初心者のための登山とキャンプ入門

赤ちゃんと子供と登山!四国剣山

四国剣山を家族で登る

弟が日本百名山を制覇中で、ゴールデンウィークは四国の二山に登るという。

‘四国’。なんという明るい響きだろう。四国出身者の人と会うと妙に親しみを持ってしまう。一度も足を踏み入れたことのない四国。さぬきうどんの国、四国。もしかしたら一生用事が無いかもしれない四国。うーん…。ついて行こう!そして子守もしてもらおう。ついでに大病を患ったっきり、ひきこもりになった母親を連れて親孝行旅行を兼ねよう。

そんな風に決定した四国旅行。新しく買ったトヨタのノアで、名古屋から小豆島を経て三日目。今日は朝、丸亀を出発して、もちろんついでに朝うどんを食べて、約2時間半の運転で剣山へ向かう。弟とキタオくんが剣山へ登り、私たちは4時間山麓で時間をつぶす、そんな予定で出発した。

丸亀から剣山までの車

今日も快晴。丸亀ではアパホテルの和室に泊ったけど、3500円とは思えない快適さだった。昨日は疲れて外に出なかったけど、車中からみた朝の丸亀城はとても立派だった。石垣の勾配?で日本の城100選に選ばれていることは後で知った。さーっと走り抜けただけだけど、すごく良い街に思えた。途中にはいくつも鯉のぼりがゆれて風情もある。平らな土地の街中に突然こんもりした山がある。東京や名古屋にはない。よその土地に来た感じがしていい。

Googleマップで調べたとおり、国道438をずっと南下する。山肌が迫って新緑がモリモリしている。「紅葉がきれいに違いない」だれかが言った通り、全国マップではこの道沿いにもみじマークが付いていた。ゆっくり出来なくて残念だけど見どころの多い道らしい。
山を登るようにその道を進むと、また街に降りた。徳島自動車道、国道192号、吉野川を横切るような形でまた山道に入る。その間に、うだつの街を通過する。古い街並みだ。じっくり見たいけど今日は時間がギシギシなんだ。

再び国道438に入ると、雰囲気はすぐに山里になった。ところどころに街が現れて狭い道の両側に家がビッチリある。すれ違うのに大変だ。
おかしい、どういうことだろう。この先は日本百名山の剣山があるはずだ。しかもリフト乗り場がある。この狭い道を冬にはスキー客を乗せたバスが通るんだろか。めちゃくちゃ疑問だった。そして疑問は未だ解決されていない。
それからこんなに広い土地があるのに、どうして山奥の狭い道を挟んでギューギューに住んでいるんだろう。家々も小さい。両側の一方は崖っぽくもある。通勤も大変だろうに。これまで登山を数知れずしてきたから山里は良く歩いた。自然があって土地があって田舎の雰囲気や昔の雰囲気が残っていて、住む理由はふつうに理解出来た。でもここは疑問だった。ちょっと吉野川の当たりに移れば、格段に便利だし自然も多い。なんでだろう。なにか歴史的な理由があるのか、林業などの仕事上の理由があるに違いない。

弟とキタオくんが剣山に登っている間、どう過ごすかはふたつの案があった。ひとつは登山口から30分先の温泉へ先に行く。2人には適当に帰ってきてもらうか迎えに行く。この可能性があったので、自分が運転できそうかどうかを気にしながら乗っていたけど、とてもその気にはなれなかった。

剣山観光リフトにのろう

剣山の駐車場は無料だった。リフト乗り場のギリギリまで駐車場はあったけど、待っている間に車の中でウダウダ過ごすことも考えて立体駐車場の隅に停めた。「じゃあ四時ごろに」といっていそいで2人を送り出した。

