初心者のための登山とキャンプ入門

富士登山FAQ よくある質問・ぎもん

富士山でトレランをする人

富士山登山についてよくある質問やホントに知りたい疑問をまとめてみました。

一般的なことはわかったけど、情報が少なくて「実際はどうなの?」というところを問い合わせたり調べたりして載せてあります。経験からの個人的主観によるアドバイスも多いのでひとつの意見として参考にしてください。

水はどれくらいもっていけばいい?

買えばそれだけお金がかかるので、体力自慢の若者などは好きなだけ、例えば2Lや3L持っていけばいいと思います。
しかし初めて富士山に登るので体力が心配という初心者は、ムリをせずに「1Lを登山口から担いで登り、足りなくなったら山小屋で買い足す」というのがガイドブックなどが勧める教科書的パターンのようです。山頂では500mlのお水が500円位しますから、「それだったらホットコーヒを注文して暖かい小屋で休憩させてもらおう」という判断もあります。

私のパターンでは、富士登山ならだいたいどんな天気でも1.5L持って行きます。1Lはプラティパスのような軽い入れ物に「水」を入れて、あとは、行く途中のコンビニでその時の気分に合った500mlのペットボトルを買います。
だいたい、ウーロン茶かポカリか100%オレンジジュースです。それらはごほうび的にチビチビと飲みます。味の付いているものは飲みやすく、気をつけないとガンガン飲んでしまうので要注意です。ふだんはあまり買わないのですが、山で飲むジュースやお茶ってめちゃくちゃおいしいんですよね。

プラティパスの2リットル
Platypus / プラティパス 2

これまでの富士山登山では、だいたいこのパターンで水は買わずに帰ってきていますが、私はどちらかと言えば飲まない方で、個人差はけっこう大きいです。
高齢であれば意識して水分を採らないと血管が詰まる原因になるとも言われます。また、天気にもかなり左右されます。登山での水分補給不足は体調不良や高山病の大きな原因にもなりますからをケチらないよう気をつけましょう。

五合目(登山口)で水を汲めるの?

飲料水を五合目で無料で入手することは出来ないと思ってよいでしょう。

2013年7月に現地で確認したところでは、吉田口五合目公衆トイレの洗面台から水は出るのですが、 「この水は飲めません」 と案内が貼られていました。たしか2009年には書いていなかったと記憶しています。
これは昨今の富士山ブームによるトイレの混雑回避や水不足を意識してか、山に不慣れな人に対しての配慮か分かりませんが、とにかく、手や顔は洗えても 「飲めない」 という事です。

しかし普通の登山では、葉っぱの混じった沢の水や雪を溶かした水なども飲んだりするわけですから、このあたりの判断は個人に任せたいところです。ただ、オンシーズンの富士山ではいつでも売店で水を買うことができますからムリして飲む必要もないですよね。

節約したい場合は、自宅を出る時か、最後の駅のトイレで汲んでくるのがベターでしょう。「トイレの洗面所で水を汲むの?!」と思う人も居るかもしれませんが、これも登山者の間で普通に行われることです。

富士スバルライン五合目 トイレの洗面台
富士スバルライン五合目、男性トイレの洗面台。(2013年7月)

山小屋に宿泊したら水はタダで飲めるの?

夕食と朝食の時にお茶やペットボトルの水、パックジュースなどなにかしらが付いてくるパターンが多いです。水道がありませんから水を汲んだり手を洗ったりすることも出来ません。飲水が足りなければ購入し、手洗い用などはウェットティッシュなどで対応します。

とはいっても、私は山でウェットティッシュを使う事がほとんどありません。多分ふだん使う習慣が無い人は使わないのかな、という気もします。
女性の場合は化粧はしない場合でも日焼け止めは塗ると思いますので、そのために化粧落としシートがあると良いかもしれません。日焼け止めを塗ったまま寝るのはけっこう不快です。

山小屋

山小屋って予約した方がいいの?

原則予約が必要です。もし、泊る予定が無かったけど急に休みたくなった場合は、2-3時間程度の仮眠を随時受け入れている小屋もあります。「急に仮眠したくなったら」の項を参考にしてみてください。

山小屋に宿泊したらトイレはタダで使えるの?

