初心者のための登山とキャンプ入門

大菩薩嶺登山 大菩薩峠から見る日本一の富士

大菩薩峠から見る富士山

国道411号でスピード違反で捕まる

2013年4月9日火曜日。新宿でヤハケンをピックアップすると中央道で勝沼インターへ。勝沼インターからは国道411号、青梅街道を使って北上した。青梅街道沿いは梅だか桃だかの花が青空に映えて美しく、大好きな曲を歌いながら軽快に車を走らせた。そして僕はスピード違反で捕まった。

片側一車線の道路を走っていたんだけれど、突然、ヘルメットを被り棒を持ったおじさんが道路上に現れ、そして僕らの車を誘導した。誘導された場所はだだっ広い空き地。そこには会議テーブルが2つ並び5人ほどの警官が座っていた。

どこでスピード違反をしたのだろうかと思い出すと、途中で点滅した信号を渡るために加速をした記憶がある。多分そこに計測器なんかがあったのだろう。40キロのところを63キロで走ったと言う事だ。運が悪いなあと思った。運転が嫌いで滅多に運転をしないのにたまたまの登山で捕まるなんて。しかも平日だ。
まあそんな事は置いといて、この411号、青梅街道を大菩薩峠に向う時は注意をしてくださいね、という事が言いたかった。とくに交通安全週間の時は。

ちなみに、僕を担当した警官が巨人の阿部に似てるな~、と思っていた。気になっていたので後でもらった紙を見てみると、名前は”安倍”だった。惜しい。

大菩薩嶺登山のハイライト

大菩薩峠登山口 ゲートの駐車場

大菩薩峠登山口 ゲートの駐車場

9時08分。大菩薩峠登山口のバス停からしばらく登ったゲート横の駐車場。ゆっくりと準備をし朝食を食べた。ヤハケンが朝から大量のご飯を食べていて驚いたが、これがトレランスタイルなのかも知れない。食料は胃の中に入れて持っていく、と言うのも1つの方法だなと思った。

大菩薩峠のゲート

大菩薩峠のゲート

9時20分。出発。冬期通行止めのゲートにて。このゲートは3日後の4月12日から開通予定だったので残念。この道路が利用できれば大菩薩嶺の美味しいところだけを楽しむことができる。

芦倉沢沿いの山の斜面

芦倉沢沿いの山の斜面

9時24分。なんとなく気に入った写真なので載せてみた。何が気に入っているかと言われると難しいけど、珍しく狙ったところにピントがあったのが気持ち良かったのかもしれない。いつも重たいカメラを持ち歩いているので、たまには説明的すぎない写真を載せたい、という思いがでた。

時代劇っぽい掘られた登山道

千石平から上日川峠への登山道

9時58分。時代劇に出てくるような、昔の旅人が歩くような登山道をしばらく登った。自然なのか人口なのかはわからないけれど、道が繰り抜かれていて面白い。「山賊がでてきたらたまんないねー」とヤハケンと話した。

福ちゃん荘付近の沢

福ちゃん荘付近の沢

11時56分。上の写真から2時間後。なんでこんなに飛んでしまうかと言うと、その間に特別な見どころもないし特別気に入った写真もなかったから。2時間の間に通過したポイントは上日川峠とロッヂ長兵衛、そして福ちゃん荘。

獣が掘ったあとなのか

獣のあと

12時09分。大菩薩峠から下ってくる登山者に挨拶をすると「この先の登山道に大きな穴とたくさんの毛が落ちてて、怖いので帰ります!」と彼は言い去って行った。その地点まで行ってみると確かに大きな穴が数箇所、それと習字で使う太筆の様な剛毛が辺りには散らばっていた。イノシシか何かだろうか?

僕はその後周囲を警戒しながら道を登った。ヤハケンは「武井壮だったらどうやってイノシシを倒すのかな~」とのんきな事を言っていた。

大菩薩峠

大菩薩峠の様子

12時33分。昼になると強風が吹き始め、空にあったモヤッとした雲を全て吹き飛ばした。そんなタイミングで大菩薩峠に到着。あまりの景色の素晴らしさにヤハケンのテンションは高く、アイドルを目の前にした時の様にシャッターを切った。そしてiPhoneを落とし画面を割った。

大菩薩峠からの縦走路

大菩薩峠から大菩薩嶺への縦走路

12時53分。軽い昼食を食べると大菩薩嶺に向け縦走路を進んだ。この縦走路、どこから見ても富士山の景色が美しい。止まっては写真を撮りの繰り返しで一向に進まなかった。

大菩薩峠から望む富士山

大菩薩峠からの富士山

13時09分。振り向けばこんな感じの景色。今まで登った山の中で一番きれいに富士山が見える場所かもしれないな、と思った。北側から富士山を見る機会も少ないからその裾野の美しさに驚いた。

ここを1日で過ぎ去ってしまうのはすごくもったいない様に思う。夕暮れ時の富士を見て大菩薩峠の介山荘で一泊、そして夜明けとともに富士山を見て下山、というのが適切ではないだろうか。

