初心者のための登山とキャンプ入門

プロローグ

ピッチャープラント。うつぼかずら。

正直これほど充実感を得て帰ってこれるとは思っていなかった。

マレーシア、ボルネオ島の山、キナバル山。東南アジア一高い山。 名前は10年前くらいから知っていた。こまくさ会での海外遠征の候補地に挙がったのだ。でもヒマラヤやスイスアルプスに比べてイメージは薄い。熱帯の4000m。ぼんやりとした印象だ。 世界自然遺産に登録されていると知ったのは今年に入ってからだ。いよいよ来年のこまくさ会の海外遠征の候補地を決めようと調べたところ、地球の歩き方を見て知った。しかもかなりいたれりつくせりな環境のようで通常は1泊2日、ゆっくりする場合は2泊3日で行くようだ。

かなり観光地的なところなんだろう。記念行事なのでいいけど、きっと日本の山の方がよかった、って思って帰ってくるんだろう。行く前はそう思っていた。

7月末に入り世間はもうすぐ夏休みというころ、どうやら私もお盆休みを9日間取れることがわかった。お盆の海外旅行ってめちゃめちゃ高いから海外に行くって考えたことなかった。でも相棒のキタオくんはなかなか盆暮れ以外の長期休みが取れないし、一緒に行ってくれる友達も減って来たのでしかたない、せっかくだからどこか行こうかと考え始めた。航空券だけで10万円くらいの所を目安に、以前キタオくんが行って気に入っていたニュージーランドを狙って探してキャセイパシフィック航空のHPにたどりついて、そこでコタキナバルという文字が目に入って、キナバル山に登ろうって思いついた。こまくさ会海外遠征の候補地で挙がっていたから、下見としてもいいかもしれない。テーマがはっきりしたら、突然の海外旅行に消極的だったキタオくんがガゼン乗り気になった。結局チケットはサーチャージやら空港税やら込みで12万円弱で取れた。それは出発の10日前のことだった。

出発が決まると会社も気軽に休めない。片付けなきゃいけない仕事がはっきりしてくるし、休んだ分もらえなくなる給料のもったいなさを実感する。しかも「10日間先」っていう遠すぎない目標は、日々をハリをもって過ごすのにちょうどいい。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

しかし航空券を取ってすぐにわかったことは、山中の山小屋の予約がないと登山することは厳しいってことだ。急いでステラのHPから登山口付近の小屋グレイスホステルを予約。この予約があれば、入山だけは出来るんだろうか?頂上まで行けなかったとしても今流行りのトレランのように走って登って、せめてあの一枚岩のあたりまで行って雰囲気が楽しめたらいいんだけど。でもキナバル登山では絶対つけなきゃいけないらしい「山岳ガイド」さんも、走ってついて来てくれるんだろうか?途中の”サヤッサヤ小屋”では小屋の中で休憩できるってだれかのHPに書いてあったけど、そこで2時間くらい仮眠を取って登るとか、そういうのにガイドさんって付き合ってくれるんだろうか。
いろんな疑問の中とりあえず装備をにわかトレラン風にそろえだした。リュックは弟に借りっぱなしになっていたランニング用のものがあったし、アウトレットでたまたまトレラン用の防水ではないトレッキングシューズを安く買った。たまたま最近登山を始めた別の弟から登山用のタイツと長袖の汗で冷えないシャツを借りれた。のこり1週間は毎日ジョギングをしよう。それと同時にダメモトで地球の歩き方に載っていた日本の旅行会社に山小屋が取れないか、メールを出してみた。あとはコタキナバルで憧れのドミトリー暮しをしてみよう。問題は香港の乗り換え時間をどう使うかだな。そんなふうにネットから情報を集めつつ、一回もジョギングをしないまま日々が過ぎた。