小屋によって違いますが、「宿泊者は無料」「宿泊した晩は無料」「最初の一回だけ有料」などの決まりがあります。山小屋滞在中に、トイレを利用する度に200~300円払わなければいけないという事はないようです。

夜歩く場合、山小屋で食べ物を買えるの?

深夜営業している山小屋もあれば、21時ごろから翌朝の1時頃の山頂御来光出発組が発つまでは閉店している小屋もあります。情報も公開されていたり、されていなかったりと、まちまちです。「さあ、ここで食べよう、と思ったら売店が閉まっていた」、ではシャリバテに繋がりますから、深夜分の行動食はあらかじめしっかり持っておきましょう。 「山で温かいうどんが食べたい」などという希望があれば日中で予定しておきましょう。

急に仮眠したくなったんですけど

山小屋のHPには記載されていませんが、急な仮眠を受け入れている小屋がいくつかあります。

吉田ルート八合五尺の御来光館に問い合わせたところ、宿泊者が御来光に向けて出発した後の朝4時~8時までの間、2-3時間程度で1人3,000円で仮眠が出来るとのこと。夜中登山の計画で来たけどやっぱり眠気には勝てない!って時には、思いきって仮眠もいいですよ。

眠気に勝てずに、疲れていて空腹なのに、濡れたシャツを着たまま風を受けながら道の上で仮眠、なんてことは絶対に止めましょう。風邪をひくどころの話ではなく、山では「疲労凍死」という危険があります。低体温になって死に至ります。夏山での遭難死は多くは疲労凍死です。

ルート

一番短いルートはどこ?

富士宮ルートです。コースタイム、標高差、距離すべてにおいて一番短いです。急に高度を上げることから高山病リスクが高く、ゆったりと登る注意が特に必要です。

富士山 富士登山の地図
各ルートの地図は「プリントできる富士山の登山地図 PDF」にあります。

初心者にオススメのルートはどこ?

吉田ルートか富士宮ルートでしょう。富士宮ルートは思ったよりも早く頂上に到着する感があります。
ただ、下りでもうんしょ、うんしょと段差を降りる感じで、膝に負担がかかり、このルートでの事故原因のNO.1も転倒です。

反対に吉田ルートは、下山道をブルドーザーで平らにならしてくれているので初心者でも下りやすい感があります(道も広い)。個人的には、近くて空いていて初めから頂上が見える富士宮ルートが好きですが、下りのねんざや石を踏んでの転倒にはよくよく注意して欲しいです。特にうす暗くなってからの富士宮ルートの下山はやめた方が良いと思います。

平日、一日だけで登りたいんだけど

平日に1日だけ休みが取れたからそこで富士山に行きたい、と考える人は多いんじゃないでしょうか。
一般の行動時間のめやすは12-14時間と仮定して、可能かどうか考えてみましょう。

車であれば、前夜のうちに五合目駐車場に来ておいて仮眠、日の出とともに登って夕方には到着、というパターンが時間に余裕もありますね。
しかし2018年現在のマイカー規制では、これができるのは7/1~7/10の吉田ルートのみになります(この期間ほかの3ルートは開山されていません)。御殿場ルートはつねにマイカー規制がされていませんが、距離が長いため一日で往復するのは厳しくなります。

ではマイカー規制期間中に、前夜のうちに富士山パーキング(旧富士北麓駐車場)に来ておいて仮眠するパターンはどうでしょうか。
朝6:40の始発で北麓駐車場を出発、7:25に富士スバルライン五合目に到着。急いで準備して8時に歩き出し、素早く歩いて往復で12時間で戻ってこれれば20時下山。富士山パーキングまでのシャトルバスの最終便は20:10なので本当にぎりぎりですね。相当足に自信がないと、翌日が仕事ならチャレンジしにくいですね。

そもそも焦った登山は事故や高山病の原因になります。もし複数人いればなにかと時間が取られますし、初心者が一人でも居れば靴の履き方をチェックしてあげたり歩き方を教えたりするのに時間がかかるだけでなく、慣れないことに体調不良を起こすことも多く、想像した通りに行かないと思っておいたほうがよいでしょう。

以上は2018年の富士スバルライン五合目シャトルバスのダイヤに時間に合わせて計算してみました。
ダイヤは毎年変更されていて、ここ数年の傾向として早朝の登山便や夜遅い下山便は減らしつつあるようです。数年前までは五合目駐車場に車中泊したり早朝のバスで日帰り登頂したりできたのですが、世界遺産登録されて事故なども減らしていく管理をする必要上、ムリな登山はできないような流れになってきています。

もし、平日1日しか休みがないけどどうしても富士山へ行きたい、ということであれば、宝永山も雄大でおすすめです。また、富士山自然休養林といってたくさんのハイキングコースがあり、富士山上部にはない森の自然に癒されることができます。

お鉢めぐりはしたほうがいい?

