初心者のための登山とキャンプ入門

丹沢・檜洞丸登山 点線ルートをゆけ!

丹沢 源蔵尾根にてヤハケン滑落のイラスト
石井スポーツ 2016冬季 岳人祭

丹沢・檜洞丸登山概要

登山日 2010/5/30(日)
場所 神奈川県西丹沢 檜洞丸
コース 神ノ川ヒュッテ→ヤタ尾根経由熊笹の峰→檜洞丸→源蔵尾根経由下山
天気 雨、曇り
標高差 -
行動時間 約9時間
食事 おにぎりやパンなど
メンバー アラタ&ヤハケン(29)

アラタの日記

寝ずの深夜出発はつらい。
午前二時、ヤハギカーの中でモウロウとした。
コンビニで食料を買い、五時前には"神ノ川ヒュッテ"に到着した。
飯を食い登山の準備にかかるともう六時頃。
出発の時間だ。

丹沢での登山は始めてであった。
時期もあるだろうが、今まで登ってきたどのエリアよりも山がモサっとしてる気がする。
左右から山が迫ってくるような。 山々がとても深く、立体的に感じる。
降り出した雨と合わさり、より深く、そして静かな山々があった。

ヤハケンとの登山は去年の秋以来だろうか。
二人での登山は久々なのでとても楽しみだ。
オールナイトで、また雨の中の登山だったが、
二人ともテンションは高く、6時頃神ノ川ヒュッテを出発した。

ヤタ尾根経由で熊笹の峰に向かう。
開始からひたすらの登り道なので暑く、レインウェアをすぐ脱ぐことになった。
少し肌寒かったが、ひんやりとした雨降りの山の空気を肌で感じることができて気持ちがいい。
お決まりのゆったりとした歩き方で、歌を歌いながら標高を稼いだ。

ふと振り向くと、ヤハケンが遅れている。
別にペースが遅いわけではない。記録のためにムービーを撮っているのだ。
なぜムービーかと言うと、いつもの一眼は雨では使えないので、
生活防水を備えているムービーを代わりに使っているらしい。
ありがたいことだ。

熊笹の峰到着五分前くらいの場所は、とても素晴らしかった。
名前の通り、あたり一面若い熊笹のグリーン一色で、
太く立派な木もあり、どこかテレビの中の草原のようだった。
濃い霧の影響もあり、今まで見たことのないような幻想的な空間があった。

熊笹の峰に到着し休憩すると、ヤハケンはすでにK点に達しているようにみえた。
疲労のピークを踏んでいた。一人頂上に到達しているようだった。
出発した時の彼とはもはや違った人になってしまった。
何を言っても反応がうすい。
むしろ話しかけるのが嫌になるほどレスポンスが悪い。
でもしょうがないのだ。
彼にとっては今年初の登山で、しかも1000m近くは登り続けたのだ。
疲れるのはあたりまえだ。

晴れていたら気持ち良さそうな稜線上を、檜洞丸に向けて進む。
ピンクや白のきれいな花や、煮つけたらうまそうな茎の太い葉っぱ達を見ながら進んだ。

檜洞丸の頂上はよく整備された場所で、休憩には適した場所だ。
こんな山奥にはあると思えないようなテーブルがいくつか用意されており、
たくさんの登山客が食事をとったりくつろいだりしていた。
晴れていれば眺望は良いのだろうか。
ヤハケンの顔は相変わらず渋い。

ここからは帰路だ。
蛭ヶ岳方面へ下り、金山谷乗越の手前で北に折れる。
エアリア上では点線ルートの"源蔵尾根"を通る予定だ。
実はこのコースを通るのが今回の登山のテーマ。
"難路"と書かれている点線ルートを、地図とコンパスを使って下山したいのだ。

蛭ヶ岳方面へ40分ほど下ると、源蔵尾根の分岐があった。
事前にネットで調べていたが、予想より遥かにわかりにくい。
表札サイズの道標が地面にぽつんと置いてあるだけなのだ。
犬用の道標か。
ともかく無事源蔵尾根にはたどりつけた。
ここからが本題である。共に気合が入る。

アルプスばりにくずれてトンがった尾根を、備えつけられたロープを使ってすすむ。
源蔵尾根のとりつきは予定通りワイルドだ。
そして手を使わないと降りられないような急斜面を滑るように下る。
さすが点線ルートだ。まさしく"難路"だ。
ぐんぐん下る。ぐんぐん。

そしてしばらくして思った。
なんかイメージした道と違うなと。
進んでるっていうか、深い森にどんどん潜っているような。
完全に日が差し込まなくなってきてるし、
音の跳ね返り方が"近く"なっている気がする。

