初心者のための登山とキャンプ入門

富士山と噴火 -ヘルメットは必要?-

ヘルメットを被った富士登山者イラスト

富士山は噴火するのか、しないのか。
様々な予知が飛び交う中で、自分がこの夏に富士登山するかどうかを、どのように決めたら良いのでしょうか。

「富士山はいつ噴火してもおかしくない火山である」ということは確かですが、その噴火はこの夏なのか、50年後なのか。少ない情報でただ避けたいと思うと噴火が終わるまで登れない事になり、それはいつかも分からないし噴火のあとに再び登れる日が来るのかどうかもわかりません。

このページでは、漠然とした不安ではなく冷静な判断材料になるように、富士山と噴火をとりまく動きについて具体的に紹介しています。

最近の火山事情、火山の仕組み

最近の火山事情

2014年9月27日に御嶽山で起きた噴火の際には、死者・行方不明者が63人にのぼる大災害となりました。この山が日本百名山にもなっている有名な山であり、手軽に登れる人気の山でもあり、さらに、まさに登山シーズン中での出来事であっただけに驚きも大きかったと思います。亡くなった57人の大半が噴石による損傷死が原因だったようです。

2015年4月26日からは箱根の大涌谷で火山性地震が発生し、5月6日には噴火警戒レベルが2に引き上げられ、さらに6月30日には小規模な噴火が確認されたためレベル3に引き上げました。箱根も有名な観光地だっただけに、また、富士山や関東に近いことから人々に衝撃を与えました。

2015年5月29日には鹿児島県の口永良部島の新岳が噴火し島民137人が島外避難しました。最高レベルであるレベル5(避難)が出されたのは、”噴火警戒レベル”が導入された2007年以来初めてだったようです。

このように最近では連続的に噴火が起き、夏の富士登山シーズンを目前として最も関心の高いニュースになっています。

2017年の富士山はどうか

箱根が噴火警戒レベル3(入山規制)に上げられた2015年6月直後に登山シーズンを迎えた昨年の富士山では、年間登山者数が前年に比べて約5万人減となりました。関係機関によると団体ツアーのキャンセルが多かったようです。しかし富士山は噴火せず、夏が終わる9月には噴火警戒レベルも2に下げられ、11月にはさらに1へと戻りました。

1はすべての活火山がつく最低レベルの”活火山であることに留意”です。しかしながら熊本地震も長引く今、人々の自然災害への警戒や緊張感は維持されているように思います。昨年ほどの富士山噴火説ブームはありませんが、常に活火山である事を忘れずに最新情報をチェックする姿勢を持ちたいものです。

火山とは

火山とは、地形を指す言葉です。地殻の奥底にあったマグマが噴出することによって出来た山の事を言います。このマグマ等が地表に出ることを噴火といいます。

活火山とは

火山の中で、現在噴火しているか、過去1万年以内に噴火した火山を活火山と定義しています。その定義に当てはまる活火山は、日本では110です。この定義はいわば管理のための区分けであり、度々見直されてきました。例えば1950年では77火山が選ばれており、それ以外の火山は休火山や死火山とされてきたわけです。

火山活動はものすごくスパンが長く人間の記録だけでは計り知れません。なので「この110火山以外は噴火しない」と断言しているわけでもなく、記録や噴出物などの調査から、「この110火山がアヤシイから要チェックしておこうね」というようなイメージだと思います。

噴火の種類

噴火する仕組みは3つあります。

  1. マグマ噴火(マグマが出てくる)
  2. 水蒸気噴火(マグマに熱せられた地下水が気化して膨らんで爆発)
  3. マグマ水蒸気噴火(マグマと水蒸気の両方が出てくる)

マグマ噴火が起こる際は地震が起こったり山が膨らんだりするので比較的予測しやすいですが、2014年の御嶽山の場合は水蒸気噴火でした。兆候が見られたのは噴火する直前で、噴火警報の発表が間に合わなかったそうです。

