初心者のための登山とキャンプ入門

7月初旬の富士山登山

2009年7月の富士登頂
石井スポーツ 登山学校

山開き直後の富士登山

富士山の山開きは7月1日。今回は山開き直後の7月3日(金)夜発、4日(土)登山、まだ大混雑する前に行こうという計画である。ニュースでは山開き後も登山道に雪が残っていて頂上へは行けないと報道している。山開きの日に頂上に行けないのは12年ぶりだそうだ。なんでも東京に冷たい雨が降った6月、富士山では雪が降りそれがまだ残っているというのだ。頂上へ行けないといっても、実際は、きちんとした山装備で来ている人は通過させ、そうでない人は遠慮してもらったようだとも聞いた。その後なんとか頑張って登山道を除雪し、山開き後初の週末に間に合って歩けるようにしてくれたようである。しかし今週末の河口湖付近の降水確率は金曜日土曜日とも降水確率70%。どうなることやら。

さて、7月の富士登山は初めてだ。リーダーは毎年この時期に登るようにしているという。普段登山をする人なのだが、やはり本格的な登山シーズンが始まる前に3000m級に登っておくと体が高度順応して調子が良い気がするというのである。なるほど、富士山は都心からも行きやすくトレーニング的な意味で行くにも距離も高度もちょうど良いようである。

行程―7月3日(金)―駐車場泊

7月3日金曜日、8時に八王子を出発。すでに時々小雨がぱらついている。今回のメンバーは女子6名。8人乗りのトヨタvoxyをレンタルした。24時間で20,500円だった。初めてのキーレス車は操作が不安だ。

中央道を河口湖ICでおり富士スバルラインまでの間、音楽のなる道路を通過した。曲は 「富士山」。 あ~たまーをくぅもぉの~ の、あの歌である。おもむろに車外から音が聞こえてくるので おやっと気づくと思うが、車内で音楽をかけていたりしたら聞きそびれるかもしれない。ぜひ耳をそばだてて聞いてみてほしい。スバルラインは往復2000円。入るとガスが出てきた。ガスは障害物のようにフワっと光のなかに突如あらわれフロントガラスにぶつかってくる。ディズニーランドのホーンテッドマンションのお化けの映像がこちらにぶつかってくるかんじだ。夜間のガスの中の運転は慣れていないとちょっとあせる。車の通行は少ない。途中鹿が道路わきにいたりして2つの目がキランと光るのを見つけるのも楽しみのひとつだ。私たちは帰りにバンビサイズの鹿とウサギを発見した。

雨は途中から本降りになった。スカイラインの途上にはいくつかトイレつきの駐車場があった。5合目の喧噪を避けて眠りたい場合なども使えるのだろう。そして予定通り八王子から1時間半、夜9:30に富士山五合目駐車場に到着。車は50台くらいは来ていただろうか。駐車場はどこも十分空いている。公衆トイレの階段の下あたりに留め、雨の中4人用のテントを1張り立てる。3人はテント、3人は車中泊。voxyはほぼ平らになり女子3人なら十分なスペースだ。それぞれ寝袋に入り10時に就寝。私はシュラフカバーと夏用シュラフという組み合わせで端に寝て寒くはなかったが、夏用シュラフだけで寝た人は寒かったようだ。深夜3時頃には車は次々とやってきた。雨は夜中中激しく降ったり止んだりしていた。

行程―7月4日(土)―出発

4時に起床。雨はしっかり降っている。外はすでに明るく、ヘッドランプは要らない。リーダーが用意してくれていたポットに詰めた温かい紅茶とコンビニで買っておいたおにぎりをさっと食べ、カッパを着てザックカバーをつけ、トイレに行って準備運動を念入りにして、5時ちょうどに出発。

5合目の公衆トイレは清潔でトイレットペーパーが付いている。洗面台には 「麓から汲んできた水なので節水を」 と張り紙があったので万が一水を忘れてきてしまった場合にはたぶん飲めるのではないだろうか(2013年7月現在では「この水は飲めません」と注意書きあり)。「え!トイレの水飲むの?」と思われるかもしれないが、登山者が長く山に入る場合2リットル近い水を自宅から汲んで電車に乗って移動するのは重いので、だいたい下車駅や最後の公衆トイレで汲んだりする。でも山中で水が取れないトイレの洗面台の水などは雨水や沢の水をそのまま引いるだけ「飲料不可」と書いてあるものもある。まぁ富士山5合目では自動販売機も充実していてまだ価格も下界と同じなのであえてトイレの水を汲むことも少ないか。ところでここは最後の無料トイレである。向かいに見えるお土産屋さん店内は50円だし、これより上はすべて100円かかり、頂上ではたしかもう少し高い。トイレわきスペースには屋根があるので、雨を避けて準備するのによい。

