初心者のための登山とキャンプ入門

登山靴の選び方

登山靴のイラスト

登山は歩くスポーツです。家を出た瞬間から家に帰るまで、何万歩、何十万歩も歩きます。登山靴選びを失敗してしまうと想像以上の疲労が溜まりますし、危険なめに会う可能性も十分に考えられます。それ以上にせっかくの楽しい登山を台無しにしてしまいますし、もう二度と行きたくないと思ってしまうのはとても寂しいものです。逆に快適な靴を履いて山にでかければ、より登山を楽しむ事が出来ます。登山靴は一番重要な登山用品ですので、店頭で迷って悩んで時間がかかってもかまいません。慎重に、自分が本当に納得した靴を選んで下さい。

石井スポーツ 登山靴の選び方

登山靴の役割

登山をしようと思った時、まず初めに思いつく登山用品が登山靴でしょう。しかしあのがっしりとした靴は本当に必要なのだろうか?普段履いている靴ではだめなのか?と疑問を持たれる方も多いと思います。小中学生の遠足ではスニーカーだった、なんて思う方もいるのではないでしょうか。確かに遠足では普段履いているスニーカーでしたが、荷物も少なくコースも穏やかで、また標高差や歩行時間も少ない登山なのでスニーカーでも大丈夫だったのでしょう。それに若さもありました。しかし重い荷物を持って長時間歩く登山では勝手が違ってきます。足の裏には荷物の分体重がかかるのでいつもより痛くなりますし、下り坂では足首にかなりの負担がかかります。

実際登山道はどんな感じかと言いいますと、すべりやすい砂利道、岩がごろごろとした道、ぬかるんでいる道など様々あります。そのような道ではいつも通り足の裏全体で地面を踏む事ができないので転びやすく、また転ばないよう踏ん張ることで疲れやすくなり、場合によっては関節や筋肉を傷めてしまいます。登山靴はこのような条件の悪い道で重い荷物を持って歩いても怪我なく快適に、また疲れを軽減するよう作られているのです。一度登山靴を履いて山道を歩いてもらえればわかるのですが、スニーカーで歩くよりも何十倍も楽に感じることでしょう。そして距離を歩けば歩くほど、登山靴の素晴らしさが理解できると思います。

登山靴の選び方

素敵な登山靴をゲットしてテンションが上がっている人のイラスト

ソール(アウトソール)が固い

登山靴のアウトソールはがちがちに固くなっています。しかし全く曲がらない様な固さではなくある程度しなるように作られています。なぜ固い靴が良いのかというと、固いアウトソールの靴は力を分散できるので、でこぼこの道でも歩きやすくなります。たとえば石の上を歩くとき、石に乗っている部分だけに力が入るのではなく、足の裏の面で捕らえることができるので疲れにくくなります。特に本格的な登山靴になると、つま先だけで岩の上に立てるくらいアウトソールが固くなっています。この場合普通の靴なら相当踏ん張って力を入れないと立てませんが、アウトソールが固いと簡単に立つことが出来てしまうのです。しかしアウトソールが固すぎる登山靴は、平坦な道や緩いのぼりの道では、足の裏を曲げることが出来ないので歩きづらくなります。どのような登山をするかで選ぶソールのタイプは変わりますが、荷物も軽く比較的優しい登山がメインの方は柔らかめのアウトソールを、テント泊を予定している人は固めのソールがいいでしょう。

ハイカットの登山靴

登山靴にはローカット、ミドルカット、ハイカットの3タイプに分かれます。ローカットの靴と言うのは一般的なスニーカーの様な靴で、アッパーの部分が足首より下にあります。足首が固定されておらず自由に動かすことができるので普段の様に軽快に歩くことができます。しかし下りの時には足首に負担がかかるので登山向きとは言えません。
登山に向いているのはハイカットの靴で、ハイカットの靴は足のくるぶしまでカバーするタイプのくつです。足首を固定されてしまっているので自由度は減りますが、その分下りで足首の負担を減らしてくれます。体重を靴にまかせることが出来るので、ローカットの靴と比べかなり楽に下ることもできます。また足首をがっちりと固定してくれるので、足首の怪我をしにくくなると言う特徴もあります。。ミドルカットの靴は丁度その中間と言えます。ハイカットの靴に比べると自由度が高いので、上り下りの少ない道には向いていると言えます。

アッパーの素材と防水性

登山靴にはおおよそ2種類の素材が使われています。スエードやヌバックなどの革素材とナイロンなどの化学繊維の素材です。本格的なオールシーズン対応の登山靴はアッパーすべてが革でできているものが多く、全てが革で出来た靴は衝撃に強く靴が長持ちする、防水性が強い、履くほどに足になじむと言った特徴があります。
一方ナイロン素材の靴は軽く通気性がよく、そして手入れが簡単などの特徴があります。そして軽いというのもナイロンの優れた点なので、ナイロンと革の両方の素材を使用している登山靴もたくさんあります。ナイロン素材の登山靴は扱いやすく、また初心者の方でもなじみやすいので最初の一足としておすすめです。しかし防水性が弱いので、ゴアテックス(ゴアテックスブーティ)を採用した防水性に優れた登山靴を選びましょう。

