初心者のための登山とキャンプ入門

キナバル登山 -いきなり待ちぼうけ-

キナバル山

8/13(木)

昨夜はあんまり寝れなかった。8時頃から12時くらいまでは寝れたけど、その後目が冴えてしまった。うとうとしながら会社の夢を見た。上司が長期夏休みを取るというので私が代わりに一人で全部処理をしなければいけないという内容だ。私は浅い夢の中で作業手順を思い出していた。ベットの寝心地も合わなかった。なんでだろう。二段ベットの上って、よくないんだろうか。

5時半に隣の2人組が用意し始めて私たちも始めた。音がうるさいからロビーに荷物を全部運んで、そこでパッキングする。今日は受付に預けていくものと、自分たちが山に持っていくものに分ける。預けるものは大きさにかかわらずひとつ10RM(300円)だ。私が15リットルくらいの簡単なデイパック、キタオくんは30リットルの小さめのザックを背負って山に行く。持ち物は装備リストに記載したので参考にしてほしい。

ところがこの段になってキタオくんのヘッドランプが見当たらないという。何度もベッドに戻り、下を見たり布団の中を探したりと結構ねばったけど、とうとう見つからなかった。出発前にわざわざ買った新しいヘッドランプ。なんでキタオくんって忘れものとか無くしものが多いんだろう。でも昨日のお土産屋で少なくとも懐中電燈が売っていたことは確認済みだったから諦めて買うことにした。

まずはバルサムカフェに行って朝食を食べよう。

バルサムカフェ

ヘッドランプ探しでだいぶ時間は食ったけど、約束の7時半には十分だ。
朝食はコーンフレークとか、ミーゴレンとか、パンとか卵とか。なんか食べたいものもなくてあっという間に終わってしまった。なのですぐに受付の建物の前に移動した。約束は7時半で、旅行会社のロゴを印刷したものを掲げて待っていれば、現地アシスタントが来て様々な手続きをやってくれることになっている。

キタオくんはお土産屋さんが開いたのを見てヘッドランプを買いに行った。私が日本で1300円くらいで買った格安のものの旧モデルぽいものが50RM(1500円)くらいで売っていた。それは小さいし明るいLEDだし、余分に買ってしまっても全然いいと思った。値段も高くない。「よかったー登れないかと思った」ってキタオくんは安心していた。

受付のドアの前では昨日のかわいい新人のお姉さんがウロウロしている。どうやら鍵を持った人が遅刻していて、開けられないとのことだ。待っている人に謝って回っていた。やがて上司が来たがパソコンのパスワードを分かっている人がまだ来ていないとのこと。私たちはどうせ現地スタッフの人がまだ来ていなかったからよかったけど、荷物を預けてさっさと出発したい人はちょっと困った様子だった。コンピューターが開かないと荷物も預けられないみたいだった。でも7時半頃には何事もなかったかのように無事オープンして登山の人たちは荷物を預けて出発していった。

気がつけば受付前で待ちぼうけをくらっているのは私たちと日本人4人組だけになった。その4人組は関西から来た方々で登山好きの2組の夫婦だそうだ。半年も前から旅行会社に手配を頼んで個人的なツアーを組んでもらってきているようだ。時間を持て余して話していると、昨日見てきたラフレシアの写真を見せてくれた。みな明るくて関西人って感じの人たちで会話がテンポよく漫才のようだった。「見たから"たいしたもんじゃない"って言えるんだけど」とラフレシアに不満げな様子だった。30センチくらいのと、腐ったキャベツみたいな "芽" を見たんだそうだ。昨日着いてから時間があったからラフレシアとポーリン温泉にオプショナルツアーみたいので行ったそうだ。なんだ、そんなに近いなら私たちも行けばよかったかな。ロータリーからはキナバル山が見えた。

