初心者のための登山とキャンプ入門

蕎麦粒山・川苔山登山 -生活リズムをとり戻せ!-

蕎麦粒山からの下り 前を向いて歩けない様子
石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

奥多摩の蕎麦粒山・川苔山登山概要

登山期間:2010/5/1(土)-2(日)

日付 5/1(土) 5/2(日)
コース 川井→百軒茶屋キャンプ場 百軒茶屋キャンプ場→棒ノ折山→川苔山→古里駅
天気 晴れ 晴れ
標高差 - -
行動時間 1時間30分 9時間50分
宿泊 キャンプ場でテント泊
食事 フリーズドライ食とコンビニのパン
メンバー アラタ(29)

蕎麦粒山・川苔山 登山日記

眠れぬ日々

「ちわき」のおやき
お食事「ちわき」のおやき 100円であつあつほくほく。お茶も頂いた。 ぜひ寄っていこう。

最近、なぜだか眠ることができなかった。
ここ一週間で数時間ほどしか寝ていないのではないか。三日間連続で眠れないこともあった。
もうかれこれ三週間はまともな睡眠をとっていない気がする。
悩みがあるのか?不眠症か?それとも他の病気か?
色々と悩んだが、最終的には生活が逆転しているのではないかと言う結論にいたった。
そういえば最近、昼寝がスペイン人の様に定着してきているような。
自営業は自分を管理するのが大変なのである。

山に行かなければならない。
前日に眠れようと眠れなかろうと、山に登ろう。
日中山中を歩きまわれば嫌でも夜眠ってしまうだろう。
ボロボロになるまで山を歩くのだ。

僕の登山アドバイザーである姉に電話をかけると
「蕎麦粒山」という名前がでてきた。奥多摩のようだ。
時間もなかったので、何も考えずにその蕎麦粒山に登ることに決めた。
キャンプ場に一泊して蕎麦粒山、帰りは川苔山によって帰ろう。

5月1日昼頃。一泊分の荷物を適当にザックに詰め込み出発。
近所のスーパーで行動食用の大量のパン、カロリーメイト、スニッカーズ、アーモンドチョコなどを購入。買いすぎる。
西葛西→中野→立川→青梅と電車を乗り継ぐ。空は真っ青。山も素敵。
そして電車はJR青梅線奥多摩行き。しかしここで「沢井」と「川井」を間違えて下車。30分のロス。
西葛西から二時間半後。川井駅に到着した。

川井駅からはひたすら道路を北上。缶コーヒー片手にてくてく歩く。
車通りもほとんどなく気持ちがいい。住民に挨拶をしながら歩く。
途中食事処を発見。あん入りおやきが100円、購入。
ほくほくで生地もあんこもうまい。お茶もでてきたし店員さんも素敵。300円の価値あり。
そして予定通り、出発から1時間30分ほどで「奥茶屋キャンプ場」に到着。
ここで泊まれば早朝すぐに登山が開始できるのだ。

百軒茶屋キャンプ場

百軒茶屋キャンプ場
地図を広げて孤高の登山者をアピール。一人のキャンプ場は寂しい。

奥茶屋キャンプ場は休業中だった。

勝手にテントを張ろうかな、とも思ったけどちょっと不気味だったのでやめた。
休業中のキャンプ場なんて、滅んだ村のようで嫌だ。
もしこんなところで眠れない一日を過ごしたら最悪。
きっと、川の轟音の中に色々な音を見つけて恐怖してしまうだろう。
シャワーを浴びてると人の声が聴こえる気がする、なんてことはないだろうか。

なので一つ手前の百軒茶屋キャンプ場に泊まることに決めた。
騒がしくても人がいるキャンプ場の方がまだ眠れそうだ。料金は1000円。

百軒茶屋キャンプ場は川沿いの小さいキャンプ場で、直火やキャンプファイヤーもオッケーだ。
バンガロー泊だけでテントサイトはないので、今回は特別なパターンだろうと思われる。
ゴールデンウィークということもありバンガローはいっぱい。ガキが多い。
騒がしい夜を恐れたが、川の音がうるさすぎるため、それ以外の音はほとんどしなかった。