コンドミニアムからは、コタキナバルに着く8/9から入山する8/12までをリクエストしたけど、部屋が空いていないとメールが来た。なので下山後の8/14から8/16の1泊でもいいからとコメントを添えて、またオンライン予約をしてみた。同時に初めて飛行機のマイルをためるプログラムの申請をして、そんなこんなしていると問合せした次の日に旅行会社からメールが来た。なんと山小屋が確保できるという。信じられなかった。こんなに直前なのに。ガイドブックには早めに予約しないと厳しいと書いてあったような気がする。そのあたりについて分かったことは手続き詳細のページに書いたのでよかったら読んでほしい(ただし、本当にコロコロとシステムが変わるから要注意です)。とにかく、そのことによって一気に登頂の可能性は高まった。知らないことがたくさんあるけど、とにかくそこの宿泊予約が取れれば入山もできるし、一緒に走ってくれるような特別なガイドを頼む必要もないんだから。メールを受け取ったのは出発の4日前で、前日にはコンドミニアムのマリーナコートリゾートコンドミニアムから、急きょ部屋が8/9-12で空いたと連絡が来た。よろこんで泊まりますと返事をしてバウチャーを受け取ったのが出発の2時間前。直前にはキタオくんのパスポートが見つからずばたばたで出発した。このときばかりは本当に見つからないかと思った。ほんとに、さあ靴を履こう、って時だったんだから。今後私のうっかりを指摘されたら、毎回この事をもちだすことにしよう。

海浜幕張にあるホテル・ザ・マンハッタンから成田までのバスの時間も間違え、それでもかなり早めに着いたのにチェックインでは窓側の席も取れず、なんだかいろいろ心配ではあった。オンラインチェックインをしといたらよかったらしい。なんか英語でそんな風に書いてあった気もしたけど、よく読まなかったんだよね~

さて今回の旅では、私はノートパソコンを持っていった。実験のためにである。海外でWIFIが繋がるとどれほど便利なんだろう。コタキナバルのホテルではゲストハウスやレストランでもWIFIスポットはかなりあるらしい。重いのはわかってたけど、それを確かめたくてあえて持っていった。衝動的に日記を書きたくなることもあるしさ。音楽も聞けるしさ。写真のデータだって移せるし。

さて、まず成田ではどうか。すぐに接続はできた。でも料金を契約するぺ―ジが開いて、そこからどこのページにも動けない。なんか設定が必要なんだろうか。お金払わないと繋がせてくれないのかな。ひとまず、残念だった。いとこのわたるくんにスカイプしようと思ったのに。「マレーシアに行ってくるね」ってさ。

今回のフライトは香港までキャセイパシフィックでそのあとマレーシア航空だ。かなり遠回りかと思ったけど地図を見ると最短な気がした。時差も日本と香港で1時間、香港とコタキナバルでは同じ時刻だ。

香港の空港に着くのが夜の10時すぎ。次の日のフライトが3時頃。この間どうしようかすごく迷った。どうやら香港の空港は24時間オープンしているらしい。そうでない場合は、追い出されるみたい。WEBで探すと結構みんな乗り継ぎ時間の使い方に悩んでいた。町に出てマッサージで時間をつぶすとか、空港内のサロンで過ごすっていうのが有力だった。空港のサロンって言っても、10時間過ごそうとすると一人8000円くらいかかる。HISで調べた空港から5分のホテルは二人で12,000円くらいだった。九龍まで行って安い宿に泊まるか。キタオくんには初めての香港だったこともあり、せっかくだから町に出ることにした。ビクトリアハーバーの夜景を見ながら時間をつぶそう。イメージは上海のあの海(川であったか)沿いのようなものを描いていた。遊歩道があって、ベンチがあって、対岸のカラフルで高いビルがかっこいいかんじ。まぁそれに飽きたらどっかバーにでも行って冷たい飲み物を飲もう。いくつかそういうところはピックアップして持っていったけど、「不夜城」っていうわりに香港のナイトスポットの情報ってあんまりなかった。なんかどこも深夜の2時くらいに閉まっちゃうんだよね。

成田では荷物をコタキナバルまで預けたから、香港ではちょっとしたカバンと預けられなかったパソコンを持って空港を出た。