初心者のための登山とキャンプ入門

ベビーメタルとわたし #1
BABYMETAL発見までの長い道のり

babymetal スーメタル作

2015年にベビーメタルに出会ってから、はや4年。こんなにハマったバンドはない、というか、ハマったというか、もはや運命共同体みたいな。

全てのライブに通うようなバリバリのファンではなく、どちらかと言うと木の後ろから応援しているタイプだけれど、この4年間ずっと応援している。大してお金も使っていないけれど、1億円くらいの祈りは送っている。頭に文句の一つも浮かばず、ただただ応援している。こんなピュアな気持ちはどこからやってくるんでしょうか。

ベビメタにはたくさん泣かせてもらってる。世界のおじさんたちもそうだろう。
自分はと言えば、最近ではスーメタルを見ただけでウルっときて「さすがにキモイのでは」と引いたくらいだ。2015年からはや4年、自分の中でのベビメタはそんな存在に育っている。

そんなベビメタを発見した時のこと、感動したこと、スーメタルの素晴らしさに気づいたこと、はじめてライブに行った時のことなどを、振り返りながら何ページかにわたって書いてみたいと思います。とても長くなりそうです。お時間ある方はぜひ。

2015年の夏の日、ベビメタ発見

あれは2015年の夏だった。終戦記念日の頃だったか。空は夏の鈍い青色だった。セミはミンミンと鳴いていた。僕はクーラーをガンガンに効かせた部屋でYoutubeを見ていた。X Japanの昔の動画を漁り涙を流していた。

歳を取ることで良くなること、というのはいくつかあると思うけれど、一つ「感動して泣きやすい」ことがある様に思う。井上陽水がラジオで「年を取ると桜が散るのを見るだけで涙する様になる」みたいなことを言っていたが、そこまではいかないにしてもそこに自分が近づきつつあるのがわかる。昔懐かしの映像を見ただけでグッと来て、涙がでる。

その感動して涙を流す作業はとても気持ちの良いもので、定期的にその作業をしたくなる。それは時に昭和歌謡だったり、例えばブルーハーツだったり。そして、その時はエックスだった。
ひとしきり動画を見終わって涙も枯れた頃、画面右の「あなたへのおすすめ(そんな感じだった気がする)」に「BABYMETAL」とサムネイルがでてきた。曲名は「ギミチョコ」とある。

ベビーメタル、ベイビーメタル。その名前には聞き覚えがある。
そして、普段なら大抵、その「あなたへのおすすめ」的なものを僕はクリックしない。どんな心境か説明しづらいけど、日本のしょうもない音楽を聴いてがっくりしたくないというか、残念に思いたくないというか。というか、もしかしたら面白いものが見れるかもしれないみたいな期待があって、それを裏切られたくないというか。

でもその時は、何かに惹かれる様にクリックをした。

アイドル文化は世界に通じるのか?

その2015年のベビメタ発見の日よりさかのぼること数年、僕は仕事の新しいコンテンツ作りに悩んでいた。
そして悩んだ結果、ジャパンコンテンツを英語で作り世界に発信しようと思った。ジャパンの時代が来る、という謎の自信があったし、英語圏に向けたコンテンツの方がパイが大きいし、円よりドル稼ごう、と謎の考えを持っていた。
昔から日本の古い文化や工芸品が好きだったし、日本の面白いものを世界に紹介するというのは仕事のモチベーションも高い。

そんなわけで、僕は英語を学ぶべくニュージーランドやオーストラリアでワーホリをした。
そして挫折した。英語を聞いたり読んだりするのはなんとなくできるようになったが、書くのはムリ、と結論をだした。まともに英語を書けるようになる頃には僕の貯金は枯渇しているだろう。

そんな経緯があり、「海外に紹介できる日本の面白いものは何だろう?」と考えるクセはワーホリ以降も続いていた。

ゲームとアニメ

欧米で通用している日本のサブカルチャー的なものはゲームとアニメだ、と考えていた。ユーチューブで調べていると、それらの動画の量もアクセス数もすさまじい。特にアニメは、この動画時代に爆発的に世界に広がるだろう。母親にゲームばかりやっていないで、とか漫画ばかり読んでないで、と叱られるもののツートップが日本のキラーコンテンツなのだ。

しかしよくよく考えて見ると、その2つどちらともアキバにあるじゃないか、と思った。
そしてアキバにはもう一つあることに気がついた。新しめのジャンルではあると思うが「アイドル文化」がある。

