初心者のための登山とキャンプ入門

装備を買わずに富士登山。レンタル登山用品のレビューとススメ

商品の受け取り イラスト

初心者の富士登山で必ず悩む装備の問題。300円のビニールポンチョで登っている人もいるにはいるけど、登山ガイドなど専門家は「初心者ほどキチンとした装備を」と勧めています。でも買うと10万円くらいはかかってしまうし、保管にも場所を取ります。 そこで試してみたのが”登山用品のレンタル”。実際どうなのかなぁと不安に思いつつでしたが、やってみたら操作も簡単。安いし手軽だし、キレイな装備にテンションも上がります。オススメです。

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レンタル全体のながれ

今回利用したのは富士登山者向けに装備をレンタルしている会社、「そらのした」。メンテナンスのクオリティの高さが自慢ということです。さっそく利用してみましょう。

アウトドアギアレンタル そらのした
アウトドアギアレンタル そらのした

1. サイトより品物を選ぶ

さいとよりレンタル商品を選ぶ イラスト

初心者向けのセットが用意されているので迷わずにすみます。選んだら仮申込。オンシーズンだと希望の色やブランドがなくなってしまうかもしれないので選びたい方はお早めに。発送日数の関係から、ネット注文できるのは登山の5日前まで。急ぎの場合は電話で確認もOK。

2. 在庫確認

在庫確認 イラスト

お店では申込み品の在庫確認。3日以内にメールで返事が来ます。

3. 本申し込みと入力

サイトで本申し込み イラスト

お店からOKのメールが来たら、住所や保証金返金口座などの情報を入力して本申し込みが終了。

4. 料金の振込

料金の振込 イラスト

銀行振込を希望したならレンタルの3日前までに振込。保証金5000円が必要です。クレジットカードなら振込もなく便利。

5. お店から発送

商品の発送 イラスト

6. 受取(前日)

商品の受け取り イラスト

基本は前日受取ですが、オプションで3日前受取などの指定も可能。また、河口湖駅の店舗や五合目提携店などでの受取や返却も可能。

7. 登山

登山する人 イラスト

8. 返却(翌日)

商品の返却 イラスト

洗わないで良いので、送られてきたケースにそのまま入れたら同梱の荷札を貼って発送。「当日扱い」になるようコンビニの受付時間の確認をしましょう。

9. 受取とチェック

商品のチェック イラスト

10. 銀行口座へ保証金の返却

銀行口座確認 イラスト

問題が無ければ遅くとも10営業日以内に指定した銀行口座へ保証金が返金されます。

思っていたよりとっても簡単でした。

届いた装備のレビュー

今回注文したのは「はじめての富士山登山セット セルフコーディネート(レディース)」7点セット。料金は1泊2日で13,980円。セットの中身は

  1. ザック
  2. レインウェア
  3. 登山靴
  4. ヘッドランプ
  5. トレッキングポール
  6. スパッツ(ゲーター)
  7. インナーダウン

です。好きなブランドのザックや色を選ぶことができます。チョイスはおまかせなら11,980円。さらにフリースなどでも代用できるインナーダウンを外した6点なら9,980円。さらに費用を抑えたい場合はゴアテックスではないけれどちゃんとした透湿性雨具(こもった熱や蒸気を外に逃す)のレインウェアのセット、はじめての登山セット ライト 8,980円もありとってもリーズナブルな印象です。

登山装備のレンタル 届いた状態

不織布のバッグに入って届きました。これならこのまま持っていくのにも良いですね。こんな小さな中に7点も入っているの?と疑問に思うようなコンパクトさ。

登山装備のレンタル 6点セットの中身1

開けて見ると、ザックの中にすべてパッキングされてコンパクトにまとめられていました。用品の使用方法や準備に必要なものが書いた冊子と調整用の中敷きなどが入っています。

登山装備のレンタル 6点セットの中身2

ザックの中に入っていた物を取り出してみました。すべてが新品じゃないかと思うほどキレイで清潔感あふれる品々。かつ丁寧な梱包に日本人らしい”職人のこだわり”を感じます。

