初心者のための登山とキャンプ入門

ラバンラタレストハウスへ

ティンポーンゲート

9:07。公園本部からのバスがティンポホンゲート(Timpohon)に到着し、ゲートをくぐる。

一つ目のゲート

入ると右手には最新の(22回目)Mt Kinabalu International CLIMBATHO 2008 の順位表が張ってある。この回では男子オープンの2、3位に日本人が、女子オープンの3位にも、そして男子ベテランの部3位にも入っていた。このレースのことは今回調べて初めて知ったけど、こんなまったく別の土地にも日本人が入ってきて検討してるとはやっぱりなんかうれしいですね。あとここから頂上までは8.72kmと書いてある。

キナバル国際マラソンの順位表

となりの看板には、キナバルパーク内での植物を気づ付けたりするとが犯罪だと書いてある。1つ目の項目には、木や保護されている植物を切ったり伐採したりダメージを与えたり抜いたり傷つけたり破壊したり火を付けたりしたら、10万RM(3百万円)の罰金と3年間の投獄というような内容が書いてあるようだ(たぶん)。日本ではここまで明確なものってない気がする。

キナバル山のルール

すぐ後に受付を通る。

ティンポーンゲート

中には軽食のメニューが。食堂的な場所はわからなかったけど、ここで食事ができるってことなんだろう。

ティンポーンゲートの売店

ここでIDを見せる事と、体調が悪い時は登山をやめる等注意書きがある。

ティンポホンゲートの注意書き

ちいさな売店ではお菓子やちょっとしたものが売っている。

ティンポホンゲートの売店

受付で名前のチェックを受けてゲートを通過する。こう何重にも扉があるんだな。これは予想以上の厳重さだ。江戸時代の関所みたいだ。日本の山にはたいていいくつも道があるし付近にけもの道や作業道もたくさんあるから、ゲートを作ってもどこからでも入れちゃいそうだ。ここはそんなこないんだろうか。もしかして地元の人は知っているかもしれないね。

とにかく、こういったゲートではガイドさんが先頭に立って名簿を提示してくれるから言われたらIDを見せる、といった具合で何も心配なかった。

石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

さて、朝からいろいろ混乱したけどやっと登山道を歩き始めることができた。ここから約6時間の登りが始まるけど、やっぱりふだん山登りをしているせいか不安は全くなかった。きっと普通にゆっくり6時間歩けば着くんだろう。きっとバテることも無く、5回くらい短い休憩を取った後にちょっと疲れ気味で到着するはずだ。

誰かのブログで見た通り、登山道に入るとまずは短いくだりがあって、その後滝を左手に通り過ぎた。そしてすぐに登山口から0.5km進んだことと標高を示す標識が現れた。今は1935m地点らしい。

キナバル山登山口から0.5KM

またこのあたりにピンクの小さな花がたくさんあった。サバが「キナバル・バルサム」と教えてくれた。「バルサムカフェ」はこの名前だったんだろうか。後で知ったことだが、キナバル公園の固有種らしい。

キナバル・バルサムの花

道はいつも二人は並んで歩けるくらい広く、とても整備されていて歩きやすい。先頭はキタオくんがさっさと歩き、私はいつものペースでゆっくり歩き、サバリヌスは後ろで退屈そうに携帯をいじっている。展望はなく、道は退屈さを感じるくらい単調だった。先に行って見下ろすキタオくんが妙にムカついてイライラしてきた。
そんなことからサバへの質問が始まった。キタオくんはなにを聞いただろうか。富士山の話をして盛り上がっていた。あとサバがドラゴンボールが好きらしいと言っていた。

サバは質問すると速効自信満々に答えるときと、ウーンと長らくうなって答えるときがあった。もしかしてそのウーンは考え中なわけじゃんくて「わかんない、勘弁して」の合図だったのかもしれない。なんかのときキタオくんが「OK、OK」と言ったら「あ、ホント、ごめんね!」みたいな感じで考えるのをやめていたから。血液型を聞きたいくらいだ。たぶんA型じゃないはずだ。