立ち止まって地形図を見てヤハケンに確認する。
「あってるかな?」
「尾根歩いてるし、大丈夫だよ」
安心した僕は、また同じ尾根を進む。

そしてまた不安になり地形図を開きヤハケンに確認。すると
「大丈夫だよ、あってると思うよ」 と答えが帰ってくる。

不安な問いかけをする度に、かれは「大丈夫」と答えてくれる。
彼の声は、絶対的なリーダーのように僕を安心させてくれた。
彼の表情と声には、全く迷いが感じとれなかった。
彼は鋭い眼差しで地形図を一瞥すると、自信を持ってそう答えているようなのだ。
やるなあヤハケン。かなり勉強してきたな。
企画者がこんなんでびびってしまって情けない。もっと勉強してくればよかった。
ヤハケンに不安な表情を見せ続けるのもカッコ悪い。
よし、進もう。迷うことはない。

そして尾根を降り続けると、

そこは完全に谷底だった。
なんでやねん。

左右の尾根がV字型にぶつかりあった、
上空のざわめきが届かないほど静かな場所だ。
地面には枯れ葉がしきつめられ、白い霧はよりいっそう幻想的にした。
この場所に人間がいることは相応しくない。
それくらい静かな場所だった。

しかしそんなことに浸る余裕もなく、僕はかなり焦っていた。
地形図を凝視するも現在地の見当がつかないし、
なんてったって、地形図に載っていない川が流れている。
ガスで周りの地形がどうなっているかも判断できない。
どこをどう降りたらここにたどり着いたのか、それすらもわからない。

道をうたがった時点で戻るべきだった。
曖昧に相談せず、戻る、と強く言うべきだった。
それが出来ないのも、自分が地形図をしっかりと読めていないからだ。
正しいか正しくないか、それすらわからないからだ。

僕が後悔と自責の念にかられているとき、
ヤハケンは沢でちゃぷちゃぷと手を洗っていた。

話しあった結果、右手にある尾根を進むことになった。
面倒だが一度この尾根を登り、違う、と判断するまでしばらく進んでみようということになった。
もちろん戻るのが正しい選択なのだろうが、
ここまで降りてしまうと、もとの場所に戻るのはかなりつらい。
そして悔しい。
どんどん深みにはまっていってるんじゃないだろうか?
と思うも、答えを求めて進むことしかできない。
新しい"希望を乗せた尾根"を進む。

希望の尾根は、傾斜がきつく細かったが、
人の踏み跡らしきものを感じることができた。
でも正直言うと、踏み跡だと思い込もうとしている自分がいることもわかっている。
しかしどんなに疑っていても、こうなった以上真実を求めて進むしかないのだ。

そしていつのまにか、
踏み跡らしきものは動物のフンに変わっていった。
地面はできたてのフカフカの土になった。
ところどころ垂壁のような道も降りた。
コンパスと地図は手から離せない。
靴もパンツも手もドロドロだ。
まともに歩けるような道はない。
ものすごい角度の土の上を滑るように、強引に降りていく。
そして「ズジャ!」と言う音と共に、
僕の上部にいたヤハケンがこけて背中をついた。

あ、ヤハケンやっちまったな。
滑落だ。

この角度なら間違いなく彼は底まで転がっていくだろう。
なんせヤハケンはほぼ僕の真上にいるようなもんだ。
しかもこんなフカフカの土では確実に止まれない。

意識的にこう理解した僕は、ヤハケンの落ちるコースを予測。
しかしそこにはいけるが、落ちてきたヤハケンをつかんでも持ちこたえられるかどうか。
前足に重心を移しヤハケンに飛びつける体制をつくった。

よし来い!と思ったその時、
「バンッ!」と言う大きな音と共に、ヤハケンは傍の木を両手でキャッチ。
見事にぶら下がっている。
なんてことだ。ミラクルだ。
ほとんどの木がつかむと壊れるこの道で、見事に生きている木をゲットしたのだ。

しかし、ほっとはしたが、このせいで先行きがかなり不安になった。
ヤハケンのおかげでサバイバル要素が20%増しになった。
迷ったあげく事故なんて、しゃれになんない。

結局希望の尾根は、謎の沢へと消えた。
僕らのもくろみも虚しく、結局沢にぶつかってしまったのだ。
しかも沢はかなりの水量でゴウゴウ言っており、
沢の両サイドはさらに鋭角になり完全な秘境と化していた。
万策つきた。撤収だ。
戻れるかどうかわからんが、きた道をきた通りに帰ろう。

