初心者のための登山とキャンプ入門

登山をはじめる 2 -山選びと下調べ-

踊る人 イラスト

登山を始めよう!と思ったとき、どこからどんなふうに何を調べていったら良いのでしょうか。

まずは季節を問わない簡単な低山の日帰り登山を3回計画してみましょう。”日帰り、ハイキング” などときくと「自分のしたい登山はそんな軟弱なものではない」と思われる方もいるかもしれませんね。
たしかに登山の奥深い楽しみのうちの、ごく一部しか味わえないかもしれませんが、それでも登山計画に必要ないくつかのステップを踏むことができます。

このページでは下調べの具体的な方法を書いています。

どうやって山を探すか?

登山のガイドブックいろいろ

ガイドブックを買ってしまおう!

みんながどんな山に登ってるの?と漠然と知りたいと思ったら下記リンクを参考にしてみてください。

登山ってどんな山にいくのかの全体をつかんだあとにもし気になる山域が思い浮かんだなら、ガイドブックを買ってしまうのがおすすめです。
「こんなデジタルな時代に、本?」と意外に思われるかも知れませんが、今後登山をおもしろくしていくかどうかは自分が歩く山について知識を深められるかどうかにかかっている部分もあります。
その意味で、山についての情報、登山についての情報が全部網羅されているガイドブックは理解をかなり助けてくれます。

このページでも、雑誌やツアーやネットなどの情報ソースも使えると書いていますが、とはいっても、これらは”ガイドブック”という百科辞典のようなものからの一部を取り出してフィーチャーした断片的なものです。それら断片的なものたちが整理されていると、とってもわかりやすいのです。
なので、もし「ここら辺の山にはいっぱい登りたいかも」というイメージがすでにあるなら、その範囲をカバーするガイドブックを手元に置いてしまいましょう。「情報はネット検索で」という主義の人にも、登山の概念を頭の中に作るのに役立ちます。

該当する首都圏に住んでいる方でお買い得なのは、山と渓谷社から出ている「〇〇周辺の山」シリーズ。東京周辺の山、関西周辺の山、名古屋周辺の山などが出版されています。これには週末で登れる程度のたくさんのコースが載っており、まさに百科辞典的な感じです。

東京周辺の山
東京周辺の山 (週末登山コースの百科事典)

こういった広範囲のガイドブックを買ってしまうことのメリットは、なんといっても、どのへんに何の山があり、登山道があるのか無いのかが、一発で把握できることです。多少古くても大丈夫ですので中古で買うのも良いでしょう(基本的に最新情報は、後でインターネットや電話で確認します)。

または、これらの首都圏から遠い地域に住んでいる場合は、同じく山と渓谷社より「〇〇県の山」という、ややマニアックなシリーズも出ています。

この本のメリットはいわずもがなですが、近場の気軽な山に登れること。近所に山があっても、いったいどこに登山道があって入山口があるかなんてわからないし、情報がまとまっていることが少ないのではと思います。
デメリットは地味な低山ばかりで、有名な山が無い場合があることです。日本の中で名峰がある場所は固まっていますので、もちろん小山ばかりの県もあるわけです。

千葉県の山
千葉県の山

しかし、登山者の多くは「100名山」「200名山」など、なにかのテーマをもって登る人も多いです。そういう意味で、自分の住んでいる県の山を全部歩いてみる、というのはなかなか面白いテーマですね。

旬な山を知るには登山雑誌がおすすめ

山にも「旬」があります。

目的によるのですが、たとえば花です。その山にある時期にしか咲かない花の群生や、その山の固有種があり、それらを目的に山を選ぶ人もいます。
あとは新緑の時に格別に美しい広葉樹の斜面、暑さや藪(草が生い茂っているところ)にじゃまされてとても歩けなかった道が秋や冬には葉も落ち、海を見下ろしながらのパノラマルートになることもあります。

このように「今の時期はここがいいよ!」というおすすめを知るのに一番便利なのは山と渓谷などの雑誌です。じつはガイドブックにも「登山適期」が書いていますが、アバウトすぎる期間設定で参考になるとは言い難く、その点、山雑誌はその時期ならではの登山特集、といった雰囲気になります。