お鉢めぐりは山頂火口をぐるっと一周できるコースで、所要時間1時間半、一周約2.5キロあります。雄大な景色が続き楽しいのですが、日帰りの人にとっては、下山のことも考慮すると一般的にキツイと思います。

  • 小屋泊りで時間的に余裕がある
  • 晴れて展望も良く風も強くない
  • 下るための体力も十分ある

この条件がそろったときに「行きたければ、行く」くらいでどうでしょうか。お鉢巡りをしなくても迫力ある火口を見ることはできます。

ちなみに、火口は直径約600m、深さは約200m。八つのピークがあります。一周といってもアップダウンがいくつもあることを忘れないでおきましょう。

「一周はキビシイけどちょっとくらい歩きたい」という人には、例えば富士宮ルートを登って、時計回りなら1時間、半時計回りなら30分お鉢巡りを楽しみ、その後吉田ルートを下る、という作戦もあります。この場合は電車やバスを使って五合目にアクセスします。「静岡県側から登って山梨県側に下る」「富士山の反対側に下る」という楽しみが増えます。

一合目から登ってみたいんだけど

もちろん登れます。そしてそれほど難しいことではありません。

電車やバスを利用するなら、吉田口登山道が便利です。富士山駅から「馬返(うまがえし)バス」に乗って30分、終点の馬返で下車(片道500円程度)。そこから15分で一合目、2時間40分で吉田口六合目です(休憩含まないコースタイム)。ここからは、一般の富士スバルライン五合目から歩き出した登山者と合流します。

馬返しというのは昔富士山に登るときにそこまでは馬で来て、馬はそこで引き返して足で登りはじめた場所です。歴史ある登山道なだけに古めかしい石碑や石塔に雰囲気があります。
4合目を過ぎて道路にぶつかるまでは、なんとも深い森林を楽しみながら登ることが出来ますし、最近では山麓トレッキングとして五合目までの道を楽しむ人も多く、登山道も整備されてます。

なお、吉田口登山口の概略については富士山五合目観光協会が作っているこちらの地図がイメージしやすいです。なお、地図中にある”富士吉田駅”は、2011年より”富士山駅”に名前変更しています。

吉田口五合目と富士スバルライン五合目は同じ場所?

違う場所です。歩く時間にして30分ぶん離れています。

吉田口五合目は、富士山駅、富士浅間神社と進む”吉田口登山道”を一合目へと登っていき、佐藤小屋(2230m)のある場所、そこが吉田口五合目になります。
多くの登山者は富士スバルラインという有料道路を通って、終点である富士スバルライン五合目から歩き出し、途中の泉ガ滝の分岐で右の道に行き、次に着くのは吉田口六合目(2380m)になります。

この「富士スバルライン五合目→吉田口六合目→山頂」という歩く”コース”を「吉田ルート」と、呼ぶような流れになっています。富士山の地名は、ある”場所”を指すのか、”コース”を指すのか、とてもややこしいですよね。
ちなみに、泉ガ滝の分岐を左に行けば吉田口五合目を経由できますが、登頂を目指すなら約30分ぶん歩く時間が長くなります。

河口湖口というのはなんですか?

河口湖口(ルート)は河口湖駅付近から始まるルートです。一合目から始まり、六合目から上は吉田ルートに合流します。現在はほぼその上をスバルラインが通っていますので歩く人はいませんが、このことから富士スバルライン五合目を”河口湖口”と呼ぶ名残があります。ややこしいので標識などは「富士スバルライン五合目」に統一されつつあります。

混雑

混雑する、ご来光後の吉田ルート山頂付近の様子。
混雑するご来光後の吉田ルート。山頂を目指す人が列を作っています。(2012年8月8日)

混雑するルートはどこ?