ダッシュで源蔵尾根の分岐まで戻りたかったが、
時間も時間なので、飯にしようと言うことになった。
こういう時こそ落ち着いた方が良い、と思った。

水は大事だからラーメンを食うのはやめておこう。
それでも水がもつかどうか。
大切に飲んでいかなきゃならないな。
と考えながらふとヤハケンを見ると、
自分の飲み水で手を洗っていた・・・。

きれい好きか!とつっこみたかったが、つっこむ気もおきない。
(あとで聞くとこの時は怪我した指を洗っていたらしい。)

カラッカラの喉に飯はうまく通らなかった。
というか食べる気もしなかったし、うまくもなかった。
僕は自分が相当焦っているのがわかっていた。
"遭難"という文字が頭に浮かんだ。
来た道を帰る、という事だが本当に来た道を辿ることができるだろうか?
稜線に戻っても下山する体力があるだろうか?
日が沈む前に帰ることができるだろうか?
水はもつだろうか?

頭の中は不安でいっぱいだったが、
ヤハケンにそれを悟られてはいけないと思い、
いつもより冷静に、落ち着いた口調でヤハケンと話すよう努めた。

もと来た道を戻るか、そのままこの尾根を登って稜線にでるか。
もと来た道を辿るためには、一旦登って、途中で沢に降りて、また隣りの尾根を登る。
手間がかかるし同じように来た道を辿れるかどうか、かなり不安だ。
またこの尾根をそのまま登りつづけても、はたして稜線にでれるのかわからない。

話し合いの結果、まだ安全そうな、来た道をそのまま戻ることになった。
一刻も早く稜線にでたかったので、飯も早々に出発した。
ヤハケンと固い握手を交わした。

この尾根を降りてきたからわかっていることだが、
かなり急な道だ。
ふかふかな土に足を突っ込んで強引に登る。
木の根っ子をつかんで体を持ち上げる。
喉がカラカラで顔がべたべただ。
早く稜線にでたい。
あとどれくらい登れば良いのだろうか。
ヤハケンは生きているだろうか。

なんでこんな事をしてしまったのだろうか。
雨が降って視界が悪い時に、なぜこんな道を選んだのだろうか。
調子に乗りすぎた。
考えが甘かった。
コンパスも高度計がついたプロトレックも、
地形図と地形がわからなければ役に立たない。
山は怖い。
登山道から一歩外れると全くの別世界だ。

カカトが擦り切れそうだ。アキレス腱はピンピンだ。
ヤハケンの声が他の登山者の声に聞こえて一瞬喜んだ。
姉に電話して助けを呼ぼうと思った。
ヤハケンのアイフォン、衛星で居場所わかんねぇかな?と思った。
鹿がでてきて道案内をしてくれないかな。
タケコプターが欲しい。

気づくと、謎の沢からこの尾根へと上がってきた場所に戻った。
予定では、ここを降りて隣りの尾根に登る、っていう話しになっていたけど、
この時なんでかわからないけど、また沢に降りるのが嫌だった。
沢に立ち込めた真っ白なガスが不気味だったのかもしれない。
予定を変更して、もうちょっと今の尾根を登ってみようということになった。

不安ながらも尾根をしばらく進むと、
登ってきた尾根は一つの道とぶつかった。T字路だ。
地面は完全に踏み固められた"道"になっているような。
周りを見渡すとなんとテープの目印もある。
登山道だ!登山道にでたのだ!
ヤハケン、登山道にでたのだ!
しかしここはどの登山道だろうか?

北に向かう登山道は、このあたりには一つしかない。
源蔵尾根だ。
蛭ヶ岳への稜線ではないことは確かだ。
道は完全に登山道と言えるものだし、目印がいくらでもある。
そしてなによりこの尾根はみごとに太く、そして"道"なのだ。

しかし、新にこの尾根に挑戦するのは気がひけた。
謎の沢へとたどり着いた一本目の尾根、
願いを込めたが、結局沢へと消えた二本目の尾根、
そしてこれが三本目の尾根になる。
二度も尾根選びに失敗しているので、僕はびびってた。
この尾根を間違ったら、もうアウトだ。

でも僕らはこの道をゆく、ということで意見が一致した。
僕一人なら絶対戻って蛭ヶ岳の稜線を目指したと思うが。

目印から目印へ。
それが神の道しるべかのように進む。
この道が源蔵尾根であるように祈りを込めて。
景色なんてもうどうでもよい。
赤や白のテープが僕らの全てだ。

しかしこの道が源蔵尾根と言うのなら、
僕らはなんというひどい道を歩いていたのか。
ここを道とするなら、今までのは明らかに道ではない。
ただの山だ。
この道はびっくりするくらい歩きやすいし、
人が歩き続けた、と言う歴史を感じる。