四時間をつぶすとなると、どうするか。まずお昼寝を挟もう。ゆっくりおやつを食べよう。うーんそれからどうしよう。山合いだから意外と寒いし、風がある。そう悩んでいたころキタオくんから電話があった。「リフトは子供でも乗れるらしい」「リフト乗り場周辺は特に遊ぶところは無い」この二点の情報を伝えてきた。
うーん。なんか地図で見たイメージと違う。笹マークでリフトまで整備された付近は結構拓けてて、お散歩したりするだけで気持ちいい!みたいな。実際の剣山登山口はなんていうか、狭い感じ。歩くとしたら道路なんだ。うーん。彼らは10:45に出て行った。3時までの、あと4時間ちょっと。。。2時間は外で潰そう。のこり2時間、まずはお昼寝で消化だ。

昨日付けで3歳になったサクチャンがお昼寝から目覚めると、みんなのお昼寝は自動的に終了。買ってきたおやつを食べ、なんとなく外に行く準備を始める。子供が2人もいると荷物がいろいろあって大変だ。とりあえず寒さ対策だけはしっかりしないといけない。そうだ、たしか寝ている間、すぐそばのリフト駅付近で音楽が鳴っていた。まずはそこへ行こう。こんな山あいで何かイベントがあるのかも。

出発したのは12時半前。道の両脇に数店の土産物屋さんやそばやさんがある。だいたい山にはそばが売っているけど、ここのは「祖谷そば」や「平家そば」が有名らしい。祖谷は「いや」と読む。旅の先が長いのと昨日と今日でうどんをたくさん食べたので買わなかったけど、ウェルカムな雰囲気ならおしゃべりでもしてついでに食事でもしたかったけど、そこまででもなかったしお腹もいっぱいだった。
でもそこにかざってあった缶ビールの風鈴かカラカラと乾いた音を立ててすごく面白かったので帰ったら作ってみようとおもったんだ。そんなふうにやたら時間をかけておみやげ屋さんを見学した。

剣山 リフトの土産屋

リフト駅はホント小さくて、駐車場と公衆トイレと売店が2-3あるだけ。リフトに乗るかどうか迷ってたけど、うーん、これは乗らざるを得ない。他にやることが無い。そばには音楽の催しがあったと思われ、キーボードとマイクが置いてあった。そこでお弁当を食べていたメンバーと思われるお姉さんに、次のイベント開催時間を聞いてみたところ時間がはっきりしていないが「もうすぐ」だろうという。彼女らの目的がなんだったか忘れたけど、数人でお揃いのTシャツで歌を歌ってるんだ。なぜこんな山奥で。でも、それを見るために待つっていうほどの感じでもなく、とりあえずリフト乗り場に向かった。1人1800円。

「あれ、1人乗り?!」ぐるぐるとUターンして上っていくリフトをみたら、あまりにシンプルでびっくりした。ブランコみたいだ。一本の棒に座布団サイズの座面。・・・乗れないかも。 係の人に訪ねてみた。「子供を抱っこして乗っていいですか?」「いいですよ」あっさりOKが出た。あとでサクチャン見てからダメって言わないで下さいよ、心の中でつぶやく。サクチャンは3歳になりたてとしては大きめで、もう15キロはあるのだ。でも、見た目はけっこうしっかりしていても、手すりが一本のあんなこわいリフトに乗っていられるわけがない。

お母さんとサクチャンが待っているところに戻り、さっとお母さんにエルゴをはめて楓ちゃんをセットし、その上からダウンのジッパーを締める。係の人の気が変わらないうちに、さっさと乗ってしまおう。
私はバッグに持っていたものをすべて収納し斜め掛けにする。そしてサクチャンの手を引き、気配を消しつつ乗車券を渡し、サササーとリフトがやってくる足元の丸の位置に立ってサクチャンを対面だっこする。係の人が疑問を持つ前に、早く乗りたい。もしくはうるさい人が事務所の奥から見つけて出てくる前に、とっとと乗ってしまうのだ。

長かった数秒後、 リフトがやってきて無事のれた。よかった!しかも意外な安定感。片腕に棒を通し、サクチャンの背中で両手が離れないよう握る。後ろをみると、63歳で赤ちゃんをくくりつけられたお母さんも無事乗れたようだ。剣山観光登山リフト(株)。なんて寛容なんだ!標高差は330m、距離は830m、15分。ふつうは絶対だめだろうな~と思う。現にこの二日後、松山城のリフトはエルゴでもダメだったもんね。

