初心者のための登山とキャンプ入門

トレッキングの準備とTIMS申請

ネパールカトマンズ 歴史的建造物

2014年10月8日、何時に起きたのだろう。

何時に起きたか覚えていないが、「こんな朝っぱらから掃除をすんなよ」と言う言葉とともに起きたのでそこそこ早い時間だっただろう。僕の部屋に面した狭い路地を、宿の若い女性スタッフがほうきで掃いていたのだ。その「シャッ、シャッ」という、ほうきが地面に擦れ建物に響く甲高い音がひどく耳障りだった。

朝食に、昨夜自転車のフルーツ売りから買ったバナナ数本とオレンジを食べる。見た目は大したことの無いバナナとオレンジだったが、食べてみたら美味しいのかもしれない。台湾バナナとか、バレンシアのオレンジとか、そういった類の名物の可能性もゼロではない。

しかし、実際に食べてみても大したことはなかった。見た目通りの味であった。こんなものを300ルピーも出して買った僕はどうかしている。少しくらい交渉をしないと日本と変わらないほどの生活費がかかってしまうだろう。

パンツをウタマロせっけんで洗って干すと、フロントで宿をもう一日延長。そして街歩きにでかけた。

TIMSカードを適当に申請

晴れ。昨日と同じタメル。狭くて舗装されていない道をガタガタと車やバイクやリクシャーが休みなく走る。ホコリと排気ガスが舞う。鳴り止まないクラクションの音。歩道も車道もない狭い道。気楽に歩くことができない。
そしてどこを歩いても似たような土産屋と似たような顔の人。地図で眺めるタメルはそこまでややこしいとは思えないが、歩くと迷いそうになる。

ネパール カトマンズの街並み

話しで聞く以上にタメルにはアウトドアショップが多い。ちょっと歩けばアウトドアショップが出てくる。また歩けば出てくる、そんな具合だ。トレッキング用のダウンジャケット、それとフリースジャケットが欲しかったので店に入り、品物と値段の相場を確認しながらしばらくタメルのストリートをめぐった。

狭い通りにトレッキングエージェンシーを見つけたので入った。TIMSの登録を代行してもらえないか尋ねるためだった。TIMSとは「Trekking Information Management System」の略で、これに登録をし、このTIMSカードを所持していないとエベレスト街道は歩けない。どこかの記事で、たぶん古い記事で、「トレッキングエージェンシーがTIMSの申請を1000ルピーでしてくれる」というのを読んでいたので、それができないか確認するためだった。

案の定代行はしてもらえなかったけれど、店の主人はTIMSの申請をする場所「ネパールツーリズムボード」の所在地を丁寧に教えてくれた。何かの本に「TAANのオフィスでどうたら・・・・」と書いてあったので、「ネパールツーリズムボードで申請する」と言う事実を知ることができありがたかった。もちろん彼は「ガイドはいらないか?ジリからなら400ドルだ。1人じゃ危ないぞ」と交渉してきたけれど、気が変わったらまた来るというとそれ以上は何も言わなかった。
ここに来て思ったのは、案外ネパール人はつきあいやすいな、ということだった。もっとインド人的なクドさをイメージしていたけれど、昨日のタクシーに乗り込んだ運転手もそうだけれど言えばすぐに引き下がってくれる。ゴリゴリにウソをつき、なんとしてもコイツをだましてやろう、というゴリゴリのワルはいない様に思う。アウトドアショップの主人も土産屋の主人もいたって普通。ちょっとボリたいと思っているくらいで、いたって普通なんだ。もっと旅がしづらいイメージを持っていたので少し拍子抜けをした感じはした。

ノースフィールドカフェで軽い食事をとると、タクシーでネパールツーリズムボードに向かった。料金は300ルピー、タメルから大通りを南に10分ほど下る。

トレッキングで申請するTIMSカード

TIMSの申請は良くわからなかったが問題なく終わった。用紙に必要事項を書いて写真を貼って登録料を払うだけなんだけど、手順を良く思い出せない。それに用紙に記入する保険の番号とか宿の住所とかも全然わからなかった。なので全て適当に書いて提出した。そして無事にTIMSカードを得ることができた。あらかじめ用意していた、パソコンでイケメンに加工した写真についても何も言われることはなかった。

トレッキングの準備、お買い物と両替。

ネパール カトマンズの街並み②

タクシーでタメルに戻ると、アウトドアショップで偽物のマムートのダウンジャケットと「エベレストハードウェア」と言う、ありそうでないネパールオリジナルのフリースジャケットを買った。
ダウンジャケットは4000ルピーでフリースは700ルピー。 タメルには本当にたくさんのアウトドアショップが、神保町と原宿と渋谷と新宿を足した以上の店の数があり、そしてどこに行っても内容はほとんど変わらない。タメルをしばらくまわってそう言う結論にたどり着いた。店で会話をした日本人の女性も「どこの店で買っても同じなのでここで買います!」と言っていた。

次に、ふと見つけた畳一畳ぶんくらいの小さな薬局で、「ノルフロキサシン」と「チニダゾール」と「ORS」を下痢対策に、そして「ダイアモックス」を高山病対策に購入した。1タブレットから購入することができ、あわせて1000ルピーぶんほど購入した。店員もフレンドリーで使用方法もちゃんと教えてくれた。正しいかどうかはわからない。

カトマンズで購入したトレッキング中の薬

そしてその後、となりの商店で1ヶ月分のタバコを大人買いした。棚に並んでいたマルボロと「SURYA」というネパールタバコを全て買い占めた。店員がすごい顔をしていた。僕は少し金持ちになった気がした。

宿に戻り考えた。さて、僕はいつトレッキングを始めようか。明日か明後日か。
そしてしばらく悩み、急だけれど明日出発することにした。タメルはもういい。どこを歩いてもタメルはタメルなんだ。これ以上ここにいても特別なドラマはないだろう。
そして重い腰を持ち上げ、再びタクシーに乗り「オールドバスパーク」へと向かった。

オールドバスパークは巨大なバス乗り場。ネパールツーリズムボードへ向かう途中にある。ジリ行きバスのチケットカウンターは、ネットで調べた様にオールドバスパークの北東方面に位置していた。
猛獣のオリの様な、太い格子のあるチケットカウンター。オリの中に入っているせいか、その中のおじさん達はどこか危険人物に見えた。
ジリへは「マイクロバス」と「エクスプレスバス」があるがどっちにするかと訪ねられた。違いを訪ねると「同じだ」と答えられた。なので名前が速そうな「エクスプレスバス」を選んだ。集合は朝の5時半、出発は6時。料金は620ルピー。10時間のドライブで620円は安い。

歩いてタメルに戻ると、両替屋で日本円7万円をルピーに変えた。どれくらい山に持ち込むかは悩ましいところだったけれど、1日2000ルピー×30日で計算した。ルピーとは別に円もドルもあるのでまあ大丈夫だろう。

今日は1日歩きまわって疲れた。準備して飯くって、少しお菓子を買ってシャワーを浴びて、そして早めに寝よう。