そして結局、歩き続けることで源蔵尾根だとわかった。
標高も正しいし、地形図と同じようなコースを描いて歩いているのだ。
しかし驚いたことは、全く僕らが進んでいなかったという事だ。
最初あれだけ下ったのだからさぞかし進んだのだろう、と思っていたが、
戻ってみると源蔵尾根のすぐ入口のところだった。
どうやら僕らは源蔵尾根に入ってすぐ迷ってしまったようだ。
どこでどう道を外したのか、全く見当がつかない。

正しい道だと判断できた僕らは、北へ、ガンガン下った。
そしてあっと言う間に山を抜けた。
ドロドロになったレインウェアや靴を沢で洗い、
残りの平地を、駐車場へと向けて歩いた。

長いこと迷っていた気がしたが、およそ1時間30くらいだっただろうか。
ものすごく濃密な時間を過ごすことができた。

今回の登山は、勉強になることが多かったし、充実して楽しかった。
迷ったおかげだ。

今回は点線ルートでばっちり迷ったんだけど、
普段、知られた山をエアリアを持って歩いていれば、
まあ迷う事はない、と思っている。
道標も、道も、人も、全てある。
アドベンチャー要素は少ない、とも思う。
原宿から渋谷に向けて歩くようなもんだ、と思ったりもする。

しかし登山道から少し外れてしまうだけで、
何が何だか全くわからなくなる。
これまでと同じ様な登山を繰り返していたら、
本当に迷ったとき、どうにもならんだろうなと思った。
エアリアも地形図もコンパスも、ただの荷物になってしまう。

もっと山を知りたいと思う。
地形図とコンパスと自分の足で、山の形状を把握したい。
これからはそんな登山をしていきたいのだ。

ヤハケンの日記

出発前のヤハケン

~生きろ 生きろ 生きろ ピンチはチャンスなんだぜ ~

今年初の登山部活動である。
今回は出発より1週間を切ってから
登山が決まり、山が決まり、予定が決まり…
という急遽決定型の登山なのである。

つまり、自分のわがまま山行で
周りの人が登山行ってるのに、まだ行けてない事に対する
ジェラシーからの、ひがみ登山となるのである。
そして、反応良く一緒に行ってくれるのはtsuarata氏以外に
あるまい…。

そして誘いのメールを送り、予想通りにうれしい良い反応が返ってきた。

今回も毎度おなじみなるが
短い時間の中、目的地・ルート・その他もろもろを決める。
このメンバーでしかあり得ないくらいの緊急決定なのである。
(誰か誘った場合には、ギリギリすぎて失礼かも?と思うのである。)
ひがみ登山であり、ギリギリ登山である。

山に関してはいろいろ案が出て、魅力的すぎて、迷ってしまったのだが
日帰りなので、1泊しないともったいない所も多く…。
という事で移動時間も少なくできる事の理由もあり
西丹沢エリアに決まりました。

去年の9月以降、シーズンオフというブランクはあるが
今回は軽い登山だと面白くないので
あえて、メインの登山道では無く、地図にある点線ルート
(一応、登山道なのだが普通は通らないルート)を
地図、コンパスを使い登山+サバイバル要素を少しプラスした山行
なのである。

という事で、コンパス+地図の使い方を勉強しつつ
日帰り登山の準備(メシ+非常食+行動食 以外)を
まとめたくらいで当日となる。…簡単すぎる準備です。

今回も土曜は仕事という自分の状況に合わせてもらい
深夜出発で都内を出発。
毎度おなじみの深夜ドライブなので
いろいろ話したけど今回の日記は抜粋です。

道順的には、首都高から新宿を通り中央道へ
そして、相模湖I.Cで降りて下道を行く感じでした。
高速代は片道1950円位(深夜割引なし)
実際には、ETCで深夜割り引きで結構安く有料道路を攻略しま
した。
その後、
国道413号線より76号線に入り
神の川沿いにひた走り、行き止まりに駐車。

という事で目的地の駐車場に着いた感じだが
あいにくの雨。雨の中をスタートしました。
とはいえ、雨と言うより小雨でギリギリレインウェアがいる程度な
のだが…。

まずは、舗装された道を行き、そして、登山道へ。
そこから一気に900m標高を上げるコースなので
平坦な所は無し、登りのみの道なのである。
ツライ登りが続くのですが、やはり、2シーズン目の登山。
初回の雲取山とは違い、カメラを回しつつ、話しをしつつ。
寝てないのだが、意外に状態はよいのである。