登山靴の種類

登山靴は各メーカーから色々なタイプのものが販売されており、それらをカテゴリー毎に分けるのはとても難しいことです。例えば人によってはトレッキングシューズのような柔らかめの靴でも北アルプスの縦走が可能だ、と言う人もいますし、固くてがっちりとした登山靴をすすめる方もいます。登山用品店の店員さんの言う事もそれぞれです。しかし結論はどちらでも可能と言う事だと思います。どちらのタイプの靴でも登山ができない事はありません。ですが向き不向きはもちろんありますので、あえて私の経験からカテゴリー分けをすると、日帰りで自然歩道を歩く程度ならハイキングシューズ、標高差のあまりない山小屋一泊ならトレッキングシューズ、テント泊をするなら登山靴(軽登山靴)、冬も雪中も登山をする人は重登山靴、と言う風にしてみました。もちろんテント泊が可能なトレッキングシューズもありますので、私のカテゴリー分けしたものが全てにあっているわけではありません。

ハイキング・トレッキングシューズ

キャラバン GK62
キャラバン GK62

荷物の少ない低山ハイキングや、岩場歩きの少ない登山に向いたシューズです。軽快なモデルが多く、ソールが柔らかいものは普通のスニーカーの様に履けるので、アスファルトも歩きやすく疲れにくいです。このハイキング、トレッキングシューズのタイプは街中でも気兼ねなく履けるデザインの靴が多く販売されています。

登山靴 (軽登山靴)

モンベル アルパインクルーザー 2500
モンベル アルパインクルーザー 2500

固めのソールを採用し、ハイキングから中級山岳以上、夏の縦走、残雪着登山と幅広く使える登山靴です。一般的に登山靴のアウトソールは固いので、トレッキングシューズなどの柔らかいアウトソールに比べ岩場は歩きやすくなります。また足首のホールどもしっかりとしているので重い荷物を背負っていても足首への負担も減ります。

登山靴 (重登山靴)

スカルパ トリオレプロ GTX
スカルパ トリオレプロ GTX

いわゆる重登山靴と言われるオールシーズンに対応し、そしてハードな使用にも耐える登山靴です。アッパー、アウトソールは堅牢で保温性も確保されています。ライトな登山靴と違う点はやはり冬季対応という点です。アイゼンをつけた雪中登山やアイスクライミングが可能なモデルも数多くあります。

登山靴の買い方

登山靴のためし履きが長い人イラスト

登山靴は登山用品店で

では実際どこで登山靴を買うかと言うと、やっぱり登山用品店で登山靴を選ぶのがベストでしょう。大型スポーツ用品店にも登山コーナーが用意されていますが、商品数が少なく自分にぴったりの靴を探せずに購入してしまう場合があるのでおすすめできません。登山用品店なら揃えてある登山靴のメーカーや種類も豊富ですし、店員さんもスポーツ用品店とは違い、登山靴コーナー専門で働いている人も多いです。たとえば神田の「さかいやスポーツ」の場合、フットウェアだけを販売している建物があり、もちろん店員さんはフットウェアのみを扱っています。それくらい、登山靴選びは難しく専門の知識が必要と言うことです。また店員さんは一日に何十人もの足を調べて登山靴を選んでいます。見ただけで足の特徴がわかる人もいますし、もちろんそれにあった靴を選んでくれます。登山靴の形はメーカーに毎に異なりますので、専門の人に自分の足形にあった靴を選んでもらう、と言うのがやはり基本でしょう。

店員さんに相談して選んでもらう

登山用品店にはたくさんの靴が置いてあり、初心者の方にはどれを選べば良いのか難しいと思います。ですので最初は店員さんに相談するようにしましょう。その際自分が初心者であることを告げ、どのような登山をするか伝えると確実です。ハイキング程度しかしないのか、将来的にはテント泊の登山をしたいのか、雪山を歩きたいのか、などです。目的を伝えれば選ぶ靴がかなりしぼられ店員さんも選びやすくなります。またじっくり登山靴を選ぶコツは平日に登山用品店に行くことです。店員さんも接客している人数が少ないのでゆっくりと相談しながら靴を選んだり、何足も試しやすくなります。夏季は富士登山もあり登山用品店は大賑わいですので、ゆっくりと選びたい人は曜日や時間帯を選んだ方が良いでしょう。

