初心者のための登山とキャンプ入門

高山病の原因と症状。その予防と対策。

高山病になって運ばれる人イラスト

このページでは、登山で最もよく起こりやすい体調不良、頭痛や体がダルい、お腹が気持ち悪い、などについて”高山病”という観点からまとめています。一読しておくともしもの時の心構えに役に立つと思います。

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高山病の原因と症状

高山病の最大の原因は血液中の酸素不足です。標高が高くなると気圧が低くなる事が原因で、いつもと同じように呼吸していても血液に取り込める酸素の量が減ってきます。富士山の頂上では平地の気圧の2/3となり、体内の酸素量は1/2となります。酸素不足が生じると換気の回数が増えるなどの反応が起こりますが、その適切な反応ができない不適応現象のことをまとめて急性高山病といいます。

山を歩き始めると、”病気” でも ”ケガ” でもないけれども、なんか体が重く異様にダルい、ツライ、という事がよくあります。私の場合は、登山を始めて半年くらいは常に体が重くて歩けず、食べることもできず、グッタリしていました。
しかし頭痛はなく、それは低山をゆっくりゆっくりと歩いていても起こりましたので、今考えてみると高山病ではなさそうです。登山では疲労や睡眠不足、環境の変化、貧血、脱水などのいろんな原因で体調不良が起こりますから一概に高度障害とは言えません。

明確ではありませんが、高山病かどうかは、症状が出てきた ”標高” と ”頭痛の有無” が判断の大きなめやすになります。知識として高山病を知っていれば、「この先進んでいいのか?」、「薬は飲んでいいのか?」、「寝た方がいいのか?」、「水は飲んだほうがいいのか?」などの対処の判断に役に立ちます。

高山病に頭痛は必ず起こる

脳は体の中で一番酸素を消費する臓器です。そして低酸素に弱いため、必ず頭痛を伴うのが特徴です。

高山病の症状は

  • 頭痛
  • 食欲がない、吐き気
  • 疲労・脱力
  • めまい・ふらつき
  • 睡眠障害(熟睡できない)

さらに進んだ危険な症状

  • 鎮痛剤で治まらない頭痛
  • 嘔吐
  • 運動失調
  • 無気力・傾眠傾向(ねむりがち)
  • 無頓着・感情隠蔽

全員が高山病になるのか

2500mの高度に急激に登ると、25%の人に高山病の症状が出て、3500mではほとんどの人に危険信号が出ます。そのうちの10%の人が重篤になると言われています。また、日本人には数%の割合で低酸素に対応できない(高度に順応できない)体質の人がいると考えられており、遺伝的要素もあるのではないかと言われています。

覚えておきたいこと

  • 高齢者は若者に比べて低酸素状態になりやすい。
  • 風邪などで体調が整っていない場合は高山病になりやすい。
  • ヘリコプターなどで急激に高度をあげるとなりやすい。
  • 標高6000m以上では、滞在するほど体力は衰弱していく。

急性高山病になってしまったら

軽度なら、安静にして休むのが対処の基本です。そこがもし宿泊地なら、すぐに横にならずに周辺を散策するなどして体を動かしたほうが酸素を取り込みやすく血流もよくなって効果的です。横たわった状態では呼吸が浅くなってしまうからです。休憩する時は体が冷えないように保温しましょう。

また脱水は症状を悪化させるので、高山病になってしまってからでも水分を充分に摂ります。バファリンなどの鎮痛解熱剤(アスピリン、アセトアミノフェンなどの非ステロイド系)を飲んでもOKです。ただし似ていますが、呼吸を抑制する作用のある鎮”静”鎮痛剤の過剰摂取は好ましくないとされています。

急性高山病でムリをするとどうなるか

急性高山病が重症化すると、脳細胞に浮腫(水分でむくむこと)ができて「高地脳浮腫」となります。この症状は急性高山病の危険な状態がひどくなった状態です。運動失調が立っていることができないほどまでになると致命的となります。

また、肺胞に水がたまり「高地肺浮腫」となります。目安は次のうち2つが当てはまれば高地浮腫と言えます。

  • 安静にしていても呼吸が苦しくゼイゼイ言う
  • 乾いた咳が多い
  • 虚脱感・運動能力の低下
  • 胸部に圧迫感や充満感、または痛みのようなものがある

こうなると即刻下山、酸素吸入が必要となります。 国際登山医学会は高山病について”症状がある限り、登行を続けてはいけない”、”高地脳浮腫や高地肺浮腫を招く可能性があるのならば、即刻下山する” と大原則を掲げています。

高山病は症状が出たからと言ってすぐに死に至るものではありませんが、ムリをすると頭痛や吐き気だけではすまなくなることも覚えておきたいものです。

高山病にならないために

  • 日頃からジョギングなどの有酸素トレーニングをし、最大酸素摂取量を高めておく
  • 富士登山を利用し、高度順応しておく。体は高所を記憶します。
  • 当日はゆっくりと登る事をこころがける。
  • 水分を十分に摂る。体重50kgの人で1時間に250mlが目安ですが、高所ではより多くを摂取する。

高山病の予防薬について

ダイアモックス(アセタゾラミド)という利尿剤がよく使用されます。ダイアモックスは脳の呼吸中枢を刺激する作用があり、呼吸を体内に取り込みやすくします。ドラッグストアでは購入できず、医者の処方が必要です。しかしどこの医者でも処方できるわではないので、処方できる病院を調べてから行くことが必要です。保険が適用されません。
この薬の使用を積極的に勧めるかどうかは様々な意見があるようですが、私がエベレスト街道にトレッキングに行った1997年では欧米からのトレッカーで飲んでいる人を何人も見かけました。今後海外での高所のトレッキングや観光を考える人、高山病で悩まされた経験のある方は一考される価値があるかと思います。