しかも、今回は雨なのでカメラに関しても
一眼は持って行けず、今回はムービーカメラで写真を撮れるヤツ。
いつもより、ずっ~と軽いし防水機能もあるので今回はコレがメイ
ンなのである。

なので、今回は写真が少なめです、しかし
動画を撮ったのでいつもとは、違う記録方式なので、
どういった報告になるのかも楽しみな所ではあるのですが…。

話しを登山の方へ戻すが
まず神ノ川を見下ろす舗装されたゆるい登りの道を進み。
15分くらいだろうか、道沿いに分岐を示す道しるべ。
そこから、登山道に入るのだが角度も随分UP。
ここから900m標高も上がるので辛くはなるのだが、
序盤に関しては、話しもできる状態だし、
少し歩き方が、筋力を使いすぎるかな~と考える余裕があるくらいだ。

登山道、途中に動物のう○ちがあり、
色が濃いグレーな事、太さがそれほど無い事。
とりあえず、熊では無く中くらいの動物で、しかも
健康状態はそれほど、良くないのではないか?
…という冷静な判断もできるのである。
…余裕がある。やはり、シーズンオフ中に
クライミングジムへ通ってた事がパワーアップになってるのだろうか?

雨が降ってる事により
山にガスがかかり、15m位先は見えにくい状況ではあるが…。
動いている事により、熱くなりレインウェアの中が蒸れて熱い。
その事以外は、ツライ事はない。

とりあえず、ひた登り続け最初のポイント
熊笹ノ峰の頂上を目指す。

名の通り、熊笹が多く目につくようになった頃。
登りが続き過ぎて、アキレス腱がず~っと伸び続いてる事と
疲れが出はじめ、口数か少なくなってきた。
正直、500mくらい登ったくらいから辛くなりはじめた

登山という事はツライものかと
今まで楽な山は無かった、まぁ登山自体、楽なもんじゃないし。
自分はMなのか? なぜ登るのか? ツライ事が意外に好きな
のか?
休憩も雨の中なので、ちゃんと休める所もなし
溜まってきた疲れが出はじめたのだ

熊笹ノ峰の頂上に着いたときには
表情が無い状態になった、

山なのに、都内の喫煙所にいる
疲れきったおっさんみたいな顔だし、そんなオーラも出ている。
しかし、休憩とチョコレートにより少し回復したのではあるが
この後も檜洞丸までは小さい山を
3・4つ越えていかないと行けないのではあるが

そして、熊笹ノ峰の頂上からは
他の登山者も目につくようになる。

今まで、誰とも遭遇してないし。
とても静かだった。

聞こえたのは…
川のせせらぎ、自分の踏む足音、時々合羽に当たるしずくの音
鳥のピーチク パーチクといったさえずり。

ときどき、歌うアラくんの歌声。
特に印象に深いのが某区歌で、完璧なまでに
歌詞、メロディーともにマスターしている事だ。
しかも、良い歌だと思う。

という事で、登山者も増えつつ
檜洞丸 頂上へ向かうのである。

歩き安さを思ってくれて作ったであろう階段。
今は、歩幅が決められ逆にツライのである。
やさしさに対して文句は言えないのでガマンして必死に歩く。
そして、檜洞丸 頂上到着。

さすがに、前半戦の登りだけの道は辛かった。
そして、どの山のピークでも「きゃっきゃ」しない
テンションが低い。というジンクスも守っている。

到着した、檜洞丸の山頂は登山客でにぎわっていた。
ご夫婦で来てる方、大勢でワイワイしている方たち、
天気も悪いにに、予想以上に登山者がいるのである。
みんな、ひらけたピークのベンチでおのおの
休憩・食事をしている。

ココでは、お腹が減っていなかったので
コーヒーとクッキーで優雅なブレイクを楽しむ。

そして、ココからが今回のメインイベント。
登山道から点線ルートへ向かうのである。
しかも、地図には2カ所ほど危険マークが着いている。

比べるのもとしては、去年の北アルプスなのだが
はたして、どのくらい危険なのか?
そして、檜洞丸のピークでも、小雨というよりミストっぽい感じの雨が
ガスって先が見えない事での、現在地の把握の難易度が
上がる事も不安要素ではあるが…。
しかし、ミスト状の雨により肌が潤っちゃうので、
美肌効果には良さそうなのだが…。