実際に歩いて履き心地を確かめる

登山靴を履いたらとにかくそこら中を歩いてみましょう。登山用品店には履き心地を試すスロープが置いてあるので、そこを登ったり下ったりしながら履き心地を確かめます。足の一部分だけ圧迫されているところがないか、指先が当たって違和感や痛いところがないかも確認します。もしあれば店員さんに相談して、異なるサイズの靴を出してもらうか違う靴を出してもらいましょう。 また歩きながらソールの固さや曲がり具合、安定性なども確認するとよいでしょう。

色々と履きくらべる

面倒くさがったり恥ずかしがらずに、同じ用途の登山靴をいくつか履き比べるのも大事です。初めて登山靴を履いた時は履き心地の良い悪いはわかりにくいものです。色々な靴を履き比べるうちに歩きやすい、フィットしている、など何となくわかってきますので、店員さんに相談して違うメーカーのものをいくつも用意してもらうと良いでしょう。
時間に余裕がある人は何軒も登山用品店をまわって履き比べるのも良い方法だと思います。さすがに登山用品店と言えど全てのメーカーの靴を揃えているわけではありませんし、扱っているメーカーに偏りもあります。同じ様に違う店でも店員さんに相談すると、恐らく違った登山靴が出てくると思います。それらも履き比べて同じ様に履き心地を確かめてみると良いと思います。また店員さん毎に知識やその靴を用意した理由も異なりますので、話を聞いているうちに何となく自分が選ぶべき登山靴が見えてきたりします。

私の登山靴選び体験談

私が初めて登山靴を購入した時は、都内の3店の登山用品店をまわりました。どのお店も有名で登山をやる人に知らない人はいないくらいのお店で、品揃えも申し分のないところばかりでした。

1店めの登山用品店では4万円ほどの登山靴を2つ選んでくれました。私は登山初心者で、いずれはテント泊をしたいと言う風に店員さんには告げました。しっかりと足を計ってくれ、選んでくれた登山靴どちらも申し分ありませんでした。軽くて店内のスロープを下るのが非常に楽で驚きました。想像していた登山靴とずいぶん印象が違うなと思った記憶があります。しかし二足目の登山靴を店員さんに履かせてもらった時に、靴の履かせ方が非常に雑でした。一足目はしっかりとカカトをあわせてくれたのに、ただ靴紐を結んだだけと言う感じです。それでも靴の履き心地は良かったのですが、私が悩んでいるとどんどん違う系統の靴をすすめてきたので信用できなくなり、結局そこでは買わず悪い印象だけが残ってしまいました。

次の登山用品店では、一店目の登山用品店と同じメーカーの靴をおすすめしてもらいました。違う種類の靴だったのですが、履き心地もとても良かったです。そして一店目と同じメーカーのものをすすめられたので、そのメーカーが素晴らしいか、そのメーカーの靴が私にあっているのだろうと思い、そのメーカーの靴を買おうと言う気持ちになりました。店員さんも丁寧に登山靴のことを教えてくれましたし、店内の雰囲気も良かったのでゆっくりと考えることができました。しかし4万円と言う価格はかなりの予算オーバーでした。もちろん登山靴は一番重要な登山用品だとはわかっていたのですが、どうしてもそこで買うことに踏み切れずその店を後にしました。

自宅で色々と調べていたので、三店目の登山用品店では私の方からこの靴を履かせて下さい、と店員さんにお願いしました。他の2つのお店では4万円クラスの靴をすすめられていたのですが、私が選んだのは2万円ほどの登山靴です。と言うのもどう考えても予算的に2万円しか出せなかったのです。その登山靴の履き心地は4万円の靴と比べアッパーもアウトソールも柔らかい感じがしました。がっちりと固められている風ではなく、わりと普段の靴に近い履き心地です。アウトソールも柔らかいのでつま先だけで岩の上に立つといったような事もできず、下りでの足首のホールドも弱いのがわかりました。ですが甲高幅広の私の足でも問題なく履け、履き心地もとても良かったのです。すごく人気の靴でしたし、店員さんも私の様な登山スタイルでも全然大丈夫と言っていました。大丈夫と言っても、4万円の登山靴の方が疲れにくいだろう、と言うのもわかっていましたし、安全だろうなとも思いました。ですが私以外の色々な人も、同じ靴でテント泊の登山をしていると言う話を聞けたので、よし、これにしようと決めたのです。
またその店では登山靴を履いたまま買い物をしていいと言ってくれたので、履き心地を確かめるために1時間ほど登山靴を履きながら店内を歩きました。それくらい長い時間履いて、これでも大丈夫だとやっと確信を持ち、その靴を購入しました。

買った靴は早速テント泊の登山で使用しました。前例がなかったので評価はできませんでしたが、履き心地も良く満足がいく登山ができたと思います。現在では買った靴も消耗したので別の登山靴を購入しましたが、あの時は2万円の靴で十分だったと今では思います。動きやすく快適だったので、登山以外のキャンプやハイキングなどでも活躍させることができました。