国の火山対策と予知

24時間みはられている常時観測火山

110活火山のうち、さらに47火山は「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として24時間体制で「火山監視・情報センター」が見張っています。
①100年以内の間隔で噴火を繰り返している ②過去の活動履歴から噴火の可能性が高い、などに該当する火山が選ばれています。富士山もこの47火山のうちの一つです。

常時観測火山 47

噴火警戒レベルとは

47の常時観測火山のうち、さらに30については5段階に分けられた”噴火警戒レベル”を運用しています。登山者に対して入山規制が出されるのはレベル3以上です。

富士山もこの30火山のうちの一つであり、は現在の噴火警戒レベルは1となっています。

レベル キーワード 対応する警報等 火山活動の状況 避難行動などの目安
5 避難 噴火警報 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫した状態にある。 危険な地域ではすべての住民が避難する。
4 避難準備 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される(その可能性が高まってきている)。 災害時要援護者は避難する。危険な地域ではほかの住民も避難の準備を行う。
3 入山規制 噴火警報
(火口周辺警報)
居住地域の地殻まで重大な影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予測される。 住民は通常の生活。状況に応じて災害時要援護者の避難準備等。登山者は入山規制など。
2 火口周辺規制 火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予測される。 住民は通常の生活。登山者は火口周辺への立ち入り規制など。
1 活火山であることに留意 噴火予報 火山活動は静穏。火山活動の状態によって、火口内で火山灰の噴出動画見られる。 住民は通常の生活。登山者へは特にないが状況に応じて火口内への立ち入り規制など。

この30の火山については、個別に詳しいリーフレットが作られています。

富士山については、たとえば噴火しそうな時や噴火が始まったらすぐに避難が必要な範囲などが地図上で示されています。私達が歩く五合目以上は火口に限りなく近い範囲なので富士登山をする上では特に役立つわけではないですが、それぞれの警戒レベルの噴火が過去ではいつどんな状態で起こったかなどはイメージを沸かせるのに良いでしょう。

どんなふうに監視をしているの?

この図は富士山に配置されている観測点の図です。右下に凡例がありますが、■などのマークは観測するシステム名、( )にはそれを所持している機関が記されており、国の機関だけでなく大学の研究所などもあります。富士山は国の最高レベルで監視されているのです。

富士山の観測点
  • 地震計
  • 遠望カメラ(噴煙の高さや噴火の種類など表面的なものを見る)
  • GNSS観測装置(衛生信号を利用し火山近くの地殻の膨らみや収縮を測量)
  • 傾斜計(マグマの膨張や収縮で起こる微小な傾斜の変化をキャッチ)
  • 空振計(噴火等での空気の振動をひろう)

誰が予知をしているの?

誰もが一番関心があるのは、いつ噴火するのかを知りたいということだと思います。最近では火山学者が噴火を予知する本を出版したりテレビ出演するのを見かけますが、じっさいに国ではどのようにやっているのでしょうか。

これには、気象庁が事務局をつとめる「火山噴火予知連絡会」が取り組んでおり、学者や専門家、大学研究機関などが集まって年に3回定例会が行われています。噴火が多い最近では頻繁に連絡会が開かれています。
上の図で紹介した観測機器で集めたデータを元に、注意を要する火山について異常な動きが無いか確認をしています。

この会議で配られた詳細な検討資料はだれでも見ることが出来ます。専門的ではありますが、かるくでも目を通してみるとマスコミの一言一句に踊らされる感が少し減る気がしています。

御嶽山は予知が出来た?