アイドル文化。アキバにあるものはいずれ世界を制すのでは?・・・と思うと心が震えた。アイドル文化に特に興味はないけれど、Jpopという音楽がアメリカやイギリスのポップスの様に世界で愛される日が来るのでは、と妄想を膨らませるとたまらなかった。

アイドル文化もハマれば母親に叱られるだろう。叱られもしないかもしれないが、嫌がられることは確かだ。これもゲームとアニメに通じるじゃないか。アイドル、いけるかもしれない!
と、謎の興奮をしていた僕は、それからアイドル調査の日々を送った。ユーチューブで見れるものには目を通していった。

パフュームと乃木坂46

その中で欧米でも割といけそうだな、と感じたのがパフュームと乃木坂46だった。パフュームは特にライブの見せ方が面白いと思った。デジタルの新しい技術と音楽で見せるやり方は他にない。ビジュアルもスタイリッシュだし、一見さんも抵抗がなく受けいれられる様に思われた。ライブも楽しそうだ。
ただ、ダンスミュージック好きの自分としては、踊れるような音ではないと思ったし、また聴いて涙を流すような曲でもない。たぶん、その折衷の音楽がパフュームの個性であり他にはないものだとは思うけれど、そこは個人的にはうーん、という感じであった。

一方乃木坂46は曲とMVがよかった。曲は昔ながらの歌謡曲の雰囲気のものが多いんだけど、なんか新しい。転調が多いせいかもしれないし、ボーカルのメロディラインのせいかもしれない。現代のJPOPという印象を持った。
MVはクリエイターが面白いものを作ってやろうという感じがして楽しい。
フロントの人数が多く抵抗感はありそうだけど、パンチも少なく割と受け入れられそうなビジュアルだと思った。ただ、ライブ映像が自分には物足りなく感じた。

こんな感じでこの2グループが、何かのきっかけとかもう一捻りあれば欧米でもいけるかもしれない、なんて勝手に上から目線で考えていた。
しかし最終的にはやはりムリではなかろうか、と思う様になった。

その理由は「ライブで歌っていない」ことだった。歌っている曲もあると思うけど、ほとんどが歌っていないのだろう。個人的には歌おうが歌わまいが楽しければいいじゃん、という心持ちではある。歌っていないぶん他の内容でカバーすればよいし、この2グループには生歌以外の魅力はたくさんある。

でもたぶん、世界で受けいれられるためには、生で歌わなければならないのだ、と色々と調べていくうちに、なんとなく感じる様になっていった。なんとなく。ライブで歌ってはじめてまともに評価されるのではないか、と思った。すごく当たり前のことだけど。

歌ってるフリでもかまわない、楽しければいい、という様には世界はまだならないだろう。やはり日本のアイドルではムリではないだろうか。日本のアイドル文化が世界を席巻することなど夢なのかもしれない・・・。

乃木坂のメンバーの妹がベビーメタルで

・・・という長い前置きががありまして、その時の「アイドルを調査する」という過程で「ベビーメタル」なるものの存在があることは知っていた。

「乃木坂のメンバーの妹がベビーメタルのメンバーでかっこいい。絶対に見たほうがいい」的な誰かのコメントだったか記事だったかをどこかで読んでいたのだ。

でも こういったオススメ的な文章にはうんざりしていたし、ベビーメタルという名前から想像するに、秋葉の地下の狭いライブハウスで、ロックぽい音楽を流して激しく踊る奇妙ななアイドルであろう、そしてたまに雄叫びでもあげるんではないか。とその時の僕は想像し、見る価値もない、と判断を下していた。
それに、上の方でも書いたけど、もしかしたら面白いものが見れるかもしれないみたいな淡い期待があって、それが裏切られるととても悲しくなってしまうのだ。がっくりしたくない。

なのでふーん、という感じでその時は終わり、そしてそれ以降ベビーメタルの名前を目にすることはなかった。

そんなこんなで、僕の中の「日本のアイドルは世界で勝負できるコンテンツになるかも」の調査はとっくに終わった。そしてそんな事をしていたことも忘れていた2015年の夏の日、ユーチューブの 「あなたへのおすすめ」 にベビーメタルは出突然あらわれた。

「BABYMETAL」。この名前を目にしたのはいつぶりだろうか。たしか、誰かの妹がメンバーだったとか、そんな話が前にあったような。

そして、いつもはクリックしない 「あなたへのおすすめ」 を、その時は何かに導かれる様にクリックをした。