初心者のための登山とキャンプ入門

開聞岳登山 - 九州百名山を巡る旅ファイナル -

池田湖から見た開聞岳

あらすじ:九州の百名山、阿蘇山・祖母山・九重山・霧島山・開聞岳を一気に巡る旅に出ました。阿蘇山・祖母山・九重山・霧島山を登り、ラストは開聞岳。前日は霧島山(韓国岳)に登り、えびの高原キャンプ村に宿泊しました。

えびの高原から開聞岳へ

2013年の4月22日の月曜日。九州の百名山を巡る旅7日目。
ー 宮崎・えびの高原キャンプ場ー

今朝は霧島山、えびの高原のキャンプ場にいた。
朝5時から6時頃だろうか、やはり世の中が一番寒い時間帯で、僕は寝袋の中で死ぬ思いだった。昨晩眠りにつく前からかなり寒かったので、朝は相当冷えていたに違いない。寝袋を完全に閉じて中で丸くなり、うちの親父の様に頭にネックウォーマーを巻いて寒さをしのいだ。

うちのおやじ

6時半に携帯のアラームで起きた。寝袋の入り口をきつく締めたせいで携帯をとめるのに手間取った。そしてそこから全く出たくなかった。あまりにも寒すぎた。
けれど僕は今日、鹿児島の南、開聞岳に向かわなければならない。起きるしかないのだ。そして寒すぎたので10分くらいで撤収し、逃げるようにえびの高原を去った。

朝日を浴びながら山道を、昨日行った塩浸温泉の方に向け下った。出勤の車が多かった。鹿児島空港のインターを入り、そして車を南へ飛ばした。
指宿まで高速道路がつながっているかと思ったら、どうやらそうではなく途中のどこかで降ろされた。声だけのナビまかせなので良くわからない。恐らく埋立地の工場地帯で、その海沿いを大きなトラックやらと一緒に走った。指宿なんたらウェイで行くのじゃないのだろうか。
途中でコンビニに立ち寄り、朝食にチョコパンと昼飯に助六寿司を購入した。そしてまた走った。

嘉例川駅
えびの高原近くの嘉例川駅。開業当初からの木造駅舎。NHKでやっていた。

片道一車線の狭い、千葉なんかにありそうな海沿いの道だった。そこをゆらゆらと走った。渋滞ではないものの交通量があるのでスピードがだせない。眠くなった。こんなんじゃいつ開聞岳に到着するのだろうか。まあまあそれでも気持よくて、眠くなりながら海だか湖だかを左手に見ながら走った。
途中でそんな道から外れると、道路はやっと開聞岳方面へと向かい始めた。車も少なく気持ちのいい道路だった。道路脇では伸びきった雑草を草刈機で刈る人々が目についた。なんだか指宿の気合を感じたし、ゴールデンウィークに向かっているなあ、という気配を感じた。

開聞岳の駐車場に到着した。
良い天気だ。開聞岳を眺められる駐車場は広々として気持ちがいい。車も数台しか駐車されていない。やっぱり平日だなあ。

開聞岳の駐車場と開聞岳

濡れたまんまだったテントを車の中に干すと、駐車場にマットを敷いてストレッチに時間を使った。こんな事をしても膝は痛むだろうが、しないよりはいいだろう。そして準備をして出発した。

駐車場の横には管理所的なものがあり、食料や土産、ストックのレンタルなんかもやっていて面白かった。それとこの辺の施設の受付でもあって、ゴーカートやミニゴルフ的な事も出来るようだった。お父さんは山を登り、嫁と子供は下界で遊ぶというスタイルが想像できた。
そして出発。初めは施設内を歩く。芝生が綺麗に整えられたスペースを開聞岳を見ながら進む。綺麗なところだ。山に登らなくても、開聞岳を眺めながら下でぶらぶらしても良いじゃないかと思う。
その後はつつじが咲いた道を歩いた。開聞岳をバッグにしたピンクが綺麗だった。そして登山口に辿り着いた。

つつじと開聞岳

開聞岳登山のハイライト

開聞岳の登山口付近は南国

開聞岳の登山道の様子1

10時27分。登山道に足を踏み入れるとそこからは別世界だった。背の高い木々が影を作りひんやりと肌寒い。密度の濃い植物が南国の様にぐじゃっとしている。そして外の世界との一番の違いは、セミの鳴き声と鳥の鳴き声が頭上から降り注いでる事だった。山の外はカラッと爽やかな感じだったから、どこかのジャングルにジャンプした様な気分になった。南国だ、夏だ。すごい。シダ植物もわっさわっさしてムードは抜群だった。一気にテンションが上った。