雑誌を眺めるのが好きな人は新刊を買っても良いでしょうが、どの山が良いかの情報を得るだけならバックナンバーでも十分です。「新しく登山ルートができました」なんてことはめったにないからです。
雑誌ではかならずその時期におすすめのコースを前年に撮影して掲載しているし、写真も入ってイメージがわきます。そのままのルートをたどるのにも最適です。

バックナンバーは図書館で借りられると思うので利用してみましょう。

メジャーな登山雑誌

登山ツアーコースをマネする

旅行会社のツアー計画からは「最近の人気のコース」がわかります。分厚いガイドブックから選ぶよりも、ここから手っ取り早くコースをマネするのも良い手です。

やはりツアーで人気の山は、植物や景観、歩きやすさなどの点から良い山が選ばれています。高山植物を見るツアーなどでは例年のデータから開花が予想される最適な時期が設定されています。

なので登山の”時期”を決めるのにも参考になります。たとえば残雪が長く残る高山にアイゼンなどの冬装備などを持たずに登ろうとするとき、初心者にとっては標高3000m近い山の上に雪がどれくらい残っているものなのかを想像することは難しいと思います。「何週目に行けばほとんど雪がなくなっているかな?」と知りたいとき、そのコースがいつ頃に設定されているのかは参考になります。

ツアー計画は年に2回とか、ツアー催行日よりもかなり早めに発表されますが、例年の天気や残雪の傾向を考えて作らていれています。その意味で数年前に発行されたガイドブックよりも最新のものが反映されているとも言えます。

多くの登山ツアー会社では資料請求をすると年間のスケジュールを送ってくれます。インターネット上でも見れますが、イメージがわかないうちは紙で持っていると見やすいです。
下記リンク先の山ケイオンラインでは、いろんなツアー会社のパンフレットを請求することができます(無料のメンバー登録があります)。日帰り登山から海外ツアーまでいろいろあって、眺めているだけでも夢が広がります。

山と高原地図から選ぶ

山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地

「八ヶ岳に登りたい」などと目的の山域が決まっていたら、「山と高原地図」に代表されるような”登山地図”を買ってしまい、地図上から歩きたいコースを選ぶのも手です。ガイドブックにあるような、文章による説明を読むことが好きではない人にも向いているかも知れません。

また、添付されている小冊子には地図と対応したオススメコースが載っているので、そこから選ぶのもわかりやすいです。
コースの説明文を読みながら、実際に紙の地図を目の前に広げて指で地図をたどってイメージをふくらませていくことは、その山域全体の中で自分がどこの山のどんな道を歩こうとしているのか、その概念を把握する上でとても役に立ちます。

ブログの写真などを参考にする

写真はイメージが伝わりやすいので、ブログなどの日記や写真、動画をもとに山を選ぶのも良い手です。そのときに注意したいことは、ブログのみの情報で山に行かないで、必ずガイドブックの情報や地図に戻って自分で計画を立ててから山に行ってほしいことです。
山を選ぶキッカケとしてはとても便利なのですが、それをもとに自分で調べ直す作業が必要です。この作業のなかで「こういう山のこのルートを何時間で登って、この道を通って何時頃にワタシは下山するんだな…」と全行程のイメージを頭の中に作っていく作業が安全登山のためには大切なのです。

また、ブログなどは個人の主観で自由に発信されているため、正しい情報か最新の情報かもわかりません。「サンダルで富士山に登れちゃいました」「手ぶらで問題なく登頂できました」などいろんな声がある中で、慣れるまでは基本に帰って登山をするのが良いと思います。

交通手段を調べる

パソコン イラスト

行きたい山と行く日の候補が挙がってきたら、次はスケジュール内で移動して登って帰ってこれるのか、具体的に交通手段を調べてみましょう。

現地までの移動を考えるときも、ガイドブックから選んだコースをそのまま行ってみるのが手軽です。ガイドブックには「交通」などの項目で電車・バス・タクシー・マイカーで行く場合の情報が載っています。

時刻表自体は変更する可能性があるので載っていませんので、バス会社名やバス停名をもとにインターネットや電話でダイヤを調べます。
電車についてはネット検索で時刻や料金がすぐに分かると思いますが、路線バスについては慣れていない人にはとてもわかりづらいです。掲載されているバス会社に電話をかけたほうがてっとり早い場合もあります。