登山者が利用する割合では、吉田ルート約60%、富士宮ルート約24%、須走ルート約10%、御殿場ルート約6%となっています。ここ10年間の推移では割合はあまり変わりません。吉田ルートが人気の理由は下山道が分かれていてブルドーザー道で下りやすいことに加えて、

  • 都心からのアクセスが良い→ツアーが組みやすい
  • 山小屋(売店・トイレ)が多い→ツアーが組みやすい
  • 登山ブーム→初心者の増加→ガイドブックで初心者に吉田ルートを勧めている
  • ご来光が見えやすい
  • 開山期間が長い

などの理由もあるのではと思います。ですので必ずしも、「6割の人が登っているのだから初心者には吉田ルートが向いている」というわけではないと思います。

混雑する日は避けたいんですが。入山制限はしないの?

毎年25~30万人弱が2か月間の間に集中する富士山の混雑は、特に世界遺産登録がされた時からの懸念材料となっています。混雑は不快なだけではなく人雪崩を起こしたりと、時に事故の原因にもなるからです。
そこで入山制限なども含めて検討した結果、「富士山のひどい混雑は決まった日・時間・場所に例年集中しており、その情報を周知して登山者自身に混雑をさけてもらおう」ということになりました。

特に混雑する日は梅雨が明けた7月後半の土曜日、お盆休み、富士山閉山日に近い土曜日と例年で同じ傾向にあります。
なお週末は平日の2倍の登山者数となっていますので、週末・お盆・海の日は避け、平日(特にお盆以降の平日)を登山日に選ぶと良いでしょう。より詳しい富士山の混雑情報は下記リンク先を参考にして下さい。

混雑する時間はいつ?

統計によると、吉田ルートでは16-17時(山小屋泊り)と23時-25時に8合目を通過する人数が250人程度と、1日に2回のピークがあります。
つまり吉田ルートでは、夕方に小屋に到着し仮眠をとって深夜に再出発し山頂で御来光を見る、というパターンの登山者がとても多いという事です。ツアーでも”山頂で見るご来光”を成功のパターンとして売り出しているものも多いです。渋滞の中登りたくない人はこのパターンと重なることを確実に避けましょう。

装備

富士登山 装備の一例。
富士登山の装備の一例です。 装備と持ち物リストのページへ。

靴とカッパは絶対に必要?

年齢や体力にも依ると思いますが、どうしても装備にお金をかけられない人は、ドンキホーテで売ってるような、2000円くらいの上下に分かれたカッパでもなんとかなると思います。釣りをするお父さんとか近所の人が持っていたりするので、借りるのも良いでしょう。
カッパの場合、サイズは多少大きくても大丈夫です。100円のビニールカッパは絶対にダメです。

靴はサイズがあるのでなかなか借りづらいですね。ふだん履きの靴で済ましたいなら、靴底の厚いもの、足首まであるもの(バスケットシューズとか)、靴底のぼこぼこしたものを選びましょう。
靴下はスキーやテニスなどスポーツ用のものを使い、2枚持って行って足を保護し、ジャストなきつさに調節すると良いでしょう。靴の中がゆるいと疲れますし、富士山は全部ぼこぼこした石の道なので足の裏が疲れます。
この際、多少のお金を掛けてもいいという人は装備のページを参考にしてください。

中間手段としてオススメなのは登山用品のレンタルです。1泊2日で9000円を切って一式レンタルできますし洗って返す必要もありません。現地で借りて現地で返却することもできてとても便利です。レンタルレビューのページを参考にして下さい。

トレッキングポールを買うか、金剛杖を買うか迷っている

金剛杖は一本1000円、焼印は200~400円。全部集めたいと思うと4000円くらいはするでしょう。なかなかの出費です。
イベントとしてめちゃめちゃ楽しみたい人は集めて登るのも良いでしょう。子供はシールや集めることが好きですから、モチベーションUPのために利用するというのも有効のようです。

とにかく無事に登頂することが最優先、という人には、トレッキングポールの方が間違いなく使いやすいです。「下りが心配」「今後もハイキングで積極的にトレッキングポールを使いたい」という人は 富士登山で役立つ、疲労を減らし膝痛を防ぐための3つのアイテム のページを参考に、軽くて伸縮するものを買っても良いでしょう。登山家の野口健も下り時のサポートとしてではなく”歩くための推進力”としてのダブルストック使いを推奨しています。

「特別に心配もないし、今後も登山するかわからない」という人は、ナシでも良いと思います。無くても普通に登って降りてこられますし、私も手がふさがっているのが好きではないので普段は使いません。しかし初心者がいる時などは、ねんざしたときや下りが苦手な人用に予備として持って行きます。

「金剛杖はジャマになるからだからイヤだけど記念として欲しい」という人には、飾る用の”ミニ金剛杖”というものも売られています。

ゲーター(スパッツ)は絶対に必要?