休憩を終え、準備をし、出発をする。

40分くらい歩いた所で点線ルートに入るのだが
目印は古い道しるべ。

しばらく歩くたびに、標高と地形、古い道しるべを探すという
作業を組み込みながら歩く。

実際は50分くらい歩いた所に道しるべはあった。
あったというか落ちてた…
いや、低すぎるポジションで道をしるしていた。

地形をみつつ、進んでいたが
現在地の把握ができていなかった。
ガスによって、周りのピーク、地形も
あまり見えなかった事が大きいのだろうか。

とりあえず、見失う事なく無事に分岐地点に
到着できたので結果オーライなのだが…。
この後は、点線ルートなので、少し不安はあるが
地図では、尾根沿いに降りるルートなので
尾根から外れなければ大丈夫なのだが。

点線ルートは普通の登山道より、
少し歩きずらい道だった。
分岐して歩き出しも、道なのか?という感じだった
一応、人が踏んであるので、足場はあるのだが
しばらく進むと、クサリで補助された細っそい道、
ロープを掴んで降りる道、岩を登る所…という所はあったが

危険という事でも無かった。
ムービーを撮影しながら通れたし
ロープやクサリがあれば、誰でも通れる所だった。

そして、尾根を意識しつつ確実に進んでいる。
しばらく行くと踏み後も曖昧になるので慎重に探しながら
とりあえず、さすが点線だな~と思う道を進んでいた。

…ところが、
なんと、沢にぶち当たり
標高が1200mなのに水が流れ小川になってる。

…? ? ?。

地図には、川は無い。
青いラインは無い。

とりあえず、尾根の形で現在地を地図で
探して見るがわかりづらい。…分からん。
周りがガスっているので、周りに地形、
近くにピークなどでの判断が不可能なのだ。

とりあえず、戻るという事が
キライなのか、めんどくさいのか
2人共、進む事しか考えてない。
とりあえず、尾根沿いに降りると沢に当たるので
そこで、判断してみよう。という結論に。

そして、降りて見る。
…よく分からない…。

…人の歩いた形跡も無いし
下から尾根の形を見てもどれがどれだか判断不可能。

とりあえず、落ち着いて、汚れた手を小川で洗って
ムービーを撮れる状況にしつつ、リフレッシュ。
まぁ…リフレッシュしても、よく分からないが…。
思いかえしてみる。

尾根沿いに降りてきたはず。
人が踏んだあとは無くなっている。
道が落ち葉でフッカフカだし、滑りやすい。
途中には鹿のフンが良く目につく。
それだけ…。

…よく分からない。

予想は、点線ルートより西に行ったとしか考えられない。
東側は地図でみると急勾配なのだ。という事を話し合い
東の尾根を登ってみよう、という結論に。

しかし、簡単に登れる所ではない。
踏まれた後はないので、足場が悪い。
木・石など、掴めるモノをさがし
オブザベーションして登る…まるで、クライミングなのである。

前半使い果たしたと思われる体力が
まだある事もわかりつつ、必死に登り尾根に到着。

…よく分からない。

周りもガスってるし、尾根の形からも
現在地も分かってない。

しばらく後に話したのだが
迷ってる時の「3無い」の法則なのである。

・道無い。
・人の足跡無い。
・よく分からない(現在地)。

この法則がバッチリ合うのである。

とりあえず、今回の点線ルートの法則。
「尾根沿いを行く」というルールに従って
この登った尾根沿いを行く事にする。

進んでみると、今日の道でベスト1にランキングされる程、
歩き難いというか傾斜がきついくせに足場が無いのである。
2位に大差を付けたダントツ1位である。

必死に慎重に尾根沿いを降りる
傾斜があるので、普通には立てない
何かに掴んでないと危ないのである。
地面はフッカフカだし…。

慎重に進む。

1歩、1歩。

その時!!!
左足が滑る

バランスが取れなくなり右足も滑る…。

一瞬の出来事なのだが意外に冷静。

とりあえず、アラくんの居場所をチェック。

…目が合う。

自分のせいで自分以外の人を
巻き込むのは絶対したくない事である。
最悪、死ぬのは自分1人で充分だと思っている。
巻き沿った場合、やりきれない思いいっぱいで
立ち直れる自信が無い。

という事で
このまま、滑り落ちると巻き沿う可能性がある事を判断。

アラくんは、足場が悪いにもかかわらず
滑り落ちた場合、捕まえて、最悪一緒に落ちる覚悟があったと後で 聞いた…。
感動的である、そんな友達を持った事にうれしく、ありがたいと思う。

