初心者のための登山とキャンプ入門

寒空の下サムギョプサルを食べにいく -子どもと海外旅行 in チェジュ島 ⑩-

さくちゃん

数少ない晩ご飯のこの一回は焼き肉にした。どうやらチェジュは黒豚もおいしいらしいとガイドブックに書いてある。3枚肉と皮のついた3枚肉をさす5枚肉があって、チェジュの黒豚は皮も甘くておいしいとある。でもちょっと皮つきにチャレンジする勇気もなくてその3枚肉(サムギョプサル)を)食べようという事になった。

ホテルから歩ける距離のところにガイドに載ってる店があったのでそこに行くことにした。外は風があってなかなか寒かった。
サクチャンはベビーカーに座った時膝に掛けるものが薄いストールしかなくって、飛行機で預けたときにベビーカーが包まれていた大きなビニールがあったのでそれでくるもうとしていたらあそさんが洗濯バサミを貸してくれた。理由は忘れたけどそれもめんどくさくなってやめたら、ピンクのふわふわの膝かけを貸してくれた。

あそさんはいつも私より少し荷物が多いけど、いつもバッグと袋に充実したものが入っているという印象がある。ウェットティッシュはいつもサッと出て机を拭いてくれたりおやつを食べるときにくれたりする。さくちゃんがウンチした時は私はいつももらっている。私も持ってない訳じゃないんだけど、お弁当に付いていた小さいやつとか使い切りの清浄綿とかを一応持ってるんだけど、ガサゴソ探してる間にスッと出してくれるのでついついもらっている。
というかあんまり手を拭く習慣もないのでウェットティッシュを頻繁に出さないんだよね。あとあそさんの袋にはお菓子もいつも入ってるし、そうそういつかサクチャンは一度あそさんが袋からジップロックに入れたお菓子を出したのを見て、後で勝手に持ち出してたね。まだ1歳4か月とかそういうころ。まぁ今でもそうだけど、サクチャンは勝手に取りだすけど「ウーウー」と言ってそれを差し出して‘開けて!’ってやるだけで、勝手には食べないんだ。許可が要ると思ってるのか自分では開けられないと思い込んでいるのか分からないんだけど、開けようとしない。だからあそさんの袋から勝手に取りだしたのを注意はしたけど、「良く知ってるね!」って感じだったよ。

そうそう、そしてこの時も少し余分に分けてあげるものを持っていて、サクチャンに膝かけを貸してくれた。でも今思えばそれは、ベビーカー好きのみいちゃんがいつも背中に敷いていたやつだったね。「長く乗っていると背中が寒いから」って言っていた気がする。
まぁそんなことで、あそさんの荷物はいつも充実していて、私とサクチャンは度々恩恵を受けている。

チェジュ島名物、サムギョプサルを食べる

焼肉屋はこれまで通ったことない方角だった。ガイドブックの片隅に載っていた小さな地図で見るよりも遠くて、本当に見つかるのか少し不安になった。だけど途中に麺のファミレス的な店もあったので、見つからなかったらそこでもいいかっていうのもあった。

「ここかな」と思った店にはハングル語の看板のみでアルファベットの読みとか漢字とかがなかったので分からなかったので店内に入って聞いてみた。「チョウシッタン?」おばさんがうなづいた。空いている。ガイドブックには「チェジュ名物の黒豚を食べるなら、地元の人にも人気のこの店がオススメ」とあったのに。でもいいや、周囲が閑散としていたのですぐに落ち着きたかった。

日本のガイドブックに大きな間違いはない。 奥には座敷があって、端の席があいていた。そっちを指さすと、どうぞどうぞという感じで招き入れてくれた。丁寧とか上品とかじゃなくて荒削りだけど気取らず温かいような、そういう対応だ。

メニューを見ると、やっぱりここも品数が少ない。飲み物を入れても見開き1ページで済んじゃうような。それで確か、日本語も書いてあった。最近日本でも人気のサムギョプサル(三枚肉)、ごはん、味噌汁みたいのを注文した。せっかく日本からコピーしてきた韓国料理のページの部分を忘れてしまったんだけど、まぁそんなに他に悩む感じのものもなかった。