無くても富士登山は出来ます。靴やズボンの裾は汚れるかもしれませんし、小石が靴に入るかも知れませんが、無くても普通に降りてこられます。もう2度と山には登らないかもしれない人が3000円以上するゲーターを買うのは抵抗がありますよね。

でも「まったく無いのは心配」という人は、100円ショップで売っているアームバンドにヒモをつけて自作するのもいいかもしれません。

交通

富士スバルライン五合目手前 道路脇の駐車場
富士スバルライン五合目(吉田口)手前、道路脇の駐車場。駐車可能台数は600台。2キロにも及んでいます。

マイカー規制じゃない日は車で行っても良いの?

車で五合目駐車場まで入れます。駐車料金は無料です。

しかし昨今の富士登山ブームで富士山は常に混雑気味。もし駐車場に入れないと五合目から何キロも離れた写真のような道路脇に駐車し、アスファルトの上を長く歩いて登山口にたどり着かないといけません。これから登るぞというときにこんなところで体力を消耗したくないですよね。

マイカー規制日は毎年変更がありますが、現在では富士山の開山期間中はほとんどがマイカー規制日で、五合目までマイカーで行ける日は7月初旬のみとなりました。夏期は基本シャトルバス、それ以外の時期に「五合目から景色を眺めに行く」などの時くらいしかマイカーで行くことは無いかもしれませんね。

マイカー規制中、山麓の指定駐車場は満車にならないの?

吉田口に向かう富士山パーキング(旧富士北麓駐車場)について山梨県観光部に以前問い合わせたところでは、「2011年のお盆には1日の入車台数が1400台を超えることがあったが(キャパシティ1400台)、出て行く車もボチボチあるのでそれほどの渋滞にはならなかった。いずれにしろ余裕を持って計画を立ててください」とのことでした。

富士宮口に向かう水ヶ塚駐車場ではツイッターやライブカメラで現在の混雑具合を知れるサービスがあります。

体調不良

高山病ってなに?

標高が高くなると気圧が低くなることから体内の血液中に取り込める酸素濃度が薄くなって引き起こされる体の現象です。体力があるとかに関係なく、普段2000m位の山をバリバリ山に登る人にも出たりします。

経験上ですが具合の悪くなる人は八合目(3000m超えた)あたりから感じることが多いように思います。病気ではありませんからそこまで心配することはありませんが、下記リンク先のページを一読しておくと安心です。

もしものときに頼れる場所は?

吉田ルートと富士宮ルート上に合計で4箇所の衛生センター・救護所があります。夏期の開山期間中に開きますが、開いている期間や日数は毎年異なります。

場所・運営先

  • 吉田ルート五合目-県営五合目総合管理センター(富士山五合目赤十字救護所:山梨赤十字病院運営)
  • 吉田ルート七合目-鎌岩館下(山梨県富士山救護所:千葉大学医学部運営)0555-24-6520
  • 吉田ルート八合目-太子館(富士吉田市八合目救護所:山梨大学医学部・富士吉田市立病院運営)
  • 富士宮ルート八合目-池田館横(富士山衛生センター:浜松医科大学運営)0544-22-2238

開設している日 ※2018年については確認中です

  • 吉田ルート五合目-2017/7/1~9/11(看護師常駐)
  • 吉田ルート七合目-2017/7/15~7/17、7/22~8/26(医師常駐)
  • 吉田ルート八合目-2017/7/15~7/17、7/21~8/28(医師常駐)
  • 富士宮ルート八合目-2017/7/21~8/23、8/30~9/3

”料金については、健康保険証は使えず、保険診療とはならないため自由診療(保険外診療)となるが、ボランティアで医療行為とはいえない程度の措置を無料で提供するところも多い。つまり、医薬品等の実費は100%の支払いで、救護措置は無料となることが多い。
ただし、その場合もカンパを要請するところや、カンパを利用者の自由意志で受け付けるところもある。