ペンとメモを用意したら「○月○日に□駅から△△登山口までバスを利用したいのですが、ダイヤを教えてもらえますか」と電話しましょう。人気の山だと、臨時便が増発される場合もあります。

公共交通機関がおすすめな理由

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もし登山口までのバスの運行があって移動の時間も取れるのであれば、電車やバスの山行をおすすめします。登山口を探しながら里山を歩くことは思わぬ発見があってとても興味深いですし、路線バスに乗って山間の景色を眺めることも普段はなかなかやらないことだと思うので、ぜひ体験してほしいのです。

また、マイカーの場合は車のある場所へ戻ってこなければいけないため、都合よく周回するコースが無い限りは、行きと戻りで同じ道を歩くことになります。
その点、電車やバスなら、山を越えて反対側の下山口へ下ることができます。山の稜線は県境や市区町村の境になっていることも多いので、小さな山を超えて別の県へ、というのも楽しいですね。

また下山後の運転を考えなくても良いところも大きなメリットです。早起きして日光を浴びて疲れた体で運転したら眠気もおそってきます。
バスのダイヤを考えながら行動することはもしかして窮屈に思われるかもしれませんが、「このペースで歩けばこれくらいに着くだろう」などと、自分のペースを把握して予測し計画を遂行する力は、登山において大切な技術ですので、前向きにとらえるとよいでしょう。

ただ地方のバスは本数が少ないです。最終バスの時刻がかなり早い場合もありますので注意したいところです。また、予定した時刻に下山できるとも限らないし、雨で早めに引き返す可能性もありますので、ねらった時刻だけでなく、前後いくつかの時刻を控えておきましょう。

マイカー利用は便利だが

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駅から登山口へ路線バスが運行されていない場合は、マイカーやタクシーで行かざるを得ません。ガイドブックの「交通」欄にも、”行く場合はマイカーかタクシー利用”などと書いてありますので、運転免許がない場合や予算が合わない場合はすぐに行き先候補から省くことが出来ます。

マイカー利用は時間的に自由になるので忙しい人には便利ですし、万が一予定のバスに乗り遅れることなどを考えると気楽な面もあります。しかし同時に、登山の他にもたくさんの考えることが出てきます。

たとえば、登山口までの林道はちゃんと整備されているのか?ゲートはオープンしている期間か?対向車とのすれ違いは自分の運転技術で対応できるのか?駐車スペースがあるか?自分が到着する時刻にまだスペースが残っているかどうか?…などです。

人気の山で、トイレ付き駐車場がある登山口とかならば、そこまでの道路はある程度の交通量を見込んできちんと整備されている可能性も高いです。逆に、その場合は駐車場の混雑具合が気がかりになってきます。
マニアックな山だと、対向車が来たらとてもすれ違えないとか、雨で深く削られたワダチに車の底を擦ってしまいそうなガタガタ道を行くハメになることもありえます。

こういった場合も、気になったら電話して道の様子を尋ねてしまいましょう。
山と高原地図の裏面やガイドブックには、問い合わせ先として「〇〇市役所」、「〇○市観光課」など、どこかしらの連絡先が書いてありますので、そこから問合せて関係部署につないでもらうような形になります。
「○月○日に□□道路を通って△△登山口まで自家用車で行きたいと思っているのですが、道の状況はどんなふうか教えてもらえますか」と聞いてみれば、何かしら判断の材料になるようなコメントをくれるものです。

慣れてくれば予測がついたり予想外な場面に出くわしても臨機応変な対応ができるのかも知れません。
たとえば道が土砂崩れで通行止めになっていたので、入山口をすぐに変更する、などです。でも慣れないうちは気軽に電話で問い合わせることが一番良いと思います。

なんでもネット検索で済みそうな時代ですが、山に関するローカルな情報、それから最新の情報はやはりネットのみでは不十分で、電話が一番確実です。

その他の選択肢

電車やバス、マイカー以外に大きな選択肢となりうるのがタクシーです。

日常ではめったにタクシーを使わない人もいるかもしれませんが、登山だけではタクシーを利用するという人も多いと思います。 たとえば始発の電車に乗りたいとき、始発のバスに乗っても間に合わないときなどです。
また、上にも書きましたが、登山口に最寄りの駅から登山口までのバスが運行されていないときです。夏の短い期間だけバスがあるけれどそれ以外の季節は運行していないとか、数年前は定期バスがあったけど今はない、などバス事情はよく変わります。