商品のチェック イラスト

ザックはノースフェイスのテルス。30Lなので富士登山や山小屋1泊にちょうど良く人気のモデルです。色もかわいくてうれしくなります。サイドポケットにザックカバーが内蔵されているタイプです。

登山装備のレンタル ザックカバー

雨が降ったら取り出してこのようにかぶせます。別にカバーを用意しなくていいので便利です。ザックカバーが付いていないモデルを選んだ場合、この会社では無料でレインカバーを付けてくれるようです。

登山装備のレンタル レインウェア

レインウェア。自分で選んだカワイイ色にテンションが上ります。新品みたいにパリパリでキレイ。

撥水メンテナンスが自慢というので、さっそく実験してみました。試す部分はおしりの部分。見たところ唯一使用感があったのがココで、おそらく前にレンタルした人が岩や雪の上をズリズリすべってしまったか転んだりしたのでしょう。

登山装備のレンタル レインウェアの撥水

霧吹きで水をかけると、パラパラっと弾くような音がしてすべてが小さな水玉になってしまいました。持ち上げるとそのまま転がってどこかへ行ってしまいました。スゴイ!これが 「ころころ撥水」 なんですね。

レインウェアが撥水しない写真

一方これは私のレインウェアの同じ箇所です。長年使ってはいますがおしり部分に目に見える傷みはありません。高価なレインウェアを買い直すのはイヤなので絶対におしりは地面につけないし転ぶこともほとんどありません。それなのに・・・です。

この後すぐにタオルで拭き取りましたがすでに染みこんで生地の色が変わっていました。学生の頃はゴアテックスがこのように染み染みになる状態をふざけて「シミテックス」と呼んでいました。いくらゴアでもちゃんと防水スプレーなどのメンテをしないとこうなってしまうんですよね。でも面倒だからなかなかできませんし、スプレーも高い。でもそれだとやはり「湿ったカッパを着ている感」はすごくあって、ゴアテックスといえども重いし冷たいしで、不快なんですよね。メンテって重要です。

折り畳みざぶんとん

話が少しそれますが、これは私が愛用している折りたたみ座布団です。100円ショップで買いました。普通の登山だと休憩時はザックに腰掛けますが、富士登山程度の荷物だと腰掛けると中の食べ物が潰れてしまいますし物を取り出すのにイチイチ立ち上がるのも面倒です。けれど岩に直に座ると冷たい上におしりも痛いし、レインウェアやトレッキングズボンを破いてしまうかもしれませんが、これを敷けば安心です。ザックのサイドポケットに入れておいてサッと出すのがおすすめです。

登山装備のレンタル 登山靴

登山靴はモンベルのワオナブーツ。泥がついたとき用の袋まで付けてあります。富士山にちょうど良いミドルカットで防水、布なので硬すぎず重すぎず、初心者にも良い感じです。内側も柔らかいので初めてでも合わせやすいでしょう。また、モンベルは日本製なので日本人の足に合いやすいですし、サイズのズレが少ないのではと思います。

登山装備のレンタル インソールと中敷き

この会社では、「いきなり履いた靴で合うのか心配」という人向けに”中敷きで調整”という方法を準備しているようです。写真左のグレーのものが初めから入っていた中敷きで、真ん中の白いものが調整用の中敷きです。まずはグレーの中敷きを外します。

登山装備のレンタル 登山靴に中敷きを入れた様子

調整用中敷きをつま先に入れてから、グレーの中敷きを戻します。

登山靴のサイズは普段の靴よりも1センチ大きい物を選び、指先に空間を残すように履きます。そして厚めの登山用靴下と靴ヒモの調整でフィットさせます。このように布製で内部が柔らかい靴ならほとんどの人は合わせられると思いますが、中には足の甲が薄めだったり幅が細めだったりして「本当に1センチ大きめで合うのだろうか」と不安に思う人もいるかもしれないですものね。
ためしに調整用中敷きを入れて履いてみたら甲の先の方を、よりフィットさせられました。先の方は靴ヒモの調整が効きにくいので、良い方法だと思います。