北海道大学の岡田弘名誉教授(火山学)は御嶽山の噴火の前には明らかな予兆があったと指摘しています。水蒸気噴火は難しいとはいえ、2週間前から群発地震が増加していたのに気象庁は噴火警戒レベルを上げず、自治体も観光地であることを優先してか対策を打たなかった、との指摘です。
この点について気象庁は、”噴火警戒レベルの変更については検討したが、地殻変動を伴わなかった(山の表面が膨らむなどの地下からマグマが上昇してくるようなデータが無かった)のでしなかった”と説明しています。

岡田名誉教授の指摘が話題になった理由のひとつには、2000年の北海道・有珠山の噴火の際に噴火を指摘して犠牲者を出さなかったという実績があるためでしょう。有珠山も同じく観光地なのでこういったネガティブな情報の公開は疎まれるなか、ハザードマップを作り、地域への勉強会を開き、自治体と協力して防災体制を整えてきたそうです。

そんな中での予知を自治体も優先し、噴火の2日前には1万人を避難。観光地でありながら犠牲者を1人も出さなかったことから火山噴火史上の”奇跡”と言われたそうです。岡田名誉教授は、日本全国ひとまとめの管理ではなく、現地専門の火山研究者を置くなどの火山対策の見直しを訴えています。

御嶽山の犠牲は気象庁のせい?

上の文章を読んで「気象庁が正しい情報を伝えないなら、どんなに観測しても気象庁職員の判断に委ねられてしまうのでは?」と不安に思った方も居るかもしれません。確かに気象庁が噴火警戒レベルを上げないで「1.平常」のままにしておいたことについては大きな非難を受けていますが(噴火警戒レベルを上げなかった理由についてはリンク①の19ページに書かれています)、決して観測してわかっていた異変を公表しなかったわけではありません。

具体的には、9月27日に噴火した御嶽山の火山性地震が増え始めたのは9月10日。火山性地震はこの日だけで52回、翌日11日に85回。気象庁はこの日(11日)ホームペ―ジで山頂付近で火山灰が噴出する可能性があるとして警戒を呼びかけました(リンク②参照)。もちろんホームページだけでなく地元自治体にも提供しましたし、地元のNHKニュースでも流れました。
しかし、それを異変と捉え外部に発信するかどうかは自治体任せになっており、登山者への警戒を呼びかけるなどのさらなる対応を求めたりはしなかったようです。

いつ噴火するかがわからなくても、すくなからず登山者はこのように公表される情報を事前にチェックすることで登山を中止するかどうかの判断をすることが出来るのです。

予知の難しさ

実は御嶽山は、2007年3月にも噴火しています。しかしこの時の小噴火の際には火山性地震だけでなく、マグマが活発に動いている指標である火山性微動が2週間前から出ていたのに、今回は噴火の11分前まで出なかったようです(前項リンク①19ページ)。同じ火山で、しかもけっこう近い時期の噴火でもこのように同じ予兆とは限らないのだそうです。

火山の予知の判断はあくまで”履歴”や”経験”によるところが大きいそうです。しかし火山の数が多い割に噴火の発生頻度が低い日本ではデータも少なく、予知はたいへん難しいとのこと。さらに、実際に噴火を経験した気象庁職員も限られ、火山の専門家自体も少ないという課題もあるのだそうです。

避難計画と噴火速報

大地震と噴火の関係は証明できていないようですが、統計からいえば関係があるのではと言われています。富士山でも、2011年3月11日に発生した東日本大震災の4日後の15日、静岡県東部ではマグニチュード6.4、最大震度6強の地震が起きました。 その後、富士山周辺では地震活動が活発な状態となりましたが、それは低下しながらも現在も継続しています。
しかしながら、特段の変化はなく、噴火の兆候は認められない、というのが現在の見方です(2015年6月15日火山噴火予知連絡会定例会)。

富士山の過去の噴火については、記録があってわかっている噴火もあるし、かと言って記録が無いから噴火が無かったわけではなく記録が欠落しているかもしれない、とも考えられており、正しいことはわかりません。

今一番騒がれているフレーズに「富士山が300年間恐ろしい沈黙を保っている」というものがありますが、これは最後に噴火した1707年の宝永噴火以降、富士山では噴火が起こっていないという意味です。たとえば、平安時代の約800年からの200年間には10回も噴火したのにこの300年間で0回だ、ということです。