運良く背中が地面に着いた時にザックの丸みから
左側に体を反転させる事ができた
これで落ちる方向がずれて巻き沿う可能性が低くなる。

今度は、自分への対処である。
とりあえず、落ちる途中か周りに掴むモノを探す
ラッキーな事にギリギリ手が届く所に木が生えていたのだ

今までの来た道では掴んでも、すぐ折れる木ばかりなので
アタリかハズレの木か判断が難しいのだが
一見、生きてる木っぽい事もあり
後は運まかせな感じもありつつ、その木にかけてみる。

左へ反転させた勢いをつかい、右手を伸ばす。

木に手が届く。

力いっぱい握り、これから来る
重力+体重+荷物の重さに備える。

今回の荷物は日帰りの事もあり、結構軽いとは思っていたが
意外に重力って結構あるものなのである。

予想以上に落ちる勢いがあった
手が滑りそうになる
もう一度、今まで以上に手に力を入れる

…耐え切れた。
とりあえず、滑り落ちる事はなかった。

一発目の衝撃を乗り越えられれば
あとは少し耐えるだけで
体を支えれば大丈夫な状態になった。

まずは、ホッとしたのと
クライミングやってて良かった事、
荷物も軽くて良かった事。
今回の荷物が10kgぐらいあったら
衝撃に耐えれる事ができたのかは、微妙な所だと思う。

そして、一瞬でそんな判断できて、いろいろできた事。
やればできる自分にビックリ。

とりあえず、「ファイト一発」のCMにできるアクションだの
冗談を言いつつ
どうにか、面白アクシデントっぽくボケてみる。

…が、それほど面白アクシデントにならなかったのか
大事にならなくてホっとしているのか
アラくんはそれほどの笑いにはなってない。

実際は、ホっとしたのと
気を張っていたので、どんだけ無様だったのか
どんな感じになっているのか、わかっていないけど必死でした。

その後、思い返すと遭難ぎみというか遭難中に
滑落をギャグにしても笑えないのである

やってはいけない笑いなのだ…。
思いついて、すぐやってしまう。
後で後悔する、今までよくやるダメなパターンである。

とりあえず、同じ事はしてはいけないので
慎重に尾根を降りる。

そして、その後は無事に降りた

…が、沢にぶち当たり、もう尾根が無いのである。

「3無い」の法則に
・尾根も無い。もプラスされたのである。

さすがに
これ以上、進みようも無い。

無理して進んでも、先にあるのは「死」という事で
来た道を戻るという結論に至り、
安全なルートに、~檜洞丸~熊笹ノ峰を通る。
という行きと同じコースを歩くという事を決める。

さすがに、遭難して死を覚悟するのであれば
高くて、景色良くて、難しいと言われる山で死にたいと思う。
今まで行った山はどれも素晴らしい、それは事実。
しかし、名誉というか人の目が気になるお年頃なのである。
と言うか、他人がどうあれ自分は自分なのだが、
それほど強くなく、打たれ弱いのである。

こう言っては酷いと思うが、
「西丹沢で男性2名遭難、そして遺体発見。」
このニュースで名前が出てしまうのが、恥ずかしいのである。

例えるなら、スーパーマリオで、クリボーくらいの扱いではないか?と
踏まれて死んでしまうくらいの扱い…ザコキャラは酷いと思うのである。
せめて、クッパに挑んで炎で死ぬマリオくらいカッコ良くありたい
と願うのである。