テントの準備をしたらやることがない。夜飯はフリーズドライで簡単なのだ。
いつもは相方がいるので時間は簡単に過ぎるし、また昼寝なんかもできる。
でも今日はできない。夜寝れなくなってしまっては困るからだ。
川の轟音を聞きながら、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読んで過ごすしかなかった。

管理事務所に顔をだすと、管理人のおじいちゃんとおばあちゃんに
「お茶でも飲んでいきなさい」 とすすめられた。
詳しく書くと長くなってしまうのでやめるが、ここでは色々な話をした。
ずいぶん居心地が良かったので、夜飯もここで食べることになった。
けっきょく10時前まで管理事務所で過ごした。

百軒茶屋キャンプ場
バイクで来たお客さんと百軒茶屋の管理人さん。
茶屋をはじめてから7代目、3代前くらいからキャンプ場をやるようになったとか。

この場面が今回の山行のハイライトだ。。。

ずさんな計画

棒ノ折山
素晴らしい眺めの棒ノ折。おすすめスポット。

5月2日5時40分起床。気づけば明るい。ガキの行動時間が早い。
睡眠導入剤を使用したせいで、朝起きたら寝たままの姿勢だった。
寝た、というより電源をオンオフしたような感覚。
しかし清々しい。天気も良い。
ちゃかちゃかっと準備を済ませ出発。7時。

休業中の奥茶屋キャンプ場にかかる小さな橋を越えるともうそこは登山道。
まずは北に一時間半。稜線にでるのだ。

誰もいない山は気持ちがいい。鳥がチュンチュン言っているだけだ。
心地よい肌寒さと、木漏れ日もよい。朝の山はよい。
顔に蜘蛛の巣がからみついたって素敵な気分だ。
ひとり言でも言おうかしら。

アーモンドチョコをついばみながら、傾斜のキツイ登山道を調子良く登る、
というより上へ上へと引っ張られている感じ。
進もうと気を入れると疲れてしまう。
前を見て足をあげれば、自然に体がどんどん進んでゆく。
8時20分、棒ノ折山到着。969m。

棒ノ折山山頂はとてもひらけていて、眺めがすこぶるいい。
何山だかわからないけど、北の山が一望できる。桜の木と小屋もある。
気持ちよさそうに小説を読んでいる人もいる。
とてもいい場所だ。またここにゆっくりしに来ようと思った。
8時30分。出発。

ここからは稜線上を3時間ほど西へ。
途中で思ったのだけれど、この道相当きつい。
登って降りて登って降りて登って降りて…。しかも一山一山傾斜がきつい。
みるみる体力を消耗し、時計を見る回数が増えてきた。
自分がどれくらい歩いたかって感覚がずれてきてる。疲れてるからだ。
現在地が自分のイメージする位置よりもずっとうしろだ。
やばいな。

昨晩睡眠導入剤を飲んだからか。
今年初の登山だからか。最近体の調子が良くないからか。
最近運動していないからか。CW-Xを履いていないからか。
翔ぶが如く二冊は多かったか。
それより計画がずさんすぎたな。。。

11時30分、やっとの思いで蕎麦粒山への分岐、日向沢ノ峰に到着。
地面にべしゃっと座り込み、地図を見る。
計算すると、どう考えても蕎麦粒山は無理。
蕎麦粒山に行かないとしても、下山時間が17時前なのだ。

今更だけど、なぜこんな計画を立てたのだろうか。
疲れて眠りたい、ってのにもほどがある。やりすぎた。
とりあえず、せっかくなので川苔山には寄って帰ろう。
とりあえず飯を食おう。

川苔山へ

川苔山へ

12時10分川苔山に向け南下。体が重い。
この疲れ方なら、いつもならテント場についている状態だ。
あと何時間歩かなければならないか、僕は知っている。
適当な場所でもう一泊していきたいけどなあ。。。

また急に降りて急に登る。
新緑を見に来たのに上の方は全然だめだ。ハゲた木ばかりだ。
そして思考も低下。間違った道を下り時間と体力を消耗する。
日差しもきつい。とても登山を楽しんでいる場合じゃない。
なんとかして降りなければならない。

