初心者のための登山とキャンプ入門

ネパール観光。そしてポカラで旅は終わる

ネパールのポカラ

エベレスト街道トレッキング・番外編

ジリから始まったエベレストトレッキングは、ケガもなく物を盗まれるなんてこともなく、無事カラパタールからエベレストを見て下山することができた。
トレッキングはアイルランド人のジョンとウォーリーの3人で行い、彼らはゴーキョ経由で下山、僕はゴーキョに立ち寄らずカラパタールからまっすぐに下山してきた。ジョンとウォーリーとは「下山後にポカラに行こうぜ」と約束をしていたので、彼らが帰ってくるまでネパール観光して時間をつぶすことにした。そして下山した彼らと合流し、ポカラに向かった。

ボダナート

ネパール ボダナート

2014年10月30日

トレッキング用の荷物は全て定宿の「インペリアルゲストハウス」に預け、僕はデイパックのみでボダナートへとでかける。服は2、3日同じ物の予定。また寝る時様にダウンジャケットとダウンパンツを持っていく。これがあれば寒くても寝袋はいらない。
タクシーは宿が手配してくれた。450ルピー。安いと思う。

ボダナートはすぐに退屈になった。巨大なストゥーパに「ほう」と思うだけで、あとはいつもの土産屋巡りになる。仏具、パシュミナ、アクセサリー。どこでも同じ物しか売っていないのでそれも退屈になる。試しにボダナートの町を徘徊してみたが、確実に迷子になると思い来た道を注意しながら戻った。
僕をボダナートまで運んだタクシーの運ちゃんと再び出会ったのでパタンまで行くかと尋ねる。すると彼は1000ルピーで行くという。600だと交渉するとそれを彼は受け入れた。胡散臭いと思った。

ネパールの道路はいつかキレイになるだろうか。

パタン

ネパール パタン

パタンに着くと、タクシーの運転手は案の定1000ルピーを要求してきた。600って話しだろう、と言うとゴニャゴニャと言い始め、めんどくさいので800ルピーで商談を終わらせた。これ以上彼と話す事ほど時間の無駄はないと思った。
超カタコトの英語で、なんでもすぐにOKOKと言う男は怪しい。彼は僕がネパールで出会った男の中で唯一ダサイ男だった。

パタンはボダナートよりも面白いと思う。何を持って面白いとするかは自分の感覚ではあるけれど、歴史の古い建造物のレンガ色だったり、その屋根瓦だったりその上に生えた緑色のコケだったり、そんな物が素敵だと感じた。
と言っても、少し歩けば飽きてきてしまう。ネパールの歴史も文化も何も知らないのが原因だと思われる。レンガ色の建物に使用されている木材の至る所に彫刻が施されている。始めは「すごいなあ」と感心もするけれど、すぐに疲れて来てしまう。

旅が退屈だ。昔は何を見ても新しく刺激的で、旅が続いていくことに喜びを感じていたけれど、今はそれがない。なぜだろうか。年をとったせいだろうか。歩いていてもカフェでコーヒーを飲みながら寺院を眺めていても、退屈だなあと思ってしまう。
35歳までにはバックパックを背負って世界一周、的な夢があったが、もうそれはやめようと思う。ウィーンでクラシック聞くとかフランスでうまい物食べるとか単純にハワイとか、今後はそんな旅がいいんじゃないだろうか。

バクタプル

ネパール バクタプル

2014年10月31

例えばカトマンズのタメルが上野だとしたら、パタンは浅草。そしてバクタプルは少し飛んで京都というイメージだ。街全体から歴史を感じることができる。道路ですらレンガで、赤い街という印象を持った。カトマンズ盆地で一か所訪れるべき場所があるとしたら、ここバクタプルだと思う。

パタンからバスに乗りバクタプルに来た。パタンの宿で働く日本語を勉強している青年が、バスでパタンに行けるよと教えてくれた。
パタンのバスパークにはたくさんバスがおり、どれに乗るべきかわからない。バスの運転手に尋ねると「あっちだ」と指さされ、あっちの方向にあったバスに尋ねると「あっちだ」と指さされた。そんなことを5回ほど繰り返してやっとバクタプル行きのバスにのることができた。

ネパールのバスは相変わらず、道々で人々に声をかけながら進むので時間がかかった。僕の隣に座るおばさんは赤子を抱いていて、その赤子のマクラとして僕の腕を利用していたのが気になった。パタンからバクタプルまでのバス、25ルピー。

ネパール バクタプルの風景

旅が退屈に感じるのは割と物事がすんなりと進むからかも知れない。初めての海外旅行のスペインでは何事もすんなりとは行かず、毎日が戦場だった。金もなく知識もなく言葉も通じず、毎晩カフェでパンばかり食べていた。その日の宿を見つけるのにも必死だった。でも何か一つを成し遂げた時は本当に嬉しかった。宿にチェックイン出来ただけでも雄たけびをあげたいほどだった。