待ち合わせの時間をだいぶ過ぎても誰も来なかった。4人組は携帯を出して誰かに電話しようとしたり相談をしている。結局誰かに促され、みんなで Operation Center に行き名前を告げた。すると4人組にはすぐにガイドが来て、彼らは出発していった。私たちはなんだかよく分からずに、とりあえずガイド料と保険を払って来るはずのアシスタントは無視していくことにした。しばらくすると赤いTシャツと短パンを履いた若いお兄ちゃんが来た。彼の名前はサバリヌス(通称サバ)だ。○○リヌスなんて、ステキな名前ではないか。私はローマの皇帝を何人か思い出した。人柄はあんまり誠実ってイメージでもない。あばれはっちゃくみたいだ、と思ってそのときはあんまり興味も沸かなかった。彼はきさくそうだけど自分からはあまりしゃべらなかった。唯一そのあたりでは、レインコートを持っているか?、と聞いてきた。持っていると答えたが、持っていなかったら今さらどうするんだろう。靴は外からも見てわかるけどカッパがリュックの中にあるかどうかは聞かないと分からない。意外としっかりものなんだろうか。

ところでパックランチはどこで貰うんだろう。お弁当を配っているコーナーなんてあっただろうか。聞いてみるとバルサムカフェで貰うんだというので、私たちはもう一度降りて卵を焼いている人に聞いてみた。旅行会社が発行した今日の山小屋のバウチャーを見せる。「これは何だ?」と言わんばかりに何人かで回していた。そしてミールクーポンを持っていないのか?という。1枚もらったやつがあったので見せてみた。これの、今日の昼の分だという。今あるのは今朝のすでに食べた分で、渡さなかったやつだ。よく分からないまま、もう一度受付に戻って聞いてみると、渡すはずの束の中にあったようでそれをくれた。旅行会社の名前が書いてあった。そっか、本当はこれをもらって、これに4回分のミールクーポンがあって引き換えるんんだなと納得し向かう途中、おやっと気づくと度の食事も数が1になっていた。サバリヌスに聞いても「Confuse」と言うだけだった。おかしいなと思って念のため戻ると、近くに「2」のクーポンがあって友達みたいに謝りながら取り替えてくれた。そこにも同じ旅行会社の名前が書いてあった。今度からもらう書類はキチンと確認しようと思った。今日は6時間の行程だから9時に出ても15時には着くしそれほどギリギリなわけでもないけど、時間はどんどん過ぎてちょっといらいらした。

再びバルサムカフェに下ってパックランチを受け取った。パックランチについては食事(リンク)の項目に書いたので参考にしてほしい。バスの料金は払ってないからどうするのかなと思ってサバと3人でトランスポーテーションサービスと書かれた、土産屋と受付の間にある小さな窓口に向かった。)

受付の女性は、ここから町へのシャトルバスは既に払われているけど、ここから登山ゲートとの往復が払われているか分からないから、もし払われていなかったら帰りにまとめて払ってくださいと言った。私たちはヘッドランプ購入の件もあり気がつけはマレーシアリンギットが足りなかったので、とりあえず助かった。

とりあえずこれで一連の手続きが澄み、あとは送迎バスに乗って登山口に出発するだけだ。サバがこのバスに乗るようにというので乗って待つ。サバに会ってからは、全部とは言わないまでもこうして手続きも導いてくれるので大変助かる。みんな一様に同じ手続きをするんだから慣れたものだ。私たち二人の名簿も持っていて、どこかからIDカードも受取ってきてくれた。

数人が追加で乗り込み、バスが出発したのは8:55だった。「現地アシスタント」が来なかったせいでだいぶ時間をロスしたし、かえって混乱した。私は、一度は断ったのに旅行会社の勧めでお願いすることになったアシスタントが来なかったことで怒りと混乱が消せず、帰ったら絶対にお金返してもらおうって強く思った。二人合わせて9000円。初めから無ければ自分たちでやるけど、ちょっと関わってるからどこまではちゃんと連絡をしてくれているのか分からないからとても困る。「この料金は、この旅行会社を通じて既に払っているはずです」 とこっちから何度も主張しないといけなかった。入山許可代100RMを日本円で手数料込みで払ったと言っても証明する領収書も何も私は持っていない。それは現地のアシスタントを間に挟んでいるからだ。

でも幸いなことに既に払ったものが「払われていないよ」っていうトラブルになることはなく、助かった。万が一あってももうリンギットが全然余ってなかったから。 登山中の費用は登る前に一通り払っているから急な出費はないものの、やはりリンギットは十分に持っていた方が安心だ。US$や日本円は全く使えないから。私は国際的な観光地だからいくらかは使えるんだと思っていた。ただ結果的にラバンラタレストハウスでUS$からの両替をしてもらえたから足りた。とにかくこれでやっと、バスで登山口に向かって出発できた。