大菩薩嶺に向う縦走路

大菩薩嶺への縦走路

13時15分。南の富士の景色も素晴らしいけれど、大菩薩嶺に続く熊笹の縦走路も見事。ヤハケンがサングラスをかけているのは「使う機会がないから」というのが理由のようだ。

もう一回富士山・日本一

大菩薩峠からの富士山

13時39分。そしてもう一回富士山。やっぱり富士山は日本一だなと思わざるを得ない。富士山と僕は深いところでつながっている気がする。

大菩薩嶺付近からみる甲府の盆地

大菩薩嶺からみる山梨市

13時39分。ヤハケンは「盆地だあ、盆地だあ」ととても喜んでいた。ヤハケンがこんなにも盆地好きだったとは知らなかったので驚いた。僕の知らないヤハケンがまだまだいるのだ。
でも確かに素晴らしい眺めで、僕はこんな景色を見るといつも戦の事を考える。どこに城を築くかとかどこに砲台を置くかとか。昔の武士もこんな感じで山に登る事も多かっただろう。筆をとり甲府の地形を書き写していたのかも知れない。

話は変わるけれど、向こうに見える山々は南アルプスのクイーン達。押し寄せるビッグウェーブの様な力強さがあった。

大菩薩嶺の山頂

大菩薩嶺山頂

13時51分。地図には「山頂は樹林に囲まれて展望は無い」と救いようのない感じで冷たく書かれていたが、確かにそのとおり展望はなかった。というわけで、写真を撮ったらこんな感じになった。そして下山。

大菩薩嶺 北西の尾根の残雪

大菩薩嶺北西の尾根の残雪

14時14分。北側の登山道は残雪があるかも知れないと軽アイゼンを持ってきたが、着け方が思い出せず装着に手間取った。というわけで適当にアイゼンをつけ、そして30メートルくらい歩くと外れた。ヤハケンはアイゼン無しでクリアーしたが、 ”初めてリンクの上に立った人” みたいな姿勢で氷の上をツーっと滑っていた。

丸川峠の丸川荘前から見る富士山

丸川峠から見る富士山

15時20分。丸川峠からも富士山をきれいに見ることができた。夕暮れ時の枯れた草が何だか懐かしい感じで旅情緒にあふれていた。
ここに辿り着く前まで僕らは ”歌しりとり” をしていた。一人が歌を歌い、やめた所から次の人が歌を探して歌うというシステム。「み」で僕が歌を終えると「み~つまでも~たえる~ことなく~♪」とヤハケンは陽気に歌いはじめた。

丸川荘からみそぎ沢に下りる尾根で休憩

丸川荘からみそぎ沢に下りる尾根

15時42分。休憩。山と高原地図には急坂とあるが、丸川荘からの尾根は確かに急坂だった。しかもここまでで13キロ近くは歩いていたので太ももが張ってきた。そして今度は”なぞかけ”をしながら楽しく進んだ。ウチワのなぞかけになるのでここには書かないけれど、ヤハケンのなぞかけは面白かったし上手かった。やるなあと関心したが、今思い出すとハテ?となる。山ではみな愉快になるのだ。

みそぎ沢沿いの林道 駐車場へ

みそぎ沢沿いの林道

16時30分。登山道が終わるとしばらく林道を歩き、そして駐車場へ。
9時半から16時半までの長旅となった。歩いた距離は12,3キロで、1000メートル以上は登って下りた。けっこう疲れた登山ではあったけれど、一日中笑いながらであっという間の登山だった。

ほったらかし温泉でほうとうを食べる

ほうとう

18時30分。帰りはヤハケンおすすめのほったらかし温泉に立ち寄った。
登山後の温泉は最高だった。僕は風呂嫌いだけれど、ここで死んでもいいと思ったほどだ。そしてほったらかしおんせんじまんの眺望も素晴らしかった。甲府盆地も見下ろせるし、何より温泉に浸かりながら山の尾根を研究できるのが嬉しかった。東に見える一番高い山が大菩薩峠なんだろうな、と思うと、こんなに素敵な事はなかった。さっきまで登っていた山を温泉につかりながら眺められるのだ。

温泉をでると疲れていた足は回復した。無理だとは思うけれど、もう一山登れてしまう様な気分だった。そして熱々のほうとうと叫びながら格闘し、甲府の夜景を眺めた。そして帰ってきた。

最高の天気で大菩薩峠を登り富士の景色を楽しみ、そして温泉に入りほうとうを食べ帰ってくる。本当にパーフェクトな1日だった。僕が切符を切られて15000円の損失をしたことと、ヤハケンが携帯を落として画面を激しく割ってしまった事を除けば今日は素晴らしい1日だったと思う。いや、そんな嫌な事があったとしても、大菩薩峠からの眺めは全てを忘れさせてくれた。そんな素敵な景色だった。