石の階段

開聞岳の登山道の様子2

11時。セミの鳴き声を頭上に感じながらひんやりとした地面を踏みしめて歩いていると、すごくこの山を好きになった。
しかし標高を上げるに連れ鳥もセミも頭上にはいなくなり静かになった。とても寂しかった。そして音の効果がなくなった登山道も単調なものになった。そうした道がずっと続いた。下界の学校からキンコンカンコンと聴こえた。

同じ様な道が続く

開聞岳の登山道の様子3

11時39分。同じ様な道が続いた。我慢の登山。静かにゆっくりと登った。これが今回の九州百名山の旅で最後の登山になる。かみしめて登ろう。

ずっと山を巻きながら登っているから、今自分がどこら辺にいてどの方角を見ているのかわからない。駐車場から見た感じだと山頂は近くに見えるんだけど、直登したらどれくらいで着くだろうか。どれくらい険しいのだろうか。

何合目か忘れたけれど腹が減ったので助六寿司を食べた。ガリが妙にうまかった。登山道に適当に座り込んで食べる昼飯はうまい。
食後の一服をするとまた同じ様な道を登った。木漏れ日が地面に作る丸い光の粒がとても綺麗で、すごく幸せな気分になって登った。下界からキンコンカンコンと聴こえた。

山頂に近づくに連れ道は険しくなる

開聞岳の登山道の様子4

12時22分。登山道は後半になるに連れ険しくなっていった。登山道上の岩はどんどんとでかくなって、よいしょを繰り返す場面が増えた。道はぐるぐる周るのを諦め、急激に山頂に向かっているようだった。そんな時、僕はなんてことのない岩で滑り、カメラのレンズを強打した。すごく悲しくなった。

ロープやハシゴの様な物がでてくると山頂に近い。日差しが暑い。そして僕は開聞岳の山頂に到着した。九州最後の山頂だ。

開聞岳の山頂

開聞岳の山頂

12時55分。開聞岳の山頂からの眺めは見事だった。屋久島なんかの島々はもやがかかって見れなかったけれど、指宿の町並みや海岸線や小さな山々の眺めを楽しむ事ができた。でも昼ごはんもすでに食べてしまったので、僕はすぐに山頂を後にした。大きな音でラジオを聴いているおっちゃんがうるさかったのもある。

一度こけているので気をつけて道を下った。そしてすぐに右膝が痛くなった。登っている時に感じていたが、やっぱり痛くなった。さてどうしたもんか。登山靴が重すぎるのでしょうか。続けざまに登山をしているからだろうか。いやいやそんな事はない。今までこれでやってきたじゃないか。南アルプスの長い縦走だって同じスタイルだった。

登ってくる登山者に若いカップルが多かった。すごく羨ましかった。そして膝の痛みやカップルについて熟考しながら下っていると、あっという間に登山口に戻ってきた。

管理所の売店ではピンバッジを買った。母親へのおみやげだ。
そして駐車場に戻ると荷造りをした。今日でキャンプは終了。これから鳥取の大山や四国の百名山を登ると思うけど、もう外で寝る事はない。寝袋やテントや火器類、そしてまだ1キロ以上はありそうな米をとうとう東京に送り返すのだ。これからは軽装で旅ができる。心からハッピーだった。
そして携帯で鹿児島中央のホテルを予約すると開聞岳をあとにした。

開聞岳を登り終え、無事に九州の百名山5つを登り終えることができた。

開聞岳

素敵な鹿児島と素敵な人達

池田湖から見る開聞岳

指宿スカイライン

池田湖で花と開聞岳の写真を撮ると、今度は指宿スカイラインに向かった。朝は海岸線を走って詰まったから、有料道路で鹿児島中央までとっとと帰ろうと思った。鹿児島中央に戻ったらレンタカーを返し荷物を発送するという大仕事があるのだ。

指宿スカイラインまでの道のりはすごく気持ち良かった。けれど指宿スカイラインの入り口に到着してみると、驚いたことに”知覧インター”という所まで土砂で通行止めになっていた。どうしたもんか困っていたが、入り口にいた通行止めをしているおっちゃんが、知覧インターまでの行き方を書いた地図をくれた。その地図は手描きだった。おっちゃんはこの地図を手に何枚か持っていたいたけど、全て手で書いたんだろうか。大変だったに違いない。コピー機は近くになかったのだろうか。
そんな事を思いながらまた走った。

手描きの地図

山中を駆け抜けた。九州で2度と山道を走る事はないと思っていたけど、ぎりぎりまで走らせるつもりらしい。そしてかなり本格的な山道だ。
今回の旅での収穫は運転がうまくなった事だと思う。そして失ったものは安全運転だ。

さっと通り抜けただけだけど、知覧の町並みはすごく良かった。山の中の開けている場所だし、田舎感があって感じが良かった。お茶の看板が目についた。時間があったらゆっくりしてみたい場所だ。

