、中でお湯を沸かしてカップラーメンを食べた。

頂上富士館

下り始める前に靴下を2枚はいて靴紐をしっかり締める。このほうが足の保護になるし、靴の中で足がずれたり前に足が滑ってツメを傷めたりしづらいとおもう。
下る頃にはガスが。一寸先は見えない。

一寸先は見えない

8合目で体調回復のために時間をとったせいか、6合目まで下る頃にはヘッドランプを出すことになった。使うとは想定していなかったが人数分もってきてよかった。

その後町におりたら温泉に入り夕食を食べ、深夜割引の効くころに高速出口を出て解散した。東京からの往復であったがガソリンを含めても一人3千円ですんだ。

富士登山のポイント

富士山登山はなかなかイベントとしても盛り上がるし単なるドライブや旅行より濃密な思い出ができてかなりたのしい。前述のように登れる敵期はかなり短いので(7月すぐは梅雨が残ってたり雪があったり。9月は小屋もトイレもない。)、行くと決まったらすぐに日にちを決めて行こう!

適当な格好で来ている人もいるけど、しっかりした装備で行った方がたのしいに決まっている。このときも、友人は予備で持っていったストック使うことになり大変心強かったそうだ。

特にリーダーは具合が悪くなった人のために準備をしていくことも大事だ。
また、息が切れないくらいの速さでゆっくりゆっくり歩くことが具合が悪くならずに登頂できるポイント。そのために時間をかなり多めに用意しよう。結局この日も下山まで12時間を山中で過ごした。

あと大事なことは、元気な体で登りはじめること。十分な睡眠、疲労がたまりすぎていないこと。疲れて食べれなくなる前に食べること。ぜひたのしい富士登山をたのしんでください。