運営は大学の医学部が「高山における病理の研究」を名目に、研究施設の一環として設置する場合や、山の地元自治体の要請で大学医学部・医学部付属病院などが設置する場合、医学部の山岳部やOB会の部活動の一環としてのボランティア活動である場合などがある。
医学部の学生やOBの医師、大学付属病院の医師・看護師などの中でアウトドアに興味のある者を中心に、応募あるいは志願によって参加者が決められている。

また、一般の医師や看護師のボランティア参加を募集しているところもある。(以上ウィキペディアより)”とのこと。

宿泊費などの費用も自腹で参加される方も多いようで、いずれにしろボランティアの精神でやってくれている事を忘れないでおきたいですね。

万が一救護所までたどり着く事もできないし、自力で下山はムリという緊急事態の時は110番か119番に電話して救助要請をします。携帯電話を持っていなければ近くにいる人に頼んで山小屋から電話してもらうようにします。

道迷いになってしまい辺りには誰も居ない、ということも起こりえますから、携帯電話は富士登山に持参するようにし、バッテリーを浪費しないよう工夫したほうがよいでしょう。
しかし最近では、噴火速報に備えて登山中は携帯電話の電源を常に入れておきましょう、という動きもあるので、バッテリー消費の問題は悩ましいところです。

下山後の救急医療センターは?

  • 富士市救急医療センター 0545-51-0099
  • 富士宮市救急医療センター 0544-24-9999
  • 御殿場市救急医療センター 0550-83-1111

その他

吉田口五合目から馬に乗れるってホント?

2013年時点の情報になりますが”富士山乗馬組合”が引馬を営業していて、次のような金額でした。

五合目駐車場出発

  • 泉ヶ滝までの片道-4,000円
  • 6合目までの片道-7,000円
  • 7合目までの片道-14,000円
  • 下山で、獅子ヶ岩から五合目-12,000円

観光(登山道でない)

  • 写真モデル代-300円
  • ロータリー往復-1,000円
  • 里見平往復-2,000円
  • 片枝の松往復-3,000円

ちなみに私は2000年8月に富士山に登った時に利用しました。夕方ごろに吉田口の獅子ヶ岩付近に馬がいて、おじさんが乗らないかと声を掛けてきました。いくらか尋ねると1人1万円を超す金額だったのでとんでもないと思ったけど、勢いで「2人で3,000円」と値切ると、スンナリ「いいよ」といって乗せてくれました。もう店じまいの時間だったのでタダで戻るよりはいくらでもいいから乗せて帰りたい、そういうことだったようです。

白くて大きな馬で、55kgくらいの母、うしろに45kgくらいの私、その後ろに10kgくらいのザックをひっかけて、馬は石のあるでこぼこした下り道をコトコトと歩いていました。おじさんは「乗馬」っていう紳士的なイメージでは少しもなかったけど、かなりスタスタ歩いて馬を曳いていました。
馬はすごく大きく、目線はかなり高いの位置にあったので、私はただただ、馬の細い脚がクネって折れたり転んだりすることを心配しながら乗ったことを覚えています。

ザックは、鞍の持ち手みたいな出っ張りに無造作にショルダーベルトの片方がひっかけられただけで馬のおしりの片方でぐらぐら揺れていました。バランスが悪くてイヤだろうにって気になったし、揺れるザックがいっぱいこすれて毛もザックにたくさんついていてかわいそうでした。しかし母はとても喜んでいました。

吉田ルートを歩く馬
富士スバルライン五合目から吉田ルートを歩く馬。

下山後は、温泉に入って仮眠してから帰りたいんだけど

富士山の周辺は天然の温泉が多く、そのまま帰るにはあまりにももったいないです。また、温泉からの富士山の眺望をウリにしている温泉も多いので、今まさに自分が登ってきた富士山を見ながら温泉に浸かるというのは最高の気分です。

ただ、一日中歩いた後に温泉に入ると、張り詰めていた気分も緩み体の疲れがどっと出ます。運転して帰る場合は、必ず仮眠を取ってから帰路について頂きたいものです。仮眠設備が整っている温泉も多く、こちらにリストアップしましたので参考にしてください。

富士山の上はなぜ寒いの

標高が1000m上がるごとに気温は約6度下がります。町が30℃の時、富士山頂では約7℃。これは都会の真冬並みの寒さな上に、富士山頂は風が強いです。風速1mで1℃体感温度が下がると言われていますが、富士山の8月の平均風速は8.4mとのことなので、平均でも0℃を下回るということになります。

汗をかいて頂上について風にさらされると一気に体が冷えます。体が冷えるとお腹を下したり筋肉の運動量も下がるのでとにかく体を冷やす前にとにかくレインウェアを着て風を防ぎましょう。

子供は何歳から富士山に登れるの?