五合目の山小屋
五合目の公衆トイレ

リーダーから高山用の肺の体操を教わった。山岳ガイドに習ったようだ。背中の肩甲骨がくっつくくらいに両手を広げて思い切り息を吸い込み、ゆっくりと両手を前に閉じ少し前かがみになって肺を縮めるように息を出し切る。これをゆっくり10回やる。登山中も休憩のたびにやるといい。

あと、登り方の注意としてはとにかくゆっくり歩くこと(一方の靴のつまさきと他方の靴のかかとがくっつくくらい)。そしてけして走らないこと。リーダーはエベレスト街道トレッキングやキリマンジャロ登山にも参加しておりそこでのエピソードを話してくれた。それは、高山を歩行中にツアーのメンバーが手袋を落とし、それを拾っていたため前の人との距離が少し開いてしまったことを気にして追いつこうと走ってしまい、すると激しくなった動悸がおさまらなくなってそのままヘリコプターに乗って下山せざるを得なくなったという話だった。他にもツアー中の同行者が高山病で亡くなるという経験もしており、自身もキリマンジャロでは高山病にかかりリタイア寸前という経験をしている。そのため標高による気圧の変化が人体に与える影響をすごくリアルの経験している方だと思う。今回は後輩育成のための登山でもあるのでその重要さを教えてくれたのだ。

五合目からの富士

メンバーの後輩たちは装備がそろっていないためザックカバーを持っていなかった。急きょ45Lゴミ袋をザックカバーにして雨の中出発。私たちは後輩の雨中登山経験のためにも行けるところまで行ってみるか、という理由もあり出発したが他の人たちは迷うことなく出かけていく。みんなにとっての富士登山とは雨だからやめるとかそういうもんじゃない世界なんだろうかと不思議におもう。そうこうしていうちにうっすらと山が見えてきた。思えば富士山は天気がものすごく変わりやすいところだし、下界は雨でも自分たちは雲の上に出て晴れているとかそういうこともあるもんね。一時の天気だけでまったく予想がつかないのが富士山かも。

山小屋

山開き直後の富士山はすっかり登山客を迎え入れる準備ができている。まだすべての山小屋がオープンしているわけではないが、山小屋の焼印やはっぴを着た店員さん、表に売り出される冷えたジュースなどが、溶岩だらけで灰色の道をひたすら歩く道中に彩りを添えている。ちょっとした縁日のようで通過するたびにうれしい。

トモエ館

多くの登山者が金剛杖と呼ばれる白木の杖に焼印を押してもらっている。1回200円で山小屋ごとに絵柄が違う。登山の格好をしていない人が持っていることが多い。

杖に焼印

メニューも外国人向けに英語表記がある。これはまだ下の方の小屋。ミネラルウォーター500mlが400円。スタートが350円だった。これが標高ともにどんどん高くなるのだ。

料金表
料金表

これはかなり上の方。水は500円になった。

料金表

見た目もにぎやかで楽しげな売店。

富士山の山小屋で販売している飲み物
山小屋の売店

ココアやおしるこなど疲れた体にうれしい温かくて甘いものや、うどんやカレーなど食欲をそそられるものまでたくさん。ちょっと高くてもたべたくなってしまう。

山小屋の売店

こういうのを注文すると、小屋の中の休憩所で温まりながら休憩することができる。小屋には時間に関係なく仮眠を取っている人がいるので騒がしくはしない。小屋の前にはベンチをおいてくれているのでそこで休む分には無料だ。

山小屋の仮眠所

仮眠スペースはこういった具合。寝袋と毛布と枕が置いてあった。カーテンを閉めれば真っ暗になって十分休めそうだ。家庭で使うような布団を整理している山小屋もあったので、いろいろなのだろう。以前、あまりに眠くなって急きょ2000円くらい払って仮眠したことがる。2時間くらいだったろうか。小屋の人が日の出だと知らせに起こしてくれたが「日の出見なくていいです」といって二度寝したくらい気持ちよく眠れた記憶がある。