リフトに乗る母と楓ちゃん
楓ちゃん
演歌 剣山

リフトはなかなかの高度感で進む。サクチャンは固まっている。いや、しっかりバランスを取って乗っている。暴れないのはありがたい。サクチャンはこういうとき助かる。危険に対して恐怖を知ってるんだな。暴れるのは毎晩の歯磨きのときと耳鼻科くらいか。まぁこれも3歳になったんだからいい加減やめてもらいたいことではある。ところどころにスピーカーがついていて剣山に関する案内と、柱には「剣山」っていうご当地演歌のタイトルが貼られている。山を舞台にするっていうのは良いかもしれない。自分の登った山だと愛着がわくだろうね。帰ったらYouTubeで見てみよう。足元とか周辺の景色は小さめのクマザサが乾いた感じで、木にも緑がなくすこし殺伐とした印象をうけた。

何をしてすごそう

剣山リフト 西島駅

リフトの終点、西島駅に着いた。ベンチは少しあるけど風が強い。休むところがない。トイレはある。売店がひとつ。狭いところに建てられた感じだ。ただいま13:15。なにしよう。

こういうときは、とりあえずお菓子を食べよう。風のなるべく当たらないベンチでお菓子をあける。すぐ横にはリフトがぐるぐる回っている。落着かない。人はいるものの、賑わった雰囲気ではない。なんでだろう。とりあえず、楓ちゃん用に持ってきた赤ちゃんせんべいをサクチャンが食べまくる。食べるのは良いんだけど、サクチャンはせっかく私が割れないようにとタッパーに入れて持ってきたせんべいを取りだしいろんな袋に詰め替える。ちいさい巾着とか、ちょっとかわいい袋とか。すぐバリバリになるからイヤなんだよね。でもいろいろ食べ物を持ってきてよかった。売店はあるけどまだオープンしてないっぽい。

楓ちゃんにミルクをあげようと思い立った。このころは外でミルクを作るのもあまりしていなかったのでお湯も持ち歩いてなかった。売店で分けてもらおう、と思った。売店でお土産を買うか。お湯代を払うか。あとで食事をするか。どうしよう、とりあえず分けてもらえるか聞いてみよう。うす暗い売店の中にはお姉さんが1人いた。客は一人もいない。ポットが見えた。
「スミマセン、赤ちゃんのミルク用にお湯を少し分けて頂けませんか」「いいですよ」。気軽にOKしてくれた。山小屋ではお湯や燃料は貴重だ。100mlのお湯を分けてもらった。「ありがとうございます、後で何か買い物させてもらいますね」と言うと、「あ、良いですよ」とお姉さんは言った。

ありがたいことだ。結局、帰るときには売店はすでに閉まっていたので、お姉さんへのお礼はこれだけになってしまった。そんな風にゲットしたお湯で作ったミルクも楓ちゃんはほとんど飲まなかった気がする。サクチャンは周囲をうろついていたけど危険な事をしないのでほんと助かる。そうこうしているうちに1時間余りが経った。

西島駅から剣山頂上へは3本の道がある。短い順に、尾根道960m(40分)、大剱道1200m(60分)、遊歩道1980m(80分)。私たちが休んでいたベンチの横には看板があって、そう書いてあった。そのすぐ横に尾根道と思われる登山道があって、入り口はまあまあの傾斜だ。道は乾いた小石混じりの道。なるほどね~・・・

