初心者のための登山とキャンプ入門

霧島山登山② 韓国岳に登り龍馬ゆかりの塩浸温泉へ

硫黄山から見た韓国岳

あらすじ:九州の百名山、阿蘇山・祖母山・九重山・霧島山・開聞岳を一気に巡る旅に出ました。阿蘇山・祖母山・九重山の3つを登り終えると別府から新幹線で鹿児島中央に。そしてまたレンタカーを借り次は韓国岳に。

開聞岳をやめて霧島山(韓国岳)に

2013年の4月21日の日曜日。九州の百名山を巡る旅6日目。
ー 鹿児島中央駅前のビジネスホテル ー

朝は7時半に起きた。目が覚めると朝食を食べに1階へ。隣接したビルの居酒屋か定食屋かなんかが朝食の会場になっていた。昨日「朝食は大したことがありません」的な事を受付のおねーさんは言っていたが、惣菜の数が多く豪華だと思った。コーヒーも飲めた。大したことない、と言っておくのは良いかもしれない。
こうやって色んなホテルや旅館で朝食を食べていると、一番最初に食べた別府の無料の朝食が一番しょぼかったなあ、と失礼な事を思った。贅沢になったもんだ。

食後のタバコを吸いながら、今日は開聞岳じゃなく霧島山に行った方が良いんじゃないだろうか、と言う考えがぽっと浮かんできた。9時に車を借りて開聞岳に行って登り、その後反対側の霧島のキャンプ場に行く、と言うののはやや忙しそうだ(2525レンタカーは9時からレンタル)。それとキ夕方にャンプ場に入るというのも難しいかも知れない。

というわけで、あっさりと予定を変更して霧島山へ向かう事にした。

鹿児島の地図

ゴロゴロと荷物を転がして鹿児島中央駅の東口から西口へ、昨日行った2525レンタカーで車を借りた。車両のチェックも一瞬で終わった。ETCが無料でついているおで嬉しい。車は家のと一緒でスズキのラパンだ。

持参したナビは下道も高速もほとんど同じ時間を示していた。なので下道で行こうと走っていたが思ったよりも車が多い。ということで途中から高速にかえた。
ラパンをぶっ飛ばした。あまりにも天気が良いと、天気が崩れる前に山に登りたくなってしまうのでどうも焦ってしまう。最近はスピードを守る事がない。ラパンはずっと唸っていたし、強風でハンドルはガクガクしていた。

想像より遠い所にえびのインターはあって、道の駅えびのを越え、遠く見える山を目指して下道を走らせた(ナビは高速を使う遠回りを選んだ様だ)。山道は九重のやまなみハイウェイ程度のものを考えていたけれど、それよりは遥かにぐにゃぐにゃで勾配がある道路だった。最近こんな道ばっかりを走っているので慣れたもんだ。車がひっくり返りそうなくらいハンドルを切って登った。ラパンは唸り続けていた。

えびの高原に到着。快晴だけど寒い。風が強い。目の前には韓国岳らしきものが見えるが、山の上には歪んだおわんの様な雲がかかっている。下も風が強いが、あの感じだと山の上は強風だろう、と推測してみた。

えびの高原はそれはそれは広大な観光地化されたところで、巨大な駐車場といくつかの大きな建物があった。土産物屋、変な雑貨が売っている店、資料館的なもの。なんでもあるので暮らしやすそうな所だ、とついつい思ってしまう。道の駅に行けばテントを張る場所をついつい探してしまうし、こんな癖が自転車の旅以来抜けない。
話は戻る。僕はその中の土産物屋で、今夜の夕食のインスタントのちゃんぽん、明日の朝食にマンゴーパン、そして母親への土産に ”宮崎マンゴーのドライフルーツ” を買った・・・。

宮崎マンゴーのドライフルーツの話し

後日、しばらく後の話しになるけれど、僕は鹿児島各地で買った土産をまとめ、それを実家へと送った。その中にはえびの高原で買った宮崎マンゴーのドライフルーツも入っていて、そのマンゴーのドライフルーツは母親の好物だった。

土産が実家に届くと、母親と姉の2人は早速ドライマンゴーを食べたらしい。そして「宮崎産はやっぱりちがうね~」と、べた褒めをし合ったそうだ。しかしのちのちパッケージ裏の品質表示を見ると ”タイ産” と書いてある事に気づき驚いた。という笑い話があった。

マンゴーを褒め合う人

その話しを聞き、「まさかそんな事はあるまい、わざわざ宮崎県のえびの高原の土産物屋で買ったのだ」と僕は強く言った。そしてタイ産のわけがないんだ、と自信を持って裏を見てみると、そこにはやはり”タイ産”とあった。

こんな事があって良いのだろうか?詐欺ではないだろうか?と思いながらも、良く良く表を見てみると、”宮崎限定発売” と書かれていた。まさかまさか、タイ産のマンゴーを宮崎で限定販売しているということなのだろうか。やられた!
宮崎と表に書かれていたからてっきり宮崎産だと思っていたし、宮崎でタイのマンゴーを売っているなんて夢にも思っていなかった。確かに安いなあとは思っていたけども。

これってありなんだね!