登山装備のレンタル 登山靴の履き方冊子

同梱の冊子には登山靴の正しい履き方が書いてあります。靴ズレをしたり足が痛くなるというのは、実は微妙な靴のサイズや靴のタイプの差よりも、「正しくはけているかどうか」が問題だったりします。冊子の通りに正しく履き、休憩時にチェックしたり下山時には締め直したりして気にかけると良いでしょう。

それでも心配なら、ショップで試履してみるという手があります。モンベルなら全国にショップがありますので借りようと思っているモデルをメモっておいて店に行ってみましょう。ついでに登山用靴下も試して買ってしまうと良いですね。

登山装備のレンタル ヘッドランプ

ヘッドランプはこれも人気のペツル。明るさが調整できます。電池は単4サイズが3本。このまま使う場合は予備電池を持って行きましょう。現地返却をしようと気が変わった時のためにケースごと持っていったほうが良いかもしれませんね。

登山装備のレンタル トレッキングポール

トレッキングポールはとても軽く、折りたたみ式になっていて早くセッティングできることで人気のモデル。ブラックダイヤモンドのディスタンスFLです。以前より気になっていたものが試せてラッキーです。

登山装備のレンタル トレッキングポールの組み立て

冊子には組み立て方も書いてあるので安心です。

登山装備のレンタル ゲーター

雨の時や下山の時に使うスパッツ(ゲーター)です。ゴムで引っ掛けるタイプなので初めてでも迷うこと無く使えそうです。

登山装備のレンタル インナーダウン

インナーダウンもモンベル製。このように、開けてすぐはぺちゃんこでビニール袋のようですが最高品質のEXグースダウンが入っています。重量はなんと約150g。丈夫で薄い生地、軽いボタン、手首のしぼり。モンベルのすばらしい工夫が詰め込まれたような製品です。登山じゃなくて海外旅行などにも便利ですのでぜひこういう機会に試すのもオススメです。

どれも有名な信頼あるブランドなので安心ですし、借りる点数によって料金は変わっても品質の高さは変わらない、というのはすばらしいと思います。

レンタルが活躍するシーン

富士山は、「一生に一回くらい登ってみよう」という動機で登る人が多いかと思います。まれに「これから毎年登ることに決めた」という友人も見かけますが、多く人は、結果的に「1回だけ」だったりするかと思います。その時のためだけに装備を買うのは大変ですし、特に登山靴は劣化が早いですからムダになりかねません。

私に関して言えば「富士山に連れて行ってほしい」と言われて友人と登りに行くことがほとんどでした。ライトやリュックは自分で用意してもらっていましたが、やはりレインウェアは登山をしている知人に私から頼んで借りることが多く、受取りにも一苦労でした。レインウェアは高価な上に消耗するので、装備を大事にする人は貸したくないということもあります。なので登山後はそのまま私が家に持ち帰り、しっかり干して時には防水してキレイにたたんで返す、という手間がありました。
靴にいたっては準備してあげることはできず自前の物を用意してもらっていましたが、やはりここは一番のネックでした。アキレス腱が痛いという友人、下り途中に足のツメで靴下も靴も敗れてしまった友人もいました。戻ってからのケアや筋肉痛は大変だったろうと思います。

しかしこのレンタルを知った今となっては、もうそんな苦労や心配はしなくてすむんですよね。「付き合いで」とか「会社の人に誘われて」とか「記念に」という理由で富士山に登ることってけっこう多いですので、そんなときにも安心してオススメすることができます。

さらに、最近では世界遺産登録の影響による初心者の増加で、富士山側の関係者は以前より軽装備の人に対して警戒を強めています。装備は自分の身を守るためであることは当然ですが、世界遺産となった現在では「みんなで意識して事故を未然に防いでいこうよ」という流れもあると思います。

今回利用させて頂いた「アウトドアギアレンタル そらのした」では、現地受取・現地返却サービスも人気とのことです。

たとえば、「静岡県を観光してから富士宮口五合目でレンタル品を受け取って富士登山し、反対側の吉田ルートを下山して河口湖駅前店でレンタル品を返却、そのまま山梨県の温泉を楽しんでから帰る」、ということができてしまうわけです。マイカー規制も厳しくなってきているなか、電車とバスで気軽に富士登山ついでに観光。良いですね!