そういった、登山客ばかりを乗せるようなバスはけっこう料金も高かったりするので、3人位集まればタクシーのほうが安いという場合もあります。人数が集まるならバスがあっても、タクシー料金も比較してみると良いかも知れません。
また、バス利用の際でも万が一のために地元のタクシー会社の連絡先を控えておくと良いでしょう。ガイドブックや山と高原地図には電話番号が載っています。

行きと帰り、片方だけタクシーを利用するというパターンもあります。特に下山の場合は待ち合わせ時刻までに下山しないといけないので、余裕をもった時間を指定しておくと良いでしょう。
万が一ものすごく早く下山して時間を変更したい場合、携帯電話の電波が届くところかも参考に聞いておくのも良いでしょう。

また、運転代行という手段もあります。マイカーで行きたい場合で、入山口と下山口が異なる場合、入山口でマイカーを預け、登山している間に下山口まで運んでもらうサービスです。
通常二人できて一人が預けた車を運転して移動させるため費用はかなりかかりますが、この場合もパーティーの人数が4人で車1台とか条件によってはタクシーより安く上がることもあります。日帰り登山での利用はないと思いますが、2泊3日をかけての縦走(山脈をずっとたどって歩く登山)などでは大変利用価値が高いこともあります。

一日のスケジュールを決める

登山の下調べイラスト

移動手段についてもだいたい調べて、「一日でこの山に登って帰ってこられそうだ」とわかったら、具体的にスケジュールを計算して紙に書き起こして行きましょう。

1.行動時間を計算する

地図やガイドブックにある「コースタイム」とは、休憩などを含めない歩くだけの時間で、下記のリンクに詳しく書いてあります。

これに対して、休憩時間なども含めた登山口から下山口までの時間を「行動時間」と呼びます。

登山では「50~60分歩いて10分休憩」などを繰り返して歩くのが一般的ですが、こういった登山の歩き方をするときに「コースタイム×1.5」を行動時間としてざっと見積もります。つまり手順はこうです。

  1. 選んだコースの、コースタイムを足し算する。登りと下り、、、例えば合計4時間なら・・・
  2. コースタイム4時間×1.5 = 行動時間は6時間

地図をじっくり見ながら歩きたい、写真を撮りながら歩きたい、昼食はゆっくり取りたい、とりあえず余裕を持っておきたい…ということであれば、「×2」としても良いでしょう。
その場合、コースタイム4時間なら、行動時間8時間ということになります。

2.アプローチも含めたタイムテーブルを計算していく

登山では、登山口にたどり着くまで行程を「アプローチ」と呼びます。

登山は早めの入山、早めの下山が鉄則なので、できるだけ歩き出しの時間を早くできるか、が大事です。夏は午後になると夕立が降りますし、冬は日が落ちるのが早いです。万が一ちょっと道に迷った時、すでに薄暗いのとまだ日も高くたっぷり時間があるのとでは、心の余裕がまったく違ってきます。

たとえば例に挙げたような、行動時間6時間(コースタイム4時間)の行程の場合、真夏の低山なら朝の6時から12時までを行動時間にあてるなどのイメージがよいでしょう。
車でのアプローチが可能で、早起きも得意というなら、日の出近くの4時半頃から歩き出して10時半に下ってくる、とかもアリです。

暑い日差しを覚悟で遅いスタートで登るとしても、遅くとも9時までには出発して3時には下山、という具合の時間帯に行動時間を配置します。
山頂に売店もたくさんあって、ロープウェイもあって登山者もたくさんいる観光地化した高尾山のような観光地化した山なら、この限りではありませんが、基本的には迷ったりアクシデントに備えて可能な限り早め早めに計画をするのが一般的です。

電車やバス利用なら、まず、始発に乗る前提でスケジュールを組み立ててみましょう。「そんなに早く出なくても…」と思うかもしれませんが、電車やバスを計算していくと、乗り換えや待ち合わせに取られる時間などもあって意外と時間がかかるものです。結果、始発に乗らないと間に合わない、となることが多いのです。