宮崎限定販売マンゴー
美味しくなかったよ!

えびの高原キャンプ村

えびの高原の巨大な駐車場は1日400円ほどしたので、先にキャンプ場で受付をし、少し離れているがそこから韓国岳を登ることにした。

えびの高原キャンプ村は九重のキャンプ場に続き、これまたすごく広かった。”村”とつくとは大きなキャンプ場である可能性が高い、という事がわかった。
受付のおじさんはスマートで手続きも簡単だったし、テント一張となんとか料で合計1100円くらいだった。やっぱり高くてもこのくらいの価格が適切だ。

天気も良いのでテントを張る前に韓国岳に登ってしまう事にした。 そして昼も近かったので昨日作ったおにぎりをここで食べてしまう事にした。塩むすびは、もちろん冷たかったが美味しかった。それと一緒にさんまの蒲焼の缶詰も食べたがこいつも美味しかった。でもさすががに2合分の塩むすびを食い切る事ができなかったので、夕食用にとっておく事にした。ちなみにおにぎりはほとんど崩れており、まとまったごはん、という感じだった。

初めて作った塩むすび

霧島山(韓国岳)登山のハイライト

登山道入りたて。整備された登山道。

韓国岳登山口付近の登山道の様子

12時13分。登山道に入ると整備された道が始まった。やっぱり百名山はこんな道が多いのだろうか。また九州に来て初の休日登山、ってことで登山者が多い。カラフルなアウトドアウェアが素敵だった。子供もいっぱいいた。挨拶をしまくって登った。

5合目付近

韓国岳から見える色々な池

12時51分。標高も上がり背の高い木がなくなると冷たくて強い風が吹いてきた。山頂から下りてくる登山者はみなシリアスな顔でかなりの防寒着をまとっている。超分厚いダウンジャケットなんかを着ている人もいた。上はどれくらい寒いのだろうか。
ちなみに写真に見える池は手前から、不動池、御池、白紫池。霧島山には池がいっぱいあって、しかもそれらの周りも(一周ではないけれど)歩くことができる。

大浪池と桜島

韓国岳から見る大浪池と桜島

13時5分。もうほぼ韓国岳の山頂に到着。ゆっくり登っても一時間もかからない。手前の池は大浪池。ここいらで一番大きな池で、一周1時間30分。そして奥に見えるのが桜島。

新燃岳と高千穂峰

韓国岳から見る新燃岳と高千穂峰

13時11分。手前がたぶん獅子戸岳、真ん中が新燃岳、そして奥が高千穂峰。新燃岳が噴火活動中で、韓国岳から高千穂峰までの縦走ができない。本来ならこの縦走路を歩くはずだったのに残念。
しかし高千穂峰の男らしい姿を見て、登るべきは韓国岳ではなく高千穂峰だ。高千穂が僕を呼んでいる。竜馬が湯治した塩浸温泉はまた今度にして、今からダッシュで下りてダッシュで高千穂峰に登るのだ、と決意し足早になった。

韓国岳の霧氷

韓国岳の霧氷

13時13分。山頂付近に近づくと、空から白い玉ねぎのスライスのような物が降ってきていた。こんな青空なのに空から降ってくるものがあるのだろうか、と地球の不思議に翻弄されていた。遥か空の彼方から飛んできているのだろうかと。
その原因は火口を覗いた時にわかった。火口壁のへりに霧氷ができていたのだ。それが火口から吹き上がる超強風で飛ばされて山頂へと降り注いでいたのだ。横から見ていると氷の固まりがポンポン空に飛ばされてゆく。初めてみる現象なので面白かった。

韓国岳の火口

韓国岳の火口

13時19分。写真では全く伝えられてないけれど、この韓国岳の火口の広さと深さは大迫力で、そしてものすごく寒かった。それにしても、山頂付近ではみな防寒着を着込んでがんばって昼ごはんを食べている。僕は下りる。

