初心者のための登山とキャンプ入門

ミルフォードサウンドからテアナウへ ミルフォードトラック日記 ⑫

パトとリック夫妻と知らないおじさん

2011年1月17日月曜日。朝は7時に起きた。特別に早起きをする必要もなかったけれど、隣のベッドのドイツ人カップルが出発の準備をし始めたので、僕もついでに動くことにした。彼らはこれからミルフォードサウンドのクルーズにでかけるようだった。颯爽と出発の準備をして去っていった。旅慣れている証拠だ。そして去り際に連絡先をくれた。ドイツに来たときに、とか言っていた気がする。また会えたらいいな、と思う。素敵な人たちだった。

朝食はミルフォードトラックで一緒だった、前回の日記で書いたカップルと食事をとった。彼らもドイツ人で、気がつけば旅人はドイツ人だらけの気がしてきた。そして彼らも僕同様に、流暢な英語は話せない。もちろん僕よりは数段にうまく話せて、耳もできている。僕は相変わらず巨大なクッキーを食べながら、彼らと適当な英会話を楽しんだ。

僕の乗る予定の、テアナウ行きのバスは午後2時半にミルフォードの港を出発する。普通に10時にここをチェックアウトしてしまうと、港でかなりの時間待機しなければならないため、このままミルフォードサウンドロッジのラウンジで時間をつぶすことにした。港への送迎サービスもあるので大変ありがたいが、そのためには4ドル必要。
ラウンジで待機している間、雑誌を数冊読んだ。アウトドアと釣りである。ほとんど理解できないので面白くなかった。読書は諦めアイポッドでスピードラーニングを聴き、英語を勉強して時間を過ごした。

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1時30になり、宿の外で港への送迎バスを待っていると、アメリカはアイダホの夫妻と仲良くなった。今まで会話は一度もなかったが、彼らも同じ期間ミルフォードトラックを歩いた仲間だった。パトとリック夫妻である。そういうわけで息子はパトリックという名なんだよ、とリックは嬉しそうに語った。おかげで、めずらしくすぐ人の名前を覚えることができた。しかし彼らの英語は聞き取りやすい。わかりやすく話してくれているのもあると思うが、スピードラーニングが話す英語に近い気がする。オーストラリア人とずっと話していたあとなので、自分が成長したかのような錯覚を覚えた。

事前に予約したトラックネットのバスは時間通り、ミルフォードサウンドの港を出発した。バスの後部座席に座り、ぼんやりと景色を眺めていると色々な思い出が頭に浮かんできた。ジェームス。いいかげんなやつであったが、愛嬌のあるいいやつだった。いつも僕の事を気にかけてくれた。オーストラリア人の3人もよく僕を相手をしてくれた。挨拶だけだったり、笑顔を交換するだけの人も多かったが、それでも一緒に歩いた人たちは今では仲間のように思える。いつかまたみんなに会えたら良いのになあ、と思う。

テアナウ湖

そしてバスはテアナウに到着した。僕は5日ぶりにまたここにやって来た。
今日のテアナウは風も弱くとても暑い。
宿にチェックインをすると、ストレージから荷物を出し荷物の整理をした。服を洗いたかったので洗剤を買いに町に、ついでにインターネットカフェで20分ほどインターネットを楽しんだ。3ドルである。洗剤は固形洗剤のようなものを買った。ランドリーソープと書いてあったが洗剤なのであろうか、それともただの石鹸なのだろうか。

スーパーからの帰り道でパトとリック夫妻に再び出会った。彼らもテアナウの同じ宿の個室の方で1泊しているようであり、僕を食事に招待してくれた。宿につきざっと洗濯をすますと彼の宿泊している個室をたずねた。
彼らは僕にパスタをご馳走してくれた。ペンネじゃなくて、ぐるぐると巻いたパスタで名前がわからない。それにウインナー、ミックス野菜、トマトソース、チーズなどをからめたものでとても美味しくて、ついつい食べまくってしまった。彼らはそのパスタをキャンピング料理と言っていた。確かにつくりはじめから完成まではわずかの時間であった。「バックパッカーで、大量の食材を買い込み時間をかけて料理を作っている人たちが信じられないわ!」、とものすごいオーバーリアクションのパト(奥さんの方)は言っていた。

食後、彼らのトレッキングでの食事の話題になった。彼らのトレッキングでの食事はとても素敵なものだった。何が素敵かは僕なんかでは説明できないが、簡単かつ栄養満点の食事に思えた。ライスベースの食事ででその中に、なんかの穀物?種?みたいのを2種類とナッツ、ワサビ味のボール?みたいなものを入れて煮込む。味付けは好みで、トマト、クリーム、コンソメ、カレーなどにするようだ。リックはトレッキングの食料袋を取ってくると、一つ一つの材料を手にとり熱く説明してくれた。「ドライフーズなんて高くて食べている人達が信じられないわ!」、とものすごいオーバーリアクションのパトは言っていた。

テアナウ湖畔をちょっと歩くよ、と言いパトとリックは湖の方に向かった。夕日を浴びながら、湖を眺めながら歩く彼らの顔は素敵な笑顔だった。
ちなみに彼らは70歳。ものすごく元気だ。

こうしてミルフォードトラックのトレッキングの旅は怪我もなく、荷物の忘れ物もなく無事終了した。現地で予約は一切せず、日本から全てインターネットで手配で心配をしていたが、それらもうまく行っていてよかった。予想通り日本人は僕一人だけだったけれど、友達も作れたし、寂しい思いもせずに済んだ。

ミルフォードトラック最後の2日間は雨に降られてしまったけど、むしろ雨の中のトレッキングの方が楽しかったように思う。より、自然の中に自分がいる、という感じがした。トレイルも山も何もかもがワイルドで、ミルフォードトラックを歩く醍醐味を味わった気がする。(1/17 end)