それに、今年で30歳である。
それなりに(30年分)経験は積んできた、
考える事だってできる。

もし死ぬのであれば、もう少しカッコ良くしたいのである。

という事で生きる!! という事で戻り始める。

戻ると言っても、先ほど滑落しそうになった坂を登る
降りる事が困難な傾斜は登るにも困難なのである。
滑落した傾斜は結構な角度なのである。

登るというかクライミングに近い。
オブザベーションをして
掴める所、足場をちゃんと考えて登る

途中、調子をこいて、ヒールフックをぶちかます
柔軟運動を怠ったせいで、足がつりそうになる…。
とりあえず、この事は黙っておく事を誓う。

時間をかけたのに全然進まない。
ゆっくり確実に登る。
2回目の滑落は笑いならず、怒られてしまうので
けっして、やってはいけない事だからだ。

無事、登る事ができたが、
これからどれだけ、こんな所を行くのかは
わからないが、確実に現在地が分かる所まで
そして、駐車場までは行かなくていけないのだ。

滑落坂を登り終え、休憩を挟む。
とりあえず、少し食べ物を食べて
これからの必要な力を出すために。

ここで、先ほど滑落時に負傷した
指の応急処置をする。
木を握りすぎて、ツメの間に木が刺さり指が痛いのだ

アラくんが針を持ってた事により
中の木をかき出す事に成功。
塗り薬を塗ってバンソーコーを貼る。

とりあえず、今回は装備が軽いゆえに
持ち物が何も無くどうしようもないのかと思ったが、助かった。
アラくん、ありがとう。

処置と食事(おにぎり1コ)の休憩を挟む
これから戻る方針を話し合う。

まず、状況は…
・現在地、不明。
・来た道順もあやふやな所がある感じだ
・方角的に考えると南に向かえば
とりあえず、檜洞丸の稜線に出る事は間違いない。

…という事で
とりあえず、来た道を戻ってみて
様子をみながら状況判断して行こうという事に。

先ほど来た尾根沿いを戻っていくと
沢から登ってきた傾斜の所へ。

たしかに、ココから降りていけば
沢へぶち当たるが、その後の尾根沿いがあやふやな所がある。

あやふやと言うか、尾根が緩やかすぎて
さらに間違う可能性があるである。

………。
南へ行こう。

とりあえず、確実な事をやるべきだと考えたのだ
人間の記憶なんて、微妙だろうと考えたのである。

しばらく行くと、登山道へ出た。
歩きやすい道に、途中の木にはマーク。
あきらかに、人が通った道である。

登山道のドコへ出たのかは、分からないが
あきらかに帰れる事になった。
しかも、戻った距離を考えても点線ルートなのだ。

点線ルートが普通の登山道なのでビックリ。
予想では、点線ルートは獣道みたいなものと思っていたのだが
なんて事はない、普通な道なのである。

まず現実的に考えて行けば、問題はなかったはずだろうし
とりあえず、不安になったら戻った方が良かったであろう

しかし、予想と思い込みから、自ら獣道をすすでいたのだ。

そしてココから、戻って来た道と同じ道を行くか
このまま点線ルートを行くか…。

とりあえず、多数決を取る事に
2人なので、最悪引き分けになる…。

お互い言わずとも分かっていた事がある。
戻るに1票でも入れば、戻る。と

しかし、行くに2票。
お互いアクティブに攻めるのである。
攻めは最高の防御である。

先ほどは攻め過ぎて滑落&遭難しているのだが…。

という事で、少しでも見失った場合は
戻るという条件付きで突き進む事になった

…なんて、歩きやすい道なのだ…。
登山道って、最高なんだね。と思う。

進んでみると、尾根から少し沢に入り
隣の尾根へトラバースしている所があり
ようやく、現在地が分かる。

…全然、進んでない…。
どこで迷ったのか、どこへ行って来たのか。
よく分かりはしないが、それほど遠くて
彷徨っていたワケでは無さそうだ。

良くわからないけど
とりあえず、今は目印を見つけ進む。

途中、地図を見て現在地を探してはみるも
はっきりとした変化には分かるのだが
やんわりとした変化には弱いのである。

結果、目印によって点線ルートで帰れるのだが
点線ルートにドコが危険箇所だったのかは
分からずじまい。
とりあえず、滑落した所が一番危険だった…。

今回は、課題がハッキリした山行だった

・もっと地図と地形を、イメージを明確にして
実際とイメージを近くする事。

・「3無いの法則」になった場合。
来た道を必ず戻る。

・点線=獣道ではない。登山道は登山道。

今回、行きの車内で聞かせてもらった曲がある。

卍LINEというアーティストの「IKIRO」という曲。
窪塚洋介氏のバンドだ。
自身の経験からメッセージ性の強い曲である。

何が起こった? この有り様 何が起こった?
病院のベッドの上 目覚めた僕 聞こえる声 なんだか怖え
なんてこった 僕落っこた? 骨がボキボキで背筋凍った
どこを通った 記憶がねーぞ 理解できねえ事実が残った
認めたくねえ現実背負った コースはずれたジェットコースター
これで終わりか僕は怒った これで終わるかって僕に怒った
刻まれた傷は自分との絆 死んでも離すな 命のたずな
神のイタズラに弱音は出すな 必ずうまくいくぜ 必ずな

生きろ 生きろ 生きろ 生きろ 死ぬ まで生きろよ
生きろ 生きろ 生きろ 生きろ 生き てりゃいいことあんぜ
生きろ 生きろ 生きろ 生きろ ピン チはチャンスなんだぜ
生きろ 生きろ 生きろ 生きろ 一歩 踏みだしゃ
(卍LINE[IKIRO]より)

…今回の登山のテーマ曲にピッタリ。

しかし…、

生きろ 生きろ 生きろ 山では、ピンチはピンチ なのである。