帰路の赤杭山への分岐に出会ったのでザックを置き、
給水のためプラティパスのみ持って川苔山へ。

13:25分。川苔山の山頂は人でいっぱいだった。
どこからみんな来たのだろうか。
僕はここまで数人としかすれ違っていない。
鳩ノ巣や奥多摩方面から来ているのだろうか。

カメラを忘れたので川苔山からの写真をとれない。
今の僕には眺望も素敵には思えない。とりあえず水を汲みに行こう。

水場は、地図上では近くに見えたが、
行ってみるとすげえ下ったところにあった。
しかも1リットルも2リットルもいらない。あと500mlもあれば下山できるのだ。
その500mlのためにずいぶん体力を消耗してしまった。

14:00。ザックを置いた分岐に戻ると地面に座り込んでしまった。
やばい本当に疲れてる。これで本当にいけるのか。。。
長時間の休憩をとりたいが、とってしまうと日が暮れる。
あと約3時間。とりあえず、体がいけるとこまで行ってみよう。

後ろ向きは歩ける

下山道

14:10分、下山開始。川苔山への登り道を、まいて南東へ。

しかし歩き始めてすぐ、足のやばさに気づく。
もうすでにモモがパンパンで歩く度に激痛がはしるのだ。
体重をモモの筋肉で支えることができない。
下り道では嫌でもモモに負担がかかる。
これをあと3時間。もう歩きたくない。
枝で杖を2本つくり、クロスカントリーの選手のように進むことがなんとかできた。

止まっては歩き、止まっては歩きを繰り返す。
モモの痛みをこらえながら進むので汗が止まらない。顔があつい。
足はもう完全に棒のように伸びきり、足の裏を地面に擦りながら進んだ。

もう歩きたくない。
水もあるし飯もある、テントもある。もう一泊しようか。
だけど今日中に帰ると身内には伝えているので、心配されるだろう。
山が西日を浴びた色になってきた。
進もう。

この赤杭山のルートには二組の若者の登山客がいた。
一つは6人くらいのグループ。もう一つはカップル。
彼らを僕がものすごい勢いで抜いていくのだが、
その後へばっていると抜きかえされる。そしてまた抜く。抜かれる。
僕はどんな顔をしているだろうか?杖を2本ついてかなり必死に見えるはずだ。
こんな姿は何度もさらしたくない。
抜いたらそのまま抜き去ってくれ!
と心の中で思っていたが、結局彼らとは駅まで一緒に行くことになった。

あと一時間で下山か?という時、完全に足が前へと進まなくなった。
やばい。誰かに電話して迎えに来てもらおうか。ザックを置いておりようか。
と思いながら、ふと横歩きをしてみた。
歩きやすい!
そして後ろ向きに歩くと、
もっと歩きやすい、痛くない!
杖を一本投げ捨て、後ろ歩きでぐんぐん下った。

傾斜がきつく、後ろ歩きが出来ないところもいくらかあったが、
それでも後ろ歩きは断然楽だ。
こけないよう集中するためすごく汗がでるが、スイスイいく。
スイスイ行き過ぎてまたグループの登山客に追いついてしまった。

彼らの後方で時間を潰そうと思ったが、この流れを止めることはできない。
とりあえず、恥ずかしいので前向きになって進み、
彼らが休んでいるところで僕も休む。

「あとどれくらいで駅っすかね?」なんて気軽に話しかけて仲良くなる。
2,3話し、そして、
「僕ちょっと後ろ向きに歩くけど気にしないでください」と伝え、
おもむろに後ろ向きで進んだ。
恥ずかしいなどともう言っていられないのだ。

後ろを向いて道をすすむ。
休憩を終えた集団が追いついてくる。
先頭をゆくかわいこちゃんと顔を見て話すことができる。
早く逃げたい。

もうそこに町の音が聴こえる。青梅線の音が聴こえる。
しっかりと眠りたいがためにやった登山。
ここまで疲れなくても寝れたはずだ。
しかし間違いなく今夜はぐっすりと眠れるだろう。

16:50分。下山完了。
よくがんばった。