山小屋の寝室
仮眠所

トイレも山小屋のトイレとは思えないくらいきれいだ。有料のには1度しか入らなかったので他はわからないが、レバーを握ると水が強く出てくるのホースがついており、それでちり紙などを流すタイプの水洗だった。トイレットペーパーだけでなく、なんと使い捨て便座シートもついていた。100円は入れなくてもバレない作りになっていたり 「チップ」 と表記されていて払わなくてもいいのではと思うかもしれないが、トイレ維持のために必ず払おう。

山小屋のトイレ
山小屋のトイレ

登り

5時に出発。標高は2305m。初めの6合目までは広い道を各々好きなペースでウォーミングアップしながらあるく。今回は30分程度歩き5分休むというリズムで歩いてゆく。休憩すると非常に寒いので5分くらいがちょうどよい。少しの晴れ間に、緑の森が広がっているのが見えた。

五合目からの眺望

富士山の麓は湧水が豊富だが、ここは珍しく山中の湧水だそうだ。泉ヶ滝という。雨が降っていたからかちょろちょろと流れていたが帰りには流れていなかった。

富士山の湧き水

6合目までに一つあるトンネル状の落石防止シェルターで雨を避けて休憩をし、6合目の公衆トイレ(山小屋管理ではない)を通り過ぎる。雨が降ったりたまに雲が切れて山中湖や富士山の外輪山が見えたりしてそのたびにあちこちで歓声が上がる。

6合目からの眺望

花小屋(2690m)あたりから 「鎌岩」 と呼ばれる岩の道が始まる。溶岩の岩なので滑りにくい。苔も生えていないから濡れていても滑らない。長い岩の合間合間に多くの小屋が点在している。岩、階段、小屋、岩、階段・・・この繰り返し。なんせ吉田口には18個も小屋があるらしいのだ。吉田口が長いのに人気があるのは、この小屋の多さが便利なことがあるんだろう。あと、この溶岩の登りが富士山らしいからっていう理由もあるだろうか?この時は雨だから足元しか見えなかったけどこんな様子の岩だ。これは下山時に撮影。

岩だらけの道

8時半ごろ8合目太子館(3030m)横にある八合目救護所を通過。オープンは7月下旬かららしい。

八合目救護所

蓬莱館(3075m)あたりで長かった岩は終わり、再び砂礫の道に入る。するとまもなく登山道わきに残雪が現れ始めた。吉田口下山用や須走り口へのブルドーザー道や、須走り口・御殿場口までの登山道自体も残雪により開設していない旨の看板が出ていた。やはり早い時期は事前に開通しているかの注意が必要だ。

雨の中の登山者

9時半ごろ元祖屋(3250m)を通過すると雪はさらに多くなった。このときはガスっていたので遠くまでは見えなかったが斜面には大きな雪渓が残っていた。5分休憩の最後には体が冷えて激寒である。途中からリーダーの指示で毛糸の帽子と手袋を出した。待っていてくれたかのようにその後風が出て、私の安い毛の手袋でもつだろうかと心配になるほどだった。

雪渓

その後時折日がさして背中や腕にポカポカした日差しを感じるようになった。下ってくる人々が「あ、青空がちょっと見える」「あー森が見えた!」と歓声を上げた。彼らは今朝から今までずっとまっしろの世界にいたんだろう。

時間がたつほどに青空も見えてきて、12時頃やっと頂上(3710m)に着いた。これは鳥居御橋(3700m)。

鳥居御橋

頂上では風もガスもなく、お鉢まわりのコースが1周全部見える。剣が峰への斜面は雪がしっかりついている。リーダーによるとこの時期の剣が峰への登山道上には雪が残っていることが多いようだ。剣が峰から先は、結構な角度のある斜面にしっかり雪が残っていて登山靴でのキックステップができないと歩くことは難しそうだ。 時間も遅くなったので剣ヶ峰(3776m)のピストンはやめた。