そんなこんなでなんとか指宿スカイラインに入れたわけだけれど、これまた気持ちの良い道ではなく、アップダウンとカーブの多いただの山道だった。スカイラインと名付けるには道は曲がりくねり過ぎていた。
通行止めで遠回りをしたりこんな山道を走ったりして、結局僕は朝の様に海岸沿いをゆらゆらと走っていた方が良かったのではないだろうか。もう運転に疲れた。けれど集中しなければならない。鹿児島中央ではまだまだやることがあるんだ。

なんとか本格的なまっすぐな高速に乗り、そして鹿児島中央に近いインターで降りた。しかしその降り口も鹿児島中央駅からはちょっと離れていた。もう今日はずっと無駄に走ってガソリンをなくしている。ナビが馬鹿すぎるのだろうか。鹿児島の道路がややこしいのか、僕が馬鹿なのか。
そしてとうとう鹿児島中央駅に戻ってきた。しかし駅近辺は混雑して運転しづらいし、その上ガソリンスタンドを見つけるためにぐるぐるしたり、レンタカー屋に行くためにぐるぐるしてかなり疲れた。まあ事故もなくて良かった。これでしばらくは運転する必要はない。

感動のさつま揚げ、素敵な鹿児島

レンタカーを返却すると、土産にかるかん饅頭とカスタドンのセットを蒸気屋で購入した。ついでに自分用に1つずつ購入した。そしてホテルガストフに向かった。

ホテルガストフへ向う途中、鹿児島中央駅のお土産横丁的なところでさつま揚げを土産に買おうと立ち寄った。
さつま揚げを見て周る僕に「いらっしゃいませ」とだけ言う店がほとんどだったけれど ”玖子貴(キュウジキ)” というお店のおばちゃんは積極的に話しかけてきてくれた。僕は声をかけられればもう止まって真剣に聞いてしまうタイプだ。

さつま揚げの賞味期限を尋ねるとおばちゃんは詳しく説明してくれて、料金の事も人気の商品も丁寧に説明してくれた。おばちゃんはすごく信頼のある話し方で、それを聞いているうちにここで買おうと決めた。試供品も食べたけれどふんわりとして美味しかった。
さつま揚げの発送をお願いすると、玖子貴は他のお土産も一緒に送ってくれる様だった。なので母親に買った開聞岳で買ったピンバッチ、えびの高原で買った宮崎限定販売のタイ産ドライマンゴー、も一緒に頼んだ。そんな手続きをしながら僕が登った山の話なんかをした。

店にはおばちゃんが2人働いていたけれど、二人ともすごく温かくて嬉しくなった。好きになりかけた。僕の買ったものはたった1,130円のものだし、しかもカード払い。それなのにとことん親切にしてくれた。お土産の送り方なども気を使ってくれた。そして帰りがけにさつま揚げを2つくれた。鹿児島が好きになった。

さつま揚げとカルカン、かすたどん
左からさつま揚げ、かるかん饅頭、カスタドン。どれも美味しかったが、さつま揚げは想像を越えた旨さだった。実家の皆もうまいと喜んでいた。また食べたくなる味だ。

ホテルガストフ

ホテルガストフの受付のおねえさんの接客も素敵だった。

思えば鹿児島初日に泊まったホテルのおねーさん、レンタカー屋のにーちゃん、開聞岳の売店のおばちゃんなどお店の人はみな親切で素敵な笑顔だった。お仕事だからってのもあるし、僕は客。それはもちろんわかっているけれど、やっぱり関わった人がこんな感じだとすごくうれしくなるし幸せな気分で旅が出来る。
旅先では特にこういう出会いが重要になる。地元ではどうでもいい事だけれど、旅先だとちょっとした会話でもその街の印象になってしまったりする。そんなこんなで鹿児島が好きになった。鹿児島では多くの人が僕に良くしてくれた。

ホテルガストフは内装がクラシックで調度品が豪華なしぶいホテルだ。すごく高級そうに見えるけれどそれでも素泊まりで5000円いかなかった。WiFiも使える。けれど使い勝手が悪い。鍵がかけにくいし、シャワーが狭くてお湯がドアにかかったりと、洒落ているんだけれど使い勝手が悪いのが残念だ。けれど落ち着くお部屋ではあるので、この値段だったら安いだろうなと思う。あとは普通のビジネスホテルに飽きているから、こんな感じはすごく嬉しい。

夜メシは雑誌で紹介されていた黒豚を使ったとんかつを食べた。黒豚ロースカツ定食。下味がしっかりとついていたし、肉は甘みがあって美味しかった。歩きながらコロッケの様にして食べられそうだ。そうやって売ったらどうだろうか。ソースは甘めだったので、個人的には何もつけないで食べたほうが美味しいと思った。

このとんかつ屋さんについてもう少し書きたかったけれど、そろそろ寝よう。
さて、次は鳥取の大山に登ろうと思う。その前に長崎にでも立ち寄ろうか。