初心者のための登山とキャンプ入門

登山用テント「エアライズ2」のレビュー

霧島山のキャンプ場とアライのエアライズ2

あまり悩まないで間違いのない物を買いたいという人に、おすすめのテント

エアライズ2人用を愛用して10年になります。35歳女性です。エアライズ2は主に女性友達を誘ってテント泊の登山をする目的で買いました。

昨今では登山が初めてという友人から「山に連れて行ってほしい」と言われることも多く、そうするとテントやコンロなどを自分一人で担ぐことになる事が多くなります。
そのため軽さとコンパクトさは一番重要で、あとはパーツも少なく仕組みもシンプルで誰でも簡単にたてられるという設営の単純さを重視しました。

エアライズ2の仕様

アライ / エアライズ2
アライテント / エアライズ2
  • 重さは、本体+フレーム+フライシート全部合わせて1550g
  • 床は210cm×130cm、高さは105cm
  • 二人用(最大3人)
  • 写真はインナーテントのみですが、標準フライシートが付属しています

エアライズの気に入っている機能

エアライズの良さを一言でいうと、必要最小限の機能という点だと思います。

軽い・かさばらないテントは保管時にも良い

先に述べた「軽い・かさばらないテント」というのはささいな事ですが保管の点でもけっこう大事です。 一年間一回テントをも使わなかった年があったとしても部屋に置いておいてじゃまくさくないので長年持っていられます。

かさばる割に出番の少ないアウトドア用品はとかく「使ってないんでしょ?」と処分の対象にされがちです。
でもこのテントはとても小さいので使っていない期間があっても気にならないし、たぶん10年後でも古くないデザインとして使える定番だと思うのでとりあえず買っても大失敗は無いと思います。

シンプルなデザインのテント=修理がしやすい、軽い、強度も高い

「凝っていないデザインのテント」というのは修理がしやすいという利点があります。その分縫い目も少ないということは軽さにつながっているし、強度も上がります。

また、本体・フライ・ポール2本というシンプルな内容かつシンプルな構造なので暗闇でも手探りで、雨が降る中でもサッと設営できる点も重要です。

エアライズの高さと広さ

形や大きさの点では、背は高すぎず床は広すぎない点も重要です。山の稜線上は風が強いことも多く、背が高いテントはあおられてただ揺れるだけでなく、ひどいとポールが折れたり縫い目から破れたりすることもあります。

また、急な登山道上でのビバークや、テント場が混雑時のために床は広すぎないほうがマルチに使えると思いました。

エアライズは設営も簡単。一人でも張れるテント。

張り方の点では、ふだんはロープを使って固定する必要がないこともラクで大事だと思います。
山を歩いて来てテント場にやっと到着したころにはすぐにでも休みたいし、でもおちおちしてると雨が降ってきたりするのでとにかく早くテントだけは立てちゃって荷物入れないと!という葛藤になるので、手軽に終わるとうれしいですよね。

普段は本体にフライをかぶせるだけで、中に人が入っていれば飛ぶこともめったにないと思います。強風や雨、またはテントを置いたまま頂上をピストンするなどの時のみフライや本体を地面に固定します。
でも実際これまでの使用で固定したと言えば、雨の時フライの真ん中の裾に取りつけられているゴムを落ちている石にひっかけて張ったくらいで、ペグを持っていったこともないです。

あと細かい点では、フライを本体にバックルで留める点と、ポールを通しやすく、先端が行き止まりになっているので一人で立てられる点も重要です。

これらの理由から、エアライズは日本中どこの山でも使えますし、海外登山時も役に立つと考えています。これだけ機能を満たした登山用テントでは、かなり値段も安いかなと思います。

エアライズの使用例

これまでエアライズ2は主に女性3人、主人と2人、という人数構成で使ってきました。

女性同士の場合

エアライズ2は女性同士だと3人入れますが、普通の体格の3人でもピッチリではあります。
ご飯を食べるときは背中を丸めて食べる感じだし、寝るときはサシミ状態で寝ます。サシミというのは、みんな同じ方向に頭を向けないで交互に寝るということです。(ちなみにみんな同じ方向に寝るのはメザシと言っていました。もしかして自分の山岳部独自の言葉かもしれません。)

サシミで寝ても、ピッタシ寝袋同士がくっつく感じです。でも隙間があるとエアーマットの上を寝袋が滑って落ち着かないので、私は好きです。暖かいですしね。
頭と足のあたりにはゴチャゴチャとモノが置いてある上に寝る感じですが、足も冷えないし枕になるので私は気になりません。

男性と

旦那と二人の場合は、雪山装備を持っていた時でもけっこう空間に余裕がありました。暇つぶしにテント内であっちむいてホイを長時間やっていても、そんなに窮屈には感じませんでした。

今後は、子供と3人で使おうかなと計画しています。子供が増えても担ぎ手にならないところか他の荷物が増えるので、やっぱり当分は小さめのテントでちょうどいいかなと思います。