頂上

ブルドーザーが必死に雪かきをしてくれていた。青空に浮かぶブルドーザーは人と機械には見えず、けなげにがんばるロボットのようにみえた。

ブルドーザー

ゆっくり休んで、12時45分から下山を始めた。

富士山で出会った素敵な人々

富士山って前からあんなに素敵な人がたくさん集まるところだっただろうか。帰りの駅のホームの混雑に紛れながらそんな風に思った。電車を降りて大きな荷物を持って進路を決めかねている私に、向かいからやってきた人が「よけろ」と顔も見ずに手で合図する。まぁよくあることだ。でも今日の富士山では違った。登りは雨降ってたし下を向いていたのですれ違う人の顔はあまりみなかったけど、青空になって明るくなり、なんだかみんな元気になったようだった。「こんにちはー」と素晴らしいスマイルで声をかけてくれた人のなんと多かったことか。

山小屋のおにいさんもそうである。何も買う素振りがなくても「おつかれさまです」と声をかけてくれ、目が合うとニコッとしてくれる。外国人が多いせいもあるだろうか。この日富士山で出会った人の1/3は外国人だったんじゃないかってくらい、多かった。みんな「Hello」や「Hi」じゃなくて「こんにちは」と声を掛け合うのが主流らしい。とにかくさわやかな人が多くて目が合うと自然に天気の話やねぎらいの会話が始まって、「どうぞ」と登ってくる人に道を譲ると「いやいや疲れちゃったからどうぞ」と笑顔で返してくれて。この人には挨拶しなくていいかなって思うような普段着の軽い格好をした人が意外にすごく気持ちの良い返事をしてくれてびっくりしたりとか。町中ではなるべく他人と目を合わせないように歩く気がするけど、なんかこの日の富士山はそういうのとは全然ちがった。みんなが暗い雨空から温かくて明るい晴れになった喜びを共有したからだろうか。下りの岩場では具合が悪くなった後輩の手を引いて下って行くと、上りの人が気づいて道を譲ってくれていてくれ「ありがとうございます」って言うと「いいえ~」とねぎらいの笑顔を向けてくれる、そんなことが何回かあった。とっても良い気分になった。

下山―高山病になった後輩―

岩の登りの途中からテンションが低かった後輩が頂上に着くころにはぐったりしていた。彼女は今日が初登山で初富士山だ。彼女は「根性を鍛えたくて参加した」と言っていた。自分だけが疲れ始めたことを「根性がない」と捉えてていたようだが、それは違う。「みんなも辛いけどがんばってる」じゃなくて、たぶんみんなは辛くないのだ。富士山でゆっくり歩いてるのに「つらい」と感じる場合はたぶん「体力」じゃなくて既に「体調」が悪いんだと思う。前日熟睡して日々ごはんもしっかり食べれている彼女の何がきっかけとなったのかわからないけど、もしかして岩が始まるまでひたすらしゃべりながらいいペースで歩いてしまったことが無理をさせたのかもしれないし、リーダーによると、脚力がないから岩の登りでフラフラして疲れすぎてしまったのかもしれないとも読んでいた。

頂上ですでに何も食べれなかった彼女は完全にシャリバテも起こしていた。頭痛もあり体は鉛のように重そうだった。下山しようと立ち上がると彼女は「気持ち悪い」と言うので吐くことを勧めてみた。以前一緒に行った友達も気持ち悪くなり吐いたらやがて治り登頂したことがあった。すぐにビニールを用意し「いつでも言って」というと「今出来る」と言うので隅に行って隠れてさっと済ませ、ビニールに3重にくるんで自分のザックに入れた。看護師のようでエライ!と自分をほめてあげたかった。

かわいそうなのでとにかくなるべく早く下山させ楽にしてあげたいと思い下り始めるとすぐに気持ち悪さは解消したようだ。かわりにしゃっくりをはじめたがそれもしばらくするとおさまった。岩を下り始めるとペースは一段と遅くなって多くの人に抜かしてもらった。今回は下り用のブルドーザー道が雪で使えないので岩の道を登る人と下る人で譲りながら通らないといけない。すっかり晴れて岩も乾いていたことが本当に救いだった。彼女を見ていると常に「下り方」に迷っている風だったので試しに前に行って「ここにしゃがんでここの岩に手を付いてここ右足、ここ左足・・・」と言ってみたらリズムよく下ることができた。しかしまたすぐに迷ったようになってしまい一足出すたびに止まってしまうのだ。私は彼女の左手を引っ張って自分はその脇の岩場を猿のように乗り越えながら、足を置く場所を指示しながらリズムよく下れるように声をかけながら歩いた。すると驚くべき速さで下ることができた。なぜそのやり方が良かったのかわからないけど、おなかの中にも何も入っていない彼女はモウロウとしていて頭も働かなかったのかもしれない。
岩場の終盤には、支えた右手は腱鞘炎になるんじゃないかってくらい痛くて月曜日のテニススクールの事が頭をよぎった。