キナバル山登り始め

サバリヌスは24歳で3年前から山岳ガイドをやっているらしい。1週間に2-3回登るって言っていた。この仕事が好きだからやってるって言っていた。外国語が勉強できるしいろんな人と出会える、みたいなことを言っていた。何人の山岳ガイドがいるのかと聞いたら185人と言っていた。すれ違うガイドは若い人が多いから、年取ったガイドはどうするのかと聞くと「ヘルプ」という。英語は片言であまり難しい会話はできなかった。ハーフパンツに青いロンTに赤いTシャツを重ね着して指先のないドクロ柄の手袋をしてキーホルダーを下げたサバは本当に地元の少年というか、このときはまだあまり特別に良い印象はなかった。

歩き出して間もなく、噂の「シェルター」が現れた。1つ目の、カンディスシェルター(Kandis Shiter)だ。手前の緑色のボックスが、「未処理水」「雨水」と言われるUntreated Water だ。建物には全部「Pondok KANDIS」と名前が書いてある。屋根の下にはベンチとゴミ箱、そして水洗トイレと外には洗面台があり、きれいである。

カンディスシェルター
カンディスシェルターのトイレ

まだ歩いて少ししか経っていなかったからとりあえずここは通り過ぎた。

すると間もなく1キロを通過した案内が出てくる。とっても分かりやすい。

キナバル山登山口から1KM
キナバル山登山道

まもなく小さめのウツボカズラが出てきた。こういうのはサバが積極的に教えてくれた。途中にはいくつもあって「もういいよ」って思うかもしれないけど形が全然違うからぜひ見ておくといいと思う。これは細長くてシンプルな形ですね。

うつぼかずら

10:00ウバ・シェルター(Ubah)に着いて、1回目の休憩をすることにした。日本で貰った地図には2095mとあるけど、看板には2081mとある。さっきは気付かなかったけど、このあたりの説明も書いてあるようだ。コケやシダがここら辺の湿った森では木の上なんかによく育っているようだ。登るにつれ気温は低くなり土壌も痩せてくるのでそういった厳しい環境下では生き残れる植物も減ってくる、というようなことが書いてある。たしかに、さっき歩いてきた道を見てみよう。

ウバ・シェルター(Ubah)

木は苔の服を着て周りの踏まれていない土もうっすらとコケ蒸している。でも印象としては写真で見るより湿気った感じはなくてむしろ乾いた印象。標高のせいだろうか。八ヶ岳の裾野の方が、よっぽどみずみずしいぷりぷりとしたコケの絨毯があるような印象をうけた。もしかして今日のスケジュールとかいろいろ考えることが多かったから余裕がなかったのかな。もう一度冷静に見てみたら違うかもしれないな。

ウバではトイレに行って、5分休憩をして出発した。まもなく右手に視界が開けた。頭上には岩の一部も見えた。

岩が見えた

ウバを出発して約10分後、1.5Km地点を過ぎる。

キナバル山登山口から1.5km

空は曇りで風もなく涼しい。歩くすぐ近くで鳥の鳴き声がする。鳥ってどうして歩くと近くで鳴くんだろう。

するとまもなくまたウツボカズラが。今度のは下がまるっと膨らんでいて、模様もあるね。タテの2本線とその上には毛も生えているし、トゲトゲのついたフタもあるようだ。残念ながら中に虫は発見できなかったけど、雨水がたまっていた。これって、上からぶら下がっているわけじゃなくて下に軸があって立っているんだね。手で触っちゃいけないと思って拾った葉っぱで触ろうとしたらサバに「No」と言われてしまった。彼らのお目付けのお陰でこんな登山道上の植物が無くならずに済んでいるのだ。