しかしもっとスケールを大きく考えれば、富士山はここ10万年くらいという長い時間をかけてできた山です。「いつ噴火してもおかしくない」ということは言えそうですが、だからといってその”いつ”が自分がまさに富士登山しようとしているこの夏休み中なのか、この週末なのか、と不安になってみても10万年だとか300年だとかのスパンの中で想像してもサッパリ検討がつきません。

なので、いたずらに恐れるよりは、事前に調べ、冷静に備えをするしかないのではと思うのです。

万が一の避難計画

「もしも富士山が噴火したらこんなに広い範囲に灰が降って首都圏の交通機能がマヒする」などという解説をテレビでよく見かけますが、このような情報は下記のリンクで知ることが出来ます。

これは「富士山火山防災対策協議会」の資料で、噴火が起こった時の影響などをシミュレーションしてし対策を練っている機関で、静岡県、神奈川県、山梨県やさまざまな関係機関で構成されています。

降灰可能性マップ

会議の資料はウェブサイトで公開され、一般の人も見ることが出来ます。
富士山ハザードマップをもとに、噴火の火口ができやすいのはこのラインだとか、溶岩流だったら○時間で広がる範囲はここだ、などの想定をした解説が載っています。

専門的な資料になりわかりづらい部分も多いですが、ページをめくっていくと上のような地図がたくさん出てきますのでそれを眺めるだけでも参考になると思います。

現場ではどのように情報は流れるのか

上記の避難計画によると、噴火などの兆候が確認された時に登山者に直接情報を伝えてくれるのは山小屋ということになっています。県から市町村、そして山小屋組合に連絡が入り、連絡網等を通じて各山小屋へ伝達されます。
そして登山者へは、立て看板や呼びかけにより情報が伝えられます。さらにこの避難計画に基づいて、現場では噴火をイメージした避難訓練が行われています。

山小屋への情報伝達系統

自分から確認したい場合

山小屋は下の図のように、組合と呼ばれるグループに分かれています。緊急時は、市町村のどこの部署が伝える担当なのかが決められています。山小屋だけでなくもちろんウェブサイトなどでも公表されたり問い合わせ窓口が設置されたりすることになっていますが、自分から直接確認したい場合はそれぞれのルートの担当市町村に問い合わせるのも手だと思います。

また、この避難計画によると住民や登山者からの通報についてもそれを受け付けた機関がどこに報告するのかも決められています。もし異常を発見した場合はこの表の担当市町村でも良いですし、覚えやすいところでは警察に通報するのでも受け付けてもらえます。

緊急情報を伝達する担当市町村

噴火速報ができたら

気象庁では現在、”噴火速報”の準備を進めており、2015年8月上旬の運用を目指しています。これは携帯電話の速報メールなどを通じて火山の異常を知らせる仕組みです。

富士山に限らずですが、私達が雄大な景色や温泉を求めて観光に行く場所の多くは火山やその麓だったりします。しかし火山と意識して行っていない場合が多いので、このように知らせてくれる仕組みは大変に役に立つと思われます。速報の内容は、

  • 「噴火警戒レベル」が上がるほどの噴火が起こる
  • 静穏だった火山が久しぶりに噴火した
などの状況が起こった時に発表される予定となっています。

現在での最新情報ゲット先

噴火速報が勝手に送られてこない現在では自分からインターネットにアクセスして情報を得る必要があります。気象庁のウェブサイトでは常に最新情報を掲載しています。

気象庁ウェブサイト 噴火情報のページ

下のリンクをクリックすると現在噴火警報・予報が出ている火山一覧が表示されます。見たい火山を選んで表の一番左のリンクをクリックすると上のような詳細ページに飛びます。

「なにかあったらテレビやネットのニュースで流れるでしょ」と思いがちですが、そうとも限りません。せめて登山する山が火山である場合、家を出る前に一度くらいはチェックして最新情報をチェックするようにしましょう。登山は自己責任と言われます。今後は火山に登る人が火山情報をチェックしてから行くということを当たり前にしていくことが大切かなと思います。