岩が終わり安心したのもつかの間だった。砂利道になっても後輩のペースは上がらず、6時半ごろレンタカー屋に8時返却の予定を延長する電話をかけ終わったリーダーはおもむろに 「かついで下る」 と言って私にザックを預けて彼女をおぶって走って下りだした。ものすごく早かったが長く続くはずもなかった。急いでいる理由を聞くと、なんとレンタカー屋は8時で閉店するというのである。今から走って帰っても30分はオーバーだ。今度は別の人がおぶったがやっぱり長くは無理だった。そこで試しに3人4脚をやってみた。後輩を真中にして3人で肩を組み、声をかけながら出す足を合わせて大股でザクザクと下っていくのだ。これがなぜだかすごくうまく行って、歩いていた他の登山者をごぼう抜きのペースだった。

小休止しているとリーダーが追い付き、レンタカー屋に緊急事態だと説得しなんとか9時半までの延長をお願いできたという。思えば「延長する場合は1時間前に連絡をくれればいい」と言われていたそうな。延長できたとはいえ、後輩のペースに任せていては間に合わないし何よりもこの苦しみの歩行を早く終わらせてあげたいと思い駐車場まで3人4脚でがんばることにした。リュックは残りの3人が2つづつ背負ってくれた。すごい速さで歩きながらも後輩は電車の中で居眠りした時のように時折頭がクイッと後ろにひっくり返ったのには内心びっくりした。意識を確認するかのように声をかけて最後のちょっとした登りもがんばって歩いた。

そして7時5分に駐車場に着いた時には、みんなで文化祭の後のように感動しあった。後輩はその後カッパを脱ぐ元気もなく車に乗せられて家路についた。なんとか約束の9時半直前にレンタカーを返却し富士登山は終わった。変化ある天気といろんな道と高度の影響を体験し、最後はみんなの協力で連帯感を築いて感動で終了した富士登山はかなり思い出深い山行となった。ぐったりした後輩にとってもいつかいい思い出に変わる日が来ると信じている。

富士山の装備について

今回は7月初めだったので時にはみぞれも降る場合もあるというのであったかグッズだけはしっかり持っていった。耳まで隠れる毛の帽子、毛の手袋、ゴアテックスのカッパ、防寒着(インナーダウン)・・・

これらもっていったものは全て実際の山で使用した。

寒さ対策はもちろんのこと、一番その威力を感じたのはやはり登山靴だ。

モウロウとする後輩の手を引いてわきの岩の上をサルのように歩けたのも、その後輩がもはや力の入らない足でボコボコとした溶岩の上を転ばずに歩けたのも、リーダーが自分と同じ体格の人を背負って砂利道を走れたのも、二人三脚で大またで走る私たちに挟まれた後輩が足をくじくことなくついてこれたのも、 全部登山靴のおかげである。私たちは全員、足首をがっちり守ってくれるきちんとした登山靴をはいていたのだ。

登山靴の靴底は非常に滑らないように出来ている。また、かたいものが多い。かたいと足の裏に当たる石や溶岩のボコボコを感じることなく逆に、そのちょっとした突起さえ足場にしてトコトコと下ることが出来る。のぼりではふくらはぎが、くだりでは太ももに必要な力が軽減される。

ちょっと雪が残っていても、ぬかるみがあっても、雨が降ってもどんなときでも心配ない。

履き始めは重いと感じた登山靴だが、私は年齢を重ねるごとに「ラクさ」を感じている。一般的に皮の登山靴は10年はもつといわれているが私の場合は15歳から履いてもう18年間も履いている。一度靴底を8000円くらいで替えたが、まだまだ履けそうだ。

これで真冬の雪山も夏山も行く。

だから、登山だけでなく自然の中にたまに遊びに行こうかなと考える人は是非登山靴を買ってしまうことをオススメするものである。