試しにお母さんに聞いてみた。
「行ってみる?」
「うん」。

なぜなのだ。今回の旅行に参加すること自体をためらっていたのに。なぜ行ってみる気になったのだ。ナゾだったけど「じゃあいける所まで行こう」という事になった。余計なことを言って気が変わられてもめんどうだ。私はウィンドブレーカーを脱いで楓ちゃんをおんぶスタイルでセット、そのあと楓ちゃんごと、薄いおんぶケープをかぶった。
そして要らないものを全部バッグに詰めて、リフト乗り場のすぐ近くに ”デポ” する。これは頂上をピストンするときなんかに良くやることだけど、なかなかみんなおどろくのが常だ。「盗られるじゃん!」「大丈夫、山ではだれも盗らないんだよ」そんなやり取りを、毎回する。
でもまあ今回に限っては ”忘れ物扱い” として処理されそうな感も否めない。バッグ一つだから。お母さんのバッグには「大事な物がいっぱい入っている」というので私が持っていく。無くなってもいいものだらけに違いない。

近くには登山用に整えた竹製の杖がたくさん用意してあった。お母さん用に2本選んで両手に持ってもらうと、サクチャンも欲しがった。途中から私が持つはめになると分かりきっていたので「持っていくとじゃまだよ」と制したけどダダをこねる雰囲気になってきたので短めのを持たせて歩きだした。14:30。

杖を使って登るさくちゃん

剣山登山

尾根道を選んだ。一番短いからだ。通常、「尾根道」は一番明るく、展望がよく、歩きやすく、メインルートだ。この道はどうだろう。今でもどの道が楽しかったのか分からない。尾根道の展望と言えば、遠くまで見渡せるナイスビュー!というよりは、谷と道路を挟んだ向かいの斜面が良く見えた。斜面に水平に作られた道路を小さく見える車が走っていく様子や、そしてその車ががけ崩れの通行止めに合って戻っていく様子。尾根上には葉の無い枯れ木みたいな木が生えている。全体的に乾いた感じの印象であまり楽しい感じではないのは、気のせいだろうか。「あぁ、、山はいいねぇ~」「森にいやされるねぇ」そういうのじゃない。そう思えないのは時間や今後のことを気にかけているせいかもしれない。

剣山 尾根道の様子

登り始めの道はちょっと急で、乾いた土の上に割れた石が乗っていたりしてちょっと滑りやすい。登りだから歩けちゃうけど、帰りがちょっとイヤな道だ。それも思ったより早く終わり、まあまあ歩きやすい道になった。
しかしサクちゃんにはやや歩きにくいようだ。たびたび転んで、とうとうぐずりだした。おんぶをしていなければ手をつないでも良いけど、おんぶしながら手をつないで歩いていたらすぐに肩コリみたいになるだろう。まぁ絶対に頂上まで行きたいわけでも無いので座ったりしゃがんだりして抵抗するサクちゃんをまちまち、のんびりあるく。

お母さんはヒールの高さのあるウォーキングシューズを履いている。ウォーキングシューズと言ってもくるぶし下までと浅く、ヒモ靴でもないしさらに恐ろしいほどの外反母趾なので、乾いてグリップの効きづらいこんな道ではさぞかし歩きづらいだろうと思ったが、ただただおとなしくジワジワと登っている。おそろしく沈黙を保っている。
私はお母さんが意外にも足が強かったことを思い出した。イタリア旅行に行った時も、私は運動靴を履いていたのにカカトが痛くて仕方なかったけど、お母さんはぺったんこの運動靴でも全然だいじょうぶだった。私は常にベンチと喫茶店を探して座ることばかり考えていたけど、お母さんはべつにそういうふうでもなかった。最近はまるで棺の中の人のようにやせたりと大病していたので忘れていたが、そういえばもともとはそういう人だった、と思い出した。おとなしくまるで音も立てないようにジワジワと歩いていたのは、久しぶりに動かす体の機能を確かめながら、まだ大丈夫かどうか耳を澄ませながら確認しつつ登っていたのかもしれない。

15:00。「刀掛の松」という地点に着いた。ベンチや地図があってちょっとした広場のようになっている。距離にして半分くらい来たか。しかしここまで30分で来たとすると、なんだかんだ言って悪いペースではない。
そのころ、剱山からジロウギュウへゆきそこからの戻りの途上であるキタオくんと電話がつながり、迎えに来るという。そう言うとおもった。キタオくんはさぞかしハリキッてあっという間に追いついてびっくりさせようとして全力でがんばるだろう。 そしてそれをめちゃくちゃ楽しんでやるだろう。そういう人だ。来ても来なくてもどっちでもいいけど、そう想像できた。いざとなればお母さんをおんぶして下ってもらおう。