うつぼかずら

10:40、ロウィ・シェルター(Lowi)を通過、2.5km、3kmを通過。3kmはラバンラタまでの半分らしく「ハーフ」とサバが言った。

キナバル山登山口から3KM

11:25、メンペニング・シェルター(Menpening)で2回目の休憩。本当は1時間ごとに休憩の予定だったけどこんなにこまめにシェルターがあるのでほとんどの人はシェルターで休み、登山道上では休まない。よって、ちょうどよく 「1時間」 は区切れるはずもなくさっきの休憩から1時間20分も経ってしまった。サバは休憩を自分から提案せずにただ付いてくる。休憩していい?と聞くと「OK、OK!」とすごく元気良く答える。このとき、ラヤンラヤンでランチを食べようとサバに言われたのにお腹が減った私はパックランチからリンゴを取出しこっそり急いで食べた。小さい青りんごはとってもおいしかった。

メンペニング・シェルター(Menpening)
パックランチに入っていた青リンゴ

この先の道は結構岩も出てきたし、木に覆われて細く暗い道なんかも出てきて雰囲気があった。

キナバル山登山道 岩が出ている
キナバル山登山道 雰囲気が出てきた

サバはだまって付いてくる。

キナバル山ガイドのサバリヌスと

12:10ラヤンラヤン職員宿舎(Layan Layan)に着いた。日本のガイドブックによるとここが「ハーフ」らしい。さっきから40分しか歩いていないけどおとなしくここで休もう。天気は相変わらず曇っていて涼しい。すぐに上着を着た。サバたちガイドは決して屋根の下のイスには座らない。登山者に譲るようになっているようだ。謙虚さを感じてしまう。ここでは宿舎があるからか、ガイドもたくさんいてみんなで楽しそうだった。ガイドの服装は実に様々だ。サンダルみたいな人もいれば、ビニールのザックカバーの人もいる。そんな中でトレッキングシューズっぽいものを履いてディパックを背負ったサバはしっかりした装備の方に見えた。

ラヤンラヤン職員宿舎(Layan Layan)

パックランチを食べることになった。昨日チキンを食べて以来お腹がゆるいキタオくんは心配ながらも食べた。サンドイッチ、ゆで卵、春巻き、リンゴ、コーラ、お水。こんなお弁当が付いてくるなんてすごいな。でも私はサンドイッチの半分を残してしまった。やっぱりおいしいわけじゃない。何があったらよかったかな。小さいマヨネーズとかがあったら、サンドイッチにもゆで卵にも変化がつけられてよかったかも。あとカップスープとお湯がもしあったら、サンドイッチももっとおなかに入りやすかったかな。
キタオくんはこの「パックランチ」という名前をいたく気に入って繰り返し口にしていた。楽しい響きなんだそうだ。「逆にするだけでこんなにいい名前になるなんて」っていう。「ランチパックってなんかあったっけ?」って思ったらあの食パンに挟まれた総菜パンのサンドイッチのことらしい。キタオくんのツボってなぞだね。

そう、ひとつ前からシェルターの付近にはリスがたくさんいて、登山者からパンをもらっていた。前の休憩のときは珍しがってたくさん写真を撮ったけど、ここではたくさんいすぎてもう興味はなかった。リスにまじってネズミもいた。ごみ箱を開けてみると、中にもいてびっくりした。欧米人が2Lのペットボトルをゴミ箱に捨てていた。山の中でゴミを捨てるのは通常ならものすごく気が引ける行為だが、ここでは普通なんだろうか。

リスがいっぱい

30分休憩して12:40に出発した。出る前にザッと雨が降り、カッパを着ることにした。富士登山と比較されることの多い?キナバル山だが、富士登山より断然登山者の装備はしっかりしている。なぜなんだろうか。私からすると、キナバルでこういった装備をするのは当然で、なぜ富士山にはジーパンや雨の中カッパなしとかそういった格好で登る人がいるかが不思議でならない。特に外国人に多い。外国のガイドブックにはそんなに簡単に書いてあるんだろうか。なぜそんなに富士山を軽く見るんだろう。その答えのひとつに、Sutera Sanctuary Lodges のHP内の Traveler's Tips の項目に Necessary items としてレインコートや手袋の事が書いてあるからだろうか、とも思った。足を保護するよい靴底でグリップの効くものがよいとか、荷物は10kg以内が良いとかも丁寧に書いてある。この山では入山者はかならずステラでの予約を通すけど、富士山では各山小屋のHPに書いてあったとしても公式なものはなく、かならずそのHPを見るというものはない。山小屋のHPに書いてあったとしても英語表記されているだろうか。受入れが管理されているという点でやはり全然違うのだろうかと思った。