また、登山客が少ない路線には週末の朝早い時間帯のバスがないこともありますから、そういった場合は計画自体を見直さないといけなくなることもあります。
こういったことからも、初心者が自分でコースを選んで計画を組むところから登山を始めようと思う場合、ちょっとくらい名の知れた山だと便利なバスもあったりして安心です。

「ぜったいに電車やバスで行く」なら、山と高原地図が便利

ここまではガイドブックからコースを選ぶ、という流れで書きましたが、もし運転免許やマイカーがなくて「ぜったいに電車やバスで行く」と決まっているならば、山と高原地図を眺めながら登山計画を立てると便利です。
山と高原地図には、どこの登山口まではバスで行けるかどうか、が一目でわかります。「〇〇駅-△△(登山口)バス30分」のように地図上に書いてあります。本数が極端に少ない場合は「3本」などと一日の本数が書いてあり、目安になります。

人気の山の登山口まではバスが運行されていることが多いので、バスが豊富な登山口から登れるコースを選ぶという方法も現実的です。
良さそうなコースがあったら、前述のように山と高原地図の裏面のバス会社の電話番号に問合せて行きと帰りのダイヤを聞きましょう。自宅から向かって、行動時間を引いても帰りのバスと電車に乗れるかどうか、大まかな計算をして詳細をつめていきます。

このように電車やバス利用の日帰り登山だと、マイカー利用に比べて事前に確認しなければならないことが多くめんどうに思われると思います。しかしこれができれば2泊3日とか長くなっても、また知らない土地でもどこでも自由に計画を立てられるようになりますので、ぜひトライしてみてください。

3. 登山口など細かい情報はネットの個人記録が役立つ

道標のない登山口
看板や道標のない登山口。これが登山口かどうか、前もって調べておけば現場で迷うこともありません。

実際の山の中の道よりも迷いやすいと感じるのは、登山口までの道です。

有名な日本アルプスなど全国から登山者が集まるような山では登山口がわかりやすく整備され、トイレが設置されているところもあります。しかし裏山のような山では、駅やバス停から歩いて登山口にたどり着くまでの道がわかりづらいのです。
人に聞いたりウロウロしたり、なんだかんだでたどり着くのですが、登り始めで体力を消耗したりムダに時間を食ってしまうのは避けたいので、行き当たりばったりのぶらり旅を楽しみたいとき以外は、頭でシミュレーションできるくらいまで調べておくと安心です。

これを知るには5万分の1という大きな縮尺の山と高原地図だけの情報ではむずかしいです。ガイドブックには登山口までの歩き方が文章で書いてありますので、それをもとに地形図とにらめっこして想像を膨らませ、必要な情報は書き込んでおきます。ガイドブックはコピーしたり写メを撮ったりして当日見れるようにしておきましょう。

ガイドブック以外にとても参考になるのがインターネット情報です。ヤマレコなどが有名ですが、山の名前で検索すると登山者の山行記録がたくさん出てきます。
わかりづらい登山口、駐車場、分岐、水場、トイレの情報などは親切にUPしてくれている人がとても多く、助かります。「この看板の右の道を入ります」などと写真を載せていてくれていたりするのでイメージがつかみやすく安心です。

4. 災害後など現地の状況を知るには

壊れて使用ができない橋
壊れて使用できなくなってしまった橋

「台風の後で登山道は崩壊していないだろうか」などと気になったときに問い合わせる先も、前述と同じく、その登山道がある市区町村役場になります。林道の通行止めだけでなく、登山道の崩壊、橋が流された、なども起こりえます。

登山者が多いところではホームページに積極的に情報を載せてくれている市区町村もありますので、まずはインターネットを軽くチェックしてみるのも手です。意外に役立つ登山情報や下山口周辺のおいしい店や立ち寄り温泉などのちょっとしたみどころを提供してくれているホームページに出会ったりすることもあります。

ただ、そこに書いていないからといって「何も変わったことはない」、と考えることは出来ません。最新情報をアップしきれていない役場はとても多いので、やはり気になったら手っ取り早く電話してしまうのがおすすめです。

登山道上の山小屋やビジターセンターのホームページがあれば、それものぞいてみると良いでしょう。電話で現地の登山小屋へ問い合わせることも可能ですが、宿泊の予約でもしていないのであれば無愛想な山小屋の主人もいます。役人ではないので「教えて当然」ではありません。「教えてください」という謙虚な姿勢で伺うのが良いのかなと思います。