初心者のための登山とキャンプ入門

こども2人と極暑登山-岐阜県・天王山-

キッドコンフォートにのるでっちゃん。とさくちゃん

5歳3ヶ月になる子供を連れて、2歳9ヶ月になる子供をキッドコンフォートⅡ(しょいこ・背負子)に乗せて岐阜県の天王山(537.8m)に登ってきました。麓の市では最高気温37.3度という中、標高500mの低山では涼しいはずもなく、頭やオデコから流れ落ちる大量の汗はコンタクトレンズをおかしくさせたほどの極暑ハイキングとなりました。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

久しぶりの子連れ登山

昨年はキャンプや旅行に明け暮れて登山をほとんどしなかった。最後に行った一昨年11月の極寒ハイキングが無意識のうちにトラウマになっていたに違いない。ダラダラと登る子供を待つ時間が寒くて辛くてたまらなかったし、何のため行くのだという思いを強くさせた。

今回はリハビリのために行ったようなものだ。長らく山に行っていないことがなんとなく気がかりであり、でも準備をしたり片付けをするのも面倒でもあり、、、。
しかしながらスケジュール帳を見てみると8月の週末で空いている日は数日しか無く、また今年も山に登らずに夏が終わるのはどうかと思われ、とりあえず山に行くぞという決意を込めて「山?」とスケジュール帳に記した。

その8月9日(日)はあまりの暑さに何もかもが面倒になり、当然登山もやめた。翌日の10日(月)は主人であるキタオクンが急遽夏休みを取ったことからヒマになり、じゃあ山にでも行くかという事になった。まだ車も混んでいないだろうし、5歳になったサクチャンはとにかくどこでもいいからお出かけしたい、というオーラがすごい。そんなわけで以前とっておいたフリーペーパーの記事から、自宅から1時間強とわりと近めな”天王山”を選んで出発した。8月10日、まさに盛夏。「真夏の低山は暑すぎる」というのは、一昨年の三宝山で体験済みだったけど、わかりつつも行ってしまった。

行程の概要

岐阜県美濃市にある天王山(てんのうざん)。ふもとの大矢田神社が登山口になっており、ここは紅葉の名所として市でも取り上げる観光スポット。なので駐車場は300台あり、水洗トイレも整備されている。美濃ICからも車で10分、直前にはコンビニもあり人気のハイキングコースであることにナットク。

手持ちのフリーペーパーによれば、山頂までのコースタイムは1時間30分。歩き始める駐車場の標高は135m、山頂は537.8m。ちょうど400mの標高差。

結果として、登山開始は13:05だった。大きな休憩を1回とダラダラ登りで山頂着が15:20。所要時間2時間15分。山頂で40分休憩をして下山開始が16:00、休憩せずに駐車場到着が17:10。下山の所要時間は1時間10分だった。

ちょうど一番暑い時間帯に歩くことになってしまった。駐車場に入れば大木の日陰になっているため、さっきのコンビニの駐車場ほどの暑さは感じないものの、車の温度計は33度を指していた。

5歳3ヶ月と2歳9ヶ月の子供

上の子、サクチャンは3歳の時から自分で歩き始めている。2人の歳の差はちょうど2年6ヶ月で、やはり家族4人で登山を再開できたのは上の子が短い時間であっても初めから終わりまで歩き通せるようになってからだ。というのは、父親であるキタオクンが下の子供を背負い、母親である私が4人分の荷物を背負う。日帰りとはいえ、まずレインウェアが4個という時点で荷物は結構重い。

さて、歩きに関して上の子はもう問題ない。5歳3ヶ月の、年中さん。子供用の登山靴下とトレッキングシューズを履かせて、これまで靴ずれとか足のトラブルも無かった。木の根道もひょいひょいと登る。ロープに捕まって登るのも、危うい感じはしない。下山時は石車にたまに乗って滑るけど、バランスが悪いとか不安を感じるほどではない。落ちたら真っ逆さまというような岩場を歩いたことはまだないけれど、ちょっとした岩場なら怖がる感じもない。

ただ、登りは楽しくないらしい。Low テンションで登っていた。暑くてだるく、汗で肌がカユイのもあるかもしれない。グダグダ文句をたれていた。前回1年9ヶ月前に登った冬の二ッ森山の時もダラダラ登っていた。しゃがんでは石を拾い、クモを見ては立ち止まり。足腰は十分だけど、ペースよく歩けるかどうかというのは別問題のようだ。どっちかっていうと気分の問題。なのでこの日も、「立ち止まらないで、ゆっくり行こう。あ、でも走らないで。急いで登ると疲れるよ!」なんて何度も言ってしまい、つまらないと思いながらも歩き方の指導ばかりしてしまった。ペースよく歩けるかどうかなんて、大した目的もない思いつきのハイキングではどうでも良いことのはずなんだけど、悪い癖なんだろう。