剣山 刀掛けの松の様子

私達は先へ行くことにした。いまだ「絶対頂上に行こう」というふうでもなかったけど、戻る理由もなかった。サクちゃんはいらなくなった杖を ”デポ” した。帰りに回収しよう。

私達はゆっくりと歩き、そして頂上の10分くらいまえで、キタオくんが追いついた。 キタオくんは「まさかここまで来ていると思わなかった!」「もっと早く追いつくと思ってたのに」といい、ここまで登ってきたサクちゃんを大いに褒め称えた。サクちゃんはゴキゲンがスッカリもどったようだった。
そしてキタオくんを加え頂上に向けてまた歩き出した。キタオくんが来たなら、帰りのサクちゃんは心配しなくて良くなった。ズルズル滑るようであれば、おんぶして下るだろう。あとはお母さんが転ばずにソロリソロリと下る時間だけ、あればいい。

次第に弟も追いつき、みんな人数も増えると雰囲気も盛り上がり気味になりみんなで頂上へ向かった。鳥居が出て店が現れ、道は木道になった。すこし登ると平らっぽくなり、それをもう少し奥まで行けば道標があるのだけど、平っぽいその頂上の一角で良しとしよう、ってことで集合写真を撮った。やや達成感もあり、お祭り気分で楽しかった。

剣山の山頂付近
剣山の山頂で集合写真

頂上についたのは15:30。お母さんは帰りのリフトの最終を気にしている。1時間40分あれば十分だろう。とにかくゆっくりいこう、転ばずに無事リフト駅にたどり着ければ、それでいい。そうすれば私の勝ちだ。写メを送った姉からメールが帰ってくる。「お母さん病み上がりだからムリさせないでね」。 確かに、転んだらおおごとになる気がする。骨がスカスカっぽい気がするんだ。

しかしお母さんは確実な足取りで下った。ヒールのある浅い靴で。病気をして体重も軽くなったからか、バランスも取りやすいっぽい。 竹の杖を両手に持って、上手に、腰が引けることもなく、テッテッテっと下り続けた。

尾根道を下山

30分のコースタイムのところを55分かけて下り、リフト駅に着いたのは16:25。最終リフトは15分先とはいえ、意外と余裕がなかった事に改めて気づいた。
先にキタオくんとともにダーッと降りてきていたサクちゃんに「杖、無かったねぇ、刀掛けの松にデポしたやつ」と言ったら、隣にいたキタオくんが「あ、サクちゃんが ”棒がない、棒がない” って言ってたのはそれかぁ」と言った。
よく覚えてたなぁ、サクちゃん。あんなゴキゲンナナメな中で置いてった杖のこと。杖は多分、誰かが回収して戻しておいてくれたんだろう。そして私達がデポしたバッグはやっぱりちゃんとベンチの横に置いてあった。

リフトにデポした荷物

帰りのリフトは、弟がザックをかかえて、キタオくんがサクちゃんをかかえて、私は楓ちゃんをかかえて、お母さんは一人で、たぶん景色を楽しみながら下った。平和な旅の中の緊張感高まる、たった4時間のできごと。しかしこの充実感はすばらしい。お母さんはもうやればできるほどに回復しているとわかったし、昨日付けで3歳になったサクちゃんにはたぶん登山靴を履かせればもっと上手に歩けるはずだ。あんなツルツルの運動靴で歩けたんだから。お古で頂いていた登山靴があったのに持ってこなかった事が悔やまれた。できるならば試してみたかったという気もしたけど、とりあえずはこの先の子連れ登山の手がかりができたような気がした。そんな3歳の自分で歩く登山デビューの剱山だった。

剣山のリフトを下る