ネパールは観光しやす過ぎるのかもしれないし、僕が訪れているのが観光地過ぎるのだろう。宿もすぐに見つかる、カフェも多いしWi-Fiも使える。

そういう訳で、部屋でジャグリングをして時間をつぶしている。

ポカラ

ネパール ポカラ

11月10日

昨日ポカラからカトマンズに戻ってきた。ポカラは良いところだ。何をすると言う訳ではないが、ネパールで気候が良くてのんびりしてて平和的な観光地に行きたいのなら、間違いなくそれはポカラだと思う。それ以外のネパールは知らないけれど。

カトマンズからポカラまではバスで7時間くらい。料金は700ルピーだったけれど、予約する場所によっては少し上乗せされるかも知れない。
タメルの大通りからバスは発つ。バスのチケットは僕が宿で手配して、アイルランド人のジョンとウォーリーと待ち合わせて朝7時のバスに乗った。

バスは大きく快適だった。道路もジリまでの悪路をイメージしていたが快適で、イヤフォンで音楽を聴きながらの旅を楽しめた。けれどこれはバスにもよるだろう。帰路のバスはひどかった。車内のシートが壊れていたりしたが、何よりひどいのは運転で、激しい段差に平気で突っ込むから後部座席のハネ方は尋常じゃなかった。寝ていると突然の激しい衝撃に驚いて目を覚ます。前席のヨーロピアンが「頭に気を付けろ!」とジョークを言っていたが、確かにそれくらい後部座席の人間は跳ね上がっていた。そんなことが何度かあり、ついには吐くかと思った。
バスは2,3度、トイレ食事休憩で止まった。ジリまでのバスもそうだったけれど、やはり外国人は地元の人に比べ乗り物に強い。誰も吐いていない。

おすすめの北ポカラ

ポカラでは北に宿をとるのがおすすめ。南は完全なツーリストエリアで大きな街になっていて、大通りで交通量が多く田舎という感じがしてこない。一方北の方は湖沿いに点々と宿があり、道も細く車通りも少ない。かと言って不便な訳ではなく、レストラン、商店、土産屋、ランドリー、ツアー会社と必要なものは全てある。それに「北」と言っても「南」からすごく離れているわけではないので、ATMに行きたければ歩いても遠くない。

北ポカラの良さは何よりそのロケーションの素晴らしさだろう。湖を目の前にステキなカフェ・レストランがいくつかあるし、宿の窓からも朝夕の湖を眺めることができる。もし僕が南の方で宿をとっていたら、ポカラはきっと違う印象になったに違いない。
けれど、北ポカラにはヒッピーが多い。ヒッピーテイストのバーや店もある。その感じがゆるくて良いと思うのだけど苦手な人はいるかも知れない。夜は大きな音でダンスミュージックを流すバーも多いが、たぶん9時かそれくらいには静かになると思う。騒がしくて寝れないということはない。
宿はそんな素敵なロケーションにあって、料金は一泊500ルピー。ジョンが店員と交渉して少し安くなった。そんなに多くはないが蚊がいる。虫よけがあると良いと思う。

出発日を抜くと、ポカラにはまるまる4日いたことになる。何をしただろうか。ローボートに乗って湖を旅したり泳いだり、スクーターをレンタルして旅をしたり山に登ったり、夜にオープンエアーのスクリーンで映画を見たり、部屋で1日中本を読んだり、そんなことをして過ごした。
ポカラは、何もしていなくても、カフェでぼんやりと湖を眺めているだけで癒される場所だ。仕事で疲れている人が癒されに来るのには最適な場所だと思う。でも僕はストレスが0でエネルギーがありあまり、何かをしたくてしょうがなかった。

楽しいボート旅

ネパールのポカラでボート
ヒゲがなくなりイケメンになったウォーリー

ポカラでのアクティビティと言えばパラグライディングだろうか。僕らはと言えば湖でのボート旅を楽しんだ。ボートは井之頭公園で乗る様な櫂ボートではなく、オール1本の原始的な物だった。なので進みは遅いし、ちゃんとまっすぐ進もうと思うと右に左にと忙しい。

ポカラの湖は北に向かうと川になる。その川に沿って登っていくのが楽しい。水深は浅くまた湧き水も多く水がきれいだし、ちょうどその頃米だか麦だかの収穫時期で、土手はそれらで黄金色に輝き美しかった。
腹が減れば適当な場所に上陸し、商店でスナックや飲み物を買う。北に行けば行くほどツーリストは少なく言葉もほぼ通じなかったりする。そんなことをやっていると、アマゾンか何かを旅している様でとても幸せな気分になれた。ボートを操り川や湖を自在に行き来できることが嬉しかった。

夕暮れ時になれば湖では漁師が水中に網を張りはじめる。彼らは器用にボートを操りながら、静かに網を落としては水の上を滑ってゆく。それからレストランの灯りが湖に映り始めると、どこからか低音の効いた音楽が聴こえてくる。 ポカラの短い夜がはじまる。
ポカラでは色々なことをやったと思うけれど、ポカラを思い出すとき常にそんな光景が頭に浮かんでくる。ポカラは本当に素敵なところだった。