一方、下の子、カエデちゃんはまだ自分の足で山を歩いたことは無い。散歩中でもダッコダッコ、ダッコがダメならおんぶと言って、どちらかといえばベビーカーに乗ってラクをするのが気に入っているようだ。背負子のドイターのキッドコンフォートⅡはとても機能的な作りだけど、本体の重さは3kgもある。他社の商品も似たようなもので、けっこう重い。耐荷重は子どもと荷物を合わせて22kg。ということは背負う重量は最大で合計25kgということだろう。

カエデちゃんは現在14kgで今回は荷物を入れなかったので、背負子全体は17kg。背負う側のキタオクンは現役時代は40kgのザックを背負い、どちらかと言えば汗ダクになって登るのが好きなタイプだけど「カエデちゃんは今回で終わりだろうな~」と登山前は何回も言っていた。登山中は重さはそれほどでも無かったらしく、いや、それよりも暑いこととお茶が足りない事が気がかりで重さについては何も言っていなかったのでまだ余裕があるのだろうと思われる。

天王山登山の様子

13:05、駐車場出発。すぐに神社へと続く長い階段があり、せめて神社までは歩いてくれとキタオくんがカエデちゃんを説得して歩き出す。お昼の暑い時間になってしまったものの、杉やもみじの大木があって日陰なのがまだ救いだ。

天王山 神社への階段

神社から背負子に乗り始める。2歳9ヶ月、体重14kgはこんなかんじで、結構大きい。背負子からもはみ出ている印象。服は「どうせ汗をかかないんだから」という理由で綿100%。スボンは枝にぶつかったり虫除けを考えたら薄手の長ズボンが絶対に良いんだけど、出発時に玄関に忘れてきてしまった。

キッドコンフォートⅡと2歳の子供

足が19cmになった上の子サクチャンには、今回は2足目のトレッキングシューズ。サロモンのウォータープルーフで、ミッドカット。お古で頂いたもの。初めて履いてみたけど、歩きやすそうだった。途中「キツイ」というので靴ひもをゆるめたら快適そうだった。トレッキングシューズが必須かは道に依るかもしれないけど、今回のように乾いた道で枯れ葉や石車にいっぱい乗って滑りやすい道では威力を発揮すると思う。岩場でも、グリップがしっかり利いているように見えた。

サロモンのトレッキングシューズ 子供用

今回はサクチャンにも初めてリュックを背負ってもらった。お菓子しか入っていないから軽い。モンベル製だけど登山用では無いからウェストベルトが無いし背中にピッタリとくっつく構造なので、もしもう少し担げるようになったらちゃんとした登山用リュックを買ってあげたいと思った。

シャツはモンベルのウィックロンという機能的な素材だけど、どうもカユイようだった。素材のせいなのか、汗のせいなのかわからない。私が着ているパタゴニアのキャプリーンシリーズはけっこう肌触りも気持ちがいい。どちらかと言うと肌は強くないので、次のサイズは別の素材も試してみたいと思う。

クモを威嚇しつつ休憩するサクチャン 

こんなに暑いと珍しいキノコや植物もないけど、山によくいるやたら足の長いクモはいっぱいいた。

やたら手足が長い山によくいるクモ

ところどころ、つかむ所が無さそうな岩場があった。こういった場所にはロープが張ってあって、このようなところを登るのはむしろたのしそうだった。

岩場とロープ

背負子、キッドコンフォートⅡは座面の高さを調整できるんだけど、赤ちゃんの時のままにして使っていたらどうやら高かったようで、寝た時にはみ出してしまっていた。チンパッド(あご当て)にアゴは乗っかっていないし、バランスの上でもさぞかし背負いづらいだろうと推察される。陽が射していたら日焼けも大変だし、枝なんかがぶつかって危ないから直した。また、この写真では説得力無いけれど、これから子供用の背負子を買おうと考えている方には、ぜひ日よけがあるものを、とオススメしたい。帽子よりも空間があって快適そうだし雨の時に役立つ。

キッドコンフォートで寝る2歳児

天王山の山頂には登山者数を記録するノートもあり、山を保護するボランティア団体により管理されていた。中には1年間に1200回以上を登る人もおり、「◯市の◯◯さん」とランキングまで貼りだしてある。このような記録は、いざ山に開発の手が入りそうになった時に大きな武器になるのではと思われる。看板もしっかりしており樹齢200年の大モミジなどの表札も掲げられていた。

地元の小学校によるクイズや手描きの登山地図もところどころあった。「手書きの地図には励まされる」とキタオくんが言っていた。多くの人が入っている山ということもあり、道は広くよく踏まれていて歩きやすかった。