そのほか、エアライズが役に立ったパターン

仮眠をする場合でも面倒なく設営できる

あとは、登山口付近の駐車場なんかで数時間の仮眠を取る時なんかもエアライズを良く使います。暗い中テントを設営することが多いので、簡単で助かるし、設営が簡単なのでたった数時間のためにも立てようと思えます。

下界での使用

また、下界ではBBQの時の荷物置き場などにエアライズ2を使ってきました。屋外だと、カバンとか上着を置く場所や、赤ちゃんのおむつ替えに困ることがあったりするのでとりあえずあると便利です。

テントを張って良い場所と悪い場所があいまいなところでもコンパクトなので問題になりにくいのではと思います。

避難小屋泊の予備的テントとして

また、”予備的”にも持っていけるのも魅力です。
エアライズ2は1.5キロと軽くて小さいので「避難小屋泊を予定しているけど万が一混雑して入れなかった時のためにもっていく」パターンでよく使います。

たとえば、東北の朝日連峰ではキャンプは禁止でみんな小屋に泊りますが、やはり時期によっては入りきらないこともあるそうです。そんな時は小屋の横でテントを張ることもあると聞きました。
最近の山ブームを見ると、そういった準備も必要なのかも知れないと思います。

フライをツェルト代わりに(トイレ、雨対策にも)

あとは富士山に登るときなどは、毎回フライのみツエルト代わりとして持っていきます。フライ単体も軽いので気になりません。
富士山登山では多くの人が8合目付近で頭痛がしたり気持ち悪くなったりしますが、もちろんお金を払わないと山小屋の中では休憩はできません。

そんな時、ちょっと気分が悪くなった友人を小屋のわきの風がなるべく当たらず歩行の邪魔にならない場所を選んで、暖かい飲み物を飲んで厚着をしてフライでくるんで休憩してもらったりして使っています。
ほんの10分程度横になるだけでもだいぶ回復していました。

風が強い時はみんなでかぶって休憩

9月に富士山に行った時には頂上に着いてからも風が強く寒かったので、みんなでフライをかぶって休憩しました。
頭から自分たちをくるむようにかぶって、そのままリュックに座って中で火を炊きます。するとすぐに温まります。

その時もゆっくりカップラーメンを食べて、芯から冷え切っていた体が復活しました。こういった使い方は縦走中の10分の休憩でも、よくやります。火は焚かなくても、吹きっさらしの中で休むのとは全く違います。

トイレの目隠しとしても

あと、富士山登山の最中に、トイレの目隠しとしても役立ちました。
富士山には一定間隔ずつトイレがあるのですが、シーズンを過ぎるとトイレも閉鎖されます。樹林がないので目隠しもなく、人目もいっぱいあります。

多くの人はトイレに一度も行かずに下山することと思いますが、その時はちょっと登山道から離れたところで頭からかぶって無事に用を足せました。こういうのは登山に慣れていない人には、安心だと思います。

荷物をくるんで雨対策

また、置いていく荷物をくるんで置くなどでも使いました。槍ヶ岳の頂上をピストンするときに荷物を山荘に置いていくとおもいますが、そのときに雨対策にみんなのザックをくるんでおきました。

こんな感じで便利なシートとしても利用しています。これらの理由から「背負って歩く用」を、あまり悩まないで間違いのない物を買いたいという人に、おすすめです。

キャンプを楽しみたい人には

一方同じ理由から、キャンプサイトで快適な時間を過ごしたい人にエアライズは向いていません。
入口は一つなので、出入りはしにくいです。 室内を風が通せないので火を炊けばすぐに暑くなってしまうし、ガンガンの日差しの下では室内も暑くって長くは居られません。

空間は最小限なので姿勢は丸まって食事をしたり、頭や足元には荷物がごちゃごちゃとある感じになります。前室も鍋や登山靴を置けばいっぱいになってしまいます。
強い雨が降れば、フライをゴムやロープで張ってもどうしても本体とくっつきます。

なので、寒かったり雨が降っていたりしたらしょうがないのでテントの中で過ごしますが「外で過ごせるなら外にいたい」というふうになります。
雨が強くて「今日は一日中テントの中で過ごそう」となったら、読書でもして別の世界に行かない限りなかなかストレスが溜まることと思います。

エアライズの寒さに関して

また、生地が薄いせいか、真冬でエアライズを使用すると寒く感じます。というか、保温は意識されていないように思います。

過去に一月の鳳凰三山(積雪時)で使いましたが、当然ながら凍えました。風の吹かない樹林帯での幕営なら寒さに強い人や厚着をすれば大丈夫かも知れませんが、普通はもちろん冬用の外張を買った方が良いと思います。

こういったオプションで調節できるのもいい点ですし、取り換えポールが手軽に確実に買える点も国産の良い点だと思います。

エアライズ用外張
エアライズ2用外張 / 冬季用のオプションカバー