ラヤンラヤンを出発して10分後に、またまたウツボカズラがあった。これはちょっと道から入ったところで、サバが教えてくれないと見つけられなかった。今度のは入口がギザギザに縁取りされて模様があり、口も大きく一番迫力があった。

うつぼかずら
うつぼかずら

このあたりからゴロゴロと転がるような形の岩も出てきた。

キナバル山登山道 岩がごろごろ

出発して40分後に4.5kmの地点を通り過ぎる。かなりガスっている。何が違うのか分からないけど、ウネウネしていて日本にはない雰囲気の樹間を歩く。

キナバル山登山道 雲霧林

途中、白い小さな模様がある岩をたくさん見た。キズじゃない。初めてみる岩だ。サバに聞いたら「Rock」とだけ言っていた。

白い模様のある石

13:37、ビローサ・シェルター(VILLOSA)に到着。2960.8mだ。8分休憩する。20分後に5km地点(3001m)を通過。このころからなぜかカメラには花の写真が多くなる。どれもうまく撮れていないけどちょっと珍しいやつだけ撮ってみた。
この花は、4つの花弁で、花びらにモサモサと毛が生えてるんだ。日本の山では見たことがない。

キナバル山登山道の花

これも、ピンクでツボみたいな花がぎっしり。似たようなやつはあるんだけど。

キナバル山登山道の花

これはランの仲間?

キナバル山登山道の花

なんか、花は咲いていなくてもランみたいな植物がたくさんあった。帰って調べたらボルネオには(キナバルじゃなく)1200種以上のランがあるらしい。きっと植物が好きな人は楽しめるんだろう。

キナバル山登山道の花

途中大きなミミズに会った。黒真珠のような色をしていて、すごく大きかったけど写真だと分からないね。

巨大なみみず

この頃には雨は止んで少し明るくなる。このあたり、山地林上部(雲霧林)というらしい。Wikipediaによるとこうだ。

「雲霧林(うんむりん)(cloud forest)とは、熱帯・亜熱帯地域の山地で霧(下から見れば雲)が多く湿度の高い場所に発達する常緑樹林である。広い意味で多雨林に含まれる。

雲霧林は比較的狭い高度範囲にのみ発達する。一般に日射が少ないので、低地林に比べると樹高は低いが分枝が多い。湿度が高いため、着生植物やシダが一般の多雨林よりさらに多い。特に地面や樹木の幹・枝に蘚苔類が繁茂するのを特徴とするので、蘚苔林(せんたいりん)とも呼ばれる。土壌は腐植質に富み、養分も多いが泥炭化しやすい。

世界ではインドネシア周辺、アフリカの一部、南米のアンデス山脈北部など熱帯域に多い。温帯域でも例えば屋久島やマデイラ諸島など暖帯の一部に分布する。」

だって。
この、木が灰色でグネグネして枯れているのかなんなのか分からないようなお化けの林のことを指してそういうのではないと思いますが、確かにこういった木、屋久島の花之江河付近で見たような。

14:20、パカ・ケイブ・シェルター(PAKA CAVE)に到着。5回目、本日最後の休憩。3080.42mだ。5分休憩をして出発するとまもなく5.5km地点を過ぎる。3137mだ。キタオくんは結構くたびれている感じだ。どうやら風邪をひいたらしい。

またお花がたくさん目に着いた。これも確実に日本にない高山植物だと思う。2枚目のは、どうだろう。

キナバル山登山道の花
キナバル山登山道の花

15:00ちょうど、ワラス(Waras)ハットを通り過ぎてようやく、今晩の宿「ラバンラタ・レストハウス」が見えてきた。