富士山では高山病の心配があることから、体調の不調をちゃんと伝えられる小学生くらいからが良いのでは、と言われています。

しかし「登頂にこだわらず、行ける所までハイキングを楽しめればいい」という前提で親が考えられるのであれば、難しく考えず行ってみれば良いと思います。その場合、車の渋滞は避けることはもちろんのこと、登山道で渋滞を起こしたり巻き込まれるのも神経を使いますから、人の少ない平日、少なめのルートをねらった方がよいでしょう。
また、人気の吉田口では上りの道と下りの道が分かれています。途中で引き返し易いのは6合目までで、岩場に入ると戻りづらくなります。また高山病には特に注意して、宿泊は5合目か6合目辺りでするのが良いでしょう。

登頂にこだわらず富士山の雄大さを楽しむハイキングでは、富士宮口五合目からの宝永山遊歩道の散策がおすすめです。往復50分で、まるで月の表面にいるかのような景色と迫力満点の火口を見ることができ、地元の小学校の遠足と遭遇したこともあります。スカイラインも通行無料です。

また、富士山周辺には富士山の眺望が素晴しい山がたくさんあります。小学校低学年くらいまではトレーニングを兼ねて富士山を眺める低山ハイクを重ねるのはどうでしょうか。そして「いつかあの富士山に登ろう!」などと楽しみを募らせてから挑戦する富士登山はきっと一味違ったものになると思います。

富士山が世界遺産登録されたのはいつ?

2013年6月22日に正式に世界文化遺産として登録されました。日本国内では17件目の世界遺産登録となります。さまざまな「信仰」と「芸術」を生み出した名山として世界に誇る価値がある、と認められました。

入山料はかかるの?いくら集まったの?何に使われたの?

2013年に試験徴収が行われ、2014年より正式に始まりました。正式には「富士山保全協力金」といい、2018年も継続して行われます。将来的には外国の国立公園のように”入山料”として強制徴収という方向も考えているようですが、そのためには法整備や自治体との連携も必要とのことで整うまでにはまだ時間が掛かるようです。

金額は一人1000円。徴集期間はそれぞれの登山道の開山期間で、5合目だけ散策の観光客などは対象ではなく、山頂を目指す人が対象です。
使途は、”環境保全”、”安全対策”、”情報提供”といった内容です。年間20万人以上が登る富士山では、全員が払えば2億円という大金になるわけですが、両県のサイトでは徴収のアピールや支払い方法の情報ばかりが目立ちます。

「いくら集まってどのように使われたのか」は下記リンクで報告がされていますが、両県の形式も異なりますし、富士山全体としてまとめてもらわないと読む側にはわかりづらいかなと思います。

五合とかの「合」ってなんなの?

夜中に歩いたときに提灯に使う油が、お米を計る時の「合」である1合分が無くなるたびに「○合目」とした、という説を聞いていましたが、10合がピッタリ頂上になるっていうのもおかしな話ですね。「富士の研究」(富士山本宮浅間神社社務所刊)によると諸説ありハッキリしたことは分からないそうです。

無料で休憩できる山小屋ってある?

富士山頂上で、吉田・須走ルートの近くにある山口屋は営業時間内であれば本・支店ともに無料で休憩OKですとHPに記載がありました。助かりますね。
しかし山小屋をふだん利用しない人にはわかりづらいのですが、富士山の山小屋は公共の公園にあるような休憩所ではありません。

利用の原則は、飲み物や食べ物を注文をし、休憩がてらいただく、というパターンとなります。喫茶店で注文せずに休憩だけして帰っていく人がいないのと同じで、料金には休憩代も含まれているというイメージですね。
なので、体が冷えた時や雨の時などはコーヒーを注文して体を休めるなど、上手に利用したいところです。

ただ夜間は要注意です。雨が降っていても夜間の営業時間外は食事も飲み物も注文できませんから、昼間以上にしっかりした装備と行動食を準備して臨みましょう。