韓国岳と飛行機雲、高千穂峰を断念

韓国岳と飛行機雲

14時3分。下山開始とともに右足の膝が痛くなった。さてどうするか。膝を壊してでも高千穂峰に登りたい、けれど明日の開聞岳は絶対に登らなければならない、さて・・・と考えているうちに登山口に戻ってきた。韓国岳に登って下りて、2時間もかからなかったんじゃなかろうか。休憩を一回もせず水を一口も飲まなかった。ハイキングの様に登れた山だった。昨日のマッサージチェアが効いたのだろうか。膝は痛いけど。

そして僕は高千穂峰を登る事を諦めた。また来たらいいじゃないか、無理をすることはないというのが最後の言葉だった。よし、気分を切り替えて今日はやっぱり竜馬だ、塩浸温泉だ。僕は坂本竜馬の大ファンなのだ。

竜馬が湯治した塩浸温泉へ

韓国岳の登山口にある小さな硫黄山に立ち寄って、そしてえびの高原にとぼとぼと戻ってきた。昼も過ぎえびの高原の駐車場には沢山の車が停まっていた。フェラーリやバイクの排気音が騒々しくて嫌になった。日曜日だからしょうがないけれど、山くらい静かであって欲しいものだ、と思った。いつも静かな平日に登っているくせに、休日の喧騒も僕は許せない様だった。膝が痛いせいだろうか。

キャンプ場に戻るとテントを張った。いつもの様にトイレと駐車場に近い場所に張った。人がいればうるさいから嫌だけれど、静かな時はこの方が便利だ。テントは風が強かったのでまともに張ってみた。セッティングが完了するとパンツを洗った。そんなに緊急でパンツが必要な訳ではないけれど、洗える時に洗っておいた方がいい。同じ事を昨日の日記にも書いた。そして登山着からあまり違いのない普段着に着替え、車に乗り塩浸温泉へ向かった。

霧島のキャンプ場とテント

塩浸温泉はえびの高原からかなり下ったところにあり、なかなかの山道ドライブになった。そして塩浸温泉のロケーションもすごかった。日が当たらない様な山と山との間の完全に深い沢にあって、しかもそのスペースもかなり狭い。大きな温泉施設や土産物屋があり人で賑わっているのかと思ったら、ものすごく秘境的な感じでびっくりした。

橋を渡って沢のトゥルーレフトへ行くと竜馬とお龍の象があった。実寸大と言っていた。竜馬は174cmらしく、銅像は桂浜のものよりは随分可愛く見えた。そして何だか仲良くなれそうな、親密感のある像だった。

資料館的なものもあったので入る事にした。
小さな資料館ですぐ終わってしまいそうだなと思っていたら、なんとガイドのおじさんがついてくれ、1つ1つ展示物について色々と説明をしてくれた。「竜馬はこんな経路で霧島をお龍と旅をしました、これは龍馬が使っていた銃のレプリカです、玉は5発しか入っていませんでした。こちらは龍馬が姉に送った手紙で、こんな事が書いてあります・・・」などなど。ものすごく嬉しくなったが、あまりにも丁寧に説明してくれるので日が暮れてしまうのではないかと心配になった。けれど熱心に嬉しそうに語るおじさんの話しを聴き、イチ竜馬ファンとしては同士を見つけた気分で幸せになれたし、龍馬が本当にここに来たんだなあ、という風にだんだんと実感が湧いてきた。

塩浸温泉の様子1
塩浸温泉を上から撮影。沢のちょっとしたスペースで本当に狭い。駐車場に車を停めるのも大変だ。
塩浸温泉の竜馬像

しかしなんと、龍馬が新婚旅行で登った山が高千穂峰だったことがここで発覚した。竜馬ファンならば、竜馬が新婚旅行で薩摩の山を登ったということは当然の様に知っていることだけれど、まさかそれが高千穂峰だなんて。すごく残念だ。やはり明日の開聞岳の事なんか考えず、膝を壊してでも登るべきだったんじゃないだろうか。しまった、残念だ。うーん。

おじさんに感謝を述べると、その後は塩浸温泉にちゃっぷと入り、そしてえびの高原のキャンプ場まで遥々戻った。そしてインスタントラーメンのちゃんぽんを作り、昨晩作ったおむすびと一緒に食べた。すごく寒い。

寝袋の中で考える。明日は高千穂峰に登れないだろうか。

龍馬と同じコースを登山するなんて、考えるとワクワクが止まらない。幕末のあんな事やこんな事に思いを馳せながら山を登るのだ。
明日の夜明けと共に出発して高千穂峰に登ってしまおうか。高千穂のあとの開門は厳しいか。あー登りたいー。どうにかならんもんか。