肉はすぐにやってきて、まあるく盛り上がった鉄板の上に置かれた。分厚くてなかなか脂身がある。食べれるかな。おばさんは焼き具合を見ながら、ハサミで1センチの太さに細かく切ってくれた。不思議なことに焼かれて切られると脂身は全く気にならなくなった。そしてサンチュに辛いネギと焼いたニンニクと味噌みたいなのと肉を乗っけると、くるんで無言で私にくれた。そのあとあそさんにも同じものを作ってくれた。すごくおいしかった。
あそさんも言ってたけど、肉がおいしいとかどうとかは分かんなかったけど、その巻いた全体がすごくおいしかった。そもそも私はアスパラのベーコン巻とか肉サラダとか、生野菜とお肉を同時に食べるのが大好きだから、韓国の焼き肉は超ストライクなんだな。

まく葉っぱは他にエゴマがあって、これもきっと若いときだったら嫌ったと思うけどこの苦みがすごくおいしく感じた。もしかして今ならパクチも食べれちゃうかも。 さくちゃんは相変わらずあんぱんまんふりかけだ。
おばさんはふりかけを手に数粒だすとペロッとなめて、首をかしげて「これ、おいしいか?」というような表情をした。確かに。それは開封して何日か経っている気もするし、そもそも私もこのシリーズが好きではない。

あとは味噌汁を食べたかなあ。そんな風にしながら食べてたので肉は次第にカリカリのベーコンみたいになって、もうくるまれていても味がするのかしないのか良く分からなくなった。でもまたまたキムチの小皿がいっぱいあったので大満足で食べれた。

あとはカップゼリーを持ってきていたので、それを合間にちょびっとずつスプーンであげたりして時間稼ぎをした。
さくちゃんは(今もだけど)、みいちゃんにあげたゼリーもちゃんと目でチェックしていて、食べてる間もチェックしていて、自分が食べ終わるや否や奪いにかかるのでそれがこまる。といってもみいちゃんはそんなにガっついてなくて取られてもなんともないふうで、あそさんも「いいよね、みい1個あればいいから、さくちゃんどうぞ」とかって言ってくれるのでいつもついつい甘えてて、まぁそんな感じで本気で困ってないかも。というかそういう大好きなものにいじきたない?さくちゃんもけっこうおもしろいし人間くさくてかわいいとか思ってたりして。「あ、またさくちゃん、みいちゃんのジュース狙いながら自分の急いで飲んでる!」とかっておかしくなる。

さくちゃんたちはおおむね良い子で、とにかく大満足して焼き肉を堪能した。いくらだった忘れたけど、そんなに高くないし。なによりも、なんとか肉とかなんとか肉塩ダレとかを大量に食べておなかが満たされるよりも、野菜やナムルとかキムチをいっぱい食べておなかが満たされる方が、なんか幸せに感じる。今後焼き肉を食べるなら韓国焼き肉やに行こう、そう思った。日本の焼き肉とは、別物と思おう。実際、その後東京の新大久保の韓国焼き肉やで同じくサムギョプサルを食べたら、同じくらいのクオリティでおいしく食べれた。「チェジュに行かなくてもいいじゃん」って思えるほどだったよ。

今宵の一大イベントも終わってしまったので、名残惜しく帰り支度を始めた。店のおばさんは、また、こんな寒い中歩いて帰るのかと驚いて見せた。ベビーカーに乗せられたサクチャン達のジャンバーのチャックをさらにしめたり、巻かれた毛布の端をしっかり押しこんだりフードを深くかぶせたりしながら世話を焼いてくれた。
あそさんなんかは、あそさんが首に巻いていたピンクのマフラーを外され、みいちゃんに巻きなおされていた。それらがジェスチャーと表情で勝手に行われていて超笑えた。この店も温かいおばさんだった。

そのあとはホテルに帰って、のんびり片づけなんかをして過ごした。さくちゃんのゲロの付いたジャンバーを洗っていると、あそさんが粉せっけんやらハンガーやらを貸してくれた。やっぱり旅慣れてるんだなぁ。洗ったものは、バスタオルで挟んで足で踏むと次の日には乾くと強く勧めるので、やってみた。思っていたよりもかなり乾いて驚いた。あそさんは食事が少なかったみいちゃんのためにそうめんを作っていた気がする。プラスチックのどんぶりと麺つゆやそうめんがリュックから出てきて、ポットのお湯をどんぶりに入れて火で茹でることなく作っていた。おーこんな風に食べれるのか!目からうろこだった。それにしても、あそさんの小ぶりなリュックからはいろんなものが出てくる。

そしてあそさんはきちんと今日もシャワーを浴びて寝支度をした。夜はどんなだったか忘れたけど、とにかく記憶にあるのはみいちゃんは深夜が近くになるにつれどんどんハイテンションで楽しそうになることだった。さくちゃんはいつものように電池が切れたように寝るんだ。