天王山 手書きの地図

途中で目覚めたカエデちゃんは退屈しのぎのためにちょっと歩いた。普段はサンダルや長靴を履くことが多いけど、こんなときのために一応靴下としっかりした運動靴を履いてきて良かった。基本よく転ぶので、絶対に長ズボンがいいと思う。

天王山 ちょっと歩くカエデちゃん

山頂に着いたのは15:20。それこそ最も暑い時間。ダラダラと歩いたものの、コースタイム1:30のところ休憩含めて2:15だったら、いいペースだ。

ただ、実感としてこのように暑い気候の中だと、あと歩けたとしても1時間くらいかなと思った。コースタイムでは2:30とか3時間とかだろうか。もちろんその場合はもっと早い時間に出発しなくてはいけない。

今回失敗したのは、飲み物を500ml☓4本しか持って行かず、まったく足りなかった。あと3本あるくらいがちょうど良かった。水分を一気飲みするカエデちゃんとキタオくんチームは何度も言い争いをしてお茶を奪い合っていた。「カエデちゃんは歩かないんだから、そんなに飲んじゃダメ」、「カエデちゃんは飲んでもおしっこになるだけなんだから飲んじゃダメ」。キタオくんが本気で指摘していて笑えた。もちろんかわいそうなカエデちゃんには私達の分をあげた。

天王山 山頂

名古屋の中心部まで見えるらしいが、日向はとにかく暑くて景色も見なくても良いです、という感じ。最近珍しいトノサマバッタが飛んでいた。あばら屋の日陰でおやつを食べ、オムツを替え、40分休憩して下山開始。ちょうど16:00だ。今は陽が長いので大丈夫だけど、秋口の16時過ぎの樹林歩きは暗くて目も見えづらくなってきてあぶない。

天王山 山頂からの景色

毎日多くの人が登りよく踏まれている道と言っても、枯れ葉と砕けた石で油断するとズルズルと滑る。途中からトレッキングポールを使ったら足がラクに感じた。

天王山 下山中の道

神社に到着したのは17時10分。ちょうど1時間の下り。なによりも暑さでグッタリ。キタオくんと再び今回の登山の意味について考える。「リハビリであり、トレーニングである」それが結論。やはり長期間山に行かないと体も萎え、次に行くのが怖くなってしまう。「家でゴロゴロしているより、良かった」自分を納得させるようにつぶやいたキタオくんだった。

天王山 大矢田神社のベンチ

この後近くの温泉に入り、そこで私が食べたとんかつ定食はクオリティ的にはサービスエリアクラスという感じなんだけど、とてもうれしく食べることが出来た。キタオくんやサクチャンに「一切れちょうだい」と言わせないかのようなオーラを発しながら食べたと思う。思い起こせば、いつの登山の後も、下山後のお風呂のあとに食べた食事は疲れた時ほどおいしかった。胃袋がいっぱいになってしまうのがもったいない、いつまでも食べ続けたいと思いながら食べた記憶がある。国指定天然記念物のモミジの木も巨木も記憶に残らなかったけど、たしかに家でゴロゴロしているよりも記憶に残る数時間だったといえるかもしれない。

子連れ登山は日帰りになってしまう

正直言って登山の楽しみは、泊まりにあると思っている。日が暮れていく景色、夜の静寂さ、狭いテントの中でのおしゃべり、限られた道具でのごはん作り・・・。他の登山者とも旧知の仲であるかのようにおかずを分けあったり、冷たく硬い地面に眠れずに不自由さを感じたりとか、夜明けと共に歩く時間の神秘的な雰囲気・・・などなど。
これらとは逆に日帰り登山だと、イマイチ日常生活から切り離されないままにセカセカと歩いて、ちょっと運動して家に帰る、という印象がある。

そして今回気づいたのは、子連れだと、特に子供を背負っている間は1泊2日の登山はむずかしい、ということ。年中である5歳のサクチャンは、泊まりに連れて行くことは出来るだろう。しかし2歳のカエデちゃんはそういう訳にはいかない。隣に寝ている人が居ても、なにかが希望通りにならないと大声でわめいたり泣いたりするからだ。登山では山小屋でもキャンプ場でも8時には静かにしていないとマズイ。朝の3時頃起きて5時頃出発する人もいるからだ。そもそも、人の居ないキャンプ場であっても私が寝袋を4個持つのは不可能だ。

私が積雪期を迎えるまでに行きたい山を思い浮かべてみると、そこにはどうやら日帰りできる山は無さそうだ。

そこで考えた。たまには子供を置いて友達と行ってしまおう。どうも低山だけでは山の魅力を忘れてしまいそうだ。子供を置いて、夫婦で順番に行ってもいいじゃないか。
今回の日帰り登山を経て辿り着いた結論はコレだった。さて、今後の子連れ登山はどうなるのだろうか・・・。