ヘルメットは必要か

御嶽山の噴火を受けて、富士山の山小屋では、緊急時に宿泊客に貸せるヘルメットや防塵マスク、ゴーグルの備え付けを徐々に進めています。御嶽山の噴火の際も山小屋の主人が備え付けの50個のヘルメットを避難してきた人に貸与して無事救出した話は有名です。もちろんヘルメットのおかげだけではなく、誘導するタイミングなども適切だったためでしょう。

死亡された方の大半は噴石による損傷死だったことから富士登山にヘルメットは必須にすべき、という声がある一方で「ヘルメットなんかじゃ弾丸のような噴石を防げない」、「富士登山にヘルメットは似合わない」という声も聞かれます。
しかし、こう想像してみたらどうでしょう。自分があのとき山小屋に逃げ込んだ51人目でヘルメットが回ってこなかったら・・・と。とても心細いですよね。それに実際に富士山の山小屋でも宿泊客全員分の数を揃えるわけではないので「山小屋で借りればいい」というのは間違いです。

長野県では既に、過去の遭難事故が起こっている箇所をもとに「山岳ヘルメット着用奨励山域」を設定しています。この山域を歩く人は岩登りや沢登りじゃない一般登山者にもヘルメット着用を奨励しています。持っていない人には山小屋でレンタルも行っています。

富士山においては大きく滑落するような箇所は少ないものの、人為的な落石や転倒時の怪我防止にも有効ですので持参するようにしていきましょう。

ヘルメットは登山後も防災用として役立てることができますが、買いたくない場合はレンタルも良いでしょう。こちらのお店では、現地受取り・現地返却なら送料もかからずお得です。

また、両県で組織する”富士山における適正利用推進協議会”では、最低限必要な装備としてヘルメットに加えて防じんマスクも追加しました。

シェルター

かなりの頻度で噴火をしている桜島や、浅間山、草津白根山など12の火山では噴火が起こった時に避難する用のシェルターが既に設置されています(消防庁発表)。

シェルターとはどんなものかというと、コンクリートのトンネルのような簡易的なものが多いようです。既に世界遺産登録された富士山には構造物を新たに作ることは簡単なことではありませんが、静岡県では既に予算を計上し建設に動いています。

しかしながら景観もさることながら最大8000人が登る日がある富士山で全員分を設置するのかという問題や、費用と効果の側面、そして噴石には効果的だが溶岩流などでは効果が無いなど、現段階では調査中で課題が山積みでそう簡単には進まないようでもあります。
完成した際にはシッカリ場所を把握して登山に臨みたいものです。

実際に噴火が起きたら

御嶽山で亡くなった人の半数以上は噴火の写真を撮っていたという事実があるようです。まさか命に危険が及ぶような危険があるなどとは思わず、ただ珍しい自然現象を留めたいと思ったのでしょう。この心理は多くの方が理解できるのではと思います。
しかし噴火は、天然記念物の雷鳥や珍しいブロッケン現象などとは違って命の危険があり一刻も早く避難しないと危険です。この痛ましい事実から教訓にしていかなくてはいけないことだと思います。

噴火に遭遇した場合、具体的にはできるだけ噴火した点から離れる事が肝心です。その際に噴煙やガスに巻き込まれるのを避けるために風下や谷筋に逃げこまず、尾根を選ぶことが重要です。噴煙が上がっているようなら噴石や火山灰が降ってきますので、山小屋や岩陰に身を隠します。ヘルメット、帽子、タオル、ゴーグル、マスクなどがあれば頭部や口元を覆いましょう。

しかし全ては噴火のタイプによるので一概には言えません。たとえばダラダラとマグマが流れるような溶岩流であれば川のように低い方に流れてくるので、逃げるときにただ下に行くだけでなく高い方に向かいながら溶岩流から離れる必要があります。

また、このようなときのためにも、休憩の度に地図を見て自分が今どこにいるのかを把握したり山全体の概念図を頭に入れて登山をすることは役立ちます。

【 文中に記載のない画像の出典:気象庁 】